仮面ライダークロス 第十話 風が呼ぶB/最高のコンビ
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ギィンッ!!ガキィン!!

 

激しく斬り合うブレイドとシグナム。

 

なぜこんなことが起きているのか、答えは単純にして明解。

シグナムが一真に試合を申し込んだため、仕方なくブレイドに変身して相手をしているのだ。ちなみに空を飛ぶシグナムに対抗するため、ジャックフォームに強化変身している。

 

「はああああっ!!」

「ゼェェェイッ!!」

激しい空中戦を演じるシグナムとブレイド。だが、決着は着かない。

「レヴァンティン、カートリッジロード!!」

シグナムはレヴァンティンのカートリッジをロード。刀身を炎上させる。

対するブレイドは、ブレイラウザーのカードホルダーから二枚のカードを取り出し、まず一枚、スラッシュリザードのカードをラウズする。

 

〈SLASH〉

 

さらにもう一枚、サンダーディアーのカードをラウズする。

 

〈THUNDER〉

 

二枚のカードの力がブレイラウザーに宿った。

そして、

「紫電、一閃!!」

 

〈LIGHTNING SLASH〉

 

シグナムはレヴァンティンに炎を宿して敵を斬り裂く紫電一閃を、ブレイドはブレイラウザーに電撃を宿して敵を斬り裂くライトニングスラッシュを、それぞれ放った。

「はあっ!!」

「ライッ!!」

二人の刃がぶつかり、大爆発が起こる。

 

「私の負けだな…」

レヴァンティンの刀身が折れ、シグナムは負けを認めた。

 

 

 

 

 

翌日、テメンニグル学園。

光輝と一真は昨日のことをバージル達に話した。

「それは災難だったな。」

「そう思うだろ?それに、また戦りに来るみたいなこと言ってたし…」

「許してやれ。奴にとっての楽しみの一つだからな」

と、光輝はあることに気付いた。

「どうしたのダンテ?ずいぶん浮かない顔してるけど…」

「ん?いや、ここのところスランプでな…」

トリッシュは耳を疑った。

「ダンテがスランプ?冗談でしょ?」

「本当だって。最近スランプで、銃の整備がうまくいかねぇんだよ。」

光輝は思った。

(それはスランプって言うのかな…)

すると、

「じゃあ私のドライバー貸してあげるわ。」

レディがドライバーを差し出した。

「いやいいよ。」

「なに遠慮してんのよ。心配しなくていいわ、別に使用料取るってわけじゃないんだし。」

「…じゃあ。」

ダンテはドライバーを受け取った。

その時、

「メアリ!」

教室の窓に、ジェスターに変身したアーカムが現れた。

ちなみにダンテの席は窓際なので、ジェスターはダンテの隣に現れたことになるのだが……

 

ズドォォォォン!!!

 

レディは容赦なくミサイルランチャーをぶっぱなし、ジェスターをダンテもろとも吹き飛ばした。

ジェスターはどこかに飛んでいったが、ダンテはどうにかボロボロになるだけで済んでいた。

「ちょっとォォーッ!!」

当然一真は黙っていない。

「何ようるさいわね。」

「何じゃないよ!いくらダンテが半分悪魔だからって、そんなことしたら死んじゃうだろ!!」

「大丈夫。結果的に無事だったんだから」

「そういう問題じゃないよ!!」

「なあ。」

言い争う二人に、ダンテが声をかけた。

「ダンテ!大丈夫か!?」

一真はダンテの身を安じる。

「俺は大丈夫だ。大丈夫なんだが…」

「…何?」

「今のでドライバーがぶっ壊れちまったぞ。」

言いながら、ダンテは柄だけになったドライバーを見せた。

「……。」

「……。」

沈黙する一同。

 

やがて、レディが沈黙を破った。

「とりあえず弁償してね。」

「え。」

それだけ言うと、レディは自分の席に戻ってしまう。

「一真も災難だけど、お前も災難だよな。」

照山がもっともなことを言った。

「…理不尽だ。」

ダンテはそう言うしかなかった。

 

