超次元ゲイムネプテューヌ Original Generation Re:master 第13話
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ネプテューヌ謝礼パーティより数日経った後の日柄もよい一日であった。

 

一行は宣教師、コンペルサシオンの案内で以前に話した通り、強力なモンスターがいるという情報を元にその地へと足を向けていた。

薄暗い洞窟の中からは不穏な呻き声やら咆吼やらが響き渡っている。

「ここが以前にお話ししたダンジョンです。……ですが、本当にお気をつけください、強力なモンスターがあちらこちらに生息しておりますので」

コンペルサシオンは少々心配そうな表情を見せつつも、その瞳からはもっと何か別の、思惑があるのではないかと見て取れたのだが一行はそれに気付かない――。

「大丈夫だよ! モンスターなんて変身したら楽勝だもんね!」

無邪気にピースサインを送るネプテューヌにテラは一抹の不安を覚えつつも、心機一転、彼女の気が抜けているのならば、自分がしっかりしなければと思い直し、より一層の集中力で辺りを観察する。

「ねぷねぷはすごいんですよ! 変身したら、それはもうひと味もふた味も違うです!」

果たしてひと味ふた味程度なものなのかとアイエフは苦笑、困惑のような面持ちで頷いた。

「まあ、ある程度は期待してもいいかな、って感じ? あんまり過剰期待されたら困るー、ってくらいかしら?」

コンペルサシオンはそんな彼女たちに微笑を見せつつも、一歩退いて一礼する。

「心強いです。……ですが、私は非戦闘員ですので、案内はここまでです……」

彼女は相変わらずの微笑を見せつつも、しかし次の瞬間には何か、異変のような、不快感を煽るような微笑へと変わり、テラは異常な火薬の臭いに反応する。

「これ……!」

「テラ?」

テラの不可解な叫びにアイエフはちらりと横目で表情を覗く。

「下がれっ!!」

テラはそう叫び、コンペルサシオンの傍にいたネプテューヌ、コンパの手を引いて思いきり手前に引っ張り込む。

「それでは……良き旅を」

コンペルサシオンは不適に呟き、次の瞬間に先程までネプテューヌ達が立っていた場所に次々と大片の瓦礫が降り注ぐ。

 

 

――間一髪、と思われたがテラの力の強さ、更にはネプテューヌ&コンパの体重の軽さが原因でバタリと嫌に大きな音を立てて三人は倒れ込む。

砂煙でロクに見えないがためにアイエフは必死に手で砂煙を払い、倒れた三人を探すが丁度足下にいたテラの頭に足を引っかけて盛大にすっ転ぶ。

「っきゃ!?」

「げふっ!?」

更なる衝撃を受けてそろそろ昼に食べたラーメンがリバースしそうになるのをテラは必死に留めて晴れてきた視界に彼女たちの姿を映す。

「だいじょう、――ぶか……?」

果たして彼の見ているものが何かと言われればそれは何というか白、である。

目立たなそうではあるが、そのイメージとは逆に見た者の記憶にしっかりと刻み込まれるような白。

緩やかな曲線を描く腰から柔らかながらも屈強さを思わせるような臀部――

 

「……コンパ?」

「はい……? って、ぅえ?!」

コンパの股の間にテラの顔が挟み込まれるような形となり、公序良俗に反するような話題になりかねないので深く突き詰めるようなことはしないでおく。

とにかく、である。

スカートの中(ここでは社会的マナーなどを考慮してこう表記させて頂きます)を覗かれて慌てたコンパはジタバタと暴れてその右足がテラの顎に痛烈にヒットした。

「ごっふ!」

今日は主に上半身へのダメージが酷い気がする、とテラは思った。

ちなみに今日これまでにテラが上半身へと受けたダメージは頭部の強打、腹部の強打、額部の強打と主に強打しかないし、まだ3つしか無いのにそんなことを言うと嫌なフラグが立ってしまった気がしないでもない。

 

 *

 

