超次元ゲイムネプテューヌ Original Generation Re:master 第17話
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テラが少女、ブランと出会ってから翌日。

一行は、とにかく情報を得るために協会へと赴いていた。

 

ルウィーには相変わらずの寒波が停留しており、ネプテューヌとコンパはガタガタ言いながら協会への道のりを歩いていたのであるが。

 

 

「寒かったです〜……。あのままお外にいたらきっと凍ってしまっていたですね」

「そうそう。私達の口から出てた白いのはきっと息じゃなくて私達の魂なんだよ! 絶対そうだね!」

ちなみに、彼女たちが吐いていたのはただの息が凍って視認できるようになったモノであり、決してエクトプラズムとかそういった類の物ではないことは一応ここに明記しておこう。

見かねた協会員の若い男性が一同の近くに暖房を寄せてくれる。

「あ、どうも」

「いえいえ。外は寒かったでしょう? ……ていうか、あまり外を出歩くような姿に見えないのですが、大丈夫ですか?」

決して彼の問いに大丈夫と言えるほどタフな精神の持ち主達ではないのだが、なんとなく愛想笑いで通り抜けてしまう辺り何というか、アレである。

「でも、あの二人が言うほど寒くはないんじゃない? テラなんて昨日はTシャツで出歩くくらいだったし」

「でも、その所為で風邪気味だよ……。身体が怠くて仕様がねえや……」

そう言ってテラはズズッと鼻を啜る。

それはさておき、とネプテューヌは声を上げる。

「それより強いモンスターがいるところ知らない? 私達、どうしても強いモンスターと戦わないといけないんだよねー」

ネプテューヌの言葉に男性は少し驚いた表情になるが、すぐにまた笑顔になる。

「それでしたら、中央協会へ出向いては? ここはあくまで支部のようなモノですから大陸全体のモンスターの情報はあまり取りそろえていないのです」

「ルウィーには協会が幾つもあるんですか?」

コンパの疑問に男性は丁寧に答えてくれる。

「そうですね、ルウィーには各都市に協会があり、それぞれが自治都市として機能しているのです。そして、それらをまとめるのが中央協会なのです」

やはりルウィー、異質なのは雰囲気だけじゃないかと一行が納得したところで男性は気を利かせて地図を渡してくれた。

一行は礼を言って、その協会を後にした――。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

一行は何故か森の中を突き進んでいた。

 

何故かと言えば、中央協会はでかでかと森、というかダンジョンと化した森の中にどどんと居座っているからである。

まあ、そうは言ってもモンスターが森に住み着いたのが後ではあると思うのだが。

「ったく。面倒くさいな……」

テラは右手のナイフですっかり手入れの成されていない木々の小枝を払って先へ進む。

「ていうか、どうしてこんな森の中に協会なんて作ったですか?」

「ねぷ子みたいな変なのが勝手に入ってこないようにでもしたんじゃない? 何せ女神様がいるんだからね」

「そっかー! ――って失礼な!」

なんてネプテューヌの言葉をスルーしつつ、アイエフは続ける。

「それで、いつの間にか森がモンスターの住処になったって事ね。一応目的は達成できているのかもしれないけど……」

「なんか、違うよな……」

寧ろ、協会にとって必要な人材も近寄りたくなくなるような現状に一行はルウィー中央協会に深く同情した――。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

「ホワイトハート様―?」

コンコン、とノッカーの音と女性の声が一室に響く。

女性は少し迷ってから一室のドアを開けて、中にいる一人の人物に声を掛ける。

「ホワイトハート様? 女神様にお会いしたいという方がいらっしゃっていますが、どうしますか?」

女性は真っ暗な部屋に電気スタンド一つの明かりが付いた部屋を見てハアと大きな溜息を吐き、入り口付近のスイッチに手を伸ばす。

電気がついて少女は一瞬ビクリと身を震わせてからドアの方へと顔を向ける。

「……何?」

「いえ、ですから女神様にお会いしたい方がいると……」

「忙しい。だから帰って貰って」

即決で返事する少女、否、女神ホワイトハートを見て女性は先程よりも大きな溜息を吐く。

「ですが、久しぶりのお客様ですし、あまり無下に扱うのは――」

「私の守護が弱まっている、なんて噂。まだ信じてるの?」

ホワイトハートはキツイ視線で女性を見る。

女性はピクと小さく身を揺すり、また口を開く。

「そんなことは……。ですが、あまり大陸の方々に悪い印象を持たれても……」

「……分かった。通してあげて」

ホワイトハートは渋々立ち上がり、そこら辺に散らばっていた着替えを漁り、身支度を始める。

そんな彼女を見て女性は安堵の息を吐き、そっと扉を閉めた。

 

