ニュータイプとイノベイターが幻想入り 暴走と邂逅
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「それにしても、広い竹林だな」

 

 『スキマ』からでて小一時間。ずっと歩いているのだが景色が一向に変わらない。いきなり竹林に出されるとは思ってなかったな……。まだ明るいからいいが夜は不気味な雰囲気をだしそうだ。早く……ん?

 

 音が聞こえる……結構近いぞ。足早に音の場所に歩くと、長髪の少女がいた。

 

「何してるんだ?」

 

 声をかけるとその白銀の長髪を靡かせてこちらを向く。深紅の瞳、白地に赤の入った大きなリボンが一つ。毛先にはその模様の小さなリボンを複数付けている。白のカッターシャツに赤いもんぺのようなズボンをサスペンダーで吊っていて、護符が数か所付けている。

 

 少女は敵意を向きだしてるが、あまり戦いたくない。こちらを睨めつけながら彼女は喋る。

 

「……あんた、外来人か。こんなとこで何してんの?」

「八雲紫って人に『スキマ』で幻想郷の何処かに出してもらったんだが、たまたまこの竹林に出て迷っていたんだ」

「なるほどね……そりゃ災難だ。ん?」

 

 彼女はいきなり立ち上がり、僕をまじまじと見る。

 

「あんた……なんか見覚えが……そうか!射命丸の新聞の載ってた外来人か!」

「新聞?」

「そうだよ。八雲紫が射命丸が頼んであんたの事を新聞で通じて、幻想郷内に呼びかけているらしいんだ。それに白玉楼が襲われた時にそれを解決したのがあんたってのも書いてあったな」

 

 そこまで言うと彼女は手を差し伸べた。

 

「私は藤原妹紅て言うんだ。えーと……あんたの名前は……」

「アムロ・レイだ。よろしく、妹紅さん」

「妹紅で良いって!さん付けはあまり好きじゃないんだ。ってことでよろしくっ!アムロ!」

 

 僕達は握手を交わした。妹紅の手は暖かく、陽だまりのようだった。

 

 

「いやー助かったよ。一人じゃ持ち帰れないくらい採ったからさ」

「お礼を言うのはこっちさ。竹林でさ迷っていたら、たまたま妹紅に出会って里にも連れて行ってくれるんだからさ。あのまま迷っていたらどうなっていたか……」

 

 妹紅はあそこ周辺でタケノコを採っていたらしい。手伝ったのいいが妹紅が張り切りすぎてかなりの量のタケノコを採ってしまったのだ。今、俺と妹紅が背負っている50pほどの籠からはタケノコが溢れ出している。けっこうな重さだ。

 

「あんたも大変だなぁ。そろそろここから抜けれるはずなんだけど……見えたぜ! あそこが私の住んでる村だ。」

 

 高台になってるここからだからこそ分かるんだが、規模はそんなに広くないものの古風な感じのする村だ。

「人口はあまり多くないけどそれなりには賑やかなんだぜ」

「なるほど。でも子供達の姿が見えないが……」

「あぁ、みんな寺子屋に行ってるんだよ。まだ6〜9歳くらいの子がほとんどだけどな。元気いっぱいな子ばかりだよ」

「そうだったのか。もしかしてこのタケノコはは子供達の為に?」

「そうだよ。時々こうやって昼飯のおかずにするんだ。ここのタケノコは美味いんだよ。」

 

 そういうと妹紅は足早に歩く。

 

「ちょっと急ごうぜ? あいつらを待たしたくないからさ」

 

 妹紅は嬉しそうに言う。俺もその妹紅に後に続く。

 

 

「いや〜、また助かったよ。料理を手伝ってもらってさ」

「俺はあまり料理とかしないから大したことできなかったけど……」

「それでも、だよ。少しでも手伝ってもらうのは嬉しいからさ」

 

 僕達は料理を終え、子供達に配り終えて別の部屋で休んでいた。

 

「それにしても元気ありすぎぐらいだな。ここの子供達は」

 