閑話休題。

痛みに悶えるテラを奇異の目で見ながらアイエフは積み上げられた瓦礫の山を見ては表情を困惑に染める。

「がっちり埋まってるわね……」

「どうするの? このままだと生き埋めだよ」

ネプテューヌはそうは言うものの緊張感とかそういう類の物が全く感じられないのでいまいち緊迫感というかそういったものを醸し出せていない。

「とりあえず、どこか別の出口でも探しましょ? これだけの規模だもの、一個くらいはあってもおかしくないでしょ。コンパがめそめそし出したらコトだし」

アイエフはくるっと踵を帰してダンジョンの奥を目指す。

背後で軽くめそめそ、とは言っても半分は羞恥で顔を真っ赤にしていたコンパが勢いよく振り向く。

「これくらいでめそめそなんてしないですっ!」

「いや、涙目だぞ……」

最早フォローのしようもないというか、ハナからフォローをするつもりもないというか、何というかテラはオブラートに包むとかそういうことは苦手。

「にしても、あの宣教師、これを見越して俺達をココに連れてきたのかな?」

座り込んでいるコンパを立たせて、テラは背後の二人をふり返る。

「どーいうこと?」

「ラステイションでも似たような事されただろ? 廃工場に閉じ込められてよ」

「……あー」

そういえばそんなこともあった、とネプテューヌはポンと手のひらを叩く。

「てことは何? アイツも私達を消そうと企んでるって事?」

「……推測だがな」

「だってさ。ねぷ子の好きな悪よ、悪」

アイエフの言葉にネプテューヌはおぉーと奮い立って瞳をやや歓喜に染め上げるが果たして悪を見つけてかんきわまるのは人としてどうかなー、と思う。

「とりあえず、協会に着いたら一回殴ってやりましょ……」

低い声音で言うアイエフに一同は少々恐ろしいものを感じつつも出口を求めてダンジョン内を彷徨う。

 

しかし、

前方からはヒールの音のように高く響く音がする。

敵の襲撃かと一同は武器を構えるも、影の中から姿を現したのは一人の女性だった。

緑髪の長い髪をポニーテールで結わえて優美な姿勢で歩く女性は、例え彼女が何であったとしても一瞬で見ほれてしまうほどの魅力を兼ね備えた姿であった。

「意外と乱暴なのですわね、あいちゃん……?」

自分の名、というか愛称を呼ばれてアイエフは一瞬戸惑う。

「……とは言っても、これでは分からないですわよね」

その言葉の真意が読めないのだが、とりあえず一行は話を続ける。

「誰? あいちゃんの知り合い?」

「どー見てもねぷ子の変身後の姿にそっくりじゃない。ねぷ子の知り合いでしょ?」

その言葉を聞いて女性は少し寂しそうな表情を見せる。

「んー、あいちゃんになら気付かれてもいいかな、と思っていたのですが……」

しかし、アイエフは小首を傾げてこんな人と会ったかなと思案していた。

テラは彼女を見ていた。

覚えがある。否、懐かしい?

いや、もっと直感的に――。

だが、そんなテラの心中などお構いなしに、女性は続ける。

「それよりも、毒殺の件。貴女達の自作自演だと聞きましたわ……!

協会の方達に毒殺されそうになったと言って権威を失墜させるのが目的だったそうですわね?」

「何言ってるの!? ホントに死にかけたんだよ、私!!」

そう弁解するネプテューヌを女性は微妙な表情で見つめる。

「私だってできるのなら貴女達を信用したいですわ。

でも、貴族の方々にお世話になっているのでしょう? それならば容易に話を繋げることも出来ますわ」

鬼気としたオーラを引き出す彼女にコンパはおずおずと、しかし力強く答える。

「誤解です!貴族の人達にはお世話になってるですけど、毒の話は決して嘘なんかじゃないです!」

「だいたい、喧嘩の原因を作ったのは協会でしょ? 私達は貴族の人達に恩返ししてるだけだもん!」

女性はしかし、その問い、反論に強く反発する。

「そんなことはありませんわ。協会の方々はとても熱心に働いてくれています。

今のリーンボックスの平和こそが、その証と言えなくて?」

「……」

その反論に一行は黙り込んでしまう。

「あなた方が、その平和を乱しているのですわ。知ってか知らずかは、分かりかねますが……」

「確かに……そうかもな」

テラは静かにそう答える。

今の今まで黙って彼女の話を聞いていたのかと思えば、今の彼には何か決意に満ちたような表情で彼女を見つめている。

そんなテラを女性は少しばかり疑問を抱くような瞳で凝視していた。

「俺達は確かにリーンボックスの平和を乱している、のかもしれない……。

でも、俺達の平和だってココの協会に乱されたんだ」

「……」

「確かに、モンスターとの戦闘で安全とは言えない。それでも、俺は今が楽しいんだ。

だから、もし今の俺達を壊そうとするんだったら、協会だろうがなんだろうが躊躇するつもりはないし、全力で相手をするつもりだ」

テラの言葉に女性は顎に手を当てて何かをブツブツと呟き、やがて意を決したように顔を上げる。

「なるほど、貴方はそのような方でしたのね……。

皆さん、今日はここで。またそのうちにでもお会いいたしましょう」

ニコッと微笑み、踵を帰してまた闇の中に消えていく女性の背を一行は何か一抹の不安のようなものを感じながら見つめていた。

 

「結局、なんだったです? お名前聞いてないです……」

マイペースなのか、何なのかは理解できないがコンパはそんなことを言った。

 

 

 

 

世界とは何か――。

 

幼くして既に達観していた少年はいつもそんなことを考える。

 

結局、今少年が立っているのは『大地』であり、世界とは言わない。

 

 

 

『空』と『大地』。

結局、それもただ世界の中に存在するだけの『モノ』の一つであり、それらを『世界』とは言わない。

 

 

 

では、世界とは何か?