 

 

 

 

その後は何事もなく、授業はいつも通り終わって光輝と一真は家に帰宅した。

「スランプ、か…」

一真は不意に口にした。

「どうしたの?」

「いや、俺の世界に橘っていう人がいたんだけど、その人も一時期スランプに陥ってさ…」

「そうなんだ。どんなスランプ?」

「俺が使ってるライダーシステムが、装着者とアンデッドの融合によって成り立っている、っていうのは、前に説明したよね?」

「うん。それで?」

「このライダーシステムは、闘争心とかそういうので融合係数を上げて戦闘力を高めるものなんだけど、恐怖心があると逆に融合係数が下がって、最悪の場合、変身が解除される。破滅のイメージが植え付けられることもある。」

「でも、最後にはスランプを解決したんだよね?」

「ああ。そのために橘さんは、大切な人を失ってしまったけど…」

「…」

なんだか場の空気が重くなってしまった。

「僕も気を付けないとな…大事な人をなくさないように」

「君なら大丈夫さ。」

「ありがとう、一真。」

「まあ僕としても、ダンテにはスランプから立ち直ってもらいたいね。」

「あれはスランプなのかな?」

笑い合う二人。

 

その時、

「!!」光輝は何かを感じ取った。

「どうしたんだ?」

「嫌な予感がする…!」

言うが早いか、光輝は外に飛び出し、ロイヤルランナーに乗ってどこかへ行ってしまう。

「お、俺も行く!」

一真もブルースペイダーに乗り、光輝を追いかけた。

 

 

 

 

 

光輝を追いかけながら、一真は尋ねる。

「さっきから俺達はどこへ向かってるんだ!?」

「わからない!でも感じるんだ!」

光輝は自分の感覚の命ずるまま、一真は光輝を追うために、それぞれのマシンを走らせていく。

 

しばらく走っていると、ガンナーAと合体してアクセルガンナーになったアクセルの姿が見えた。

二人はアクセルと並走する。

「照井さん!何かあったんですか!?」

光輝が尋ねると、アクセルは答えた。

「俺に質問するな。と言いたいところだが、緊急事態だ。さっき所長から連絡があってな、井坂から襲撃を受けているらしい。」

「井坂から!?」

今度は一真が光輝に尋ねる。

「井坂って、この前俺が追い払った、あのドーパントのことか!?」

「そうだよ!」

「認めたくないが、井坂は強い。左だけでは勝てん!とにかく急ぐぞ!」

「はい!」

アクセルに言われ、光輝はクロスドライバーを、一真はブレイバックルを装着。

 

〈CROSS!〉

 

「変身」

「変身!」

 

〈CROSS!〉

〈TURN UP〉

 

クロスとブレイドに変身し、マシンのスピードを上げた。

 

 

 

 

 

Wはファングジョーカーに変身して、ウェザーと戦っていた。

ウェザーは強いためWは普段でも苦戦する。

が、今回はまた別問題だった。

どういうわけかフィリップサイドのメモリの力が強すぎて、そのためにバランスが悪くなり、思うように攻撃できない。

その対策のために、フィリップをベースに変身するファングジョーカーとなったのだが、状況は改善されない。

「不調ですねぇ。診察しましょうか?」

ウェザーにこんなことを言われてしまう始末である。

『こうなったらマキシマムだ!』

「危険だ翔太郎!今のWは左右のバランスが悪すぎる!!」

『やられちまったら元も子もねぇだろ!!』

「…わかった…!」

フィリップは渋々了承し、Wはタクティカルホーンを三回叩く。

 

〈FANG・MAXIMUM DRIVE!〉

 

Wは飛び上がって必殺技を放つ。

「『ファングストライザー!!』」

だが、必殺技はウェザーに当たる前に暴発し、弾き飛ばされたWは変身を解除されてしまう。

側に倒れていた翔太郎は目を覚ます。

「だったらもう一度…!」

翔太郎はダブルドライバーに触れようとするが、その手はダブルドライバーに発生しているエネルギーに弾かれてしまった。

 

