ゲイム業界へようこそ!その38
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「レン!そっちにモンスターが行ったわよ、気をつけて!」

 

 

 

「ほいっと、了解!」

 

 

 

ブラックハートの声を聞きつつ、俺は前方の敵ATW-9という機械のモンスターと戦闘を行っていた。このATW-9というモンスター、銃弾を発射して来るのが本当に怖すぎる。ただ銃弾を撃つ際に決まったモーションをするようで見極めさえすれば全くどうと言うことは無かった。動く速さもまだ低レベルモンスターだけあってか鈍足で気付いてから動いても十分間に合う。なので敵からの攻撃は未だに俺に一度も当たっていない。ただ当たってしまった時のことを思うとぞっとするが。

 

 

常に横へ横へと周り込んでいき、前方にいる相手を翻弄する。攻撃モーションに入った時、必ず一度動きを止めるその時が最大の攻撃のチャンス。硬い表面に攻撃するのではなく、奥底に小さく隠れている精密機械の部分を狙って突きの攻撃を繰り出すのだ。相手の急所への攻撃、それは即ち大ダメージへと繋がり、結果は目の前の崩れ落ちたガラクタとなる。よし、残りは俺へと向かってくるATW-9一体で最後!

 

 

 

既に攻撃モーションに入っていたATW-9、しかしそれは先ほども説明した通り真正面への攻撃のみ。もちろん、真正面とは言っても横に幾ばくか当たり判定は存在するようだが、そのくらいの当たり判定の距離から脱出することは俺を含むノワール、ネプテューヌなどメインキャラであれば造作もないこと。

 

 

素早く横へと回避してそのまま敵へと接近していく。そして武器を握り直しATW-9へと突撃を行おうとした時、彼の目標は真っ二つに分かれて崩れて落ちた。二つに割れた先に見えるのは大剣を悠々と担ぎ直している、俺のただ一人のパーティーが存在していた。

 

 

 

「悪いわね、最後のモンスターは私がもらったわ。」

 

 

 

「別に構わないさ、報酬がそれで変わるわけでもないし。」

 

 

 

「それもそうね。これでクエストは達成、さっさと街に帰りましょ?」

 

 

 

そう言って女神化を解除するノワール、俺も彼女に続いて変身を解いた。

 

 

 

今日はモンスター退治と資金集めを兼ねてノワールとクエストに行くことにしたのだ。前回の体験を活かし俺一人だけではなく、ノワールにも参加してもらった。俺が誘った時ノワールは特に用事があるわけでもなかった為、すんなりと了承を得ることが出来た。

 

ちなみにクエスト名は「暴ロボを討て」、ATW-9を10体討伐することが今回の目標だ。推奨レベルが15であるのに対して、俺はレベル17、ノワールに至っては既にレベル20に達していた。二人だけでクエストを受けると言ったとしても、このレベルで更に俺達の技量を持ってすれば難なく達成するに違いない。クエスト結果も予想通りである。

 

 

それにしてもオレ強くなったよなぁ〜〜。ちょっとだけ自画自賛してみる。

 

 

 

「それにしても…お前はいつの間にレベル20に?」

 

 

 

「そりゃあこっちは街の皆のために日々モンスター退治してますからね。嫌でも上がっていくわよ。」

 

 

 

「あぁ〜なるほどね。」

 

 

 

「それよりなんで私のレベルをレンが知ってるの?あなたに話してないわよね?」

 

 

 

「ギクリッ!!?」

 

 

 

おいおい、目に見えて驚いてしまったよ。というかノワールさん変な部分に鋭いですよね!?そして初めて「ギクリ」とか声に出して言っちゃったよ!ハズカシィ〜〜!!

 

 

 

「フッ…これでも俺はノワールのパーティなんだゼ。君のことくらい何でもお見通しサ!」

 

 

 

「というか不自然なくらい動揺したわよね?しかも語尾が少しおかしくなってるし。」

 

 

 

「ハッハッハ〜、まったくノワールさんも変なこと言うもんダ。おじさん困っちゃうヨォ〜〜。」

 

 

 

「どう考えても今のあなたの方が変よ…。」

 

 

 

ノワールの視線が痛すぎる…。さっきの自身の発言が悔やまれる、まったく調子乗ってるからこんなことになるんだ。自問自答してても埒が明かない、何か打つ手が無いものか?

