魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)−−11 刹那の帰還−− |
本内容は、A's〜A's-GOD-編の完結にあたります。
某サイトにおいては、比較的早い段階で投稿されたため、若干手直しをしましたが、かなり無理な内容になっていると思います。
−−刹那の帰還−−
【砕け得ぬ闇事件】。
地球とは異なる世界【エルトリア】。
その世界のギアーズ。フローリアン姉妹と彼女達の時間移動に巻き込まれ、未来から転移してしまった者達の協力もあって無事に事件は終わった。
疲れた体を癒すために、今はアースラの休憩室で皆休んでいる。
フローリアン姉妹と未来から転移してきた者達はこの後、今回の事件で出会った者達との記憶を封鎖してから未来へと帰る。
砕け得ぬ闇、無限連環機構、システムU−D、闇の書の真の闇。
数多くの呼び名があり、闇の書が恐るべきロストロギアへと変わってしまった元凶。
だが、その者の姿はなのは達よりやや年下の少女。
少女の名は、ユーリという。
はやてを元にしたマテリアル。((闇統べる王|ロード・ディアーチェ))の制御で、暴走の心配はないそうだ。
今後は、地球を離れマテリアルの三人。フローリアン姉妹と共に、エルトリアへ行くそうだ。
元々、フローリアン姉妹の妹、キリエ・フローリアンは、システムU−Dの核【エグザミア】をエルトリアへ持ち帰るために、時間移動を行った。
滅びゆく自分達の世界を救うために。
ユーリは、自分の((能力|ちから))が役に立てるだろうと。
そんなユーリの望みを受け入れ、マテリアル達もユーリについて行く。
レヴィは地球に残っても退屈だし、と言っていた。
はやての言葉にディアーチェが喧嘩を売っている。
それを咎めるシュテル。
そんなやり取りを見ていた。
「刹那・F・セイエイ……でしたね」
と、ユーリが話しかけてきた。
「ユーリか」
「はい」
「何か用か?」
「ありがとうございます」
「いきなり何だ?」
「私を止めてくれました」
「俺は大したことはしていない。礼なら他の連中に言ってやれ」
「それはもう言いました。貴方にはまだ言ってなかったから」
「……」
U−Dを止めるべく、最後の戦いを挑んだなのは達。そして唯一、U−Dを制御できるディアーテェ。
エクシアの状態が万全ではないため、刹那は後衛へまわっていた。
対U−D用の特別なプログラムを持ったなのは達がU−Dに挑むものの、決定的なダメージを与えることが出来ず次第に押され始める。
U−Dの動きを止めることが出来なければ、ディアーチェもU−Dを制御できない。
何より、ディアーチェに力を託したシュテルとレヴィの行為が無駄になる。
なのは達の息が上がっている。
体力も魔力も限界に近いことが離れていても分かる。
未来から来たという少女と少年は実戦経験が少ないのか、すでにU−Dの攻撃範囲外で待機して、体力回復に努めている。
このままでは……。
意を決して、なのは達の元へ向かう。
「刹那!?」
「駄目よ刹那君!」
ザフィーラとシャマルが止めようと声をあげるが構うことなく飛び続ける。
「はあはあ……」
「強い。でも……」
「うぬらしっかりせんか!」
ディアーチェが、U−Dを止められないなのは達の不甲斐無さに苛立っているようだが、内心は自分の不甲斐無さに怒っているのだろう。
口が悪く態度も尊大だが、シュテルやレヴィと同じマテリアルであり、はやてが元なのだ。
根はいいヤツなのだ。
「なのは、フェイト」
「刹那君!?」
「どうしてここに!?」
「何をしにきた!貴様の様な雑魚が来たところで、U−Dを止めることなど……」
「分かっている。だが、U−Dもだいぶ消耗しているようだ。動きが鈍くなってきている。もう少しで何とか出来るだろう」
「だったら私達に任せて刹那君は下がってて、ね」
息を切らせながらも笑顔を見せるなのは。
「そうだよ。私達なら、まだやれる」
フェイトも言う。
だが……。
「U−Dもそうだが、お前達の消耗はそれ以上だ。ここは、疲弊していない者が行くのがベストだ」
「刹那君、もしかして……」
はやてが何かを察したようだが、構わずにディアーテェの方を見る。
「ディアーチェ」
「なんだ」
「俺が動きを止める。チャンスは一度だ。行けるか?」
「愚問だ。我を誰だと思っている!貴様の方こそ……」
「エクシア」
《セットアップ。非殺傷設定を適用します》
ガンダムエクシアに似た鎧を纏う。
武器は右腕のGNソードのみ。鎧にはひびが入っている。
圧倒的に不利。
だが!
