《インフィニット・ストラトス》〜二人の転生者〜 |
第十三話 就任パーティーと代表の理由
「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコット、一ノ瀬秋葉と春華。試しに飛んでみせろ」
四月も終わりごろ、俺達は実践授業を受けていた。
俺と春華はISを一瞬で展開した。ん?俺のIS?いやね「一ノ瀬、お前はランクSだからな、実践授業の時は訓練機を貸してやる。だが専用機は早くしろよ?」と言われ、貸し与えられた。まあ授業に限りだけどな。
「早くしろ。熟練したIS操縦者は展開まで一秒とかからないぞ。いい例は一ノ瀬だ。反応も早ければ展開も早い、わかったか?」
う〜ん、こんなところで俺を出されてもすぐには無理だろう?俺は少しばかり常人を逸脱してるし。
そうこうしている間に夏とセシリアはISの展開を終えた。ついでにセシリアのISだが修復はもう終わっており、今では普通に起動することが可能となっている。
「よし、飛べ」
いわれて飛び出したのは俺とセシリアだった。夏の白式と春華の打鉄も追ってくるが夏は全力を出せていない。セシリアにも言えたことだが、専用機が訓練機と同等なはずがないからな。
かなり上空まで来た所で俺はセシリアに話しかける。
「セシリア、((円状制御飛翔|サークル・ロンド))出来るか?」
俺の質問にきょとんとしたセシリアが一瞬遅れて返答してきた。
「い、一応出来ますが……」
「よしっ、じゃあいま少しやろう。締めは俺がアサルトライフルしまった所でクロス。OK?」
「わ、わかりましたわ」
「……よし、GO!」
俺の合図と同時にお互いの機体は円軌道を描いて動き始め、武装を展開、お互いに発砲し始めた。そしてその攻撃をお互い不定期な加速で避けていく。ISの速度を上げながら回避と射撃の両方に意識を向ける。そしてそれは高度な射撃とマニュアルでの機体制御の訓練となる。それが円状制御飛翔である。
やがて俺がアサルトライフルを仕舞い、旋回し、一直線に加速。セシリアと左右対称になるようにする。そして重なった時、下の生徒たちから歓声が上がった。それから夏と春華かの方に移動し、並んで空中をグルグルと回る。
夏とセシリアが話していると訓練の話になり、「ちょうどいい、夏、セシリアに遠距離との戦闘の模擬戦相手になってもらえ」と言った。そんなコトをしていると通信が入った。
「一夏っ!いつまでそんなところにいる!早く降りてこい!」
箒だった。地上を見るとインカムを奪った箒と奪われておたおたしている山田教諭がいた。箒、もうちょっと敬意を払って接しようぜ?
「織斑、オルコット、秋葉、春華、急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチ。オルコットと秋葉はさっき円状制御旋回をやったんだ。地表から五センチでやれ」
「了解です。ではみさん、お先に」
セシリアはそう言うとスラスターを吹かせて急降下して完全停止をした。さすが代表候補生、鮮やかだ。しかし俺は面倒なのでそんなコトはしない。
「地表から五ミリで十分!」
俺はスラスターは疎かPICを切った。するとISはそのまま重力に従い地表に落ちていく。
……まだだ……まだまだ……そろそろ……いまだ!!
「PIC起動!!スラスター全開!!」
俺がそう言った瞬間、衝撃で砂埃が舞った。俺は腕を振って砂埃を払う。そして俺はちゃんと五ミリで止まっていた。
暫くして春華が降りてくる。そして夏は……
「馬鹿者。誰が地上に激突しろと言った。グラウンドに穴を開けてどうする」
「……すみません」
夏が姿勢制御をして上昇してくる。何故かって?グラウンドにできた巨大なクレーターの中心にいたからさ。
そんなことを思っていると冬姉は今度は俺に言ってきた。
「それから秋葉、たしかに言ったこととあってはいるがもうちょっと普通にはできんのか?」
「すみません、善良はします」
冬姉に怒られ、俺は頭を下げる。
「情けないぞ、一夏。昨日私が教えてやっただろう」
箒が腕を組み、戻ってきた夏にそう言っているが夏は「うーん」と唸っている。こうなると夏がただ単に馬鹿なのか、箒の教え方が下手なのか……そもそもこいつら本当にちゃんと訓練してるのか?まあ取り敢えずさっき上空でセシリアにも訓練を手伝うように言っといたし、大丈夫だろう。
「まあ箒、落ち着け。織斑教諭がこっちを見てるぞ」
俺がそろそろ危ないと思い、箒に忠告すると、「むぅ…」と黙って戻っていった。やれやれ、どうして俺の身近な人物はこうも扱いが難しかったり独特な個性を持つ奴ばかりなのかね?
