ゲイム業界へようこそ!その52と51.5
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「これにて今日のライステイション会議『どのようにして我が大陸のシェアを増大させるか?』の議題を終了します。」

 

 

 

ふぅ…今日の仕事も一段落着きましたね。皆さんお久しぶりです、ラステイションの協会で勤務しておりますお馴染み○○○です。最近の日々は至って平穏であり、一日一日をラステイション発展の為に切磋琢磨する毎日でございます。

 

今日は週一恒例のラステイション会議の日なのですが、つい先日我がラステイション協会に新しい協員の仲間が増え、今日はその仲間の自己紹介を会議の始めに組み込んで行うことにしました。挨拶の際、ニューフェイスである彼は緊張しながらも心の底からこのラステイション大陸に貢献したいという熱意が言葉や表情から伝わってきまして、ブラックハート様や私を含む会議に参加した全ての協会関係者が彼に惜しみない拍手を送りました。

 

 

 

会議終了の後、私はニューフェイスの彼□□さんの元へ向かいました。どうやら□□さんは周りの方々に既に好印象を持たれているようで多くの仲間に囲まれています。おや、どうやら私の存在に気付いたようですね、しっかりお辞儀をする辺り自分の立場を弁えているみたいです。この協会内ではブラックハート様を除くと、次点に私が協会の中で一番支持力を持っていますので彼の行動はある意味当然なのですが、最近ではその当然すら出来ない若者も増えておりますので、彼のような存在は貴重であり重々大事に教育していきたいものです。

 

 

 

「□□さん、挨拶お疲れ様です。」

 

 

 

「ありがとうございます!僕としては間近でブラックハート様を見ることが出来て、更にその女神様を支える沢山の先輩方に囲まれ、改めてラステイションの協員になれて良かったと実感できました!」

 

 

 

「良い心掛けですね。確かに私と君とでは先輩後輩の関係で慣れない部分は多々あるかとは思います。しかし、それでもラステイションを愛し、ブラックハート様を尊敬し合う仲間という点では上下に関係など全くありません。ですから意見や疑問等あれば私達へと何でも聞いて下さいね。」

 

 

 

「はい、ありがとうございます!それでさっそくで恐縮なのですが一つ耳に入った他大陸の情報があります。」

 

 

 

「聞きましょう。」

 

 

 

□□さんは本当に優秀なようです、独自に行動して既に結果まで残しているとは…。これは私達もうかうかしていられませんね。先輩の名に恥じないよう行動しなくては。

 

 

 

「なんでもリーンボックスの女神が最近モンスター退治に難を見出し始めた為に戦闘に長けた護衛役を民の中から選抜したとのことです。」

 

 

 

「それはまたリーンボックスの女神も大変なご様子で。」

 

 

 

まったく、リーンボックスの女神は普段から人任せでご自身で動こうとしないからそうなるんです。我が大陸の女神様をご覧なさい、誰よりも率先して行動し、女神としての立場でありながら大陸の人間の為に毎日欠かさずダンジョンへ繰り出し、蔓延るモンスターの群れをなぎ倒してしまいます。仕事の面でも私達が何人束になっても追いつかない程の速度でこなし、手が空いたら私達の分まで手伝って下さる本当に素晴らしいお方。何故同じ女神を司るはずなのにこうも差が出るのでしょうか?まぁ、私達は4人の女神の中で最も優秀なお方を支持してるので他の女神達がどうなろうと全く構いませんが。

 

 

 

「でもそれは普段からブラックハート様のようにご自身で動こうとせず、協会の中に引き篭もっていた結果ですよね。」

 

 

 

「さすが□□さん、よく分かっていますね。全くもってその通りです。」

 

 

 

「それで何でも雇った護衛役が、最近リーンボックスに移住してきた冒険家らしく、えぇ〜と…そいつの名前がイノウエ レンとかいう」

 

 

 

 

 

 

バサバサバサっ…

 

 

 

 

 

 

私は耳を疑ってしまった、それは二重の意味で。

 

 

□□さんは今誰の名前を口走った?