 *

 

「お待たせいたしました」

女性、フィナンシェは一礼し、一行を謁見の間へと案内する。

「申し訳ございません。女神様はとても急がしい身でして……」

こうやって何の躊躇いもなく真顔で嘘を吐ける辺り、かなり大物な気がしないでもないのだが、ともかくとして。

「やっぱり、女神様って言うくらいだしお仕事もいっぱいあるんだねー」

「大変そうです。そんな時にお邪魔しちゃって少し申し訳ないです……」

果たして、一部ではあるが女神様の仕事ぶりというか、実態を知っているテラ、アイエフ、フィナンシェは何か変な顔をした。

 

カーテンで仕切られてはいるが、奥の方でドアの開く音が鳴る。

「ホワイトハート様、こちらがホワイトハートにお会いしたいと言う、ネプテューヌさん、コンパさん、アイエフさん、テラバ・アイトさんです」

「……!」

カーテン越しにホワイトハートの動揺が伝わったかどうかは定かではないが、それはそれとしてフィナンシェは話を続ける。

「この方々はモンスターを退治しながら大陸を旅しておられるそうです。本日はホワイトハート様にお尋ねしたいことがあると……」

「……もういい。下がって」

ホワイトハートの声にフィナンシェは軽く一礼、テラに

「くれぐれも失礼の無いように……お願いしますね」

と耳打ちし、静かにドアの向こうへと消えていった。

 

「こんにちはー。ルウィーの女神様ははじめましてだね」

「……ネプテューヌ……テメエ……!!」

「へ?」

突如としてホワイトハートの声が変わり、というか声質は変わらないのだがなんか怒りを込めたようなそんな禍々しい感じの雰囲気を出している。

「どの面下げてのこのこ私の前に出て来てンだ……!?」

「えー? それより、私達『鍵の欠片』っていうアイテムを探してるんだけど、女神様知らない?」

話を聞いてやれよ……とテラとアイエフは思ったが、そんな突っ込みを与えるヒマもなくネプテューヌは続けるし、例の如く二人はネプテューヌに何を言っても無駄だと分かっているので黙殺である。

「……『鍵の欠片』……? そんなものをどうして?」

「えっと、いーすんさんを助けるのにどうしても必要なアイテムなんです。それで強いモンスターさんに守られているのでそう言うダンジョンを教えてくれるだけでもイイです」

「……そう。まるで眼中にないって感じ……?」

アイエフには何となく沸々と怒りを溜めているように感じて恐ろしい。

「……悪いけど、他を当たってくれる? 私にはそう言ったことは分からないから」

「えー、でも自分の大陸のことなんだから協会の人よりも詳しいでしょ?

忙しいならまた来るからさー、明日とか明後日とか……」

突如、バンと大きな音が響く。

恐らく壁か何かでも殴ったのであろう。

「……うるさい! もう来ないで。それか聞きたいことがあるのなら協会の人に聞いて!

私は知らない!!」

そして荒々しく扉を閉める音が響いた後、その場には無音だけが鎮座していた――。

「え、と……」

コンパは戸惑いを隠せないようにその場でオロオロと周りを無意味に見回している。

「仕方がないわね、今日はもうお開き。女神様の機嫌が悪いのならもう来たって無駄かも……」

アイエフの声で一行、否、テラを除いた三人は後方のドアから謁見の間を後にした。

 

テラはしばらくカーテン越しに話していた女神、――いや、少女に思いを馳せていた。

 

