同居人1
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俺は少女の背中の穴にゼンマイを入れてゆっくりと回す。

 

自分でも手が震えているのがわかる

だってありえないだろ

朝からかばんの中に入ってた女の子の背中にゼンマイ差し込むなんて・・・

できることなら、こんな非日常的な出来事から逃げ出したい

でも後ろで俺のことを脅してる発光体がいるのでそれもできない。

 

そんなことを考えてる間にゼンマイを限界まで巻き終わった

J 「ま、巻き終わりました」

そう言って俺が発光体の方を向こうとしたとき変化に気づいた

あれ、なんかこの子震えてない?

って言うか光ってるやん!!

J 「うわぁっ」

やべっ、驚きのあまり床に落としちゃった。

 

少女は床に落ちると仰向けのまましばらく痙攣のようなものをしていたが、

しばらくすると、いきなりうつ伏せになり床を貞子のように這いずりだした。

 

J 「ぁ・・・うぁ・・・」

恐怖と混乱で気絶しそうだ

この時ばかりは尿を漏らさなかった自分を褒めてやりたいね

そうしてる間に少女は這いずりながら俺に向ってくる

J 「あ〜・・・なんかもういいや・・・好きにして」

俺は死を覚悟した。だって無理だよこれ、童貞の俺には対処しきれねぇよ

 

そして少女は腰を抜かして座り込んでいる俺の胸の辺りまで登ってきた。

少女は未だ目を閉じていた。

まるでなにかを探しているかのように俺の体に顔を近づけてくる。

このままキスしてくれるのかと思ったが違うようだ

と、その時いきなり少女の目が開いた。

水銀燈 「あなたが私の新しいミーディアムぅ?冴えない顔してるわね」

それが彼女の第一声だった。

 

白い髪、真っ黒な服、ルビーのような真っ赤な瞳、そして背中に生えた漆黒の羽

少女は自らを水銀燈と名乗った。

えっと、俺はこれからどうなるんだろう?

 

 

 

第一話 「薔薇乙女」

 

 

 

とりあえず何か飲もう。そうだ、もしかしたら俺が下でなにか飲んでる間に

この悪夢は消えてるかもしれないじゃないか

ふらつきながら1階に行き冷蔵庫の中を漁った。

 

J 「牛乳でも飲むか・・・」

水銀燈 「ヤクルトってあるかしら?」

J 「ああ、あるぞ。ほら」

水銀燈 「どうもぉ♪」

 

そして二人でイスに座りゆっくりと飲料を飲んだ

 

J 「あ〜落ち着いた。これで平穏な日常が帰ってくるな」

さて、牛乳を片付けて昼寝しよう

水銀燈 「ねぇ、これってどこに捨てればいいの?」

水銀燈がヤクルトの空を持ってうろついてた。

J 「ああ、これはねあそこのごみ箱にでも捨てて・・・・っておーい!!!」

俺は水銀燈の持っていたヤクルトの空をつかむと思いっきり投げた

空はゴミ箱に綺麗に入った

水銀燈 「お〜」

それを見て拍手する水銀燈

ありがとよ、ド畜生

 

J 「んなことより、なんでまだいるんだよ!」

水銀燈 「だって、あなたが私のゼンマイを巻いたんでしょう?

     だったら一緒に居るのは当然じゃない」

J 「理屈がわかんねぇよ。どういう理屈だよそれは・・・

  それに俺はあの謎の発光体に巻かされただけだぞ」

それを聞いた途端、水銀燈・・・だったっけ?が驚いた顔をする

水銀燈 「メイメイに任されたの!?」

J 「ああ、巻かされた。しょうがねぇだろ」

だってあの発光体、俺のことボコるんだもん

俺がそう言うと水銀燈は下を向いて、なにかを考えるかのように

親指を噛みながらぶつぶつ呟いている。

ちなみに元凶の発光体、つまりメイメイ様は水銀燈が起きてすぐにどっかに行ってしまった

ていうかあの蛍モドキ、こいつ俺に押し付けて逃げたんじゃないだろうな?