 教室に入ったと同時に、初対面だからか全員僕の方を向いて止まる。妹紅の紹介で全員の顔の強張りが消え、笑顔になり一斉に近寄ってきた。みんな人懐っこい子たちで一緒に居て楽しかった。

 

「そうだろ? ……でも本当はみんな孤児だったんだよ」

 

 妹紅の目がいきなり真剣になり俺は魅入ってしまう。

 

「ここの村は戦争の跡地なんだ。その時の子供達は死んでいた。身体とかじゃなくて心が。友達、両親とか……人が死んでいくのを間近で見たんだ。だから、その子達がちゃんと住めるところを作ろうって事で私たちで作ったんだ。始めは2人だけだったけどそれに賛同してくれた大人たちも手伝ってくれてこの村がある。でもそんなことで子供達の心が少しでも良くなるわけじゃない。そこで」

「この寺子屋を作ったんだ」

 

 振り向くとそこには、――青いメッシュのかかった銀のロングヘアに、胸元が開き上下が一体になり赤いリボンの付いてる服。袖は短く白の生地でスカートの下部分は幾重にも重なった白のレースが付いている――上白沢慧音がいた。慧音はゆっくりと口を開いた。

 

「まだあの年だからな。子供達にはいろんな事を学んで欲しかったのもあるが、それを通じて取り戻して欲しかったんだよ。始めは私が何を言っても喋ってくれなかったさ。でも少しずつだが喋れるようになっていった。今となっては見違えるほど元気になったがな」

「そうだったのか……だったらあの子達には異変に巻き込まないようにしないと」

 

 この2人の心は暖かく感じる。子供達を護りたいという意思が。

 

「そうだな。そういえばアムロ。あの異変はどんな状況で起こるんだ?」

「それが分からないんだ。白玉楼の時みたいなプレッシャーも感じないし、今は大丈夫だ」

「それってかなり厄介じゃん。しかも大群で来るんだろ?」

「あぁ、次も大群とは限らないがその確率はある。対処できるように仲間が必要なんだが……」

「それなら快く引き受けるぞ。お前なら信用できる」

「私だって大丈夫だぜ! 幻想卿を好きにはさせないし、子供達も護りたいしな」

「ありがとう。助かるよ」

 

 気にするな、とはにかみながら慧音が言う。

 

「さて今日も遅いし、家に帰ろうか。アムロも是非来てくれ。歓迎するよ」

 

 その言葉で俺と妹紅は立ち上がり、寺子屋を後にした。慧音、妹紅宅に行く際に空を見上げると、薄らと満月が出ていた。

 

 

「ん……」

 

 いきなり目が覚めた。どうやら少し強い風にあたったようだ。隣には慧音、妹紅が寝ているはずなのだが……。

 

「居ない……一体、どこにいってしまったのだろうか?」

 

 俺は着流しから連邦の服に着替え、外に出た。

 深夜だが満月の光で視界は思ったより明るく、遠くまで見える。

 歩いていると、凄まじいプレッシャーを感じた。

 

「……! この感じは慧音と妹紅? でも慧音のこのプレッシャーは何だ!? あの優しい感じではなく、狂気で溢れている……」

 

 プレッシャーの方へ走る。早くしないと大変なことになる、そんな感じがして落ち着いてなどいられなかった。

 

 

走っている内に草原に出た。長く育った草が舞いそれを満月が照らしている。

 

 2人はこの近くだが……。

 

 ――バシュン!

 

 何かが炸裂する音が聞こえた。

 

 その方向へ行くと、妹紅、そして――角が生え少し緑のかかった銀のロングに緑の上下一体のあの服――慧音らしき人物が襲っていた。

 

「妹紅!」

 

 その声に気付いたのか妹紅と慧音がこちらを向く。妹紅はかなり疲れきっている状態で早く助けに行かないといけないのだが、さっきの声で慧音が妹紅を無視して俺にダッシュで向かってくる。

 

「アムロ……逃げろ!」

 

 そんな声を無視して俺はサイコフレームをかざし――光に包まれ、やがて凝縮し――νガンダムの武装を装備する。すぐさまフィンファンネルを射出した。

 

 危険を感じたのか、慧音の動きが止まる。それと同時に慧音を中心に5基のフィンファンネルでバリアを作り閉じ込めた。慧音はすぐさま壊そうとするが、バリアに触れる度に自分の攻撃が返ってくる。これなら少しは大丈夫そうだ。妹紅を助けないと!