 

 

 

そんなことを考えているとノワールが突如として何かを閃いたような顔をして俺に話しかけてきた。そのニコニコした顔が今は怖いです…。

 

 

 

「レンは私のこと何でも分かるのよね?」

 

 

 

「お、おう!自分の言ったことに二言は無いぜ!!」

 

 

 

「なら私のことを軽く説明してもらおうかしら。そうねぇ…3行でよろしく♪」

 

 

 

大変眩しいほどの笑顔を振る舞いながら、この人はなんとまぁ〜難題をおっしゃりおる…。だが、俺はこれでも男、退かぬ!媚びぬ!省みぬ〜!

 

 

 

「ノワール、ラステイションを守護する守護女神。働き者で律儀である一方、頑張りすぎると空回りすることもある。声優志望で、コスプレもする可愛い女の子。」

 

 

 

神は言ってる、ウィキ先生をそのまま使えと。

 

 

 

「…よ、よし!3行ピッタリね、も、もう結構だわ!!」

 

 

 

「そして付け加えるなら…俺にとってただ一人の仲間だ。まぁ俺達にとれば当たり前のことだがな。」

 

 

 

「レン…///」

 

 

 

俺の言葉を聞いて頬を赤く染めたノワールがこちら見つめてくる。そんな彼女の表情がとても愛らしく、自身の顔もどうやら沸騰しているようだ。

 

 

 

「……。」

 

 

 

「……。」

 

 

 

お互い見つめ合ったまま、時が過ぎていく。否、時が止まっている気さえした。

 

 

 

ガサガサ

 

 

 

突如として聞こえてきた音で俺達は活動を再開し始めた。それにしても…ノワールの顔をあんなに真正面から見続けたの初めてかも。可愛かったなぁ…。

 

 

 

今でも自身の顔が真っ赤であるのは誰が見ても明白だ。とりあえずこのふやけた顔を元通りにしないと…。

 

 

 

「うおっほん!ノワールのことについてだが、更に付け加えちゃうと身長158センチ、体重〜キロ(ここではあえて隠しておこう、知りたければウィキに行ってらっしゃい。)、バストは「ストォ〜〜プ!!な、なんでそんなことまで知ってるのよ〜!?」フッ…これが俺の実力さ。(キリッ!)」

 

 

 

俺がドヤ顔をしているといつの間にやらノワールさん、距離取ってらっしゃる。アレ?オレ何かミスを犯しちゃった?

 

 

 

「いや実力って…。というか最後の方にバストとか言ってなかったかしら?」

 

 

 

「えっ?あぁ…イッテマセンヨ?」

 

 

 

「言ったわよねぇ?」

 

 

 

「いや〜〜まさか俺がそんなこと言うわ「イッタワヨネ?」HAI!GOMENNASAI!!」

 

 

 

ノワールの言葉の圧力に俺は簡単に敗北してしまった。いつの間にかDO☆GE☆ZAきめちゃってたし。

 

 

 

「……。」

 

 

 

「……。」

 

 

 

そして二度目の沈黙が始まった。この沈黙はさっきのなんかより数百倍は息苦しい…。だ、誰かタスケテ!

 

 

 

しかし今度の沈黙はノワールによって解除されることになった。

 

 

 

「…バスト。(ボソボソ)」

 

 

 

「ヘッ?」

 

 

 

「私のバスト言ってみなさいよ…///」

 

 

 

彼女は俺から目を背けてそう言ったのだ、わざわざ顔も真っ赤にしながら。

 

この場の流れからして俺は本当のことを言うべきなのだろうか?それとも敢えて白を通すべきだろうか?苦悩の末、俺の出した答えは…。

 

 

 

 

「Cカップ…だな。」

 

 

 

「……レンのエッチ。」

 

 

 

「ごめん…。」

 

 

 

俺から体を背け何故か腕で胸を覆い隠すブラックハートに対して、俺は為すすべも無くただ平然と静粛に謝罪を行った。もうどうにでもなってしまえ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街に辿り着く頃にはどちらも落ち着きを取り戻し普段と同じように接することが出来た。否、やっぱり少しはギクシャクしていたが。

 

 

それでも変に相手に気を使うことも無く、会話を行えているとは思える。内心はすっごくホッとしていた。(ホント良かった〜〜。)

 

 

 

クエスト達成の報告のためにアニメエイトに立ち寄り、無事に報酬を獲得した俺達はまだ時間に余裕がある理由から街を見て回ることにした。今度は俺もお金をしっかりと所有しているし、この機会にノワールへ何かプレゼントしてみたいな。さすがに高い物は無理なんだけど。

説明
やっぱりノワールが一番かわいいと思う作者であります。
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