ゲイム業界へようこそ!その42 |
「この世界はゲームの世界なんだ。」
「そうなんだ…。」
「もちろん、この世界に住む人々全員が最初から、いつ生まれ、いつ何をして、いつ死んでいくといった具体的な細部まで決まっていない。」
「ただ、主人公を含むメインキャラやボスキャラは違う。」
「どんな性格の持ち主で、どこでどのキャラと遭遇したり、どのタイミングでイベントが発生したりと既に製作者側によって決定されてあるんだ。」
「ははは…、もしかしてさ、私達も重要なキャラに入ってるわけ?」
「ああ。そしてアイエフのことだからも既にもしかしたらという憶測があるんじゃないのか?多分それが大正解。」
「はぁ…、私達が主人公ってことなの……。」
「そういうことだ。で、話を最初の最初に戻すがマジェコンヌがラ「ラスボスってわけね」賢いのはいいけど、別に言わせてくれてもいいじゃないか…。」
どうやら美味しいところを持ってかれたみたいにレンは凄く落ち込んでいた。顔なんてもう、ショボーン状態ね。
「ごめんごめん。あぁ、聞きたかったんだけど、私達のパーティーがゲームでいう主人公とその仲間達ってところなのよね?」
「具体的にはネプテューヌが主人公でアイエフやコンパはその仲間だな。」
「やっぱりあいつが主人公なんだ。変身も出来るし、立ち位置的にも私やコンパより主人公っぽいし。って、ということはレンはねぷ子がどんな子なのか具体的に分かるの?」
「そりゃあ、分かるな。」
「教えて!」
「断る!(ドヤッ!)」
ってオイ!なんでそこで教えてくれないのよ!?
「う〜ん、結構いろいろとネタバレしちゃってるけど、ネプテューヌについてだけは教えたくないかな?もし、アイエフが間違ってあいつにバラした時が怖いし。」
「ばらさないって約束するから駄目?」
「…やっぱり駄目だ。どうせいづれネプテューヌのことは後から知るようになっているんだ。それまで我慢してくれ。」
私がねぷ子の情報提供をお願いするもレンは頑なに拒否してしまった。そんなにあの子についてを知るというのは重要なことなのかしら?でも確かにレンが言うようにねぷ子が主人公であるのなら、その重要性も頷けてしまう。
それでもほんと知りたかったのよねぇ、だってコンパが言うに「家の前の地面に刺さってた。」らしいのよ?それに変身して外見から何から変わっちゃうし。そんなどこからどう見ても不思議ちゃんなあの子のことを知ってる人が、今目の前にいるんだから、そりゃ知りたくもなるじゃない?あぁ〜もう!本当残念だわ!!
ねぷ子についての話の後、一度休憩しようというレンの判断に賛成した私はコンパの冷蔵庫から麦茶と家に常備されているお菓子を持って戻り、お互いにまったり飲食を始めた。(後でしっかりと補充しておかなくちゃ。)
麦茶を飲みながら、レンはこの世界ついて教えられる範囲で様々なことを教えてくた。
まずそれぞれの大陸を守護する女神様について。
レンが言うには、女神様は4人とも私達と同じように若くて可愛い女の子らしい、これには結構驚かされたわ。だって普通、女神様って言われたら、包容力があって誰にでも優しい大人の女性のイメージがあるじゃない?それがまさか私と同じくらいの女の子だなんて。少しだけ幻滅したわ…。
次にガードブレイクについて。
私もガードブレイクのことは大雑把にだけど理解しているつもりだった。しかし、私の知識はどうやら初歩の初歩だったみたい。
私の知っていることと言えば、相手に一定ダメージを与えるとガードブレイク状態となり、その状態の間はダメージが通りやすくなるということ。これにレンが更に補足説明すると、敵のガードブレイクを発生させることに成功した人は追加攻撃が数回分可能になる。これが何故なのか理由をレンに聞いてみたが、どうやらゲームの仕様らしく、具体的な理由があるわけじゃないみたい、少し残念ね。
また、ねぷ子、コンパ、そして私の3人にはそれぞれ相手のHPを削ることを得意とするキャラなのかGPを削ることを得意とするキャラのかはっきり分かれているらしいの。具体的に言えばねぷ子はHP削りがメイン、私とコンパはGP削りがメインみたいね。どうりで私やコンパの攻撃はネプテューヌに比べてHPへのダメージがあまり通らないと思ったわ。