 

一方鳴海探偵事務所では、シュラウドがダーツの矢を、的のど真ん中に投擲していた。

「終わりよ、左翔太郎。お前には…」

言いながら新たな矢を手に持つシュラウド。

「Wは無理。」

シュラウドは翔太郎の椅子に向けて矢を投擲した。

 

 

翔太郎がフィリップを見ると、フィリップは苦しそうな顔で首を横に振る。

その瞬間に、翔太郎は悟った。

 

(Wに…なれねぇ…)

 

それを見ていたウェザーは大笑いする。

「ははははっ!!笑わせてくれたお礼です。派手に消してあげましょう!!」

ウェザーは手から電撃を放った。

 

しかしその攻撃は、間一髪で間に合ったアクセルによって防がれた。

そのまま突撃するアクセル。

だがウェザーの電撃によって、ガンナーAとの合体を解除されてしまう。

そこへ、遅れてクロスとブレイドがやって来る。

「翔太郎さん、フィリップさん!大丈夫ですか!?」

「ここからは俺達に任せて!」

ブレイドはすぐにブレイラウザーから三枚のカード、キックローカスト、サンダーディアー、マッハジャガーのカードを取り出し、ブレイラウザーのスラッシュリーダーにラウズしていく。

 

〈KICK.THUNDER.MACH〉

 

「うおーっ!!」

ブレイドに三枚のカードの力が宿り、ブレイドはブレイラウザーを地面に突き立てる。

 

〈LIGHTNING SONIC〉

 

「ラァァァァァイ!!!」

ブレイドは高速で助走をつけてからライトニングブラストを放つ技、ライトニングソニックを放った。

ウェザーはこれを電撃で迎撃するが、ブレイドの蹴りはそれをぶち破る。

しかし、ウェザーはブレイドをはたき落としてしまった。

「くっ…!」

「一真、大丈夫!?」

「ああ!まだこれからだ!!」

 

〈FUSION JACK〉

 

ブレイドはすかさずジャックフォームに強化変身し、クロス、アクセルとともにウェザーに挑む。

「三対一ですか。しかも今までにない組み合わせ…これはなかなか楽しめそうですねぇ!」

ウェザーは余裕を持って三人を迎え討つ。

 

 

一進一退の攻防を繰り広げるライダー達。

ウェザーはブレイラウザーの一撃を受け止めながら、ブレイドに尋ねる。

「どうしました?あのゴージャスな姿には変わらないんですか?」

「…」

「変身できないわけでもあるんですかねぇ?」

「…!」

ブレイドは挑発される。だが、

「これだけの人数がいるんだ!キングフォームは必要ない!!」

クロスの言葉により、我に返る。

「ほほう、あれはキングフォームというのですか…出し惜しみならやめた方がいい。あの姿、キングフォームにならない限り!」

「ぐあっ!!」

ウェザーはブレイドを殴り飛ばした。

「君は私に勝てない!」

 

その光景を見る翔太郎。

「やっぱもう一度Wに…行くぜフィリップ!」

翔太郎はフィリップに声をかけた。しかし、返ってきた答えは無情だった。

「もう、君には無理だ…。」

首を横に振りながら言うフィリップ。その言葉の前に、翔太郎は何も言えなくなってしまった。

 

フィリップは自分が持つサイクロンメモリとヒートメモリを見る。

そして、

「照井竜!白宮光輝!」

フィリップはアクセルにサイクロンメモリを、クロスにヒートメモリを投げ渡す。

アクセルとクロスは受け取ったメモリをエンジンブレード、レクイエムサーベルにそれぞれ装填し、必殺技を発動させる。

 

〈CYCLONE・MAXIMUM DRIVE!〉

〈HEAT・MAXIMUM DRIVE!〉

 