人の世?

はたまたは、感情?

 

 

 

 

 

それとは結局は人それぞれの中に見える景色であり、世界とはその人が見ている景色である。

否、景色ではない。

例え、そこにどんなに美しい世界が広がっていたとしても、人はそれを世界とは言わないだろう。

一人とは面白いモノで、結局、世界とは自分であり、自分は世界である、と考える。

 

 

 

 

とどのつまり、世界とは自分を指し、自分は世界となっているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己とは何か?

己に何もない。

それすなわち、世界にとって何もないということになっているはずである。

 

 

しかし、少年は世界を感じていた。

自分自身の中ではなく、自分の周りに起こる世界を感じていた。

騒がしい。

自分の思うとおりにいかないような世界であった。

それでも、彼は満足感に溢れていたのである。

 

 

 

それは何か?

 

 

 

 

 

少年の傍らには微笑を浮かべる少女が、一人、少年と同じくして木陰に座り込んでいた。

少年は上体の力を抜いて広大な草原の中に佇む巨木の元にゴロンと身を投げた。

 

「世界って、何だと思う?」

 

少年はいつの間にか、傍らの少女にそんな疑問を投げかけていた。

少女は少し戸惑った風な表情を見せるがすぐにまたいつもの微笑へと戻り、少年を見る。

 

「そういう寛大なテーマはあの娘と語った方が面白いんじゃない?」

「ん……、そうじゃなくて姉貴みたいなもっと素直な意見も聞きたい……」

「そう?」

 

果たして彼らは姉弟なのであろうか、世辞にも二人は似ているとは言えない。

その答えは明白ではないが、少女はしかし気にした風もなく、顎に手を当てて少し唸ると少年の方を向いてそっとその頬に手を添える。

 

「私にとっての世界は、あなた達」

「……何、それ」

「あなた達がいなければ、私の中に世界は生まれなかった……。ってコト」

「分かんない……」

 

少年は上体を起こして空を仰ぎ、不服そうな表情を浮かべる。

 

「結局、あの空も、この大地も姉貴にとっては必要じゃないってコト?」

「んー、そういうことではなくて……」

 

少女は少し考える風に目を閉じて少年をそっと傍に抱き寄せる。

 

「貴方はこの景色を見てどう思う?」

 

素朴、しかし、真の深い問いに少年は戸惑いつつも辺りの草原をざっと見回して漏らす。

 

「……綺麗」

 

何も遮るモノのない。

ただ、草原と呼べるだけの景色に少年は心を奪われた。

なんてことはない『世界』であるハズなのだ。

 

「あなた達が綺麗だと、美しいと思える景色こそが、私には必要なの」

「……もし、俺達が何も思わなかったら?」

 

しかし少女は何も答えず、少年の頭を抱き寄せ、すっかり伸びてきた少年の髪越しに頭を撫でる。

少女の意図することは理解しかねるが、少年はそんな彼女の何気ない行為がすごく好きだった。

仄かに香る彼女の匂いや、ぴったりとくっついていれば自然と伝わる彼女の肌の感触や胸の鼓動。

 

「……これが、世界」

 

 

 

 

少年にとっての世界は、何だったのだろうか。

 

少年にとって望む答えが見つかったのかは定かではない。

しかし、この時、少年は思った。

自分の大切な存在の有るこの場所が、次元が、己にとっての世界なのだと――。

 

 

 

 

 

大切な者達こそが、己にとっての世界なのだと――。

 

 

 

 

 

 

――。

 

 

 

「何でだよ!!」

 

 

 

 

「『世界』、なんじゃないのかよ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタにとって、俺達は世界だって言ってたじゃないか!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉貴の嘘つきぃっ!!!」

 

少年は悲しく、哀しく叫んだ。

しかし、彼の言葉は彼女には届かない。

 

 

少年はそっと、涙を零した。

 

 

 

 

 

 

 

 

――世界とは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

MY WORLD…???

 

 

 ‡

 

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テラは街を歩いていた。

 

なんてことはない。

ただの暇潰しである。

 

ただ、何というか無性に歩きたい気分であったのでこうしてリーンボックスの街中を何となく闊歩しているのである。

一応、他の三人には休みのようなモノを貰ったのだが、年中休みみたいなモノだし果たして何の意味があったのかとテラは疑問を抱くのだが、抱くだけ無駄なのでそれ以上は深く考えないことにした。

 

 

 

 

 

それはそれとして。

テラという少年は、何に置いても無関心な性格であるはずだった。

それはもちろん士官生として、余計な念を抱くと任務に支障が出るので学校側からある程度の事を規制されていたのであるが、それだと人間的につまらないという異論でその規制は多少緩められているのではあるが、それにしてもこの少年は群を抜いて無関心、仕事役割に従事するのであった。