それらの話をレンから教わったうえで、戦闘時の戦略としては私とコンバがギリギリまでGPを減らしていき、残りGPが僅かとなった時に攻撃を中断してネプテューヌへ。ガードブレイク時に発生する追加攻撃分も大いに活用し、HP削りをメインとするねぷ子が防御力の低下している相手を粉砕玉砕大喝采ね。この流れがレンいわく、理想的な戦闘の流れみたい。これはいい情報を聞いたわ、今度クエストに行った時に早速実践してみましょ。
レンからこの世界に設定やら秘密やらたくさん聞いていたせいもあって、時計を見れば夕方の5時。もうそろそろねぷ子達が帰って来る頃かしらね。
「さて、そろそろ良い頃合だし帰らせてもらおうかな?俺から話せることはアイエフに大体教えただろうし。」
「そうね。ほんと参考になったわ。ありがとね、レン。」
「どういたしまして。でもくれぐれも他の奴には教えないように。特にネプテューヌとコンパにはな。これでも俺はな、アイエフは話しが分かる人で信用出来ると思ったから秘密を喋ったんだからな。」
「分かってるわ。あなたのせっかくの信用を裏切ったりしない。私だけの秘密にするから。」
「よろしく頼むよ。」
家から外に出た私達。せっかくなので送ろうかと言ったが「この後少し用事があるから」と断られてしまった。まぁ、彼にも事情があるんでしょう。ちょっとだけ残念かも。ほんと、ちょっとだけよ?
「ごちそうさまでした。それと改めて今日はクエスト助かったよ、ありがとな。」
「それはお互い様でしょ?こちらこそ、ありがとね。」
「それじゃあ、帰るよ。」
「ええ、また機会があれば一緒にクエスト行きましょうね?」
「もちろん。その時はまたよろしくな!」
少しずつ離れていくレンに軽く手を振る私。なんだかんだでレンと会話をするのは楽しかったな。最初はすごく緊張と不安でいっぱいだったけど、知ることで私自身すっきり出来たし、面白い話や参考になる話もたくさん聞けた。
ここで私はふと、一つ聞き忘れたことを思い出した。
(レンのこと何一つ聞いてない。)
あんなにこの世界のことを教えてくれたレン自身について、私は何一つ教えてもらっていなかったのだ。そりゃこの世界の様々な知識は参考になったわ。でも世界の知識と同じくらい彼のことも知りたいと思っていた。だって、気になるじゃない?この世界のことを何でも知っているような存在、じゃあその存在はどんな存在?
目の前にはまたレンの後ろ姿がはっきり見える。私は躊躇うことなく叫んだわ。なんでだろう、普段なら「別に後でもいいじゃない、わざわざ大声出してまで呼び止めなくても」とか絶対思うはずなのに。でも今の私は無性にレンのことを聞いてみたかったの、ただその欲求に従っただけ。
「レ〜〜ン!聞き忘れたことがあったんだけど〜〜〜!!」
「おぉ〜〜?わざわざ大声まで出してどうしたんだ〜〜?」
「レンって〜〜一体何者なの〜〜〜?」
私の最後の質問にレンは少し考える素振りを見せ、その後こちらに返答してきた。
「本当は少し説明が面倒なんだけど〜〜、簡単に説明するのならSSの主人公のような存在だ〜〜!」
「そのSSってなんなのよ〜〜?」
「そのくらいググれば一発で分かるぞ〜!自分で調べるんだな〜〜!」
そう言うとレンは再び私に背を向けて帰って行った。SSねぇ〜、レンがGooglegle(グーグルグル)を使えば一発って言うだし、せっかくだからこの後すぐ調べてみましょ。なんだか楽しみね♪
「ピコーン。」
「ミシッ…。」
誰に聞こえるとも無く、どこか喜ばしい音と、どこか歪んだ音が、僅かに、一瞬だけ、鳴り響いた。
………………
リーンボックス大接近当日。天気は相変わらずの良い曇り模様で、まさに打って付けの大陸移動日和だ。
起床した俺は仕度して家を出ると、まず初めにノワールの体調の具合を聞きに協会へと向かった。実のところ、昨日もコンパの家でアイエフと別れた後に、ノワールの調子が良くなったかどうか一度教会を訪れていたのである。結果は朝の時と変わらず、ノワールの姿を見ることは叶わなかった。これは思った以上に症状が酷いのだろうか。
協会に到着した俺はいつもの如く協院関係者の人に挨拶を済ませ、さっそくノワールの具合を聞いてみた。
「まだ面会出来る程、ブラックハート様は回復されておりません。申し訳ありませんが、今日もお引取りお願いします。」
昨日の返事と変わることはなく、ノワールとの面会を拒絶されてしまう。これは本当に心配になってきた…、俺と関係を持ったせいで本来かかることの無かった病気に感染してしまったのだろうか?そうだとしたら本当に申し訳無い気分になる。