 

俺がそんなこと考えてる間に彼女は大きなため息をついてかおを上げる。

水銀燈 「しょうがないわねぇ、メイメイが任せたんだからそれなりに信頼できるってことよねぇ

     本当は嫌だけど、仕方ないから私の身の回りのお世話をさせてあげるわぁ

     だけど勘違いするんじゃないわよ、私は貴方を認めたわけじゃないんだからね」

突然なにを言いやがりますかこのHg燈は

J 「ちょっとまて」

水銀燈 「なに?」

J 「何で巻かされただけなのに、そんなことまでやらなきゃいけないんだ」

しかし彼女は俺の当然の抗議をさらりと返した

水銀燈 「だって任されたってことは、貴方はその時から私の奴隷なのよぉ」

うわっ、奴隷と言いやがったよ。なにこのS気たっぷりなお子さんは・・・

しょうがなぇな、ここはひとつ室内のライオンと呼ばれたおれっちが

お仕置きしてやらないとな(性的な意味じゃねぇよ、マジで)

J 「まったく、そんなこという奴にはお仕置きが必要だな」

俺が指を鳴らして近づくと水銀燈が小馬鹿にしたように笑う

水銀燈 「いいわよぉ。今のうちに私の力を思い知らせてあげるわぁ」

そして睨み合う二人

 

ROUND 1

・・・

・・

Fight!!!

 

----ばきっぼき、みしめし、むにゅっ、どごぼごぐちゃ!!、

  げしげし!、ふみふみ・・・(シクシク)-−-

 

水銀燈 「ふっ、勝ったわぁ」

少し息を切らしながらしゃべる水銀燈

そして、その足元に涙を流して倒れ伏す俺

くそっ、誤算だった・・・

いくらライオンでも飛んでる獲物を捕まえることはできないんだった。

けどいいや、さっき戦ってるときに乳揉んでやったから・・・

???ドスッ????

手をワキワキさせてニヤついていると

少し顔を赤くした水銀燈に脇腹を蹴られた

J 「残念だけど僕はここまでようだ・・・だが、我が一生に一点の悔いなし・・・ぐふっ!」

トドメとばかりに思いっきり俺の頭を踏んづけやがった。

 

 

数時間後

 

 

J 「あれ?ここは何処?私はオッパイ星人」

水銀燈 「どうやら、まだやられたりないようねぇ」

そう言って俺の横で灰皿を構える水銀燈

J 「うそです。許してください」

頭を下げて許しを請う俺を見て灰皿をテーブルに置く水銀燈

あっぶねぇ、あと少しでまた黄泉に逝くところだったぜ。

よく見るとここは一階のソファーの上、どうやら気を失った後ここに運ばれたようだ。

J 「もしかして運んでくれたのか?」

すると水銀燈は腕を組んだまま横を向いて

水銀燈 「風邪でもひかれたら後々面倒だったからよぉ」

なんだ、結構可愛いとこあるじゃん。

 

J 「だけどよく俺をソファーの上まで運べたな」

たった数メートルとはいえ、あの小さい体でよく運べたもんだ。

しかし、水銀燈はとんでもないことを口にした。

水銀燈 「簡単よぉ、貴方のお腹を蹴ってソファーの下まで運んで

     ちょうど帰ってきたメイメイと一緒に貴方の首に紐かけて

     天井まで飛んでからソファーに落としたのよぉ」

神様、僕知らない間に殺されかけてたようです・・・

 

 

俺が死ななかったことを神に感謝している間

水銀燈とメイメイが何かしゃべっていた。

水銀燈 「そう、あの子がいたのねぇ」

俺にはその時の水銀燈の顔がとても冷たく見えた

水銀燈 「だけど今日はもう疲れたからアイサツ程度にするわぁ」

そう言うと水銀燈は部屋の中を飛びまわった。そして

水銀燈 「ねぇ人間、これ借りていいかしらぁ?」

彼女が持ってきたのはテレビの上に飾ってあったピエロの人形

J 「ああ、いいけどなにに使うんだ?」

まさか人形遊び?