 

彼の養父である、士官校学長及び軍部中将であるギルバ・アイト(48)はそんな彼を見て多少なりの傷心をしていたようではあるが、本人にそういった意志がない以上、彼も口出しが出来なかったのである。

 

 

 

趣味というモノも無しに、テラは何をしようかと迷いながら街中をただ歩き回っていた。

 

 

 

「――テラではありません? お久しぶりですわね」

ふと、上品な言葉遣いと共に優しい鈴のような声がテラに降りかかる。

「ごきげんよう」

女神、グリーンハートニコリと微笑を携えて小さく右手を振る。

「どうも」

テラは一礼して彼女を見る。

しかし、グリーンハートは不服そうに頬を膨らませる。

「別にそんなに堅苦しくしなくても良いですわ。いつものようにしてください」

「……いや、一応街中だし、女神様にそんなに馴れ馴れしくしても、な?」

テラはそう言うが、グリーンハートはまだ機嫌を直さないようでそっぽを向いてしまう。

少々やりにくそうにテラはポリポリと額を掻く。

「悪かった。……んで、ベールはいったいココで何をしてたんだ?」

テラの言葉に機嫌を直してベールは再び微笑を浮かべる。

「実はこれからネプテューヌのところに行こうと思っていましたの。良かったらテラが案内して頂けなくて?」

「……まあ、そういうことなら」

ベールの言動に少々の疑問を浮かべつつも自分達の滞在するホテルへと足を向けた。

 

 

「そういえば、何か俺達に用でもあるのか?」

ホテルへと向かう中でそんな疑問を口にする。

用があるのなら自分に言えばいいと今更ながらに気付いたテラ。

しかし、

「少し、ネプテューヌに用があるのですわ。とっても大事なお話なんです」

「へぇ。アイツに重要な話って……」

なんだかとっても不安な気がしないでもないが、彼女がそう言うのならとテラは無理矢理に納得してふと目に入った自販機に向かう。

「ベール、喉乾いてないか? 何か奢ろうか?」

テラはポケットから小銭を取り出して自販機を指す。

「そんな、悪いですわ。ただでさえ、テラは旅をしてお金が必要なのでしょう?」

そう言って否定の色を見せる。

「いいって。女の子に奢れないほど困っているワケじゃないし」

しかも、最近テラ達はこれと言って出費をしているわけではなく、寧ろ収入の方が遥かに多いので多少無駄に使ってもまだ余裕があるほどであった。

ベールは少々遠慮がちに自販機の中から適当なジュースを選び、ボタンを押す。

出てきたジュースを取り出してベールは申し訳なさそうに告げる。

「有り難うございます。頂きますわね」

「おう」

テラは出てきた釣り銭を回収して懐にしまう。

手頃な場所を見つけてそこのベンチに座り、ベールはジュースを傾ける。

「美味いか?」

「まあ、なかなかですわね」

ニコと微笑むベールの横顔を見ながら、テラはその手中からジュースをひょいと抜き取る。

「ちょっとくれ」

「え……? あ、ちょっ!?」

しかし、ベールの制止もむなしくテラはジュースに口を付けてぐびりと一口飲み込む。

瞬間湯沸かし器のようにボワッとベールの顔が見る間に紅くなるが、テラはお構いなしにジュースを返す。

「確かに、なかなかだな。俺も買おうかな――って、ベール?」

しかし、その異変が自分の所為だとは毛ほども思っていないテラはベールの表情を見て疑問符を浮かべる。

「おぉい」

目の前で右手を軽く振ってみせるが、反応がない。ただの少女のようだ。

テラは首を傾げつつも、彼女の手の内にペットボトルを戻して背もたれに身を預ける。

 

ベールはそれから十分ほど微動だにせずに座っていたのだが、意を決したように立ち上がる。

「そ、そうですわ! ネプテューヌに用があったのですし、早く行かないといけませんわね!!」

多少取り乱した風に叫ぶ彼女を見てテラは更に?マークを広げたが別段気にすることでもないので先行する彼女の後を急いで追った。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

「ねぷ子?」

テラはノックしてネプテューヌのいる部屋の扉を開ける。

「ふむ?」

眠っていたのか、ネプテューヌは間の抜けた声を上げてテラの方を見る。

「お客様だぞ」

「誰―?」

寝惚け眼を擦りながら、ネプテューヌはテラの言っている客人、ベールを見る。

「って、女神様? なんで!?」

ネプテューヌは心底驚いた風に声を上げる。

「ごきげんよう。テラ、少し二人きりにして頂けません? とても個人的なお話なのですわ」

「……そうか。終わったら呼んでくれ」

そう言ってテラは扉を閉める。

少々納得のいかないことはあるモノのテラはとりあえず自室へと向かう。

その途中に恐らく買い物から帰ってきたらしいコンパ、アイエフの二人と出会う。

「二人とも。今ちょっと立て込んでるからねぷ子の部屋には行かない方が良いぞ」

「どういうことです?」

「ん……、ベール、いや女神様が来ていてな」

「え……。どゆこと?」

アイエフが怪訝な顔つきをするが、事情を知らない以上テラも明確な答えを出すことは出来ない。

「何か知らんが、大事な話があるらしい」

「ねぷ子に大事な話、ね……」

恐らくアイエフもテラと同じくな事を思ったらしく、冷や汗を垂らす。

「少し納得できないですけど、お話が終わったら私達も聞きたいですね」

「そうだな。にしてもホントに何の話をしているんだか……」

 