「さて織斑、武装を展開しろ。それくらいは自在に出来るようになっただろう」
「は、はあ」
「返事は《はい》だ」
「は、はいっ」
「よし。でははじめろ」
冬姉に言われて夏は左右と正面を確認してから、右腕を突き出し左手で握った。どうもあれが夏の精神の集中方法らしい、まだまだ甘いな。
暫くして、光の粒子が右手に集まったかと思うと白式の武装《雪片弐型》が握られていた。
「遅い。0.5秒で出せるようになれ」
そんな夏に冬姉は辛辣な言葉を浴びせる。しかし俺はこの短期間にここまで成長できれば上出来だと思うが……まあ冬姉だからな、身内には結構厳しかったりする。
「セシリア、武装を展開しろ」
「はい」
次はセシリアか……曲がりなりにも代表候補生だからな、期待大だな。
セシリアは返事をすると同時に左手を肩の高さまで上げて、横に突き出す。すると一瞬かなりの光量で左腕が光ったかと思うと、すでにその手には狙撃銃《スターライトmkV》が握られていた。しかも((弾倉|マガジン))は接続、装填済み。セシリアが視線を送るとセーフティー解除。ふむ流石だ、一秒とかからずに展開した後、すぐさま射撃可能上体にまで持っていくとは……しかし――
「で、その銃で俺を狙い撃ち?」
そう、セシリアの隣には俺が立っていたので、そのまま銃口が俺の顔の眼の前にある。これはある意味恐怖である。だって後は引き金引いたら頭が吹き飛ぶんだぜ?まあIS展開してるからそれはないけど。
「さすがだな、代表候補生。――ただし、そのポーズはやめろ。横に展開させてどうする。構えるまでに隙ができるし、実際今みたいに秋葉を殺すつもりか?」
「なっ、まだ撃ってもないし、殺してもいませんわ!」
「まだ、ってことは殺す予定はあるのか……警戒しとかねえと寝首を掻かれるな」
「なっ!違います!このポーズはイメージをまとめるのに必要な――」
「じゃあ織斑教諭に注意されないように正面に展開させれるようにするんだな。例えイメージ集中がこのポーズで出来ても実戦では相手は待ってくれないぞ?」
「その通りだ。セシリア近接用の武装を展開しろ」
「えっ。あ、はっ、はいっ」
俺と冬姉の言葉に頭の中で反論とかを考えていたのだろう、いきなりの近接用武装展開に驚いていた。そして近接用武装は――
「くっ……」
「まだか?」
狙撃銃をしまった手の中で今度は光が彷徨ってばかりだ……こりゃあ決定戦で言った通り、駄目だな。
「す、すぐです。――ああ、もうっ!《インターセプター》!」
武器の名称を言ってイメージが固まったのか、やっと展開された。
しかしその方法は教科書の最初の方に書いてある《初心者用》の方法で、多分セシリアにしてみたら屈辱的なんだろうな。ヤケクソ気味に叫んでたし。
「……何秒かかっている。お前は、実戦でも相手に待ってもらうのか?」
「じ、実戦では近接の間合いに入らせません!ですから、問題ありませんわ!」
セシリアはそう言うが、残念だったな。冬姉にそんな手は通じないぞ。むしろ墓穴をほったな。
「ほう。織斑との対戦で初心者に簡単に懐を許していたように見えたが?」
「あ、あれは、その……」
歯切れの悪いセシリアに更に冬姉が追撃をかける。
「さらにその後の春華との試合は一瞬にして入られて、何も出来ずに斬りつけられて完全なワンサイドゲームで終了」
「あ、あれは油断をっ!」
「そして最後に秋葉はISが壊れるという時限爆弾を抱えていたにもかかわらず、お前の懐に飛び込んだ。そこは全力を出して相手するのが礼儀だと思うが?まさかその時も油断していたとは言わないな?」
「そ、それは……」
セシリアはこっちを睨んできて、プライベート・チャネルも使ってきたが無に返した。何故かって?予測して俺が受信拒否にしたからさ。
「ってか代表候補生なら油断は寧ろしないと思うけどな?((獅子搏兎|ししはくと))、獅子は兎を狩るにも全力をつくす、っていうしな。まあIS操縦者として油断してたら三流だよ、しかもそれを理由に使うとは……三流以下、四流のやることだな。セシリアお前もう一回基礎からやり直したらどうだ?」
「……………」
セシリアはもう何も言うことが出来ず、その場で膝をつき項垂れてしまった。
「では秋葉、そこまで言うならお前は武装を瞬時に展開して敵を倒せるんだな?」
「ええ、出来ますよ?」
「言ったな?」
