ゲイム業界へようこそ!その22
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先ほどの小さなイベントから時間が経過し、現在俺は彼女らの隣を歩いている。いや、訂正しておこう…、ねぷねぷさんに手を握られて無理やり隣を歩かされている。理由はいまいち分からん…。

 

 

このシチュエーションは少々恥ずかしいのだが、やっぱり可愛いらしいヒロインとこうして手を握って歩いているという事実は素直に嬉しく思える。

 

彼女の方を見ると心なしか顔が赤い気がする。ヤバイな…可愛すぎる……。いかんいかん、顔がにやけてしまう。彼女の他にコンパやアイエフもいるんだ、少し気を引き締めよう。

 

 

 

気持ちを切り替えようと何か別のことを考えようとして、ふと疑問が沸き立った。この今考え付いた疑問…、なんで今頃なんだろう…、遅すぎだろ俺?

 

 

 

「なぁ、アイエフちょっといいか?」

 

 

 

俺はその疑問を解消すべく、一番このメンツで正確な解答を教えてくれるであろうアイエフに質問した。

 

 

 

「ん?どうしたの?」

 

 

 

「今頃聞いて申し訳ないんだが、このダンジョンに来た目的を教えてくれないか?」

 

 

 

「あぁ、ごめんなさい、まだあなたには説明していなかったわね。」

 

 

 

「これでも一応同行者なんだ、大雑把で構わないから説明頼むよ。」

 

 

 

「あはは〜〜、あいちゃんったらホント忘れん坊さんだね〜?」

 

 

 

「ねぷねぷ、あいちゃんをそんなに責めたら駄目ですよ?きっとあいちゃんにも何か事情があったんですぅ〜〜。」

 

 

 

「あんたらのせいで忘れてたんだからねぇ…?そこの所理解してるかしら…?」

 

 

 

「「ゴメンナサイ、反省シテマス(ですぅ)!!」」

 

 

 

二人共…、さすがにアイエフに対してそれは言い過ぎだろ。そりゃ怒られるわ……。

 

 

 

「ったく……、話を戻すわよ。このダンジョンに来た目的は迷子の救出ね。このダンジョンのどこかに迷子がいるはずだから、無事に見つけ出し母親の所へ帰してあげるってわけ。」

 

 

 

「なるほどね…、子供の特徴なんかはあるのか?性別とか外見とかさ。」

 

 

 

「フッフッフ……。レンさん、実は子供の特徴にはなんと大きなヒントがあるんだよっ!ねぇねぇ〜聞きたいでしょ聞きたいでしょ〜?」

 

 

 

俺とアイエフとの会話にねぷねぷが割って参加してくる。このイベントのことは忘れてしまっているので、子供の特徴なんてもちろん記憶しているわけがない。ここは素直に教えてもらおうか…、ねぷねぷに聞くというのに少し気が引けるのだがそんな感情は無視しておくことに。

 

 

 

「良かったら教えてくれないかな?」

 

 

 

「もちろんオッケーだよぉ〜〜!子供の特徴はね…なんと全身シルエットなんだ〜〜!どうどう?凄いヒントだと思わない?」

 

 

 

「シルエット?………あぁ〜なるほど!これまた随分とメタだなぁ。」

 

 

 

さすがは『超次元ゲイム ネプテューヌ』。細かいところでプレイヤーのツボを刺激してくるな。内心では凄く笑っているのだが、彼女達の前だ、我慢しておこう。

 

 

 

さて、問題なのはこのイベントが『メイン』か『サブ』かということにある。ゲームをしている側ならキャラ達のボイスの有無とかですぐ判断出来るのだが、今目の前にいる皆はどんな時でもしっかりとした『声』を発している。なので判別することは不可能。

 

 

 

もしもこのイベントがメインであったのなら…。マジェコンヌもしくは『彼女』が戦いを挑みにくるのだろうか?もし、その場面に俺が出くわしたらどうなる?全く予想がつかない。見つかる前にでも逃げるか?それとも今彼女達に適当な理由を言って俺だけ帰らせてもらうか?

 

 

 

「レンさん、黙っちゃってどうしたんですか?もしかして体調が悪かったりするですか?」

 

 

 

コンパが心配そうに声を掛けてくる。どうするべきか検討もつかない、その場に出くわした時に、臨機応変に対処していかなければならないのだろう。大変だろうがやるしかないんだろうな。むしろサブイベントだったらこんな心配いらないのだが…。

 

 

 

「大丈夫だよ、少し考え事してただけだから。ところでこの後はどう動くつもりなのかな?」

 

 

 

「う〜ん、とりあえずはこのままダンジョン奥へと迷子を探しながら行けばいいかなとか思ってたけど…。でもこのダンジョン、地味に広いのよね…。もしかしら行き違いになっちゃうかもしれないから、別れて行動するってのもいいかもしれないわ。」

 

 

 

「確かにその方が効率いいな。それだと二人ずつに分かれた方がいいな、どんな組み合わせがいいのかな?」

 

 

 

そう言って俺は周りのメンツを再確認する。俺、ねぷねぷ、コンパ、そしてアイエフ。やっぱり俺とアイエフは別々の組になった方がいいんだろうな。俺とアイエフが組んだとしたら、残りのねぷねぷコンパチームはもう、いろいろと酷いことになりそうだし。

 

 

アイエフの方を見るとどうやら彼女も俺の考えと同じだという視線を送ってくる。俺とアイエフが別れるとして、残りは…。

 

 

 

「二つの組に分かれるんだが、俺とアイエフは別々の組になるよ。だからネプテューヌとコンパは俺かアイエフのどちらかに組に分かれてくれるか?」

 

 

 

「じゃあ私、レンさんの組〜〜♪」

 

 

 

「わ、わたしもレンさんの組がいいですぅ〜〜!」

 

 

 

「待て待て…二人ずつ別れるんだから、俺の組にどちら一人だけ来てくれ。」

 

 

 

二人にもう一度説明してやるとどうやら理解してくれたみたいだ。二人は俺の組を巡ってジャンケンをし始めた。外見が改善されてるとはいえ、俺なんかを巡ってくれるなんて本当に嬉しい限りだ。アイエフなんかは「さっさと決めて」と言った感じの表情を浮かべている。俺も実際はどちらでも構わないのだが。

 

 

 

「勝ったぁ〜〜〜!」

 

 

 

「負けたですぅ…。」

 

 

 

どうやら勝敗は決してようだ。それにしても…二人の表情の落差が随分激しいな……。

 

ねぷねぷはこれでもかっ!というくらい満面の笑顔浮かべているのに対し、コンパは何だかこの世の終わりを体験したような落ち込み様だ。うわぁ、肩まで落として体全身でヘコんでるよ…。

 

 

 

こうして俺はねぷねぷと二人で迷子探しをすることになったのだ。せっかくだ、この機会に彼女といろいろ話してみようかな?

 

 

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