「ノワ…ブラックハート様はそれほど重い病気にかかってしまったのでしょうか?」
「あぁ〜〜、えぇっとですねぇ。ブラックハート様はレンさんが思っているほど重い病気にはかかっていませんよ。ただ、今の弱っている姿をレンさんには見せたく無いようなのです。」
「そうなのですか…、それじゃあ仕方ないですね。(気にしなくていいのに…、むしろその姿を見てみたいくらいダッ!)」
内心の叫びを抑えつつ、俺はノワールが重い病気にかかっているわけでは無いことにホッとしていた。しかし、最後に一目彼女を見てから大陸を移動したかったな。ややしこりが残るが仕方ない…、次の大陸移動出来るタイミングがいつなのか俺には分からないのだ。原作のゲームシステムのようにコマンド選択をすればすぐに行きたい大陸へ移動出来るわけでは無い、なのでこの大陸接近の機会はどうしても逃したくない。
「じゃあ、先日話した通り、リーンボックスへの移動手続きを行いたいのですけど。」
「はい、了解しました。ではこの用紙に氏名と移動理由を簡単で構いませんので明記してください。」
そう言って渡された小さな紙に氏名と移動理由を書いていく。理由か〜〜〜、「俺より強い奴に会いに行く為」…ヨシ、記入完了。まぁ、なんだ、異論は認めるとしよう。特に意味は無かったんだ…。
協院関係者の人に用紙を渡して確認してもらったが、どうやらあの記入内容で問題なかったようで、無事に大陸と大陸を繋ぐ跳ね橋を下ろしてもらえることになった。
「じゃあ、そろそろ行きますね。お世話になりました。」
「またラステイションにいらっしゃった際は、是非協会に足をお運び下さいね。」
「もちろんです!それでは。」
軽くお辞儀をして俺は出口へと向かった。さぁ〜て、次の大陸ではどんなイベントが起こるのかな?…とその前に衣食住の問題を解決しなければならないな。衣と食はとりあえずしばらくは今持ってる分でどうにかなるとして、一番の問題は「住」だ。ラステイションでのように誰かが住む場所を提供してくれれば良いのだが。今考えても仕方の無いことか…、とりあえずなるようにだろうと期待してGOMYWAY!
出口の扉に手をかけた時、俺は一度立ち止まりノワールへ言い残した言葉を、協院関係者の人から伝えてもらうことにした。
「あ、ブラックハート様に言っておきたかったことがあるのですが、伝えておいてもらえませんか?」
「構いませんよ。どう言った内容ですか?」
「えぇ〜とですね…。」
………………
「レンさん、遂に行ってしまわれましたね。」
「そのようね…。」
ブラックハート様は窓の外から下の方を眺めておられました。おそらく窓から見ているのは今協会から出て行かれたばかりレンさんのこと。そのブラックハート様の顔からは、どこか寂しげな表情が伺えます。
「本当に良かったのですか?」
「その質問に私はなんと答えればいいわけ?」
質問を質問で返されてしまいました。本来こんな返され方をすれば良い気分がしないわけなのですが、今回のような場合は話が別で、質問をした私が全面的に悪かったようです。
ブラックハート様は間違いなくレンさんに行って欲しくなかった。それは当たり前の話、あんなに毎日のように行動を共にした方。離れ離れになりたくないに決まっています。しかし、女神様の我が侭でレンさんの意思を拘束するわけにはいかない。
離れたくない、でも彼の意思も尊重したい。ならば「自身が彼についていく」という選択肢ならどうだろうか?これならば二つの問題を無理なく解消してくれます。しかし、この選択肢だけは取れない、選べないのです。理由として、この選択肢を取ろうとするとそこには大きな問題が立ち塞がってしまうからです。その問題は自身が「女神」という絶対的な存在であること。女神であるブラックハート様には女神としての取るべき行動があるのです。それは個人の意思で左右されてはいけない。「彼についていきたい」というブラックハート様の女性としての意思は、「ラステイションを守護する者として大陸を離れることがあってはならない」という女神の意思によって掻き消されてしまうのです。このような心境の中で、女神であるブラックハート様は私の質問に一体何と答えればいいのか?どんな返答をすれば正しいのか?