その瞬間、俺の真後ろにターゲットが現れたのをハイパーセンサーで感知した。俺は振り向くと同時に武装――ハンドガンを展開、狙いもろくに付けずに発砲。しかしそれは的確にターデットの中心を射ぬいた。
続けざまにターゲットが更に展開していき、それを俺はその場から動くこと無く、中距離にはハンドガン、近距離で広範囲はショットガン、一つならショートブレード、遠距離はスナイパーライフル、ターゲットが重なっている場合はアサルトライフルと大雑把に分けて瞬時にそれを見極めて、すぐさま武装を収納、展開して変更する技術――《((高速切替|ラビット・スイッチ))》を駆使して変更してどんどん射抜いていく。ついでに言うと俺は長年培ってきた直観と経験からターゲットの距離がかなり離れていない限り、目測で瞬時に狙いをつけることが出来る。
「……9995……9996……9997……9998、9……ラストォ!!」
俺は高速切替でグレネードを展開して発射して爆破させた。
「評価は!?」
「ターゲット全撃破、射撃で射ぬいた場所は全て中心、ショットガンもブレードでの切りつけも申し分なし……さすがだな、秋葉」
冬姉が感心したようにそう言うと俺は武装を収納し、一息ついた。するとクラスの女子が一気に黄色い声を上げたのだが、それは冬姉の声で一気に静まった。これが冬姉の人気から来る効果だな。
「時間だな。今日の時間はここまでだ。織斑、グラウンドを片付けておけよ」
冬姉が言い終わると俺はダッシュで着替えに向かった。場所が遠いこともあるが何より夏に手伝いを頼まれるのが嫌だった。だってそうだろ?重労働はやりたくないものだ、人間だもの。
「というわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!」
「おめでと〜!」
時間は進みんで夜、女子の声と共にクラッカーが乱発され、紙屑と一緒に火薬の匂いが鼻をついた。しかし祝われている当の本人、夏は引きつった笑みを浮かべている。
今の時間は夕食後の自由時間、場所は寮の食堂である。ここで何をやっているかというと《織斑一夏クラス代表就任パーティー》だとさ。壁にデカデカとそう書いた紙が貼られている。というかいいのか、寮の食堂勝手に使って!?あとで冬姉にバレたらグラウンド走らされるぞ!?……いや、まあそれもいいかもな。
「………………」
「……夏、気持ちはわかるがいい加減何か喋れ。お前が黙ってるとこっちまで気まずくなる」
俺が隣にいる夏に総声をかけると「ギギギッ……」とブリキの玩具のように顔をこっちに向けてから静かに俺に言う。
「……秋、今からでも遅くはない、変わってくれ」
「さあみんな!今日は夏の代表就任を盛大に祝おうか!!」
「「「「「お〜!」」」」」
「う、裏切り者ぉ〜〜!!」
夏よ、すまない……だがな、俺もなりたくないんだ!!何でかって?面倒そうだから!……てかちょっとまて!一組のクラス代表就任パーティーなのに何故二組とか他のクラスの女子がいる!?いや、別に悪い、ってわけじゃないけどさ……いや、なんでもないです。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と一ノ瀬秋葉君に特別インタビューしに来ました〜!」
そんなこんなで騒いでた女子生徒を押しのけ入ってきたのは、二年生(リボンの色でわかる)の整備課のエースこと、黛薫子先輩だった。しかも新聞部の副部長だって……今そう話ながら名刺渡してくる。なんか本物の記者みたいだな……うおっ!画数多!こりゃテストの時とか書類に名前書くときとか大変そうだな……まあ俺の名前じゃないからいいけど。
「ではではずばり織斑君!クラス代表になった感想を、どうぞ!」
「えーと……」
俺の隣でボイスレコーダーを突き付けてコメントを待ってる黛先輩と、突き付けられて少し困惑する夏。コメントなんて適当に言っておけばいいんだよ、たとえ周りからどういう視線が向けられようとも飲まれるな、自分を曲げたら男じゃないぞ!……とはいえこの周り全員女子だとそんなコト安々とできないよな。俺も恐らくできない。
「まあ、なんというか、がんばります」
「えー。もっといいコメントちょうだいよ〜。俺に触るとヤケドするぜ、とか!」
無茶言うなって!この状況でそんな恥ずかしいこと言えるか!しかも前時代的だし。
「自分、不器用ですから」
「うわ、前時代的!」
……ここには前時代的な人間が多数いるのだろうか?