 *

 

「えーと, 女神様が何の用?」

果たして礼儀を弁えているのか、ネプテューヌはそんなことを口走る。

しかし、ベールはさして気にした風もなく、微笑のままで口を開く。

「そうですわね。まずはいつものようにゲームの話から致しましょう」

「へ……?」

予想外の話題が来て、ネプテューヌも動揺したのか変な声を上げて目を見開く。

「あのー、私やったこと無いんだけどー……」

「まあ、自分の大陸のモノもやったことがないんですの!?」

心底驚いた風に声を上げるベールは首を横に振りながら溜息を吐く。

「……自分の大陸? 私大陸持ってるほどブルジョアじゃないよ?」

「本気で言っていますの……?」

奇怪なモノを見る目でベールはネプテューヌを見る。

「うん!」

「……」

ネプテューヌの返答にベールは顎に手を当てて考え込むが、ふと口を開く。

「貴女、もしかして記憶が無い、とか……」

「あたりー! よく分かったね?」

「……そうですか。では、この話は保留ですわね」

ベールはまたニコリと微笑んで席を立ち、ドアに手を掛ける。

「えー! 何が? 気になる――!!」

しかし、ネプテューヌの叫びは決して届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

三人も、話の皮切りがゲームの話題とは思いもするまい……。

 

 *

 

果たして、

ネプテューヌとベールが話をしてからほんの5分程度。

ネプテューヌの部屋の扉が開き、ベールが顔を覗かせる。

「お待たせしました」

『早っ!』

驚異の早さに三人は衝撃を受ける。

とりあえず、指示に従っておこうと三人は手招きするベールの待つ部屋へと足を踏み入れる。

そこには腕組み、うーんと唸るネプテューヌがいたのだが三人は華麗にスルーして椅子に座る。

「さて、少し聞きたいことがありますの……」

さっきの話はその事じゃなかったのかな、とテラは思ったが口を挟むのも憚られるような雰囲気をベールが出していたため諦めた。

「あなた方が貴族に組しているというのを聞きましたの。

協会側、としては見逃せる話ではないですわね……」

しかし、その言葉に先程まで唸っていたネプテューヌは机をバンと叩き、声を上げる。

「女神様までそんなこと言うんだね! 確かに武器を密輸したり、悪いことしてるかもしれないけど……」

なんか言い分がひっちゃかめっちゃかになってる気がするが突っ込むべきところではない。

「それでも、貴族の人達は悪いことなんてしてないよ!

元はと言えば教院長さん達が変な事するから貴族の人達も怒っちゃうんだよ!」

ネプテューヌの言葉にベールは眉をひそめる。

「変なこと……?」

「十年前の貴族反乱事件とやららしい。詳しいことは知らないが……」

「ああ……。私はその時は下界にいなかったので分かりかねますが……」

ベールは納得したような声を上げる。

「それに、この前なんかねぷねぷの毒の話が自作自演だって言っている人もいたですよ!?」

コンパが声を張り上げて力説するのに、ベールはブツブツと何かを呟く。

『確かに、ネプテューヌが記憶を失っているのなら教会や女神を敵視する理由もないですわね……』

しかし、それはさして気にした風もなくベールはニコと微笑んで

「それにしても、ねぷねぷなんて面白い渾名ですわ。私もそう呼びましょうか、ねえ?

ねぷねぷ?」

そんな言葉にネプテューヌは笑顔で応える。

「いいよー、女神様。好きに呼んでね」

何この緊張感のない会話、とテラとアイエフの真面目二人組はそう思う。

「どうせ、あの宣教師が仕返しに来るー、とかで嘘でも流してるんじゃないの?」

「仕返し……。コンペルさんと何かありましたの?」

ベールは首を傾げてアイエフに問いかける。

「この前、あの宣教師に連れられてダンジョンに行ったのだけど、その時にダンジョンに閉じ込められて散々な目にあったのよ……」

アイエフはがっくりと肩を落として溜息を吐く。

「コンペルさんが……。にわかには信じられないですわね……」

「でも、あの時確かに火薬の匂いがしたんだ。少なくとも事故の類ではないはずだし、タイミングが良すぎた。残念だが疑わざるを得ないんだよ……」

テラの言葉に、ベールは少々残念そうに表情を苦に染めながらも続ける。

「それでも、あまり信じたくはないですわね……」

「駄目ですよ! 疑われるような行動をするのはいけないです! 捕まえて吐かせちゃいましょう!」

この娘、可愛い顔をして結構恐ろしいことを言うなと4人は感じたが、確かにその言葉は理に適っていると言えば適っているのでとりあえず詳しいことは話を聞いてからだとベールと共に教会を目指した――。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