「申し訳ございません…、愚問でした…。」
「もういいわ、気にしてないから。」
依然としてブラックハート様は窓の外を眺めている。既にレンさんの姿は建物に隠れて見えなくなっているでしょうに…。
このような状況で大変心苦しいのですが、私は本来の役職の仕事を果たすため、今日女神様の行うべき予定表を読み上げていきます。
「今日は街の役人の方々と11時から会議があります。その後、昼食を取り、13時からはクエストの依頼があり、試練の洞窟へ「今日の予定表をそこの机の上に置いててちょうだい。確認しておくから。」…了解しました。」
私は予定表を言われた場所へ置きました。置いたことで、次の役人との会議まで私のするべき役目は無しに。役目もなく、ブラックハート様の部屋にいる意味もない。女神様の背からも「用が無いなら早く出て行って欲しい、一人にして欲しい」と語っているように思えます。
「それでは失礼しました。11時の会議と際にまた改めて伺います。」
「えぇ…。」
そこで私はレンさんから彼女への伝言を頼まれていたことを思い出しました。というか先ほど頼まれたばかりなのに忘れるとは…私も歳なのでしょうか?
「すみませんブラックハート様、一つ言い忘れていたことがありました。」
「一体何よ?」
「レンさんからブラックハート様への伝言を預かっていました。」
「!?……話して。」
ずっと私に背を向けていたはずのブラックハート様がその言葉によってこちらへ振り向きました。さっきまでの寂しげでどこか虚ろげだった表情は見当たらなく、真剣な表情に鋭い眼差しで私を見つめてきます。今回私に託された彼の言葉はブラックハート様の心に一体どこまで影響を与えてくれるのでしょうか?
「その前に一つ先に言っておきたいことがありまして。出来るだけ彼の言葉をそのまま伝えたいので、今だけブラックハート様の愛称の使用とため口の使用の許可を頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
「構わないわ、続けて。」
「それでは…こほん。ついに大陸移動の今日、俺はリーンボックスへ出発するよ。ノワールが体調を壊したこともあって、ラステイションを出る前に一度顔を見ることが出来なかったのがほんとに悔しいな。ほんと悔しいなぁ…。」
「ここ最近はずっとノワールと共に行動していたから、いざ一人で旅に出ることに寂しさを覚える。でもノワールは一人の女の子であるが、ラステイションの女神ブラックハート様でもあるんだ。だから本当は誘いたいんだけど、誘わないよ。それが君のためでもあるだろうからね。」
「ふん…、そんなことレンに言われるまでも無いわよ…。」
レンさんの言葉に僅かだがブラックハート様は笑みをこぼしました。私が伝言を伝え終わる頃までに、ブラックハート様は以前の元気な姿を取り戻してくれるのでしょうか。
「昨日は仕方なく一人でクエストに行こうと思っていたらアニメエイトにアイエフがいて、あいつも一人で行こうとしていたみたいだったから、誘って二人で同じクエストに行ったよ。」
ってレンさん!?ブラックハート様宛の伝言なのにどうして別の女性の話を出すのですか!?せっかく先ほどまで笑顔を少し取り戻したブラックハート様の表情がムスっとしてしまいましたよ!!