二人は風を纏った斬撃と炎を纏った斬撃を繰り出し、ウェザーを吹き飛ばした。

「なんてパワーだ…!」

「でも、これなら…!」

二人はメモリの力に振り回されながらもなんとか力を使いこなし、ウェザーにダメージを与えていく。

 

ついに、二人が渾身の力を込めて放った一撃がウェザーを大きく吹き飛ばす。その拍子に、ウェザーが持っていた木彫りの熊が谷底へと落ちていった。

「なんということを…!」

ウェザーは撤退した。

 

アクセル、クロス、ブレイドは変身を解除する。

「助かったぞフィリップ。このメモリはすごいな」

「ありがとうございました。」

照井と光輝はメモリをフィリップに返した。

その後、光輝と一真は事情を訊くことにした。

 

 

 

 

 

発端は鳴海探偵事務所に舞い込んできた一つの依頼。

十年前に起きた現金輸送車襲撃事件の関係で刑務所に入っていた尾藤勇という人物が、事務所に現れた。

一般には彼が事件の犯人とされていたが、真犯人は彼の友人、有馬丸男がビーストのガイアメモリで変身した、ビースト・ドーパントだった。

そして、事件の鍵を握るものが、先ほどウェザーが落とした、木彫りの熊だという。

翔太郎達はこの山奥にある別荘にそれを取りに来て、ウェザーから襲撃を受けたらしい。

今尾藤はウェザーの吹雪攻撃を受け、重度の凍傷を負ってしまっている。

とりあえず怪我人を病院に運ぶ必要があるので下山することにしたのだが、なぜか翔太郎はここに残ると言い、仕方なく一同は翔太郎を残して下山した。

 

 

 

 

 

その日の夜、光輝のクロスフォンにフィリップから電話がかかってきた。

「どうしたんですかフィリップさん?」

「白宮光輝、僕と組む気はあるかい?」

突然の提案に、光輝の思考が一瞬フリーズした。

「…えっ?」

「今の翔太郎は弱すぎる。君はヒートのパワーに耐えられたし、どうだろう?」

「…何で…」

「えっ?」

「何でそんなこと訊くんですか!!」

光輝は声を荒げた。

「翔太郎さんあってのフィリップさんでしょう!?何でそんなこと訊くんですか!?」

「…」

フィリップは事情を話すことにした。

 

 

 

 

 

フィリップの話はこうだった。

突然事務所にシュラウドが現れ、フィリップに言ったのだ。

「あなたはもうすぐ進化する。エクストリームメモリの力を使って」

エクストリームメモリというのは、鳥の形をしたガイアメモリらしい。光輝が学園に行っている間に、エクストリームメモリ絡みで一悶着あったそうだ。

さらにシュラウドは、フィリップに向けてこう言ったらしい。

「でもそこに到達できるパートナーは、左翔太郎ではない。」

 

 

「そんなことが…!」

光輝は驚いた。

「事実翔太郎では、もう僕のパワーについてこれない。だから僕のパワーについてこれた君ならと思って…」

「フィリップさん。僕はあなたのパートナーになるつもりはありません。あなたのパートナーは、翔太郎さんしかいませんから」

光輝はそれだけ言うと、電話を切った。

 

 

 

 

 

光輝は昨日あったことをダンテ達に話した。

「そうか、あの探偵もスランプか…」

「お前のスランプとは全く違うがな。」

バージルがツッコミを入れる。

「あー、しかしなんとかなんねぇかな?俺のスランプ。」

「だから、それスランプじゃないって。」

ツッコミを入れる一真。

「それよりダンテ、ちゃんと弁償してよ?私のドライバー。」

「わかってるよ。ったく…」

「ダンテ、私のドライバー、貸してあげましょうか?」

今度はトリッシュがドライバーを差し出した。

「いやいいよ。また同じように弁償しろ、なんて言われるかもしんねぇし。」

「大丈夫よ。」

「本当か?じゃあ…」

ダンテはドライバーを受け取った。

その時、

「メアリ!」

 

ドガァァァァァン!!!