「じゃあまあ、適当にねつ造しておくからいいとして」
いや、普通によくないだろ?……しかしまあいい、結構なネタをこっちも入手、と……さて、どう出るかな?
「じゃあ次は一ノ瀬君!ズバリ、織斑君をクラス代表にした理由は?」
俺は紙コップに入っていたジュースを口に入れ、飲み込むという動作で間を作ってから言った。
「ただ単に俺がやりたくなかっただけ。あと夏にすると面白そうだったから、以上だ」
ドンガラガッシャーン!!……お前らは俺に何を期待していたんだ!
「いや、もっとさ、織斑経由でこの学園の全てを掌握してやる!とかさ?」
「いや、掌握するんだったらわざわざ夏をクラス代表になんてしないって。だって夏だぜ?第一掌握なんてしたら俺死ぬよ?」
そりゃそうだ。下手したら全世界のIS部隊が俺に問答無用で攻撃とかさ。
黛先輩は「う〜ん」と頭を掻きながらメモを書いていく。
「じゃあまあ、こっちも勝手にねつ造して……」
「はい、ストップ!」
俺は黛先輩の独り言を遮ってそう言う。
「今の情報、マスコミにバラされたくなかったら、俺の言うことを聞いてください?」
俺はそう言いながら胸ポケットに入れておいた小型カメラとボイスレコーダーを取り出した。
「黛先輩、確かお姉さんの渚子(なぎさこ)さんが雑誌《インフィニット・ストライプス》の副編集長でしたね?所がどうだ、その妹の先輩がIS学園の新聞部でねつ造が発覚、そしたら姉の渚子さんも裏で何をやっているかわからなくなる……雑誌の売上はガタ落ちでお姉さんは良くて左遷、悪くて会社をクビに……さあ、どうします?」
「くっ……」
今食堂で俺VS黛先輩の静かだが、激しい戦いが繰り広げられていた。
ついでに雑誌の《インフィニット・ストライプス》とは今流行の月刊雑誌であり、老若男女問わず大人気の売上ナンバー1の雑誌。内容は主にISに関する情報を取り扱っており、中には専用機持ちのモデル写真やグラビアまであったりする。またISの徹底解析や突撃インタビューなどもしている。記者や愛読者は喜ぶが取材される側としてはたまったものじゃない。
それはさて置き、今はこの勝負が重要である。
……暫くして、黛先輩が一息つき「負けたわ……」と言って対決は俺の勝利で幕を閉じた。
「で、条件は?」
黛先輩は聞いてきた。もちろんあるに決まっている。だから仕掛けたのだから。
「新聞部の副部長で姉に副編集長がいる黛先輩にお願いです。どんな些細な情報でもいいのでいち早く俺に知らせてください。あ、これ俺のアドレスと電話番号です。じゃあ詳細は後ほど」
「ん、了解」
俺が携帯を取り出し、アドレスと番号を送信し、連絡先の交換をした。その時近くに赤外線全受信で形態を構えた女子が殺到したのは言うまでもない。なんとあのセシリアまでも血走った眼でそれをしていた。ふっ、残念だったな。黛先輩は赤外線だったが俺の送った手段はそのアドレス宛のメールなんだよ。だから他の女子には黛先輩の連絡先が行ったはずだ。
「はーい、じゃあ最後に二人の写真取らせてね。何せ専用機持ちと男性でのIS操縦者だしね」
専用機持ちか……セシリアと春華もそうなんだが、恐らく男子という所がネックなのだろう。まあセシリアはこの前俺にボロボロに負けて弱いって言うことを証明してしまったようなもんだからな。
「……そうそう、もうちょっと近づいて背中あわせて、はいOK。後はポーズ決めて……」
ポーズか……
俺は手でピストルを作り、目線と一緒にカメラに向けた。
「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は〜?」
「え?えっと……」
「74.375!」
「一ノ瀬くん正解!」
パシャッとデジカメのシャッターが切られ、写り具合を見る。
「どれどれ、おっ!これは中々」
「夏、お前嫌がってた割には結構写真写りいいな……少し笑ってるし」
「ん?まあ写真だしな」
夏は笑うが顔が引き攣っている。写真も少し引き攣っているが今ほどではない。しかしほんとに写りが良い。