教会について数分。

ベールが浮かない顔をして教会の扉を開く。

「どうした?」

「実は、コンペルさんは少し前に出かけてしまったらしいですわ」

その言葉にあちゃーとテラは額を抑える。

しかし、

「何処に行ったかは聞けましたが、如何にしましょう……?」

「そんなの追うに決まってるじゃん! 何処に行ったの?」

ネプテューヌの言葉にベールはぴらっと一枚の紙切れを取り出す。

そこには詳細な地図に赤点が記してあるモノだった。恐らく目的地の位置を示しているのだろう。

「ダンジョン?」

「そうみたいですわね……」

コンペルサシオンが向かったのは何の変哲もないただのダンジョン。

しかし、生身の人間が近付くにはあまりに危険すぎる場所である。

「なんだってこんな場所に……」

テラは訝しむように地図をのぞき込む。

「兎に角追ってみるです! 女神様はここで待っていて欲しいです」

しかし、ベールは首を横に振り、否定の色を見せる。

「私も行きます!」

だが、いくら何でもそれは危ないなあと一同は思うのだがベールは全く聞き入れず、その瞳には決意が輝いていた。

「仕方がないな……。ベールは俺が守りながら行くから、三人は先行して出来るだけモンスターを掃討していってくれ」

テラの言葉に三人は納得しかねるモノがあったのだが、ここで論議していても解決する事案ではないために仕方なく了承し、一行は目的のダンジョンへと向かうのだった――。

 

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「ベール、大丈夫か?」

「気をつかってくれて有り難う。大丈夫ですわ」

大きな段差のあるところでテラは上から手を差し伸べる。

ベールはテラの力を借りてその段差を上がり、ふうと一息吐く。

 

やはり、ネプテューヌ達のお陰かモンスターの姿は一向に見当たらない。

テラは傍らで軽く息を荒くさせるベールを見かねて声を掛ける。

「少し休憩するか?」

「え? いいえ、これくらい大丈夫ですわ」

「そうか……。でも、辛くなったらいつでも言えよ? 女神様に倒れられたら俺達もココの人達も困るんだからな」

テラはそう言ってベールの頭をポンポンと軽く撫でる。

「……テラは、優しいですわね」

「え?」

いきなりのベールの言葉にテラは思わずそう返す。

「なんだ、いきなり?」

「気遣いもとても優しくて安心しますわ」

テラはやりにくそうに額を掻く。

「そんなんじゃないよ、意識しているつもりはないし……。ただ本当に心配なだけ」

「それでも私にとっては嬉しいですわ」

そう言ってニコッと笑うベールにテラは更にやりにくそうにそっぽを向く。

テラは前に進みながらもふと口を開く。

「昔、他人は大事にしろって誰かに言われてさ……」

「両親か誰かに?」

「いや、よく覚えてないんだよ……。でも、大事なことだからさ」

テラはそう言ってベールの手を取る。

「大事な人とか、手の届く範囲では俺が守りたいなって思うから」

そう言ってテラはベールの手を引いてダンジョンの中を走る。

 

 *

 

テラの前方にネプテューヌ達が岩陰に身を隠すようにいる姿が確認できた。

恐らくコンペルサシオンを見つけたのだろう。

テラとベールはばれないようにそっと身を屈めて移動し、三人の元へ向かう。

「お待たせ」

「遅かったわね」

アイエフはそう漏らしつつも視線を向こうから外さない。

テラもすぐにコンペルサシオンに視線を向ける。

見れば、時計をチラチラと気にしながらもテラ達のいる反対の方向を気にしている。

「待ち人でもいんのか……?」

「それにしてはずいぶん物騒なところを選ぶですね……」

コンパの言い分はもっともであるが、他人に聞かれたくない話というのならば非常に納得のいく場所でもあった。

しかし、それ程までに命を懸けてまでに聞かれたくないほどの重要な話か――テラはそんなことを思いながら未だその場から動かないコンペルサシオンを凝視していた。

 

 

 

 

 

 

……。

 

どれほどの時間が経ったか、いやはたまたはそんなに時間も経っていないのか定かではないが、ふとダンジョンの奥から一人の男性と思しき影が姿を見せる。

すっかりぐったりモードに入ってしまっていた一同もその足音に身を乗り出すか如くに岩陰からその姿をのぞき込む。

しかし、一行が見ている場からは丁度影の当たる位置となっており、相手にしている男性の顔は認識できない。

 