 

「大丈夫か妹紅?」

「大丈夫だよ。ちょっと攻撃を受けたけどこのぐらいだったら」

 

 確かに大きな外傷はなさそうだし大丈夫そうだ。でも本当にあれが慧音なのか?バリアの中で暴れている慧音を見ながら尋ねた。

 

「妹紅、あれは本当に慧音なのか?」

「……そうだよ。慧音は半分人間、半分は妖怪の血が流れてる。満月の日だけ、あの姿になるんだ」

「毎回あの姿になっては暴れるのか?」

「いや、そんなことない……暴れたりはしない。あの姿になったら流れてる妖怪の血を制御するから暴れたりなんてしないのに」

「なるほど。なんとかして慧音を止めよう。なにか方法は?」

「たぶん……慧音の体力を削って気絶させればいいんだけど、いつものあの慧音と比べたら身体能力がかなり上がってる」

「そうか……やってみるしかないな。難しいかもしれないが仕方ない」

 

 音にきずいて振り向くと慧音がバリアを壊して、ハァハァ、と息を切らしながら立っていた。

 

「妹紅、離れてろ。慧音は俺が止める」

「っ! 私もやるさ、慧音を止める!」

 

 妹紅のこの思いなら大丈夫そうだな、よし!

 

「いくぞ!」

 

 その声を期に張りつめた空気が漂う。慧音は今か今かと待っている様子だが、どことなく泣いているようにも見えた。

 

 

「うおおおおおおぉぉぉ!」

「ははっ!」

 

 叫びながら向かう妹紅に欺けるように笑う慧音。あの優しかった慧音とは別人だ。弾幕を使わず接近戦に持ち込もうとする妹紅だが、慧音の弾幕を避けながら接近するのは難があった。しかし、慧音を極力傷つけないようにするには仕方がない。

 

「慧音……私が分からないのか!?」

 

 いくらそう言っても反応しない慧音。妹紅は迷いでいっぱいだった。大切な人を止めると言っても傷つけるのを。

 

「妹紅! 下がれ!」

 

 その声に妹紅が気付いた時は遅く、慧音の頭の角が妹紅の腹を貫く。

 

「っ! け……いね……」

「妹紅っ! うおおおぉぉ!」

 

 激昂した俺は妹に駆け寄り、ビームライフルを連射した。慧音はそれを軽々と避け、後ろに飛び退ける。

 

 妹紅の傷はかなり深いもので、危険な状態だ。

 

「あぁ……アム……ロ。慧音を……必ず……」

 

 最後は声を出せてなく、妹紅は目を閉じた。出血がひどい為に気絶したようだ。

 

 俺は妹紅をそこに寝かせ、慧音へ向く。角に付いた血を舐め、不敵な笑みを浮かべる。

 

――すまない妹紅……慧音は必ず!

 

「慧音、もう容赦はしない。いけ!フィンファンネル!」

 

 俺は全てのフィンファンネルを射出し、慧音にビームを出すが弾幕でかき消されてしまった。すると慧音が接近し、俺も接近する。互いに両手を組合い、押し合いになる。

 

 ――っ!なんだ?この感じは……慧音の意志が流れてくる!人間である慧音の思いが……。

 

『アムロ……私は妹紅を傷つけた。大切な人を傷つけた……精神も奪われるのも時間の問題だ。そうなる前に……私を殺してくれ! 早く!』

「ふざけるな! 妹紅がどんな思いだったかわかるのか? 貴方を助けたい一心で、どんなに心を痛めながら戦っていたか!」

『だから! 誰も傷つけない為に……』

「人を思う心が力になり、それが心の光を照らすんだ!」

 

