ゲイム業界へようこそ!その23
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コンパ・アイエフ組と別れた俺・ねぷねぷ組はとりあえず端の方から順に迷子を捜していくことにした。そう、迷子捜しのはずなんだが…、状況を説明すれば、彼女と手を繋ぎながらただ散歩してるだけのようだった。ねぷねぷを見ても終始ニコニコしていて、迷子捜しなんてどこへやらと言った感じだ。

 

 

 

「随分嬉しいそうだな?」

 

 

 

「もっちろん!だってレンさんと二人だけのデートだもんね〜〜。」

 

 

 

「確かに二人ではいるけど、デートではないだろ?迷子捜しってのを忘れてないか?」

 

 

 

「もう〜レンさんったら失礼しちゃうね〜〜。そこは忘れてないよぅ〜〜。でもねレンさん、今の状況をよく考えてみましょう!男女二人が手を繋いで歩いている…、これはもうデート以外何ものでもないのデハッ!?」

 

 

 

「イヤ…さすがにダンジョン内ではデートにならないだろ……。」

 

 

 

「もう…レンさんたらイケズ〜〜♪」

 

 

 

そう言ってねぷねぷは手を離して前の方へ走っていく。果して俺は彼女が言うほどに強情を張ってるのだろうか?俺が悪いのだろうか?

 

ある程度前へ進んだねぷねぷはこちらを振り向き、後ろ向きのまま歩きだす。まったく暢気なもんだ、いつモンスターが現れるかも分からず危ないだろうに……。

 

 

 

「ダンジョンの中だぞ〜!モンスターもいるんだからしっかり前向いて歩け〜〜!」

 

 

 

「そんなに心配しなくても大丈夫だよぅ〜〜、レンさんは心配症なんだから〜〜。それにモンスターが現れても私がすぐにやっつけちゃうから何も心配いらないもんねぇ〜♪」

 

 

 

「そういう理屈じゃなくてだなぁ…。」

 

 

 

「それよりそれより〜〜♪前から気になってたんだけど、レンさんのパーティーって一体、きゃっ!?」

 

 

 

 

 

その声と同時に俺は走り出していた。おそらく俺の持てる最速のスピードで彼女の元へ駆けて行ったのだろう。自身の体が風を切り裂いて進んでいる気さえする。

 

 

ねぷねぷの体が何かの拍子で後ろへと倒れていったのだ。

 

ただ転ぶだけなら別にそこまで気にする必要も無い、しかしだ、転ぶ先に何かしらの障害物があったとすれば?鋭い無機物の水晶があったとすれば?俺はそれを確認してしまったのだ。どうやらその確認と同時に駆け出していたらしい、若干無意識染みていた気もするが、それでも彼女が無事であって欲しいと思う手前、このほぼ無意識の行動に今は感謝したい。

 

 

 

あの一寸の距離を彼女が障害物にぶつかる前に駆け抜け、抱きとめながら地面へ倒れこむ。ほんと回避出来たことには俺の常人離れの素早さと運の良さへ感謝したいところだ。不甲斐ないが今だけはあの駄目神様にお礼を言いたい気分である。

 

 

 

「えっ?あ…なにが……?」

 

 

 

自身の状況が理解出来ていないのだろう、ねぷねぷは困惑していた。それはそうだろう、一瞬の出来事だったのだから。

 

 

 

「良かった…本当に無事で良かった……。」

 

 

 

俺は安堵からだろうか、ねぷねぷの体を強く抱きしめた。アレ、俺もしかして泣いてる?

 

 

 

「あはは…この状況に私はついてけてないよ〜、一体レンさんはなんで「ネプテューヌ、今自分がいた場所を確認してみろ。」それってどういう…。」

 

 

 

そう言って彼女の視線を障害物へと向かせる。これで理解することが出来るだろうか?

 

 

 

「あぁ〜レンさんは転んであれにぶつかりそうになる私を助けてくれたのかな?凄く嬉しいけど、そこまで心配するほどでもないからね?これでも私頑丈なんですから〜〜。」

 

 

 

 

彼女は笑顔で俺に応える。どうやら俺の思いはネプテューヌに届かなかったようだ。その途端に怒りが込み上げてくる。

 

 

 

 

「なめるな…」

 

 

 

「えっ?レンさん今なんて「舐めるんじゃねぇよ!、人の命の儚さをよぉ!!」ヒィ…!」

 

 

 

俺の荒げた声にネプテューヌは驚きと恐怖を持ったようだ。しかし俺の怒りはまだ収まっていない。自分で理解出来るほどに感情が恐ろしく荒ぶっているのだ。

 

 

 

