超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第七話 因縁
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現在魔界

 

クレイボーンステイツという名の示す存在は、もはやない。

 

都第九八((区|セクター))の名はそこが近隣区にこれをもって鳴り響いていた((宇宙空港|スペースエアポート))の通称となっていたがそれもいつからか忘れ去られていた。

 

星へ赴く船は無残な形骸だけを広大な敷地にさらしていた。

エンジン部が溶けた光子宇宙船、真ん中から折れたギャラクシーシップ、原形をとどめぬまでに破壊された宇宙ワープスクーナー……

 

今となっては原形をかろうじて留めているのは1つのターミナルビルだけだった。

そのターミナルビルでさえ爆撃の後と四方に散らばる瓦礫で目も当てられない状況だった。

その50階に氷室とマグナスは居た。

 

マグナス「そうか。あの黒い玉の力は本物だったか。」

 

椅子の前で立ち尽くしているマグナスは重々しく言った。

 

氷室「最初は半信半疑でしたが実物をこの目で見ました。間違いありません。」

 

マグナスと机をはさんで立っている氷室は何の感情も感じられない白い声で返した。

 

マグナス「ともかくこれで全てが揃った。あとはあいつらの肉体さえ手に入ればそれでいい。」

氷室「俺はこれからどうすれば?」

 

ぶっきら棒に氷室は尋ねた。

マグナスは顎に手を当て、ふむとしばらく考え込むとやがて口を開いた。

 

マグナス「ひとまずは指示を待て。今度はお前たち全員でやってもらうことになるやも知れぬ。お前の口から伝えておけ。それまでお前はしばし休め。」

氷室「わかりました。」

マグナス「最後に、女神の実力はどうであった?」

 

眉間にしわを寄せてマグナスが尋ねた。

氷室はしばらく黙り込んだがやがて変わらぬ口調で口を開いた。

 

氷室「……正直予想以上でした。昼の俺とはいえ、まともにやり合えたんですから。まあ夜なら問題ないでしょう。」

マグナス「そうか……。戦力の練り直しが必要かもしれぬ…。」

 

マグナスは氷室に背を向け、ガラス張りになっている後ろの壁に目を向けて外を眺め始めた。

氷室は軽くため息をついた後に反転して部屋を後にしようとしたが何を思ったかその足取りは突如止まった。

 

氷室「……最後に俺からも良いですか?」

 

顔だけをマグナスの方に向けながら氷室が尋ねた。

 

マグナス「なんだ?」

氷室「なぜあなたは会った事のない女神をGANTZのメモリーから特定できたんですか?それも一人ではなく、四人も。あとの候補生三人はそれから調べたのでわかりますがそれだけがわかりません。」

 

依然として背を向けたままのマグナスに氷室は問いかけた。

その場にしばしの沈黙が流れた。

その沈黙はマグナスの手によって断ち切られた。

 

マグナス「……いずれ話す。今は控えよ。」

氷室「……。」

 

マグナスの答えに氷室は眉をひそめた。

だがそれ以上を語ろうとはしなかった。

氷室は顔を元の方向に戻すと無言のままに部屋を出た。

 

 

 

 

部屋にはまたしても沈黙が流れ始めた。

その中でマグナスは右手の拳を強く握り、口を閉じたまま乱杭歯をむき出しにした。

 

マグナス「忘れるものか…。あの顔だけはな!」

 

深い憎しみをこめた口調でマグナスはつぶやいた。

 

 

 

 

   ◆◆◆

 

 

 

 

 

部屋を出た後の氷室の行動は実に単純だった。

壊れたエレベーターの隣にある階段を使って30階まで静かに下りた。

目の前にある扉を視界に入れることも無く、無造作に押し開いた。

 

レオン・ライ「どうだった!」

 

扉の開く音とほぼ同時に二人はソファーから立ち上がって氷室に向かって叫んだ。

 

氷室「成功した。」

 

すぐさま氷室は即答した。

返答を聞いた二人は安堵と驚きに満ちた顔で再びソファーに身を任せた。

氷室も手を掛けている扉から手を離し、自分の近くにあるソファーの上で足の力を抜いてその上に着地した。

 

ライ「にしてもまさか本当に生き返るとはな。」

 

後頭部をぐしゃぐしゃと掻きながらライはボソリと呟いた。

 

レオン「未だに信じらんねえな。」

氷室「確認した。間違いねえよ。」

 

疑り深い二人の言葉に氷室が口調を強めて言った。

 

レオン「後はあいつらを皆殺しにすりゃいいんだろ?」

氷室「ああ。カタストロフィが終わった後にな。それから今度の仕事はお前らも合同でだとよ。」

ライ「まあ今まで任せっぱなしだったし、しょうがねえか。」

 

言いながらライは左手を軽く開きその中に拳を押し当てた。

乾いた音は静寂に包まれた大広間の隅々まで行き渡った。

 

レオン「ああ面倒くせえ。」

 

ぼやくと同時にレオンは頭の後ろで腕を組んでソファーの背もたれに体重を乗せた。

 

エスター「……。」

 

氷室の言葉を聞いてからエスターは顔の前で組んだ手を額に当てながら何かを考え込んでいた。

その表情はいつにも増して真剣味を帯びていた。

 

氷室「エスター、お前が何を考えているかは大体想像がつくが、全てが終わってからにしろ。今他ごとに気をとられるとミスを犯すぞ。」

 

エスターの心を見透かすかのように氷室は言い放った

 

エスター「……わかってまさァ。俺たちはダンピール。所詮、人間とも悪魔とも生きらねーなんてことは…。」

 

神妙な面持ちでエスターは静かに呟くように言った。

その目線は誰とも目を合わせないように床に向いていた。

 

レオン「おまえにしちゃ随分意味深なこと言うじゃねえか。」

ライ「でもま、事実だしな。」

 

エスターの言葉を受けて二人も表情を曇らせた。

 

氷室「……とにかく今のうちに休んどきな。次に備えてな。」

 

眉間にしわを寄せながら氷室は立ち上がって扉を引き開けた。

ポケットに手を入れながら氷室は無言で自室に向かい始めた。

廊下には無機質な足音が鋭く響き渡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今から約10万年前、2つの世界は1つだった。

今では魔界とゲイムギョウ界と呼ばれる世界は互いに共存してきた。

それぞれ世界を支配していたのは魔界に悪魔、ゲイムギョウ界に人間だった。

人間は悪魔に科学を教えた。悪魔は人間に魔法を教えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――時は流れた

 

それに伴って世界も変動した。

1つとなっていた世界は2つに分かれてしまった。

――後退が始まった。

魔界からは科学が、ゲイムギョウ界からは魔法が徐々に消えていった。

それらはそれぞれの世界でも一部の者が使用するだけのものとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界が1つになったときにできた副産物、ダンピール。

それは悪魔と人間の間に生まれたハーフ。

 

 

 

 

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第七話です。
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