魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)−−05 修復−− |
導入部五話目です。
この辺りからキャラが壊れ始めますので、ご注意ください。
−−修復−−
午前5時。
目が覚めて、ベッドから出てなるべく物音を立てずに着替えをすませ、机の上に置いてある翡翠の宝石エクシアを手に取る。
《おはようございます。マスター》
「ああ」
自分に与えられた部屋を出て、静かにリビングへ向かい、テレビを点けてニュースを見始める。
なのははまだ寝ている。
なるべく、彼女の睡眠を妨げないようにするためにボリュームを落とす。
朝早く起きて、二人分の朝食の準備と俺の昼食の作り置き。
仕事が忙しいのか、帰りは割と遅い。
そして、夕食の準備。
こちらに来て、行くあてのない俺に部屋を与えてくれたなのはには感謝するが、迷惑ではないかと少し思う。
八神はやて二等陸佐。
管理局内においても希少なレアスキル所持者。
特別捜査官としても名を馳せた。
はやてと共にあり続ける守護騎士達は、各々が自分の職を持ち仕事をしている。
フェイト・T・ハラオウン執務官。
かつてのクロノと同じく執務官の職につき様々な事件を担当、解決へ導いている。
オーバーSランク魔導師としても実力は知れ渡っている。
高町なのは一等空尉。
航空戦技教導隊。
オーバーSランク魔導師であり【エースオブエース】の二つ名を持つ。
彼女に憧れる魔導師は多い。
なのはのみならず、フェイトもはやても管理局内外で有名人で人気がある。
「……これでよかったのだろうか?」
《仕方ありません。これ以外となると、二ヶ月間野宿でしたよ?》
「それはそうなんだがな」
エクシアの答えは、一週間前に自分が言ったことだ。
……仕方がない。
《それよりも今日でしたね》
「ああ。フェイトが転送ポートへ迎えに来てくれる」
《フェイトさんといえば、毎日連絡が来てましたね》
「なのはにな」
《……》
「どうした?」
《いえ》
「それより、太陽炉の方はどうだ?」
《今現在で修復率は50%強といったところです》
「そうか。……今日でどこまでいけるかだな」
《はい。管理局の技術力にもよりますけど、上手く進むといいですね》
「そうだな」
エクシアと会話をしながら、なのはが起きてくるのを待つ。
「おはよう、刹那君」
声のする方を向くと、ピンクのパジャマに身を包んだなのはが立っていた。
「おはよう、なのは」
「すぐに朝食を作るね」
そう言うと、キッチンへ向かうなのは。
「待て」
「なに?」
「その前に、せめて着崩れを直すか着替えてからにしてくれ」
「……!」
なのはは自分の状態を確認して、顔を赤くしながら自室へ戻った。
「……やはり、間違ったかもな」
なのはが作った朝食を食べながら、今日の予定を話す。
「今日はエクシアの修理のために本局へ行く日だね」
「ああ」
「直るといいね」
「一日でどこまで出来るか分からないがな」
「直ったら見せてね」
「直ったらな。ただ、見せることが出来たとしても、それは機動六課の活動開始後になるかもしれないだろうけどな」
「それでもいいよ。でも、約束だよ?」
「ああ」
「うん」
朝食を済ませ、身支度を整えたなのはと共に転送ポートへ向かう。
「それじゃあ、刹那君。私は教導隊の仕事があるから」
「ああ。こっちの作業が終わったら連絡を入れる」
「うん」
《エクシア。作業が順調に進むことを祈っています》
《ありがとうございます。レイジングハート》
「じゃあね」
「ああ」
なのはと別れて歩き出す。
「転送ポートと言っても……フェイトはどこに居るんだ?」
《マスター……きちんと待ち合わせの場所を決めておいてください》
「……すまない」
《!……マスター。バルディッシュから連絡が入りました》
「バルディッシュ。フェイトか」
《5番ゲートで待っているそうです》
「わかった。直ぐに行くと入れておいてくれ」
《はい》
案内表示を見ながら5番ゲートを目指す。
「しかし、案内があるとはいえ……複雑だ」
「刹那!」
辺りを見回しながら歩いていると、声をかけられた。
「フェイト。すまない、少し時間がかかった」
「私の方こそ、待ち合わせ場所を指定してなかったから……バルディッシュに言われて、急いで連絡を入れたんだ」
《バルディッシュ、助かりました》
《お気になさらず》
どうやら、フェイトも自分のデバイスに注意されたようだ。
「それじゃあ、本局のマリエルさんのところに案内するね」
「ああ」
時空管理局本局。
ここへ来るのは、アースラで世話になっていた時以来。
次元の海……というよりは自分には宇宙空間といった方がしっくりくる。
その場所に佇む建物。
フェイトが一室のドアの前で立ち止まり、インターフォンで中に挨拶する。
「ここだよ。フェイト・T・ハラオウンです」