「……こちらの準備は整った。そちらの準備が良ければ、すぐにでも決行しようと思うのだが、協会側は応戦するだろうか?」

そんな男性の問い掛けに、コンペルサシオンは多少不安の入り交じったような声を上げるが、しかしそれはテラにとっては何か、もっと深く重要な事柄についてリンクしているのではないかと考えさせられるような雰囲気でもあった。

「グリーンハート様の不在は気になるところですが、好都合かもしれませんね……。

あの教院長ならば、勝手に動き出してくれることでしょう……」

 

話を多少端折ってはいるが、それでも一行が話の内容を認識するには充分すぎるほどの情報であった。

「宣教師の野郎が何者かと組んでいたのか……? それで協会襲撃なんて馬鹿げたこと……」

「でも、この声に聞き覚えない?」

ネプテューヌの言うとおり、ベールを除く4人は妙な違和感に包まれていた。

つい最近まで聞いていたような、何処か引っかかる声質。

それだけではない。

チラリと見える佇まいや醸し出すオーラ……、テラは目を細めて暗がりの中に佇む男の姿を――見た。

 

「ジャッドか……」

「えぇ!?」

コンパはテラの側に寄ってその姿を視認する。

「誰ですの?」

「私達を匿ってくれていた貴族さんですぅ……」

「嘘でしょ……」

リーンボックスの現状としては有り得ない光景であった。

他の大陸とはいえ、協会の組する者と貴族である彼が秘密裏に繋がり、そして協会の襲撃なんていうことを企てているなど――。

 

「アヴニールからの武装の輸入も完了したし、問題がなければそっちが予定通りに邸宅を襲え。協会の仕業だと分かれば貴族の方も黙ってはいないだろう」

「まあ、貴族側にはラステイションの武装がありますし、負けることはないでしょう……」

「全くだな。あっちのギルドには借りが出来た」

ジャッドは面倒くさそうに首を振る。

 

「ギルド関係者か……?」

テラは苦々しく呟く。

「騙してたんだね……貴族長も私達も……」

ネプテューヌは残念そうに肩を落として地面に座り込む。

「とにかく、今は邸宅の襲撃って言うのが気になる話ね。いったんココを離れましょう」

アイエフの言葉に一同は二人にばれないようにそっとその場を立ち去る……。

 

 

二人からだいぶ離れ、モンスターもあまり出ない比較的安全な場所で一同はやけに神妙な顔つきで集まっていた。

「アイツは自分の家を襲わせて協会襲撃の火種にするつもりらしいな。いったい誰に襲わせるつもりなんだ……?」

「ギルドの人とか……? とにかく、こればかりは協会も貴族も放っておけないわ」

アイエフはそう言ってうーんと唸る。

しかし、コレばかりは今更、しかも自分達の力のみでどうにかできるような事案でもない。

「協会の方は私の方で何とか致しますわ。皆さんは、貴族の方々に話をしに行って頂けますか?」

ベールの指示に一同は頷き、そっとその場を後にする。

「ねえ、宣教師の人はどうするの? このまま放ってはおけないよ」

「……それも私の方で何とか致しましょう。ともかく今は少しでも被害を減らすように尽力いたしましょう!」

一同はそのままダンジョンを抜けて、各々の目的地へと向かい、駆けていく――。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

「貴族長!」

荒々しく扉を開けるネプテューヌを驚きの目で見つつも、貴族長はすぐにいつものように人柄の良い笑みを浮かべる。

「どうした? 今日は特に仕事の依頼も――」

「そうじゃない。……ジャッドの野郎は? まだ帰ってないのか?」

「……ああ。アイツなら夕刻まで帰らないと言っていたが?」

テラは舌打ちして窓の外に目を向ける。

空はどんよりとした曇天で、これから起こるであろう不吉を予感するような『灰』であった。

「……実は、言っておきたいことがあるんだ」

「どうした?」

妙に改まった姿勢に、流石にこれはただ事じゃないと悟ったのであろうテュルコワーズは真剣な目付きで話を聞き入る。

「それがな……」

「ジャッドさんは裏切り者だったです!」

コンパのいきなり過ぎる話の端折り具合に一行(ネプ、コンパ除く)は衝撃を受けて思わずテュルコワーズの顔色をうかがった。

突拍子もないことを抜かされて流石に戸惑うか、目を白黒させていたが後にむすっとした表情で答える。

「何を馬鹿げたことを……。いくらワシでも怒るぞ?」

まあ、義理とはいえ息子のことを悪く言われたら怒るよなとテラはやりにくそうにしながらも話を繋げる。

「ジャッドはギルドの人間だった。アンタらが仕入れた武器はラステイションから流されていたモノだったって事だ」

テラの説明に眉をひそめつつ、テュルコワーズは浮かんできたのであろう疑問をぶつける。

「しかし、アイツがそんなことをして何になると言うのだ?」

「こんな事するのは大概が過激派の連中ね。協会に取って代わって……みたいなことなら、充分な動機になるわよ」

「……ギルドメンバーだからか? 協会を倒すために自分が育った家を襲わせるなぞ、アイツが計画するわけがない! だいたい、ここは簡単には見つからない場所にある。そうそう襲えるモノか!」