 

再びジェスターが現れ、再びレディがミサイルをぶち込んで、ジェスターを吹き飛ばした。

これによりダンテは再び巻き込まれ、例のごとくダンテとドライバーはボロボロになった。

「……。」

「……。」

再び沈黙する一同。

沈黙を破ったのはトリッシュだ。

「…ダンテ、弁償。」

「え。」

トリッシュは自分の席に戻ってしまった。

「マジでドンマイだな、お前。」

「…女運は昔から悪いんだ。」

照山に言われたダンテは、頭から煙を出しながら言った。

光輝も一真も苦笑するしかなかった。

 

 

 

 

 

その後、帰宅した光輝と一真は、照井から連絡を受けた。

容疑者、有馬丸男を逮捕するために、現金輸送車襲撃事件のあったダムに向かうから、協力してほしいとのことだ。

 

 

 

ダムへと向かい、張り込むこと数十分後。

有馬が姿を現した。辺りを見回しており、まるで誰かを待っているかのようだ。

 

三人は有馬を確保すべく、歩き出した。

「犯人は現場に帰る…名言だな。」

先に言ったのは照井だ。

彼の手にビートルフォンが収まる。

照井は有馬に言い放った。

「さあ、メモリを渡せ。」

それを聞いた有馬は三人に言う。

「お前か、仮面ライダーの刑事ってのは。その二人は何だ、助手かなんかか?まあいい。それはできねぇ。俺が親分に叱られちまうからな」

言って有馬は近くにあった台の上を見る。

そこには有馬のかつての友人であり現在の妻、鈴子がいた。

「やるわよ、マル。」

鈴子はガイアメモリを取り出し、起動させる。

 

〈ZONE!〉

 

ゾーンメモリ。これこそが木彫りの熊の中に隠されていたものだったのだ。

「あいよ、ベル。」

 

有馬もガイアメモリを取り出し、起動させる。

 

〈BEAST!〉

 

二人は生体コネクタにそれぞれのメモリを挿し、鈴子はピラミッドのような形状をしたゾーン・ドーパントに、有馬は文字通り野獣の姿をしたビースト・ドーパントに変身した。

「お前もドーパントだったのか!」

「やるよ、一真!」

「ああ!」

〈ACCEL!〉

〈CROSS!〉

 

「変・身!」

「変身」

「変身!」

 

〈ACCEL!〉

〈CROSS!〉

〈TURN UP〉

 

三人もそれぞれ仮面ライダーに変身し、二体のドーパントに立ち向かう。

だがビーストはパワーに優れたドーパントなので、瞬く間に三人を下の河に叩き落としていく。ビーストは三人を追って河に飛び降りる。

「始めるわよ。」

「あいよ!」

ゾーンが言った瞬間、現在四人が立つ場所に、区切られたマスが出現した。

ゾーンがマスの番号を言うと、その番号のマスにビーストが出現し、三人に攻撃を加えていく。

これこそがゾーンの能力。対象を自分の指示したマスに、瞬時に移動させることができるのだ。

「馬鹿な…なんという速さだ…!」

「速さじゃないわ。言わば瞬間移動!」

「俺達コンビは無敵なんだよ!」

「…だったら…!」

 

〈REQUIEM! ALLEGRO〉

 

クロスはレクイエムサーベルにレクイエムメモリを装填し、高速移動を発動してビーストに挑む。

しかし、ゾーンの変幻自在なマス移動にかき回され、ビーストから攻撃を食らってしまう。

「くっ…追い付けない…!」

「瞬間移動に追い付けるわけねぇだろ?」

ビーストは嘲笑する。

「…なら、まず先に奴を潰す!」

 

〈FUSION JACK〉

 

ブレイドはジャックフォームに強化変身し、空を飛んでゾーンに迫る。

だが、

「無駄よ!」

ゾーンは目から光弾を出し、ブレイドを撃ち落とす。

さらに、そのままアクセルとクロスにも光弾攻撃を仕掛ける。

「「「うわああああああああ!!!」」」

ついに三人の変身が解除されてしまった。

 

