超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第六話 報知
[全1ページ]

現在プラネテューヌ教会

 

ネプギアとの再会から数時間後、ネプテューヌはイストワールとネプギアからゲイムギョウ界の現状の説明を受けていた。

少し前までは涙が止まらず感情を抑え切れなかったが、ようやく冷静に話を聞ける状態まで落ち着いた。

二人の部屋でネプテューヌとネプギアは向かい合って椅子に座っており、イストワールは二人の間にたたずんでいた。

そこでネプテューヌが聞いたのは、自分が死んでから一ヶ月と少したっていること。魔剣ゲハバーンとネプギアによって犯罪神が倒されたこと。4つの国がプラネテューヌに統一されたこと。そしてつい最近、魔剣ゲハバーンが何者かに奪われたことなど大体こんなことを聞かされた。

 

イストワール「ネプテューヌさんのいない間に起こったことはだいたいこのくらいの事です。」

 

ネプテューヌを見つめながらイストワールは重い口調で話した。

 

ネプテューヌ「そっか…。ネプギア、一人で頑張ったんだね。」

 

視線を落としてうつむいているネプギアに向けてネプテューヌはやさしく語りかけた。

 

ネプギア「私だけじゃなくって、アイエフさんやコンパさんも一緒だったし、でも…。」

ネプテューヌ「?」

 

ネプギアの言葉にネプテューヌは首をかしげた。

 

ネプギア「私、今でもこの選択をしてよかったのかなって思ってるんだ。みんなを殺して、みんなを騙して、ずっと心の中に大きな穴が開いたみたいに毎日が寂しくて、辛かった……。」

ネプテューヌ「ネプギア…。」

 

ネプギアの声は涙で震えていた。

ネプギアの苦悩を感じ取ってなのか、ネプテューヌは無意識に静かに口を開いた。

イストワールもいつの間にか視線を床に落としていた。

 

ネプギア「私……女神失格だよ…。」

 

ネプギアの目には大粒の涙があふれていた。

重々しい空気が辺りに流れ始めた。

しばしの静寂の後にネプテューヌが顔を上げてネプギアを見つめた。

 

ネプテューヌ「ネプギアは悪くないよ!」

ネプギア「!!」

 

ネプテューヌはネプギアに向かって叫んだ。

突然のことにネプギアはビクリと体を震わせ、ネプテューヌに視線を向けた。

 

ネプテューヌ「あの選択はわたしと二人で決めたことでしょ? みんなの命を奪ったのも二人でやったことだよ。」

ネプギア「でも私……お姉ちゃんを…。」

 

ネプギアは視線をそらして呟いた。

 

ネプテューヌ「あれは私がそう望んで無理やりやらせたことだよ。だから一番悪いのは私だよ。ネプギアに何もかも押し付けて、一人で寂しい思いをさせて……私、最悪だよ。」

 

ネプテューヌはうな垂れながら暗い口調で話した。

 

ネプギア「そっそんなこと…。」

ネプテューヌ「ううん。だからね、ネプギア。もう一人で抱え込まなくていいんだよ。悲しいことはお姉ちゃんと半分こだよ!」

ネプギア「お姉ちゃん…。」

 

ネプテューヌは笑顔でネプギアをそっと両手で抱き寄せた。

ネプギアはその胸の中で静かに泣いた。

ネプテューヌはネプギアの頭を右手で静かに撫でた。

 

 

――もう1人じゃない

 

 

ネプギアはそれを改めて実感した。

その感触、その温もりが何よりもネプギアにとって嬉しかった。

 

イストワール(それにしても何故、今になってネプテューヌさんが生き返ったのでしょう? こちらから何かをしたわけでもなければ、ネプテューヌさんも何も知らないようですし……あら? 左腕に…?)

「ネプテューヌさん。右腕に怪我をなされているのでは?」

 

イストワールはネプテューヌの右腕を指差しながら言った。

確かに右腕部分の服の上から血がにじんでいた。

 

ネプテューヌ「あっ、そうだった。あの時に少し斬られたんだっけ……痛っ。」

 

ネプテューヌは傷口を左手で押さえながら顔をしかめた。

 

ネプギア「大丈夫?お姉ちゃん。」

 

傷口を見ながらネプギアが心配そうに口を開いた。

 

イストワール「傷はそれほど大きくないようなので、すぐに治療しますね。」

 

