鬼 |
これは鬼の物語
人であり人で無い者の物語
持ちし刃を真紅に染め、
獲物を絶望に陥れ、
自らの欲望の赴くままに、
紅き雨を降らした鬼の物語
決して同情できない
絶望と悲哀と辛苦と愛の物語を
さぁ始めよう
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雨の降りしきる梅雨のある日
俺は道のど真ん中に倒れていた
「そろそろ俺は死ぬのか。
ようやく解放されるのか。
?この呪われし忌々しき
? 鬼の血から?」
と叫んだ
まるでそれが
人生の最高点であるかの様に。
1鬼覚醒
その瞬間俺は人でなくなった。
ほんの一瞬で
目の前が紅の海になってしまった
よくよく目を凝らせば
何らかの残骸であるのが分る。
が、それが人だったと
認識できる人は皆無であろう。
それほどの有様なのだから。
しかし本当になるとは、
呆然とはこのことなのだろう。
「言い伝えってえのは、
?案外本当なんだな〜。」
なんて呑気なことを言い、
改めて状況把握。
・・・どうみても犯人俺だな
凶器持ってるし、
何よりも野次馬いっぱいいるし、
どうみてもアウトだな。
逃げるしかないな。
では思い立ったが吉日
逃げるとしますか。
そんなわけで必死に逃げた。
気が付けば日は落ちていた。
「にしても疲れたな。
?とりあえず、寝るか。」
人殺しとは思えないことを
言って寝た
2〜昔話〜
不思議な夢をみた。
5年いやもっと昔かもしれない
そのくらい昔の夢ということだ。
親父と二人きりということは、
おそらく''あの話"だろう。
「お前に
?話さねばならないことがある。」
「何だよ。親父。」
「お前も知っているだろうが、
?我が一族は忌み嫌われている。
?何故だか分るか?」
「何だよ、唐突に。
?そんなの知らね〜よ。」
「まぁそれもそのはずだ。
?教えてないからな。」
「っで何だよ。それについて、
?教えてくれるのかよ?」
「あぁもちろんだ。
?但しこの話は他言無用。
?なにがあっても他人に
?漏らしてはならない。」
「一体どんな話なんだ?」
「では話そう我が一族に伝わる
?鬼の話を。」
昔、人を殺めてしまった者がいた
しかし、その者は憎悪でなく
欲望によって人を殺めた
しかも一人ではなく
何千人もの人をだ
その頃、巷では物の怪、祟り、
伊邪那美命の再来などと騒がれて
いたそうだ
然りとて人間、
寿命にも限りがある
その者もやがて死んだ
しかし、その者には子供がいた
その子供もひとを殺めた
また、その子孫も同じ様に
そして今日までその血は
受け継がれている
「待ってくれ。親父。
?まさか、」
「そのまさかだ。
?しかし安心しろ。
?最近100年間では
?誰一人として殺めていないから」
「なら安心なのかもしれないな」
「あぁ恐らく。しかし気をつけろ
?突然現れるかもしれないからな、
?その血は。
?決して頼ってはならないぞ。
?その鬼に。」
「わかったぜ?」
そんなわけなかったよ。
親父。
目覚めちまったよ。
血が。
そういえば今、何時だ?
(キョロキョロ)
てっぺん回ってんじゃん?
これが覚醒初日の出来事である
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