とある断片話 前編
[全2ページ]
-1ページ-

「ねーねー」

少女は少年に尋ねた。

「これ、あげるから僕も仲間に入れて」

手に持っているのはマシュマロ。

「………」

少年は最初は断ろうと思っていた。

だが、よく見ると少女の身体には傷や震えがあった。

「………おまえ、ただ見ているだけかもしれないぞ?」

なぜだかわからない。

でも、なんとなく彼女の姿を見ていたら入れてあげてやろうかと思えた。

「っ!? うん、いいよ!」

だだ……それだけ。

それだけだったのに少女は満面の笑みで笑う。

「……変な奴?」

少年はその満面の笑みの意味がわからなかった。

やがて少年の仲間の一人が、見知らぬ少女に気付いて話かけてくる。

「あら? あなただーれ?」

「………僕……は」

「アタシは、岡本一子!」

「僕……は……」

少女は震えた声で名前を言い、叫んだ。

「僕は……ユキ。小雪っ!」

「小雪? ユキでいいの?」

「うんっ!」

一子は小雪の右手を握る。

「それじゃ、一緒に遊びましょ」

「…………っ!! うんっ!」

二人は走った。

-2ページ-

それだけ。

 

それだけだったのに、少女はさっきよりも満面の笑みで笑っているように少年は思えた。

説明
これはある青年の断片話
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2028 1938 4
タグ
榊原小雪 真剣で私に恋しなさい!S 

アインさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com