 次の瞬間、あの光――サイコフレームの光――が周りを照らし、慧音を包み込む。

 

「う……うあああああぁああぁあ!」

 

 慧音の姿が戻っていく。プレッシャーもあの狂気ではなく、優しい、人を包み込む優しい心に。

「慧音、大丈夫か?」

 

 慧音の傍に近付くが何か様子がおかしい。

 

「暖かい……あの光に包まれている時、いろんな人の暖かみを感じた」

「慧音……それは人の心の光だよ」

「心の光?」

「あぁ。でもその心を持った人でさえ、他人を傷つける。しかし、人の心の光を照らすことで人は変わるんだ。そして分かりあえる」

「分かる気がするよ。完全ではないけど。ありがとう、アムロ」

「いいさ。妹紅が心配だ、早く帰ろう」

 

 妹紅の出血は止まってたが傷が傷だ。早く治療しないと……。

 

 妹紅を抱え、急いでその場を後にした。慧音の顔を見るとやはり哀しみで満ちていたが何か決意を秘めたようにも感じた。?

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「まぁ、出血こそ酷かったけど、大丈夫ね」

 

 慧音を止めた後、妹紅の治療をするために、『永遠亭』という妹紅とタケノコを採っていた竹林を通り、この場所に来ていた。夜も遅く迷惑な気がしたが、医師である八意永琳先生が起きていたため、すぐに診てもらった。遅いのもあったので俺と慧音は泊まることにし、翌日、慧音は「寺子屋があるから」といい――迷いのない顔で――里に帰って行った。妹紅とは朝早く話したらしく、すっきりしたようだ。

 

 今は永琳先生と一対一で妹紅の状態について話している。先生は長い銀髪を三つ編みにし、左右で色の分かれる赤青のツートンカラーで、看護師に似た服(失礼な気もするが)を着ている。

 

「というか、あの子はこんな事じゃ死なないわね」

 

 永琳先生は呆れたようにため息をついた。

 

「彼女は不老不死なのよ」

「……嘘だろ?」

「何を言ってるのよ。こんな嘘ついても仕方ないし、医者を信じないなんて寂しいわ」

 

 わざとらしく気を落とす先生だが、確かに嘘をついているようではないようだ。それにしても不老不死か……先生をまだ疑うわけじゃないが後で本人に聞いてみるか。

 

「すまない」

「いいのよ。初耳なんでしょ? それは仕方ないわ」

 

 先生は困ったような笑みを浮かべ言った。何か悪い事でもしたか? とか思っていると、先生は思い出した様に慌てた。

 

「そうそう! 貴方にお客が来てるの。入っていいわよ」

 

 その声とともに後ろの襖が開いた。その方に向くと、まず目についたのが胸と長い髪をポニーテールにしてとめている大きなリボンだ。格好は巫女っぽいのだが、肩と脇は露出しており、赤を基調とした巫女服である。凛々しいものの、まだ幼さがある彼女は口を開いた。

 

「あなたが紫の言ってた外来人ね? 私は博霊霊夢。早速だけどあなたに会いたい人がいるから着いてきてくれない?」

「それは構わないが、会いたい人って誰なんだ?」

 

 仲間ってぐらいだから知り合いだと思うが……。

 

「そうねぇ、あいつは「君とは別の世界でガンダムにのっていたよ」とか言ってたわね」

 

 別の世界のガンダムだと? どうやら知り合いではなさそうだが、紫の言っていた仲間かもしれない。

 

「分かった。その人に会わせてくれ」

「決まりね。じゃあ早速、行きましょ。……え〜と、名前なんだっけ?」

「アムロ・レイだ。よろしく頼むぞ、霊夢」

「えぇ、こちらこそ。というわけだから帰るわね永琳」

「分かったわ。異変自体はまだ2回しかなかったとはいえ、気をつけるのよ?」

「大丈夫よ。ちゃんと解決するわ」

 

