ゲイム業界へようこそ!その24
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あれから俺達は迷子捜しを再開し、ダンジョンの中をうろついて回っていた。しかし、先ほどまでの状況と大きく変化した点がある。

 

手を繋いで二人並んで歩くことは起こらず、彼女が少し前、俺がその後ろをついて行くと言った状態なのだ。それに先ほどまでのような和気藹々した空気をどこかへ消えてしまった。まぁ、それは当たり前の話か、あんなイベントが起こった後だ、お互いに気まずいだろう。

 

 

 

しかしながら会話は極端に減ってしまったのだが、決して場の空気が悪いということでは無いように感じる。ただ先ほどまでのような他愛の無い会話をしなくなっただけなのだ。それが無くなってしまったことに俺は寂しさを覚えるのだが。(この状況を作った張本人が言えるべきことでは無いとは分かっているんだ。)

 

 

 

俺は些細だが気になったことがあるため、前を行く彼女へと話かける。少しでも前のように彼女と話したいと願いつつだ。

 

 

 

「あの…君は…。」

 

 

 

「はい?レンさんなんですか?」

 

 

 

「えぇっと、その喋り方についてだよ。俺が君を叱ってしまったせいで、そうなってしまったのは分かるんだ。でもさ…どうにか治せそうにないのかな?他人行儀みたいで少し寂しいんだ…。」

 

 

 

気になったこととは彼女の俺への話し方なのだ。出会った頃のようにおちゃらけた親しみ易い口調はどこかへ消えてしまい、今では目上の人へのどこか謙虚な姿勢を感じる口調へと変化してしまった。それは彼女のいつでも元気一杯で明るい笑顔が消えたことを意味する。俺はもしかしたら既に取り返しのつかない大きな過ちを犯してしまったのだろうか?

 

 

 

「これは…その……しばらくは治りそうにないです…。で、でも別にレンさんに他人行儀してるわけじゃないんですよ!むしろ前より身近に感じてしまっていて……。」

 

 

 

「そうなのかい?」

 

 

 

「むしろレンさんの方がひどいと思うんですが…。私のこと『君』とか呼んでて…。それに口調が叱っている時と違います。あの時の口調の方が身近に感じられて嬉しかったんですけど…。」

 

 

 

「それは気にしたことなかったな…。それじゃあ君のこと呼ぶ時なんて言えばいいかな?」

 

 

 

「レンさんには『ネプテューヌ』って普通に呼んで欲しいです。こんぱやあいちゃんにはねぷねぷとかねぷ子とか呼んでもらってるけど、レンさんにはそう呼んでもらった方がなんだか嬉しいです。」

 

 

 

「そうか…ならこれからはネプテューヌって呼ばせてもらうな。」

 

 

 

「後もう一つ、お願いというか願望があるのですけど…。」

 

 

 

そう言ってネプテューヌをは俯いて、なんだか体をモジモジさせている。彼女がそこまでする程のお願いとは一体どんなものなのか?イカン、こっちも緊張してきた…。

 

 

 

「言ってもいいぞ。ネプテューヌの願いがそこまで無理難題じゃないければ叶えてあげるつもりだし。」

 

 

 

「そうですか!?それじゃあ…あの……、わたしっ、レンさんのことこれから「お兄さん」と呼んでもいいですかっ!!?」

 

 

 

 

 

「………ハッ?」

 

 

 

 

 

ウン、よく聞こえなかったね!どこかに意識が飛んでいて、まだ帰って来てませんでしたよ。「兄」って言葉が聞こえた気がしたけど、ハテ?ナンノコトヤラ?

 

 

 

「ごめん、よく聞こえなかったヨ、悪いけどもう一度話してもらえカナ?」

 

 

 

「えぇっと、レンさんのことをこれから『お兄さん』と呼びたいんです!」

 

 

 

「ちなみに何故なのか理由を教えてもらえるか?」

 

 

 

「さっき叱ってもらった時からずっと考えてたんです…。こんなに親身になって怒ってくれているのに、『レンさん』って他人みたいな言い方をしていて良いのかなって…。それで頼れる少し年上の人の呼び方で、良いものはないかなぁとか考えてたら偶然それが思いついちゃって、それを見つけた途端、レンさんのことをそう呼びたいなぁって思っちゃって…。」

 

 

 

「そうだったのか…。」

 

 

 

「あの…やっぱり駄目ですか……。」

 

 

 

そう言ってネプテューヌは上目使いでこちらを見てくる。頬まで真っ赤にして…、幾らなんでもその表情は…反則過ぎる!!これでは断るに断れん……。うはっ、可愛すぎて鼻血でそう…。

 

 

 

「イヤ…別に構わないが……。」

 

 

 

「もし『お兄さん』って呼ばれるのが嫌でしたら他にも『お兄ちゃん』でも『兄様』でも『にぃにぃ』でも構わないですよ、どれでも好きな呼び方を選んで下さい♪」

 

 

 

「『お兄さん』でお願いします!」

 

 

 

「嬉しいです…、これからもよろしくお願いしますね、お兄さん♪」

 

 

 

「ゴハッ…!!」

 

 

 

「えっ、お兄さん!?」

 

 

 

フッ…まさか『萌え』でリアルに血を吐くとは思わなかったよ…、ここがゲーム内だからそういうことが起こってもオカシく無いってとこなのカ。

 

急激に血を体内から失ったせいか意識が朦朧としてきた。クラクラしてきて…あっ、俺倒れる……。視界も段々暗くってきたぞ…。

 

 

 

意識を失う寸前まで俺にはネプテューヌの「お兄さん!お兄さ〜〜ん!!」という叫び声が聞こえた気がした。頼む…今はその言葉を連呼しないでくれ…、ライフが削り取られるから……。そこで俺は意識を手放したのだった。

 

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超次元ゲイムネプテューヌ

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