 

 

そして彼の言葉に突如として響いた、紙束が地面へ落ちる音の意味は?

 

 

 

私は初めに音の正体を知るべく、聞こえた背後の方に顔を傾けました。私の目に映った光景は…。

 

 

 

『紙束を手から零れ落とし、私達を呆然と眺める我が大陸の女神様』

 

 

 

「□□さん!?今の話は嘘ですよね!?」

 

 

 

「え、それはどういう…?」

 

 

 

「嘘なんですよね!!」

 

 

 

「え、あ、ハッ、ハイ!今の話は全くのデマです!嘘の情報です!大変失礼しました!!」

 

 

 

「よろしい。」

 

 

 

私は□□さんを無理やり納得させました。さて、問題は後ろの我が大陸の女神様です。

 

 

改めて振り返った先には、紙束を既に回収し終えて普段と変わらない凛々しく毅然とした姿を誇る我が大陸の女神、ブラックハート様その方が居られました。そう、まるで先ほどの一コマが嘘だったように。

 

 

 

「ブラックハート様、先ほどの□□さんの情報には誤りがあったようです。まだ彼も協員となって数日、不慣れな部分がどうしてもありますのでどうか寛容なお心で彼をお許し下さい。」

 

 

 

「えぇ、その件については別に大したことではないわ。ところで○○○?少し聞いておきたいことがあるのだけど?」

 

 

 

「はい、なんなりと。」

 

 

 

「明日ラステイションに急接近する大陸があったわよね?その大陸はどこだったかしら?」

 

 

 

「はい、その大陸はリーンボックスですね。えっ……、あぁああああ!!」

 

 

 

「○○○、突然急にどうしたの?変な呻き声まであげて?」

 

 

 

「え?あ、はい…失礼しました。仕事の残りがあることを今しがた思い出しましたので…。」

 

 

 

「そう、気を付けなさいね。」

 

 

 

ブラックハート様をそう仰ると会議室から出て行かれました。そして、私達のいる場に漂うどこか混沌とした亜空間。先ほどまで賑やかだった空気は既に過去の物。□□さん以外誰もがこの状況を理解しました…そう、3文字で表すとすれば「ヤバイ」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、既に支度を終えた私はブラックハート様の部屋に向かいます。時刻は午前7時、まだ寝ている方々がいてもおかしくない時間、しかし我が大陸の女神様はこの時間から一日の日課が始まるのです。今日最初のお仕事は今私が大量に持っている書類へのサイン及び破棄の作業です。高さ1Mにも及ぶ書類の束をわずか数十分でこなすブラックハート様には相変わらず驚かされてばかりですが。

 

 

 

ブラックハート様の部屋の前に到着した私は、ノックをして返事を待ちます。

 

 

 

……返事がありません。これは非常に大問題です。今までこのような例外は存在しなかったのです。女神様自身にも今日のスケジュールは伝わっていますので断りも無く外出するわけもないでしょうし、ブラックハート様にいたってこの時間になってまで睡眠するわけも皆無ですし…。

 

 

 

試しにドアノブを回してみるとどうやら鍵は掛かっておらず、部屋に入ることが可能なようです。

 

 

 

後から罰が下されること覚悟で私は無断で女神様の部屋に入室しました。万が一ブラックハート様に何かあってからでは遅いのです、協会の長として私が責任持って行動するしかないのです。

 

 

 

部屋に入るとそこはいつもと変わらない女神様の部屋。唯一違うのは女神様がいないだけです。何か女神様の所在は分かる物が残されていないものでしょうか…?