万事休す。そう思われたその時、

 

 

 

翔太郎とフィリップが、亜樹子とともに現れた。

それを見たビーストは、二人を倒すべくダムへと上がる。

 

〈CYCLONE!〉

〈JOKER!〉

 

「「変身!」」

 

〈CYCLON/JOKER!〉

 

二人はWに変身した。

「『さあ、お前達の罪を数えろ!』」

Wとビーストは戦いを始める。

だが、やはり動きが悪い。

 

そんな戦いを、近くで見ている者がいた。シュラウドである。

「何をしているの来人。そいつでは何もできない」

 

 

『やはり、力を抑えるのは難しい!』

「遠慮すんなフィリップ!お前は全開でいけ!俺は全力でお前についていく!」

『翔太郎?』

「そうさ…お前が俺のことを相棒だと思ってくれる限り、俺は二度と折れねぇぞ!」

Wの動きが、少しずつよくなり始めている。

 

「…来る!」

光輝が言った次の瞬間、

 

 

クェッ!!

 

 

鳥の鳴き声のようなものが聞こえ、空からエクストリームメモリが現れた。

「な、何なに!?」

エクストリームメモリは困惑する亜樹子の前で、フィリップをデータ化して回収する。

さらに、エクストリームメモリはダブルドライバーから天空に伸びた二本の光を伝って降りて来る。

 

「まさか…あの光は……!」

驚くシュラウドの目の前で、Wに変化が起こる。

 

(何だ、この沸き上がるような力は…まるで、地球と一体化したような…)

(それだけじゃねぇ。俺達の心と身体も…)

 

「「一つになる!!」

 

〈XTREAM!〉

 

エクストリームメモリが開き、さらにWの中心線が開いて、クリスタルサーバが出現する。

同時に触角がXになり、手足にXを模したブレスレットが現れる。

Wサイクロンジョーカーエクストリーム、誕生の瞬間だった。

 

 

 

 

 

同時刻、園咲家の地下。

琉兵衛に呼び出された若菜は、地下にある装置から凄まじい勢いで緑色の光が溢れてくるのを目撃していた。

「なにこの光!?すごく綺麗…お父様!これが私に見せたかったものですの!?」

「はっはっは!!そうだ。この時を待っていたのだ!!」

琉兵衛は笑って答え、両手を広げて叫ぶ。

 

「エックストリィィィィィィム!!!」

 

 

 

 

 

「あの二人が、地球を手にした…今やWは、地球という巨大なデータベースと直結している!!」

 

シュラウドはひたすら驚いていた。

 

 

「このW、及び敵の全てを閲覧した。」

「「プリズムビッカー!」」

Wがそう言うと、クリスタルサーバから剣と盾が合体したような武器、プリズムビッカーが出現し、Wの手に収まる。

「片付けるわよ。」

しかしゾーンはそんなWの変化に臆することなく、ビーストを瞬間移動させてWを攪乱する。

 

〈PRISM!〉

 

Wはプリズムビッカーにプリズムメモリを装填し、ビッカーシールドからプリズムソードを引き抜き、ビッカーシールドでビーストの攻撃を防ぎつつ、プリズムソードで反撃する。

そして、

 

〈PRISM・MAXIMUN DRIVE!〉

 

必殺技、プリズムブレイクを食らわせ、ビーストを河に突き落とす。Wもそれを追って飛び降りた。

「こんな傷…」

ビーストはアクセルのダイナミックエースを受けても瞬時に回復するほどの再生能力を有している。だが…

「き、傷が、回復しねぇ!!」

ビーストの再生能力が発動しない。

これこそ、エクストリームを得たWの真骨頂。相手のメモリの力を検索し、その能力を無効化することができるのだ。

「マルゥゥゥッ!!こんのおぉぉ!!」

激昂するゾーンは光弾でWを攻撃する。

Wはそれをビッカーシールドで防ぎながら、ビッカーシールドにある四つのマキシマムスロットへ、メモリを装填していく。

 