 霊夢は自信ありげに頷いた。まるで今までも異変を解決してきたかのように。それならかなりの実力者なんだろうな。

 

「永琳先生、ありがとう。妹紅のこと、お願いします。あと慧音にもこのことを知らせてもらえないか?」

「了解したわ。気をつけなさいね」

 

 永琳先生は心配そうな顔で見送ってくれた。大丈夫さ、と言うと顔がほころび安心したようだ。しかし霊夢の言う人物はどんな奴なのだろうか。

 

 

 

「なるほど、君は今までもこの幻想郷で起きた異変を解決したわけか」

 

 僕と霊夢は目的地兼霊夢の住まいである『博霊神社』を目指していた。

 

 空を飛んで行くということをしようとしたが、僕は空には飛ぶことができず『永遠亭』から歩いている。

 

 その間、霊夢から異変について聞いた。今までは霊夢と魔理沙という魔法使いと異変を解決してきたこと。今回は紫から聞いて俺達が力になると言われたらしい。霊夢と魔理沙が解決してきた異変の事も聞いた。かなりの修羅場をくぐりぬけている経験は伊達ではないようだ。

 

「まぁ、それが仕事だから。それを通じて友達とか出来たから満足してるんだけどね」

「異変を通じて友達が出来る……か。凄いじゃないか」

「そう……かしら?」

「そうだよ。人は分かりあえるんだから。でもそれが出来ることは難しいんだよ。俺のところじゃそうだったからね」

 

 だが、最後の最後で人は分かりあえた。だからこそアクシズをどうにかできたんだな。

 

「へぇ〜。なんか難しい話ね。あ、いつの間にか着いたわね」

 

 長い階段を上り終えた先には何処か寂しい雰囲気をだした神社があった。ここが『博霊神社』――かなりの歴史がありそうでいいじゃないか。

 

 とか思ってると霊夢がすぐさま賽銭箱に走っていき中を見る。その直後にため息がでていた。

 

「もう。なんでこう入らないのかしら……」

「霊夢? 君は賽銭箱に入っているお金を資源としているのか?」

「えぇそう。でもなかなかないのよねぇ」

 

 なんて奴だ! こんな少女がこんな汚いことをするとは!

 

 俺は霊夢を睨みつけた。しかし霊夢はそれに気にすることもなく縁台へと入っていく。

 

「どうしたのよ? 早く入りなさい」

 

――まぁ今はいいか。だがこの異変が終わったら考えを改めさせてやる。

 

 その声に釣られ俺も入る。なかなか綺麗だ。外見も綺麗だったしこの子は分からないな……。

 

――っ!なんだこの感じは! 頭が抉られるようなプレッシャーは!今までに感じた事のない……。

 

 そのプレッシャーを感じながらもある人物がでてきた。その人物が何をしてどうなったとか頭に、映像が流れてる。

 

「ちょっと! どうしたの? 大丈夫?」

「なんとか。なぁ、霊夢、俺に会いたがってる奴は」

「君か……さっきから僕の脳量子波に入り込んでくるのは」

 

 そいつは前の襖を開けて姿を見せた。10歳後半ぐらいだろうか。緑のショートカットで紫の瞳。白を基調としたすらりとした服を着ている。見た目だけでは大人しい奴に見えるかもしれない。だが、あの映像で見たこいつは……。

 

 俺達は数十秒睨み合っていた。お互いを確認するという感じだ。重い空気の中、霊夢は耐えれなくなったのか声を出す。

 

「なに辛気くさい空気だしてんのよ2人とも。お茶淹れてくるから大人しくしときなさいよ」

 

 そういうと霊夢は何処かへ行ってしまった。少年が口を開く。

 

「君がアムロ・レイか。僕はリボンズ・アルマーク。まぁ名前なんて言わなくても分かるか。君はなかなか大変な凄いパイロットみたいだったんだね。でも少し傲慢だよ。人は分かりあえない。他人を疑い続け、その果てが何かぐらいは君も分かるだろう?」

 