そう憤慨するテュルコワーズをあくまでアイエフは冷静に見る。

「……そう言うことなら、ますます貴族の協力は必要不可欠になってくると思うわ」

その言葉にテュルコワーズがギリリと奥歯を噛みしめたとき――であった。

屋敷は突如、轟音を響かせて大きく揺れ、窓からのぞき込んでみれば屋敷の至る所からもうもうと爆炎が上がっているのが確認できた。

 

 

ドタバタと荒々しい足音が響き渡り、部屋のドアは開け放たれて

ジャッドが顔を覗かせる。

その表情には切羽詰まったような色が映されていたが、しかしそんなことはどうでも良かった。

「協会の襲撃だ!!」

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

邸宅から伸びる抜け道を使い、一同はある程度離れた森林の中に逃げ込んでいた。

「まさか……本当に?」

「これで私達が嘘をついてないって分かったでしょー?」

そう言って不謹慎にも勝ち誇った風な態度をとるネプテューヌをテラは彼女を小突いて、傍らに立つジャッドに視線を向ける。

「……いったい何の話だ?」

しかし、一番の関係者であるジャッドはそんな一同を見て眉をしかめる。

「聞いてたよ。宣教師の人とグルなのも、貴族を利用して協会を襲撃しようとしてたことも!」

ネプテューヌの言葉にジャッドは目を見開いて狼狽する。

「あの場にいたというのか……! ならもう隠すことはない、か……」

「何でこんな事を? 協会を倒すためだけに貴族を利用していたのか?」

「女神様に仕える協会が憎いっていうのは分かるけど、だからって他人を利用して良いと思っているの?」

アイエフの問い掛けに、ジャッドは険しい表情で、声音を低くさせて呟く。

「それは、貴族とて同じ事だ。――俺は十年前に協会の粛正にあい、ルウィーに逃げ延びた。

貴族に追われ、命からがらルウィーへと逃げ延びたんだ」

しかし、不可解な物言いに一同は眉をひそめる。

「どういう事? 十年前の事件は国政院の反乱でしょ? なんで粛清なんて話になるの?」

「全くだ。我々は確かに十年前に国政院とそれに組する異端者を討伐したが、決して粛清ではないぞ! 女神様に仇成す国政院を討ったまでだ、弾圧に加担した覚えはない!」

そこまでテュルコワーズが言ったところで、ジャッドは大きな叫びのような声でそれを遮る。

「国政院は協会の弾圧に苦しむ異端者の一団をルウィーへ逃がすために戦った!

真実は隠蔽され、貴族は国政院の反乱を抑えたとして勲章を貰い、教院は絶対的な地位を得た……」

「つまり、教院長がそこまでして事実を隠したのは――」

「自らが招いた反乱の鎮圧に貴族を利用したことを知られたくなかったから――って事ね」

ジャッドの力説を聞き終えて、しかしアイエフは呆れたように額を押さえる。

ふとネプテューヌは一歩前に出る。

「ジャッドはつまり協会も貴族も憎くて溜まらなかったんだよね?

でも、それは悪いことをして言い理由になんてならないよ……?」

「理由にはならなくとも動機としては充分だろう?

しかし、俺の計画もココまで――いや、まだ……」

ジャッドは何かをブツブツと呟いた後、一向に背を向けて何処かへと一目散に駆けだしていった。

「あ! 逃げたです!!」

「仕様がねえ、追うぞ! 貴族長はさっさとココから離れろ」

「もう話は分かったでしょ? だったらもう武器を持って協会を襲撃するなんて馬鹿げたことはもう計画しないで、分かった?」

アイエフの言葉に、テュルコワーズは渋々と頷く。

そして一行は踵を帰して、ジャッドが逃げた方向へと走り出す。

 

 

 

 

結局のところ、何が正しくて、何が悪いのか、なんて分からない。

そもそも決められないようなことなのかもしれない。

それでも、俺が、みんなが正しいと思ったことを信じて突き進むだけ。

それしかできないから――。

 

 

 

 

『それしかできないのなら、それだけを突き通せばいいのよ――』

 

 

 

昔、とても優しげな口調でそう言ってくれた人がいた気がする。

誰かは覚えていないけれど。

それでも、俺はみんなが、

 

 

 

 

 

 

『家族』が

正しいと思ったことを一緒に信じていくだけだから――。

 

 

 

 

説明
13話です
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前々から思っていたけれども最近特に思うようになってきた……
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超次元ゲイムネプテューヌ 二次創作 ご都合主義 

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