 

 

 

…ありました、至って普通に。女神様の机の上に書置きの手紙が一つ。ご丁寧に「協会の皆さんへ」とまで書いております。

 

 

私はラステイションの協会代表としてこの手紙を開封しました。

 

 

 

『数日出掛けてきます、協会のことよろしく。ブラックハート』

 

 

 

「あぁ…地獄の日々が再来ですね……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

 

よう、俺だ。

 

 

今の状況を説明する。辛くも自身の部屋に逃げ込むことに成功した俺はマッハで鍵の施錠を行なった。ん?何故って?それはだな…

 

 

 

「(ドンドンドン!!)お兄ちゃんドア開けて〜〜、少しお話があるんだ〜♪だからここを開けてよ〜〜(ドンドンドン!!)」

 

 

 

「(バンバンバン!!)レンさ〜ん、今すごいんですよ〜、私とねぷねぷがなんと裸になってるんですぅ♪見たいですよね勿論構わないです、そうこのドアを開けて存分に見てくださいですぅ、だからこのドアを開けるですぅ〜♪(バンバンバン!!)」

 

 

 

 

(KOEEEEEEEEEEEEEE!!超こえぇえええええええええ!!)

 

 

 

俺は咄嗟にベッドの中に潜り込み身を丸く縮こまらせた。さすがにドアを突き破ってまで部屋に押し破ってはこないだろう……で、あって欲しい!!頼む、そのくらい常識あってくれぇ!!

 

 

 

ねぷ子とコンパのうめき声のようなものを何度も聞きながら、俺は目を閉じ小さくなって彼女達の声が収まるのを待った…。

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

ん、どうやら寝てしまったようだ。外を見れば既に真夜中、ねぷ子とコンパの声も収まっている。こんな時間だ、さすがに彼女達も諦めて自分達の部屋に戻って寝ている頃だろう。

 

 

 

そういえば宿主に迷惑を掛けただろうな、謝罪と気持ちばかりのお金を譲渡しに行くか。

 

 

俺は部屋のドアを開けた。そして足元にある大きな物体。否、人間だ。体育座りして寝ているねぷ子さん本人だ。

 

 

 

「んぅんんn…、うみゅ?あ…。」

 

 

 

「あっ。」

 

 

 

バックステッポあんど施錠完了〜!まさかねぷ子にあそこまでの行動力があるとは!ふ…、しかし寝起きではそこまで反応出来ないだろう、残念また来週だ、ハッハッハッ〜!

 

 

 

「わぁこのベッドあったかぁ〜い♪さっきまでお兄ちゃんが寝ていたんだよね。お兄ちゃんの香りがいっぱいするよ…。」

 

 

 

 

「!?(ここに合う効果音はMGSで敵に発見された時のアレ)」

 

 

 

ば、馬鹿ナ!?俺の背後を取っただとぉ!?

 

 

 

 

俺があたふたしているうちにねぷ子が俺の体に触れる距離まで近づいた。そして彼女は俺を強く抱きしめてくる。本来であれば飯ウマ状態なはずなのに、何故だろう…冷や汗が洪水のごとく身体から流れ出す。そう、俺は恐怖しているのだ。

 

 

 

「はぁ、お兄ちゃんの匂い好きだよ…。だけど今それより重要なことがあるんだ。」

 

 

 

「は、はひぃ!?」

 

 

 

「ちょっと待っててね。コンパ起こしてくるから♪」

 

 

 

そう言うとねぷ子は部屋から出ていった。去り際に「私とコンパが戻ってきた時に鍵を閉めてたりしたら、いくらお兄ちゃんでも許さないからね☆」とか言って…。

 

 

 

俺はベッドに腰掛けて、小さく、ほんと極小さく呟いたんだ。

 

 

 

 

「俺は今日、日の出を見れるのかな…?」

説明
ダブルです!お得です。そしてやっと書き溜めた分の移しが終わったでござる。お疲れ、自分。
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コメント
あちゃー修正しときます、ありでした^^;(くろとじる)
とうとう、超えるのか・・・? あと、MTGじゃなくて、MGSっすよね?(FDP)
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