「人はお前が思っている程そんなに頑丈じゃないんだ!ちょっとした弾みですぐに大怪我して酷い思いをするんだぞっ!?それに運悪く当たり所を間違っても見ろ?呆気なく死ぬぞ、この世とサヨナラだぞ!!」

 

 

 

「あの、ご、ごめんな…」

 

 

 

「それにお前はもうコンパやアイエフみたいな『友』を既に持ってるだぞ。お前が間違って死んだと仮定してみろ、やつらはどうなると思う?絶対泣くぞ苦しむぞ、これからの人生お前のことをずっとを悔やみ、一生背負って生きていかなければならないんだぞ?もうお前の命はお前一人だけのものじゃないだ!自分の命を絶対に軽んじるな!!」

 

 

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい……。」

 

 

 

俺の言葉が伝わったのかネプテューヌは何度も謝罪してきた。それで俺の怒りも収まったのだろう、改めて彼女の無事を喜ぶ。

 

 

 

「本当にお前が無事で嬉しかったんだ…ただそれだけなんだよ……。自分の『生』を大事にして欲しかっただよ……。」

 

 

 

「うん…うん…。」

 

 

 

そんなやり取りから俺達は少しの間その状態のままでいたんだ。彼女を熱を感じながら…。

 

 

 

 

 

 

ピコーン!

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

お互い先ほどまでの熱が冷めてきた頃、俺が口を開く。

 

 

 

「あの…さっきは凄い怒鳴って悪かったね?」

 

 

 

「えっ?あっ、大丈夫です…、はぃ……。」

 

 

 

ねぷねぷは大丈夫と言っているが言葉の語尾が小さくなる程だ。やはり相当堪えているのだろう、今頃になって失敗したかなとか思っている。彼女はまだ子供だ、俺みたいな彼女とそこまで触れ合っていない輩が死生観を話しても変な目で見られるだけだ。むしろ今までの印象が印象だ、もしかしたら軽蔑されたであろうか?

 

 

 

「ぁ、あの…。ちなみにいつまでこの状態でいるのですか?」

 

 

 

そう言われて俺は現在の状況を確認する。先ほどまでの一連の流れから継続した状態。うん、俺が彼女を抱きしめたままだ。アレ、ナニカイカオカシクナイ?

 

 

 

「え、ア…うわぁ〜〜ごめんなさいごめんなさい!離れるから、すぐ離れるからぁ!!」

 

 

 

そう言って俺は立ちあろうとするが何かが引っかかる感じ…。気になる箇所へ視線を向けると、ねぷねぷさんが服を掴んでいるではないか…、ハテ?理解デキナイノデスガ?

 

 

 

「あ、別に嫌なわけじゃないんです!むしろこの状態がなんだかホッとするんです、出来ればもう少しこのままでいてくれませんか?」

 

 

 

「別に構わないけど…。」

 

 

 

とは言いつつも内心では相当動揺してますけどね!ねぷねぷの顔を覗き見ると……「その顔は反則だろ」と言った感じの表情が真っ赤な顔に表われている。こころなしか彼女の動悸さえも聞こえる気がする。

 

 

 

「さっきのことはその…驚きましたけど……、でも嬉しかったんです。私、昔の記憶が無くって、それですぐにコンパやあいちゃんみたいな友達が出来て、とっても嬉しくて、でも本当に心からの親しみはまだ無くって、それに寂しさを感じて…。そんな時にレンさんが現れたんですよ。レンさんみたいに怒鳴ってくれたのは今までにいません、それにさっきの台詞には全てに心からの親しみを感じました。多分記憶が曖昧な私で分かるんです、今回レンさんが初めて私に親しみを込めて話してくれた人なんです。それが凄く嬉しく仕方なくて…。」

 

 

 

「…。」

 

 

彼女の言葉を俺は黙ってきく。彼女の台詞から記憶のないことへと不安や孤独を感じ取ることが出来る。彼女もまたブラックハートと同じように、孤独をかかえる一人の女の子だったのだ。

 

 

 

「私を抱きしめるそんなレンさんの温もりが体に染み渡ってきて、本当に嬉しくて……。」

 

 

 

「そうか…。」

 

 

 

ねぷねぷがより体を俺に寄せてくる。俺もそれに合わせて強く抱きしめる。なんだろう…俺も彼女からの温もりが体へ染み渡ってきているようだ。とても暖かく心地が良い…。こんなに暖かい人の温もりは今までにあっただろうか?

 

 

この時俺は強く抱きしめると儚く砕けてしまいそうな、過去の記憶を失ってしまったこの小さき少女を精一杯手助けしていこうと誓ったのだ。

 

説明
ふうーりん…かっ、ざーん!
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2003 1922 2
タグ
超次元ゲイムネプテューヌ

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