そう言うとイストワールは治療用具を取りに体を反転して部屋を後にした。

しばらくしてイストワールは両手に小さな救急箱のような物を抱えて部屋に戻った。

腕の傷はそれほど大きくは無く、わずか数分で治療は終わった。

 

イストワール「これで大丈夫ですよ。」

 

包帯を巻かれたネプテューヌの腕を見ながら満足そうにイストワールは口を開いた。

 

ネプテューヌ「ありがとう。いーすん。」

イストワール「どういたしまして。それからその傷はいつ、何処で、誰に?」

ネプテューヌ「あっ、これはね……。」

 

ネプテューヌは先ほど起こった事実を二人に話した。

二人は黙ったままネプテューヌの話を聞いた。

大体の話を聞き終わったところで二人は静かに口を開いた。

 

ネプギア「その人…氷室って人は、女神が嫌いなのかな?」

 

ネプギアがぶっきら棒に呟いた。

 

ネプテューヌ「うん。多分。」

イストワール「原罪という言葉も気になりますね。後、カタストロフィという言葉も。その話が本当なら一週間後に世界に何かが起こると?」

 

イストワールは顎に手を当てながら考え込んだ。

 

ネプギア「その人がウソをついてるってこともあり得るんじゃ…。」

ネプテューヌ「多分……それは無いと思う。向こうもすごく真剣だった。ウソはついてないと思う……。」

 

ネプテューヌは半信半疑の面持ちでネプギアに訴えた。

しばらくの沈黙の後、イストワールが話を切り出した。

 

イストワール「氷室という人の話がウソか本当かはひとまず置いておいて、何よりもネプテューヌさんがここ、プラネテューヌへ戻ってきたのですからその事を国民に知らせなければなりません。できれば今すぐにでも。」

ネプテューヌ「でも、いいの? 私、死んじゃったことになってるんだし、突然生き返ったなんて知ったらみんなびっくりしちゃうんじゃ…。」

 

不安な面持ちでネプテューヌが尋ねた。

返事はすぐさま返ってきた。

 

イストワール「心配は要りませんよ。あくまで女神はいなくなったと国民には知らせてあります。死んだという事実はほとんどの人が知らないはずですから。」

 

少し無理をしたような笑顔でイストワールは答えた。

 

ネプテューヌ「そっか……。じゃあお願いするね、いーすん。」

 

申し訳なさそうにネプテューヌは頼んだ。

それでも目線はイストワールから離さなかった。

 

イストワール「はい。少し待っていてください。」

 

その言葉と同時にイストワールは反転して部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほかの3つの国でも状況は同じようなものであった。

女神たちは自分たちが復活した原因を教祖が、教祖は女神たち自身が知っていると思っていたが、いざ会って話し合うとお互いに何も知らなかった。

そして現在のゲイムギョウ界の状況の説明を受け、女神たちは犯罪神が倒されたことと、自分たちの国がプラネテューヌとして統一されたことを知ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてゲイムギョウ界全土のあらゆるモニターによって大々的に報知がなされた。

最初に流れたのはイストワールが用意したものだった。

そこにはいなくなったと言われてきたネプテューヌとネプギアの姿があった。

内容はネプテューヌが帰ってきたこと、ネプギアがまた元の女神候補生へと戻ることだった。

 

その数十分後、今度はラステイション、ルウィー、リーンボックスそれぞれの各種のモニターにその国の女神たちが映し出された。

これはそれぞれの国の教祖が独自に用意したものだったが、内容は全てほとんど同じだった。

その内容は女神の帰還と国の再建、すなわちプラネテューヌからそれぞれの国が独立し、再びもとの国を築くことを約束したのだ。

人々は最初こそ半信半疑だったが、モニターの前で彼女たちが女神化する姿を見てそれは確信に変わった。

女神の帰還により、それぞれの国のシェアが急速に上昇し、90%以上を占める事態となった。

これにより、事実上ゲイムギョウ界は再び元の姿に戻ったのだ。

人々は素直に女神の帰還を喜んだ。……ただ一部を除いては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンパ「ねぷねぷ…?」

アイエフ「ネプ子?……ウソでしょ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプテューヌ「うそ…ノワールやブランにベールも…?」

 

教会内のモニターに視線を向けながらネプテューヌは驚きの表情で呟いた。

 

ネプギア「ユニちゃんにロムちゃん、ラムちゃんも。なんで?」

 

未だに状況が把握できない中でネプギアは食い入るようにモニターを見つめた。

 