「ガンダムエクシア、刹那・F・セイエイ。U−Dを止める!」
「「刹那(君)!!」」
なのはとフェイトの声を背に受けて、U−Dへ一直線に向かう。
敵対者を視界に捉えたU−Dが、魔力のリングを無数に放ってくる。
それを上下左右に避けながら、徐々に距離を詰める。
数が多くても所詮は直線的な攻撃。
【ファング】の様に自在に狙ってくるものではない。
それに、消耗しているのは確かなようだ。
攻撃にスピードがない。
リングの嵐を抜けると、魔力の刃が左右から迫ってくる。
「読めている!」
上昇して刃を回避し、そこから加速して一気に距離を詰める。
クロスレンジ。
GNソードの間合いまでもう少し。
次の瞬間、U−Dの翼の様な部分が巨大な拳を形成し、殴りかかってくる。
「トランザム!」
《TRANS−AM始動》
刹那の体が赤く輝き、U−Dの視界から消える。
「!?」
当たると思っていた攻撃を回避され、目を見開くU−D。
周囲見渡すと、赤い光の残影があちこちに見える。
フェイトやレヴィの【ソニック】と同等か、それ以上の速さでU−Dの周りを縦横無尽に飛翔する。
「破壊する」
「?」
「お前の歪みを」
「うああああぁぁぁぁ!!!!!」
刹那を捉えられないU−Dが周囲にデタラメな攻撃をするが、冷静に回避しGNソードの銃口をU−Dに向ける。
「俺達が破壊する!」
【TRANS−AM】によって出力が上昇した閃光が銃口から放たれU−Dに直撃する。
「ううう・・・ああああぁぁぁぁ!!!!」
苦悶の表情を浮かべ、叫び声を上げるU−D。
「ディアーチェ!」
あの後、ディアーチェは制御に成功し、U−Dはユーリと呼ばれるようになった。
「あれは、なのは達が先に戦ったおかげで、お前が消耗していたからだ。攻撃パターンもあらかた読めていたしな。初めから戦っていたら、俺は確実にやられていた」
「それでも、私を止めてくれた方々の一人であることには変わりません」
「わかった。だから、もういいだろう」
「はい」
「現在組みの方々はこちらに。未来組の方々はあちらに」
フローリアン姉妹の姉、アミティエ・フローリアンが皆に呼びかける。
時間を超越し、本来この時代に存在しないはずの者達が出会ってしまった。
今回の事件により、現代の者達の行動が今後の未来に影響を与えないように。
タイムパラドクスを生まないために記憶を封鎖する。
ただ、事件そのものまでは消さず、人物の名前や自分との関わりについてのみ。
記憶の封鎖について、最初に抵抗を示したのはなのは。
折角仲良くなった者達に関することを思い出せなくなること。
特に、未来から来た金髪の少女。
将来自分の娘となる少女のことを思い出せなくなるのが嫌だったようだ。
だが、今回のことで親子ではなくなってしまうかもしれないと言われ、
「「それはイヤです!」」
と、なのはも少女も声をあげた。
「さて、それでは現代組の皆さんの記憶を封鎖しますね」
「はい」
「お願いします」
なのはとフェイトが頷く。
「ですが、その前に。刹那・F・セイエイさん。あなたの決意は変わりませんか?」
「ああ」
『?」
刹那とアミティエ以外が不思議そうに二人を見る。
「刹那?」
「話をしていないのですか?」
「ああ。戦いの前に、動揺させるわけにはいかなかったからな」
「ど、どういう事?刹那君」
「刹那さんは記憶を封鎖したのち……私達と一緒にこの世界を去ります」
「……え」
キリエの言葉にフェイトが驚いた顔をする。
「俺がこの世界へ来たのは、キリエ・フローリアンの時間移動が関係しているそうだ。ただ、何故今ではなく一年も早く来てしまったのかは分からないがな」
「私達にも原因は分かりません。それに、私達と時間移動をしてもちゃんと元の世界へ戻れる保証はありません。下手をするとまた違う世界へ行ってしまうかも……」
「だが、可能性があるなら……」
「そんな事聞きたいわけじゃ!」
「フェイト?」