 見下すようにリボンズが言う。こいつも俺と同じように映像が流れたんだろう。俺のしてきたことを。

 

「分かってるさ! だがそうなると決まったとしても何も出来ずに、ただ何もしないよりかはマシだ!」

「ふふ、君は面白いね。でも君のその気持ちがアクシズを押し返しだね」

「それはどうか分からない。だが、あの時、敵味方関係なく一つになったのは確かだよ。君の場合は常に一人であろうとする。君だって、話し合いさえすれば分かり合えたんだよ」

 リボンズはどこか迷った表情だが、それはすぐになくなり、微笑する。

「確かにそうだったかもね。でも後悔はしてないさ。僕は生まれ変わったんだ。今できることをしようじゃないか。それと」

 

 慣れない口調でこう言ったのだ。

 

「君の事を信用してみよう。心の光がどんなものか見たいしね。よろしく、アムロ」

 

 その目は先ほどとは違い、少しだが人を信頼しようとするように思えた。

 

「あぁ、よろしく頼むよ。リボンズ」

 

 

 

「でその異変はまだ一回起こったきりまだ次は起きて無いのね?」

「あぁ、さっきも話したように白玉楼でのザクの大群、そしてガンダムの出現。ザクは大群だったが、一つ一つは大したことない。しかし、長期戦に持ち込まれたら体力負けするぞ」

 

 僕、リボンズ、霊夢の三人は今、どのような感じかを話すとともに白玉楼で起きた異変について話していた。今まで紫が話していた異変はまだ一件――白玉楼の変(本当は名前はないが気にはしない)――だけらしい。異変の事は新聞の記事に書いてあったらしいが詳しいことは知らないという。だから少しでも呼びかける為に異変に出来わした僕が説明している。

 

「そのザクを倒し続けてたら他とは違うプレッシャーが出てくるからそれを叩けばいい。だが問題はここからだ。そのプレッシャーは大きな穴なんだが近付くと変形して周りのザクも全て消えた。その変形したものが」

「ガンダムなんだね」

 

 リボンズの言葉に僕は頷いた。

 

「そうだ。こいつはザクに比べて何倍のパワーとスピード、反応速度があるんだ。こいつを倒せば終わりだ。それと慧音の暴走か。満月の夜に妖怪に変化するが、制御がきかずに暴走していた。何とか止めることは出来たが」

「それも気になるわね……何か関わりがあるのかしら」

 

 大体こんな感じかな、そう思いつつ一息ついた。

 

「後者は今のところ大丈夫そうだけど、前者なら大群で攻めてくるんなら、かなりやばいわね。いきなり対処しろって言われても難しいわ。すぐにでもみんなに伝えなきゃ!」

「待つんだ霊夢」

 

 先走ろうとする霊夢を止めたのはリボンズだった。

 

「先に実力者に伝えてからそれを通して、他の人間や妖怪達に伝える方がいいよ。力なき者はそういうことに凄く脅えるからね」

 

 その通りかもしれないな。後半は言いすぎだと思うが……。

 

「確かにリボンズの言うことは正しいかもしれない。例えば慧音なんかいいんじゃないか?里のみんなの信頼も厚いしちゃんとまとめれるんじゃないかな?」

「……そうね。リボンズの言う通りだわ。まずは誰に言うかを決めないと」

「そう――」

 

 だな、と続けようとしたがそれは感じた。異変の感じを。

 

「このプレッシャーは! 白玉楼と同じものだ!」

「こんな感じなのか。ここはどこだ? 森の中の小屋の周りで魔法使いと少女が戦ってるね」

「それって、魔理沙とアリスだわ! 早く行かないと……2人とも着いてきて!」

 

 霊夢の声の俺とリボンズは霊夢に続いた。魔理沙ってもう一人の異変解決者か。実力はあるだろう。だが数に圧倒されなければいいが……。

 

説明
今回はついにもう一人の仲間が! 展開が早いのは気にしないでください……。
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アムロ・レイ リボンズ・アルマーク 慧音 妹紅 

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