「二人でのクエストはノワールとでとことん慣れていたから、アイエフとのクエストも思った以上に上手くいっててね。最後まで問題なくことが進み、そのまま無事にクエストが終了すると思ったら、最後の最後でまさかのアクシデントが発生したんだ。」
「突如として現れたババァ…もとい知らない女性に勝負を挑まれてしまってね。2対1だったけど、ボロボロに負けてしまってさ。いや〜〜本当に酷かった…、あんな俺の酷い姿、ノワールには見られたくないね。」
「!?」
彼の言葉にブラックハート様の表情がまた急激に変化しました。表情から察するに、どうやら彼の戦闘での敗北に対して驚いてらっしゃるようなのです。それほどまでにレンさんの敗北は驚くべきことなのでしょうか?
「腹部にもらった蹴りが結構ダメージ大きかったみたいで、今日朝起きてからもまだズキズキしているよ。それでね、今回の経験で分かったことがあるんだ。」
「俺にはやっぱノワールが必要なんだなって。」
「!?」
「なんだかプロポーズっぽく聞こえてしまうけど、そこはこう何というか……ね。そっちで上手く解釈して下さい!!」
「それに不思議と思うんだけど、もし昨日ノワールが一緒にいてくれたら奴には負けなかったんじゃないかって。どんなに倒れても君の姿を見れば何度でも立ち上がっちゃう……そんな気がするだよ。」
「レン…。」
「ほんと大事なことってのは、こうやって離れ離れになる時にふと気付くんだよなぁ〜。はぁ〜〜、テンプレ乙。」
「だからさ、今回リーンボックスへ行くわけだけど、別に用事があって行くわけじゃないから、もしラステイションの大陸が接近してきたらすぐに戻って来るよ。ノワールに会いに戻ってくる、約束するよ。」
「だからノワールは俺が戻って来た時には元気な姿で、とびっきりの笑顔で出迎えてくれ。ははっ、俺は恥ずかしがる事無くナニ言ってるんだか…。これなんてプロポーズ?」
「以上です。」
「そう…ありがと。」
ブラックハート様はレンさんの伝言を聞き終わると先ほどまでと同じように窓の外を眺め始めました。ですが、様子が全く違います。その姿はまるで凛々しく、そして何かを決心されたご様子なのです。ふぅ…どうやらこれでブラックハート様は大丈夫そうですね、本当に有難うございますレンさん。おや、ブラックハート様が元気を無くされた原因もレンさんでしたね、それならば感謝の言葉を言うのは筋違いですか?まぁ、今はそんなことどうでもいいでしょう。
「ちょっといいかしら?」
「はい、なんでしょうか?」
「この後、役人達との会議があるのよね?」
「そうですが、何かご用事でも?」
「そう。用事が出来たのよ。だから少しスケジュールの予定をずらしてもらっても構わないかしら?」
「ふふ…、畏まりました。」
私もどうやら自然と笑みがこぼれてしまったようです。こんな簡単にブラックハート様の心を突き動かしてしまうなんて、レンさんはまったく罪作りなお方だ。これはもし、レンさんが他に親しい女性を作った時のブラックハート様の取る行動が非常に怖いですね。大陸の破滅でも起こるのでしょうか?
「何よ?笑ったりして。」
「いえいえ、申し訳ございませんでした。スケジュールは私の方で上手くやっておきますので、ブラックハート様はご用事をしっかりと済まして来て下さい。」
「あなたに言われるまでも無いわ。それじゃあ行ってくるわ。」
そう言って出口へ向かうブラックハート様を見て、私は唐突にレンさんの伝言で言い忘れていたことを思い出しました。
「レンさんの伝言で言い忘れていたことがありました。」
「あぁ〜出来たら次会う時には、俺がプレゼントしたリボンを付けてくれてたりすると、もの凄く嬉しいです。俺の好感度が300アップします。」
「とのことです。」
「…忘れ物をしたわ。」
レンさんの伝言からブラックハート様は部屋の中に引き返し、ご自分の机の中から何か取り出したようです。さて、女神様を何をお取りになったのでしょうか?なんとなく予想は出来てしまいますけどね。
その後ブラックハート様はそのまま部屋を出て行きました。さてと…、私はブラックハート様の用事が無事達成なさることを願って、この後のスケジュール調整でも行いますかね。いやはや、大変な仕事になりそうです。
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