普段からは考えられないほどの大声。
目尻に涙を溜めて、真っ直ぐ見据えてくる。
「刹那君……元の世界に……帰っちゃうの?」
なのはも涙を溜めている。
「俺は元の世界へ帰らなければならない」
「どうして!」
「俺は……俺達は世界を変えてしまった。その世界がどうなったのか、どうなっていくのか。それを見届けなくてはならない」
「世界を」
「変えた?」
「俺は……俺の在るべき場所へ帰る」
「ここは……ここには、刹那の居場所はない。刹那の帰る場所はないって、そう言うの?」
「……」
「刹那!」
「……そうだ」
「っ!」
「刹那君!」
なのはが詰め寄る。
「どう思おうと構わない。だが、俺は……」
そこまで言いかけて、フェイトが抱きついてきた。
「フェイト」
「……」
泣いている。
声を押し殺して。
なのはを見ると、なのはも涙を流していた。
関わり過ぎた。
元の世界へ帰る時に、躊躇しないようにと決めていたが……。
二人は泣いている。
だが、それでも帰らなければならない。
それに……。
「……本当なら」
「?」
頬を涙で濡らしたフェイトが顔をあげた。
「話すつもりはなかったが、俺が帰る理由はもう一つある」
「え?」
「この世界の……いや。この場にいる者達は、俺が目指すべき姿」
「私達が」
「刹那君の目指す姿?」
そうだ。
この場にいる者達。
プログラムである守護騎士やマテリアル達。
狼であったアルフ。
機械の体を持つフローリアン姉妹。
そして……。
なのはとフェイトを見る。
何度も戦ったが、戦いと言葉で親友となった二人。
時代、世界、種族、出自。
あらゆる垣根を越えて、手を取り合う姿は、俺の……。
俺達【ソレスタルビーイング】が目指す姿そのものだ。
「お前達の歩く道は、この先も戦いの連続だろう。だが、お前達ならば……」
「お姉ちゃん。こっちは、終わったよ」
キリエ・フローリアンが来た。
時間のようだ。
抱きついているフェイトを離す。
「アミティエ・フローリアン。記憶の封鎖をしてくれ」
「……分かりました」
「待ってください!」
「刹那の事は!」
今回のことだけでなく、刹那のことも記憶から消えてしまうかもしれないことに、なのはとフェイトが強い抵抗を示す。
「安心してください」
「え?」
穏やかな声で、フローリアン姉妹が言う。
「記憶の封鎖は、今回の事件で関わった未来組の人達のことだけです」
「刹那さんは、貴女達と一年近く関わっているわ。刹那さんのことについて記憶を封鎖してしまうのは、逆に危険よ」
「それじゃあ」
「記憶はお互い残りますよ」
「……良かった」
なのはとフェイトが安堵する。
記憶の封鎖が終わり、別れの時が来た。
フローリアン姉妹、マテリアル達、未来組。
それぞれ、別れの挨拶を言葉にする。
そして……。
「世話になった。フェイト、なのは」
「刹那君」
目を真っ赤にしているなのは。
「……元気でな刹那」
「アルフもな」
少し寂しそうな顔をするアルフ。
「刹那さん、お元気で」
「刹那、元気でな」
「ユーノとクロノもな」
二人と言葉を交わす。
「刹那君。短い間やったけど、良くしてくれてありがとーな」
「ああ」
はやてが車椅子に座った状態で、見上げてくる。
「刹那。私が主と共に今在るのはお前のおかげだ。ありがとう。世話になった」
「セイエイ。手合わせが出来なかったのは心残りだが……達者でな」
「お前のことだから心配はいらねぇと思うけど、元気でな」
「あまり、無茶なことはしないようにね」
リインフォース、シグナム、ヴィータ、シャマルがそれぞれ声を掛けてくる。
「……」
人間の姿になったザフィーラが無言で右手を出す。
その意味を理解し無言で握り返す。
「もう……会えないの?」
フェイトが見上げながら聞いてくる。
最後の希望に縋るように。
フェイトの望む答えは想像できるが……。
「……おそらく、な」
「刹那、私は……」