『お待ちしておりました。どうぞ、お入りください」
プシュと機械音と共にドアが開く。
室内は、少し薄暗い。
そこに、白衣を着た女性が居た。
「初めまして、マリエル・アテンザです」
「刹那・F・セイエイだ。今日はよろしく頼む」
「はい。では、こちらへどうぞ」
奥へ案内されると、意外にもすっきりした室内だった。
コンソールパネルがあるだけ。
「そこにデバイスを置いてください」
「ここでいいのか?」
「はい」
台座の様な場所にエクシアを置くと、少し浮いた。
「では、修理を始めますが……」
「マリエル・アテンザ。その前に……」
「デバイスの解析はいたしません。これは、クロノ提督から厳命されています。私達の信用問題にも関わることだとも。だからこそ、フェイトさんも立ち会います」
フェイトを見ると肯いた。
「話が早くて助かる」
「では」
コンソールパネルを叩くと、前方のスクリ−ンに文字や数字の羅列が流れていく。
何が書かれているのかさっぱりだ。
「な、何ていうか凄いデバイスですね。全然わかりません」
「ま、マリエルさんでも分からないんですか?」
「え、ええ。こんなの初めて見ます」
技術者であるマリエルでもわからないようだ。
「あ、自己修復が働いていますね。でも、どうやって修理しましょうか」
《マリエルさん》
「あら、デバイスの声?」
《エクシアです。私が今から言う部材を揃えて貰えますか?》
「……それは構わないけど」
《私が指示を出しますので、それに従って作業をしてください》
「わかったわ」
《それから、マスター》
「なんだ?」
《マスターは、マリエルさんにパネルの操作方法を教わってください》
「俺がやるのか?」
《マスターは、かつて私を修理した経験があります。機械類の操作は得意の筈です》
「……あの時のことか」
「刹那、エクシアを修理したことがあるの?……確か、前に修理はしないって」
フェイトが不思議そうにこちらを見る。
「修理を行ったのは元の世界でのことだ。それに、完全には直せなかった」
元の世界へ戻り、ソレスタルビーイングと接触するまでの間は、自分の手で修理しながら世界の動きを見つめていた。
《今ここで操作方法を習得しておけば、機動六課の時にも必ず役に立つ筈です》
「お前がそう言うのなら従おう」
《では……》
午前中は必要な部材収集。
そして、それを使用して少しだが修理作業を行い、昼食のため一旦休憩となった。
「それにしても、本当に凄い技術ですね。どうなっているのか、全くわかりません。正直、調べてみたいです」
《お褒めにあずかり光栄です。しかし……》
「わかっていますよ。今のは、技術者としての好奇心の発言だと思ってください」
《はぁ……》
「しかし、エクシアの指示で作業が出来るのだから、あんたも凄いな」
「そうでしょうか?」
「マリエルさんは、私達のデバイスにカートリッジを組んでくれたり、はやてのシュベルツクロイツにも携わったんだよ」
「そうか」
「でも、刹那も凄いね。マリエルさんが言ったことを直ぐに覚えちゃうんだもん」
「説明が分かり易かったからな」
「あ、あまり褒められると照れます」
マリエルが照れ笑いをする。
昼食後、再び修理作業を始める。
作業が終わったのは、午後5時を回ったところだった。
《マリエルさん、ありがとうございました。後は、自己修復で何とかなりそうです》
「本当?」
《はい。……マスター》
「なんだ?」
《修復率が80%を超えました。機動六課の活動開始までには間に合います》
「そうか」
《明日からはGNソードの修復と並行します》
「わかった」
「「GNソード?」」
聞き慣れない言葉にフェイトとマリエルが疑問の声をあげる。
「フェイトは見たことがあるだろう?剣と銃が一体となった武器だ」
「あれが、GNソードって言うんだ」
「フェイト。一つ頼みがある」
「なに?」
「訓練室を一部屋貸し切れないか?5分……いや。2分でいい」
「どうするの?」
「今のエクシアの状態を確認したいだけだ。別に戦闘訓練をするわけではない」
「……ちょっと待って。フェイト・T・ハラオウンです。訓練室を一部屋借りたいのですが。……ええ。……ありがとうございます。刹那、許可が取れたよ」
「ああ。ありがとう、フェイト」
「そ、そんな。お礼を言われることじゃないよ。さ、行こう」
礼を言ったら、何故かぎこちない動きで部屋を出て行ってしまった。
「?」
「私もご一緒してもよろしいですか?」
「ん……ああ。構わない」
訓練室の中央に立つ。
フェイトとマリエルは訓練環境を調整する制御室に入る。
『ここには私達しか居ないし、記録は録らないから安心して』
「わかった。エクシア」
《セットアップ》
光に包まれ、鎧を纏う。
以前の時やガジェットと戦った時と違い、新品同様に磨かれた鎧。
GNソードは無いが、右腕には装甲がちゃんとある。