「黛先輩、後で今の写真を画像にして携帯に送ってください。あとアルバム様に一枚」
「わかった。じゃあ二人には後で渡すね〜。それじゃまた〜」
そう言って先輩は消えていった。
最終的に就任パーティーは夜の十時まで行われ、その間ず〜っと女子から話しかけられた俺達は疲れた様子で自室のベッドに倒れ込んだ。もはやこのまま寝たい、が制服だからそうも行かない。
しかも夏に至ってはあの後箒からず〜っと鋭い視線と無愛想な態度を取られたため、俺より重症だ……さすが朴念仁マスターだ。
「……なあ秋」
「あんだよ?」
俺が着替え始めながらそんなコトを思ってると夏から声がかかった。
「黛先輩がお前にした質問……あれ本当かよ?面倒だった、てやつ」
「ああ、本当だ。それに俺は……まあカリスマ性にも寄るんだろうけど、人の頂点に立って統率したりするのは苦手なんだ、そういう柄でもないしな」
「う〜ん……そうかなあ?昔は結構リーダーシップ発揮してたと思うけどな?」
「何時の話だよ……」
おそらく幼稚園ぐらいではないだろうか?その頃は必ずといっていいほど俺を中心に遊ぶのが基本だった。小さいながらも面倒だと思っていたのが懐かしい。
「それに別の理由がある」
「よ、っと……別の理由?」
ベッドに倒れていた夏が起き上がり、着替え始める。
「ああ、それはお前に実戦経験を積ませるため」
「えぇ!?な、なんで!?」
夏は着替えるのを中断し、こっちに振り向く。しかし俺は淡々と着替えを済ませ、ベッドに腰掛ける。
「なんで、と聞かれたから答えてやるよ。まずはISの操作と対話に慣れてもらう。こればっかりは起動させないと意味がないからな、まあ実際今まで携わってこなかったから仕方が無い。第二に夏は実戦経験がなさすぎる。まあこれも今までISに携わってなかったから仕方が無い。まあ大まかに言えばこんな感じだ、細かいのも含めればまだあるけどな。で、この二つは特訓でどうにか出来るものだがどっちかって言うと実戦のほうがいい。実戦の引けない状況という緊張感などで生みだされるギリギリの状態……精神面でも現実的な意味でもだがな、とにかくそういう状況の方が伸び易い。特に夏は冬姉の実の弟だからな、飲み込みも早そうだしな」
「は〜、なるほど。つまり俺の為を思ってクラス代表にしたてわけだな」
「二割ぐらいだけどな」
「……その言葉がなかったら素直に感動してたんだが」
夏は俺のサラっとした発言に落胆してベッドに倒れ込む。
「まあどっちにしても俺が代表になることは無かったと思う」
「なんでだよ?」
「専用機がない。かといって訓練機で戦ってまた壊したら洒落にならんしな。俺はどうも手を抜く、と言うより力を制御してセーブすると言うことは苦手でな……そういうわけだ」
俺はそう語る。まあ専用機自体は出来てるんだがコアのほうがな……我ながら何であんなコアを作ったかなあ……
「……まあいいや、過去を悔やんでも仕方ねえしな。じゃあ秋、お休み」
「ああ、おやすみ」
俺達はベッドに潜る。時計を見れば十一時前だった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
どうも菊一です。
最近しっくり来ないんですよね〜……なんていうか小説書く気力が沸かないっていうか……スランプって言うんでしぃうかね?^^;コレばっかりは仕方ないのでちょっと筆休めするかもしれません。まあ書き溜めた分はあるので、それが尽きるまでは更新してその間にはスランプを脱出したいものです。
さて、次回はセカンド幼なじみの鈴が登場!実は春華の元ネタキャラだったりします。だからけこう似てるんですが、まあ許してくださいw
感想や要望、その他諸々など、お待ちしてます〜
ではまた〜
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今回はセシリアパートと鈴パートの間のヒトコマ的な感じです。その為本文少ないです、どうぞ〜 | ||
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