「お前は一人ではない。お前を支えてくれる者が数多くいる……なのは、はやて」
「なに?」
「フェイトの事、これからも支えてやってくれ」
「もちろんだよ!」
「お任せや」
「それではな……」
背を向け、フローリアン姉妹の元へ歩き出す。
「刹那!」
フェイトの声に一度歩みを止め、最後の言葉を紡ぐ。
「……俺は【ソレスタルビーイング】の【ガンダムマイスター】。戦争根絶を目指す者」
「ソレスタルビーイング?」
「ガンダムマイスター……」
歩みを再開する。
「必ず、この世界のように……お前達のように変えてみせる」
「刹那!」
「刹那君!」
「さらばだ」
光に包まれ、なのはとフェイトが目を閉じる。
浮遊しているような感覚から体に重力を感じる。
目を開くと、そこは廃墟の中だった。
夕暮れの赤に染まる廃墟に一人佇む。
「……クルジス」
国が滅び、住む人がいなくても。
そこは、刹那にとって忘れることのない場所。
「……帰ってきたんだな」
ふと、背後に何かを感じ振り向く。
青と白を基調としたMSが鎮座していた。
「エクシア」
ガンダムエクシア。
幾多の戦いを潜り抜け、国連軍との戦いで破損してしまった、刹那の愛機。
「エクシア……」
もう一度、語りかける。
当たり前だが、返事はない。
自分は何を期待していたのだろうかと、思わず口元が綻ぶ。
エクシアに近づき、機体に触れる。
機械の冷たい感触が伝わる。
「……」
漆黒のMS。フラッグと刺し違えた際に、コックピットの右側が破損していた。
コックピットハッチを開け、シートに座る。
懐かしい感触だった。
コンソールパネルを叩いて機体状況を確認する。
太陽炉に不具合は見つからない。
普通に動かす程度なら問題はなさそうだ。
光学迷彩を起動させ、一度エクシアから降りる。
近くの街まで行き、情報収集を始める。
自分が本当に戻ってきたのかを確認するためにも。
世界がどう変わったのかを確認するためにも。
確認できたことは、自分が向こうへ行っていた時間とほぼ同じだけの時間が経過していたこと。
世界情勢については、あまり有力な情報は得られなかったが、各地で紛争が起きていること。
未だ世界は歪んだままだ。
再びエクシアのコックピットに座りパネルを叩く。
ピピッと電子音と共にデータが表示される。
「ん?……画像ファイル?」
こんなものはなかったはずだが。
不思議に思いつつも画像ファイルを開く。
「!」
画像を見て驚愕した。
それは……。
【闇の書事件】が終わった時に、皆で一緒に写真を撮った時のもの。
あとで、なのはからエクシアに送られたものだ。
車椅子に座る少女はやてを中心に、なのはやフェイト、守護騎士達といった事件に関わった主な者達が写っている。
「……」
暫く画像を見ていたあと、画像を閉じる。
パネル叩いて画像ファイルにロックをかけ、シートに背を預けて目を閉じる。
あの出来事は、夢ではない。
この記憶も。
この胸にある思いも。
ならば、するべき事は分かっている。
「俺は世界を変える。それが……」
ガンダムマイスターは再び世界と対峙する。
それは、世界の変革だけではなく、己の変革へと繋がる。
To be continued
”魔法少女リリカルなのはStrikerSOO?”
説明 | ||
魔法少女の世界へ飛ばされた、ガンダムマイスター刹那・F・セイエイと魔法少女達のとある一日。魔法少女リリカルなのはA'sと機動戦士ガンダム00のクロスオーバー作品……などという大それたものではなく、物書き未経験の素人による処女作で駄文です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。コメント欄にはご自由にお書きください。注)本小説は、某サイトにて投稿していたものを移したものです。 | ||
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