俺の疑問に水銀燈は軽く笑って答える

水銀燈 「ふふっ、い・い・こ・と・よ」

それだけ言うと水銀燈はピエロの人形に何かをする

すると人形が浮かび上がり意思を持ったかのように動き出した

水銀燈 「真紅のところへ行って遊んでらっしゃい」

ピエロの人形は窓を開けて飛んでいってしまった。

 

呆然とする俺

なに?今の手品?それともハンドパウァー?

再び混乱している俺に水銀燈が小馬鹿にしたようにしゃべりかける。

水銀燈 「なぁにぃ?こんなことで驚いてるのぉ?」

J 「だって家に飾ってる人形が飛んだり動いたりしたら誰だって驚くだろ」

それを聞いて水銀燈が首をかしげる

水銀燈 「人形の私が動いてることにはあんまり驚いてないのにぃ?」

J 「えっ?お前って人形だったの?」

俺の言葉に水銀燈がこける

水銀燈 「ま、まさか、私のこと人形だって知らなかったのぉ?」

J 「うん」

今度は深いため息をつく銀ちゃん、なんか可愛いなこの表情

水銀燈 「そういえば貴方って今までの人間と反応がちょっと違ってたわねぇ・・・

     大体背中にゼンマイ入れる穴があったり、空飛んだりしたりしたら

     普通怖がったりするものよぉ。それなのに貴方ときたら

     ケンカしたり胸揉んだり・・・」

おでこの辺りを押さえて疲れた顔をする水銀燈

J 「俺が普通に接してなんか困ることとかあるのか?」

水銀燈 「べ、別に問題はないけどぉ・・・気味悪くないのぉ?」

J 「人間でも人形みたいなやつがいるからな、逆もあるってだけだろ

  俺は驚いたりするけど気味悪いとかは思わないぞ」

水銀燈 「そ、そう・・・」

水銀燈は複雑な表情をした後

顔を背けるとそのまま部屋から出ていった。

 

 

夕飯時、いつものように巴が夕飯を持ってくる

いつも通りの無表だ。情嫌われてるんだろうな俺

ていうか巴の顔色悪い気がする

「風邪ひいた?」って聞いたら「別に・・・」って返された

会話のキャッチボールがなってないな

 

J 「水銀燈〜、飯だぞ〜」

しかし、姿を現さない水銀燈

ったく、人が呼んでるのに来ないとは、次は尻でも揉んでやろうか

そんなことを考えているとドアの隙間から水銀燈が顔を覗かせた

J 「なにやってんだ?」

すると水銀燈は小さい声でつぶやく

水銀燈 「ピエロの人形・・・失くしちゃった・・・」

ピエロの人形って昼間のあれか

J 「別にいいよ、あれ俺を捨てた親が小さい頃に買ってきた奴だから

  捨てようかと思ってたんだ。ちょうどよかったよ。」

俺が夕飯を準備しながら答えると水銀燈はようやく入ってきた

水銀燈 「お腹がすいたわぁ、早くご飯を出しなさいよぉ」

こいついきなり元に戻りやがった・・・

 

水銀燈 「まぁまぁね」

自分の分を食べた後、俺の夕飯を勝手につまみ食いする水銀燈

J 「まだ食う気かお前は」

水銀燈 「いいじゃな。まだ残ってるでしょ?」

その後、水銀燈と無駄な攻防戦をすることになるが

それはまた別の話

 

 

水銀燈 「ふわぁっ」

腕を思いっきり伸ばして眠たそうに欠伸をする

水銀燈 「眠りの時間ね」

そう言うと水銀燈は自分の入ってたカバンを開けた

J 「その中で寝るのか?」

水銀燈 「私達はカバンの中で寝るのが常識なのよ」

J 「あそ、オヤスミ」

水銀燈 「ふんッ・・・おやすみなさい」

閉じる瞬間、小さくなんか聞こえた気がした

J 「まぁ、いっか。さてと俺も寝よ」

さっきまで黄泉路をさまよってたから、寝れるかな?

J 「・・・・・・達?」

 

 

 

 

 

こうして、俺のちょっと変わった日常の初日が終わっていった。

 

 

説明
アニメ版ローゼンメイデンの
サイドストーリー的なものです
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タグ
ローゼンメイデン

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