GNドライヴから絶え間なく放出されるGN粒子が、自分の周りを暫く漂い、そして消えていく。
「……」
《どうかしましたか?》
「これが……俺とエクシア」
《そうです》
以前とは感覚が違う。
体の中を走る力強い何か。
「エクシア。解除してくれ」
《もう、よろしいのですか?》
「ああ。十分だ」
《では》
鎧が光とともに消える。
「あれが、エクシアの本当の姿?」
「厳密には違うが、装甲は全て修復されていた」
「そっか」
「凄かったですね。バリアジャケットとは少し違う感じでしたし、背中の突起物から出ている光も綺麗でした」
フェイトとマリエルがそれぞれ感想を述べる。
「マリエル・アテンザ」
「はい?」
「感謝する。あんたのおかげでエクシアもだいぶ修理できた」
《ありがとうございました》
「わ、私はエクシアの指示に従っただけですよ」
「だが、その指示通りにできる技量あるから修理できた」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「では、私はこれで」
「ああ」
「マリエルさん、お疲れさまでした。また後で」
マリエルと別れて、フェイトと共に転送ポートへと向かう。
「良かったね、刹那。修理が順調に進んで」
「ああ。ここまで上手くいくとは思っていなかったがな」
「ふふ。そうだ、これからどうするの?」
「なのはに連絡を入れたが、転送ポートに着くのは7時頃だそうだ」
「まだ時間があるね。どうするの?」
「適当に時間を潰す」
「それじゃあさ、少しお茶しない?」
先日のことが頭をよぎったが、
「……まぁ、いいか」
「うん。こっちに紅茶の美味しいお店があるんだ」
フェイトと紅茶を飲みながら時間を潰す。
7時を少し回ったところで、なのはから連絡が入ったため店を出た。
「そう言えば、なのはとの暮らしはどう?」
「問題ない。むしろ良くしてもらっている。というか、毎日なのはに連絡を入れているんだ、聞かなくても知っているだろう?」
「そ、そうだけど……そうじゃなくて……」
俯きながら、だんだん声が小さくなっていく。
最後の方はよく聞き取れなかった。
《やれやれ》
エクシアとバルディッシュの呆れたような声が聞こえた気がした。
「フェイトちゃん。刹那君」
「なのは」
「遅れてごめんね」
「気にするな。仕事なんだからな」
「うん。ありがとう」
「なのは、刹那。私は本局に帰るね」
「そうなの?」
「おに……クロノ提督に今日のことを報告しないといけないしね」
「そっか。おつかれさま、フェイトちゃん」
「フェイト、今日は助かった」
「うん。二人とも、またね」
フェイトを見送り、なのはと駐車場へ向かう。
「修理どうだった?」
「上手くいった」
《あとは私の自己修復機能でなんとかなります》
「そっか。よかったね」
「ああ」
マンションへ戻り、夕食を済ませると、いつも通りフェイトからなのはに連絡が入った。
その時、何故かなのはに詰め寄られた。
「フェイトちゃんにエクシアが修復された姿を見せたの!?」
「見せたというよりは……」
「見せたの!?見せてないの!?」
「落ち着け。現状を把握するために一度起動させただけだ。フェイトとマリエルはそれを見ただけだ」
「ずるい……」
「……は?」
その後、なのはを落ち着かせるのに20分を要した。
《やれやれ。マスターは……》
《苦労しますね。エクシア》
《本当です。レイジングハート》
刹那となのはのやり取りの裏ではデバイスの友情が結ばれていた。
シャワーを終えて、自室に戻る。
「修復が完全に終えるのはいつ頃になりそうだ?」
《太陽炉は早くて三週間。GNソードは三日で終わります》
「そうか……」
《どうかしましたか?》
「機動六課が始まるまでに、少し戦闘訓練をしておきたいと思ってな」
《ガジェットならマスターの敵ではないと思いますが?》
「おそらく、ガジェットだけが敵ではない。新人が居るとはいえ、過剰戦力と言えるほど隊長陣は実力者揃いだ」
《確かに》
「ガジェットは無人兵器だ。((誰か|・・))が造らなければ出てこない。そして……」
《ガジェット以上の敵が居る……と》
「あくまでも俺の推測だがな」
エクシアとの会話を終えて就寝につく。
自分の行動は、この世界での【武力介入】となるのか。
それとも……。
そんなことを考えながら、睡魔に身を委ねる。
読了おつかれさまでした。
転送ポートの設定とかは適当です。
説明 | ||
再び魔法少女の世界へ降り立ったガンダムマイスター刹那・F・セイエイ。イノベイターへと変革した刹那に訪れる再会と新たなる出会い。魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。 | ||
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