〈CYCLON・MAXIMUM DRIVE!〉

〈HEAT・MAXIMUM DRIVE!〉

〈LUNA・MAXIMUM DRIVE!〉

〈JOKER・MAXIMUM DRIVE!〉

 

Wはプリズムソードをビッカーシールドに収め、プリズムビッカーから光線を放つ必殺技、ビッカーファイナリュージョンを繰り出し、マスを破壊。そのままゾーンをメモリブレイクした。

「ベルゥゥゥッ!!てめえらぁぁぁ!!」

怒りのビーストはWへと襲いかかる。

だが、

 

〈CYCLONE/HEAT/LUNA/JOKER・MAXIMUM DRIVE!〉

 

Wは慌てることなくメモリを再起動させ、四つのメモリの力をプリズムソードに収束して相手を斬る必殺技、ビッカーチャージブレイクでビーストを返り討ちにし、メモリブレイクした。

 

「やった!」

「おお…!」

「すごい!」

「勝った!」

Wの勝利にそれぞれ歓声をあげる亜樹子、照井、光輝、一真。

 

「俺、お前についていけたんだな…」

「ああ、これが、君と僕が完全に一体化した姿。サイクロンジョーカーエクストリーム…!」

二人は変身を解除し、有馬と鈴子は照井によって逮捕された。

 

 

 

 

 

「まさかエクストリームにまで到達するなんて…どこまで私の予測を超えるつもりなの?左翔太郎…!!」

忌々しげに呟くシュラウド。

その時、

「ハッハッハッハ☆」

背後から聞き覚えのある笑い声が聞こえ、シュラウドは振り返った。

そこにいたのは、ドナルドだった。

「ドナルドは信じていたよ。あの二人なら、必ずエクストリームに到達してくれるって。」

「…」

シュラウドは黙った。

「シュラウドさんは翔太郎さんの何がそんなに気にいらないのかわからないけど、結果的にはいい方向に転んだんじゃない?エクストリームへの覚醒は光輝君の覚醒に何らかの影響を与えるはずだからね。」

「…」

シュラウドはまだ黙っている。

「楽しみだなぁ〜♪光輝君は自分が『全知全能の神と同等の存在』だって知った時、どんな顔をするんだろう?」

「…そうね。」

シュラウドはそこでようやく口を開いた。

「早く目覚めなさい、白宮光輝。」

そして、シュラウドは呟く。

 

「…無限の使徒よ…」

 

 

 

 

 

 

「いやーよかったなぁ、二人がWに戻れて。」

「そうだね。これでようやく、スランプを脱したってところかな?」

家で談笑する一真と光輝。

「ところで光輝。あの時、エクストリームメモリだっけ?どうしてあれが来るのがわかったんだ?」

光輝は、エクストリームメモリが来ることを事前に察知していた。

そのことに関する光輝の答えは…

「なんとなく、かな?」

だった。

「何だよそれ。」

「いや、本当になんとなくなんだ。自分でもよくわからない」

「ふーん…」

「そんなことよりさ、今日は一真が料理作ってよ。僕、一真が作った料理、食べたいな…」

「いいよ。待ってて!」

二人は夕食についた。

 

 

 

 

 

 

************************************************

次回、

仮面ライダークロス!!

 

?「昨日は利用するためにある。」

アーカム「嵐が来そうだ。」

翔太郎「このままじゃ、霧彦に会わせる顔がねぇ!」

クロス「僕には…何もできないのか…」

 

第十一話

Yの悲劇/昨日と明日

 

これが裁きだ!!

説明
始めに注意があります。
次回予告の通りの台詞が出てこない場合があります。
あと、この作品は基本的にW本編に沿って進んでいきますが、うろ覚えです。
以上の点を踏まえたうえで、これからのお話を読んで下さい。

ちなみに今回のパワーアップはWだけです。クロスのパワーアップはまだ先になります。楽しみにして下さっていた方はすいません!もう少しお待ち下さい。
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