ゲイム業界へようこそ!その26 |
向こう側に凛と立っているブラックハートは既に女神化しており、手には彼女の愛用しているショートソードがしっかりと握られている。彼女の視線はネプテューヌを捉えていて、どうやら敵意をむき出しているように見える。
それに対してネプテューヌは「えっ、私がどうかしたのかな?」っと言った感じの表情を浮かべていた。それはそうだろう、彼女はことの事情を全く把握出来ていない。今までの記憶を失っていたネプテューヌは、自身がプラネテューヌを守護する女神であることはもちろん、同じ女神であるブラックハートのことなど重要な記憶を一切無くしているのだ。自身の素姓を全く覚えていない彼女がそんな態度をとるのは仕方の無いことである。
それにしても俺はこの状況でどう言った行動を取ればいいのだろうか。うる覚えではあるが、原作でネプテューヌとブラックハートの一対一の相対は初めから終わりまで一度も無かったはずなのだ。この状況が起こってしまったのはどう考えても俺の存在の影響にで間違いない。
とりあえず俺のするべき行動は傍観するの一択であろう、これ以上変に俺が話を拗らせて、原作崩壊を起こしてしまってはならない。
「あのぉ…どちら様ですか……?なんだか変身後の私に似てるますけど…親戚さんかな?」
「あなたねぇ〜〜私とあなたが親戚なわけないでしょうが…。まぁ近い存在ではあるだろうけど。」
「ごめんなさい……私って今までの記憶を失っていたんで、あなたのことも当然忘れちゃってるんですよぉ〜。」
「記憶を失ったとか前にも言ってたわねぇ…。今は別にそんな嘘は言わなくてもいいでしょうに、ここには私とあなたしかいないでしょうに。」
どうやら俺の存在にブラックハートは気付いていないみたいだ。いや、彼女の意識がネプテューヌにしか向いていないだけか…。
「えぇっと一緒にお兄さんもいるんですけど…。」
「そのお兄さんってのは一体どこにいるのよ。ん?そこにいるのは……って、レンじゃない!?なんでネプテューヌなんかと一緒にいるのよ?今日だって一緒にダンジョンにいこうかと思ってレンの家に行ったのに、もうどこかに出かけちゃってどこに行ってかと思えば…。」
どうやら俺はブラックハートに見つかってしまったようだ。はぁ…、これは面倒なことになりそうな気がしてならない。主に修羅場的な何かなんだが、何故だかそう感じざるをえない。
「お兄さんってあの人のこと知っているんですか?」
「あ…あぁ、まぁな……。今だから言うけど彼女は俺のパ「ちょっと待ちなさいネプテューヌ…、今彼のことを『お兄さん』と呼ばなかったかしら…?一体どういうことなのよ?」うわぁ〜、これはヒジョーにヤバイフラグが立ったね……。」
「ど、どういうことも何も、お兄さんはお兄さんですよ、それ以外の何者でもないんです。そもそも…あ、あなたには関係の無いことじゃないですか…、そんな怖い目をして何言ってるんですか?」
ネプテューヌよ、お前随分と強気だな…。それに対してブラックハートの方はっと……ウワァ〜〜なんだか彼女の背後から僅かに黒いオーラのようなものが見える気がするんだが俺の気のせいだろうか?彼女には悪いが、素直に怖いと思ってしまったよ…。
「ふ、ふふふっ、フフフフフ……、関係のないですって……?ネプテューヌ、それは大きな間違いだわ。私は彼とね、とぉ〜〜〜ても大きな関係を築いているのよ。それはもう、あなたが最近になって『兄さん』と呼んでいるレンと出会ったずっと前からね!」
そう言ってブラックハートは誇らしげに胸をはり、どや顔までしちゃっている。それにしてもブラックハートよ、俺達はまだ出会って3日目だぞ、ネプテューヌに威張れる程ではないからな。
しかし、ネプテューヌはことの事実は全く知らず、彼女の言葉に驚くほど同様しているようだ。うわぁ、ネプテューヌの後ろにもブラックハートと似た黒いオーラが現われ始めたぞ……。何だか息苦しくなってきた、出来ることならこの場から逃げ出したいです!!
「あなたの方が長い関係を持ってるのかも知れないけど、私だって負けてるとも思わない!なんたって私はレンさんのことを『お兄さん』と呼んでるんだから!それだけお兄さんのことを敬愛してるんです、大好きなんです!それに幾らそっちが関係を持ってると言っても実は大したことないんじゃないんですか?あなたのようなツンツンした人にお兄さんが入れ込むわけないです、絶対私のことの方が好きに決まってます!」
「ふふ…ネプテューヌ、甘いわね。時代はツンデレよ、ツンデレ!普段はツンツンしてても、ここぞと言う時にデレる…、このギャップを所持してる私のことをレンが好きなのは間違いない!あなたのような妹キャラの時代はもう終わったのよ!!これだけの差が有ってもまだ分からないのかしら?」
ウン、二人共会話が随分とはっちゃけてるね!俺もここまで修羅場になるとは思っても見なかった…。それになんだか二人共俺のことを好きとか言ってたけど本当なのかな?もし本当だったら嬉しいけど、そこのところどうなのか聞いてみようかな。
「あの〜〜お二人様?僕のこと好きとか何とか言ってたみたいですけど、どう言うことなんでしょうか?出来たら教えていただけると助かるのですが…。」
「レンは黙ってて!!」「お兄さん、少し静かにしてて!!」
「ハイ、スミマセンデシタ!!」
どうやら俺はKYだったらしい。二人の息の合った言葉に怯んでしまいましたよ…。これはさっきまでと同じように傍観者モードに入るしかないな。
「ネプテューヌ、どうやらあなたとは決着をつけなくちゃ駄目みたいね…。」
「私も同じことを考えてました…。あなたとは初めて会ったはずなのに、どうしても負けちゃ駄目だって心の奥からそう思うんです。だから、私はあなたには絶対に負けられないっ!!」
「勝負よ、ネプテューヌ!」
ブラックハートは手に持つショートソードを構えた。彼女の持つ剣は触れた者を容易く切り裂くであろう。その武器の先がしっかりとネプテューヌを捉えている。
「お兄さん見てて下さいね、今から変身して、あの人をすぐにやっつけちゃいますから!!」
そう言うとネプテューヌは眩い光を帯び始めた。彼女が言った通り、変身が始まったのだろう。
光と共にネプテューヌの服がはだけ、どこから現われたから分からないが、パープル色のプロセッサユニットが彼女を覆っていく。
『SET UP』
足には素早さを向上させるだろうプロセッサユニットが。
『SET UP』
腰には美しいフォルムのプロセッサユニットが。
『SET UP』
肩には剣を振るう腕力を向上させるであろうプロセッサユニットが。
『SET UP』
背には大きな跳躍を見せるだろう羽型のプロセッサユニットが。
『SET UP』
胴には相手の攻撃から身を守るであろう、薄く、しかしながら頑丈であるプロセサユニットが。
『SET UP』
頭には全ての性能を底上げする重要な役割を持つプロセッサユニットが。
それぞれのプロセッサユニットが彼女の肌に次々と装着されていき、眩い光が晴れた頃には先ほどまで一緒に話していた少女とはどこかへ消え、そこには凛々しい女性が姿を現していた。
(綺麗だ…。)
俺は素直にそう感じてしまった。やはり、彼女もまた女神であるのだと再認識した瞬間だった。
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あれ、太ったかな?まさかなぁ… | ||
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