ネプテューヌ「でもでも、事情はどうあれ早く会いに行かなきゃ!」

ネプギア「うん!あって話したい。それに何より、謝りたい!」

 

興奮しながら2人は椅子から立ち上がって叫んだ。

今の2人の感情はただ他の女神に会うことだけで埋め尽くされていた。

直後に2人をなだめるようにイストワールが口を開いた。

 

イストワール「二人ともひとまず落ち着いてください。今の放送があったということは、向こうの方々もここと同じようにさまざまな対応に追われているはずです。会うとしたら迷惑のかからないように早くても明日に行くべきではありませんか?」

 

イストワールの言葉は凄まじく正論だった。

事実あの放送の後に教会には抗議の知らせが大量に送られ、対応だけでも精一杯の状況だった。

 

ネプテューヌ「でっでも…。」

 

そのことを理解しつつもイストワールの言葉にネプテューヌは顔を曇らせた。

イストワールは軽く咳払いをするとかまわずに続けた。

 

イストワール「お二人の気持ちはよくわかります。ですが今駆けつけても結局は迷惑をかけてしまうだけです。ここはおさえて、気持ちを整えてから行くべきでしょう?」

 

2人は視線を床に向けて考え込んだ。

しばらくの沈黙が続いた。

 

ネプギア「……わかりました。」

 

沈黙はネプギアによって破られた。

 

ネプテューヌ「うん…。その代わり、明日になったらすぐに駆けつける。」

 

ネプテューヌもネプギアに同意した。

 

ネプギア「お姉ちゃん。そのときは一緒に…。」

ネプテューヌ「うん……一緒に謝ろう。」

 

 

 

 

 

二人は思っていた。

明日になればみんなに謝れる。

また前みたいに一緒に笑いあえると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがそれは二人の幻想に過ぎない。

 

二人を待ち受けるのは――

 

 

 

  ◆◆

 

 

 

現在???

 

「ふーん、あいつら生き返ったんだ。」

 

真っ暗な空間。

見渡す限りの黒一色。

    ・・

その中にそれはいた。

黒のズボンに真っ黒のコートを羽織り、顔全体を覆うほどの大きなフードを被った見かけ16歳程度の少年は真っ暗なその空間にある椅子に深く腰掛け、目の前の8つのモニターを凝視していた。

目の前のモニターには8人の女神がその一つ一つに映し出されていた。

 

少年「それにしても……フッ、クククククッ。こいつ馬鹿だろ。」

 

少年は軽く身を起こして両肘を両膝につき、背筋を折り曲げて手を組んで額に当てたまま笑い出した。

フードによって読み取れない顔と表情の中でその目線はおおよそモニターの中のネプテューヌとネプギアに向いていた。

 

少年「悪いことは重なる……確率論なんか無視して重なっていくんだよ。」

 

静寂に包まれたその空間の中で少年の声は不気味に響き渡った。

やがて再び背筋を元に戻し、またしても口を開いた。

 

少年「……こいつらが神? ふざけるな。その資格があるのは…」

 

喋りながら少年は懐からナイフを取り出し

 

 

バリン! バチッ、バチチッ

 

 

――真に力のある奴だけだ。

 

モニターのネプテューヌ目掛けて振り下ろした。

 

少年「ヒヒハハハハハハハハハハハッ、ア―ッハハハハハハハハハッ、ハハハッ、ハ―ハハハハハ!!!」

 

その行為に陶酔するように少年は天井を仰ぎながら体を大きく震わせて高笑いをした。

 

 

 

説明
第六話でございます。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2529 2454 0
コメント
藾弑さん>少年「僕はいたって正常だよ?」 嘘つけ! 少年「だって雑魚が神気取ってるのってムカつかない? それならいっそ僕が神になった方が……」 ナイナイナイ…。(クリケット)
し、少年狂ってやがるぜ…(駆蘭)
風音ツバキさん>さあどうなるかなー? 氷室「どうなろうと関係ない。」 まあお前にゃ関係ないわな。 氷室「どちらにせよなぶり殺す。」 おー怖。(クリケット)
ヴァイス「…"形だけ"は元のゲイムギョウ界に戻った」 フウ「ただ、謝った程度で一度自分を殺した奴とまた仲良くできるのかなぁ…」 ヴァイス「絵空事、かもね」 フウ「今後の展開が楽しみです」(風音ツバキ)
タグ
超次元ゲイムネプテューヌmk2 超次元ゲイムネプテューヌ 

クリケットさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com