「……声、何処かで……」

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

「女神様、ご立腹だったねー」

ネプテューヌは市街の自販機で購入したココア(ホット)を啜りながらそんなことを漏らした。

その横では緑茶を啜るコンパが

「何か気に障ることでもしちゃったですか……?」

と、心配そうな声を上げていた。

しかし、テラは平然とした口調で告げる。

「まあ、仕方がないだろう。話はまた別の日に、だ」

そんなことを三人で話していると、掲示板でクエストの張り紙を見ていたアイエフが一行の元に戻ってくる。

「とりあえず当たり障りのないクエストでもね。一定区域のモンスターの掃討とか」

アイエフから用紙を受け取り、テラはクエスト内容に目を通していく。

が、突如として背後から女性の声が降りかかる。

「もしもし、そこの方々。モンスター退治なら、やめておきなさい。魔王ユニミテスの名をご存じですか?」

女性の声に戸惑いつつも、一行は顔を見合わせる。

「魔王さんなら何回か聞いたことあるです。でも、そこまで深いことは……」

「そうですか。……モンスターは魔王の従順なる下僕、倒せば罰が下ります。死に急ぐような真似はやめておきなさい」

女性の強い声音にコンパは声を上げる。

「でも、モンスターさんを倒しちゃいけない、なんてそういうわけにはいかないです!」

女性は目を伏せて哀しそうに呟く。

「モンスターを倒せば世界が救われると思っているのですね。……最早、手遅れです。やめておきなさい」

「おいおい……。物騒なこと言うな」

テラの言葉に女性はふるふると小さく首を振る。

「いいえ。もう止めようがないのです。魔王ユニミテスは初代女神さえも恐れた存在。現在の女神様も下界へ逃れるしか手がなかったと言われています」

「そんなわけないでしょ。魔王なんているわけないじゃない」

アイエフは面倒くさそうにそう返事をする。

その言葉で女性は無駄だと悟ったか、そっとその場を立ち去っていこうとする。

「……最後通告です。モンスターを倒せば、いずれあなた達の身にも危険が及ぶことになります――」

「……忠告どうも」

テラはそう短く返し、クエストの指定通りの目的地へと足を運んだ――。

 

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古く、味のある遺跡のようなダンジョンで一行はモンスター退治に勤しんでいた。

噂ではここに住み着いているモンスターはなかなかレベルも高く、もしかしたらもしかするんじゃないかと一同は淡い期待を抱いてここに赴いていたのだが、当たり前というか何というかそんな行き当たりばったりで見つけられるモノではないと改めて痛感させられていた。

「やっぱり無いですね……。今度、侍従さんに色々と聞いてみるです」

「そうだなー……。傭兵用の地図とかなら貸し出してくれるかもな」

一同、そんなことを思いながら全くの不収穫と踵を帰してダンジョンを去ろうとする――

 

 

 

 

 

 

が、一行の前に白い機影が立ちはだかる。

一見すると白のスクール水着のような衣装を身に纏う幼い少女である。

しかし、その華奢で小柄な両手にはゴツゴツしい籠手、そしてこれまたゴツゴツシイ長斧が握られており、全体的に『ヤバイ人』を演出している。

余談だが、『ヤバイ人』はなんとなく『やばいじん』って読めるよね。

 

「待って。あなた達と話したいことがある」

少女はいかにも無感情でそう告げる。

しかし、ネプテューヌはそんな少女を見て歓喜の声を上げる。

「わぁ! 格好イイね、ルウィーって魔法の国ってだけあってこんな変な人もいるんだ!」

「ね、ねぷねぷ! 流石に失礼です!」

本人を目の前にして『変な人』扱いは流石に大物というか、礼儀を持ち合わせていないというか、そういったことは定かではないがただ一つ言えるのは『変な人』が『へんなじん』となんとなく読めることだけである。

少女はピクと眉を動かしつつ、ネプテューヌ除く一行に視線を向ける。

「部外者は退いて。私はネプテューヌに用がある……」

「えー、また私?」

こう行く先々で狙われている辺り、やはりこの娘、相当な悪人だったんじゃないかとテラは一抹の不安を感じたのだがやはりというかここでは黙っていた。

「またねぷ子狙い? 面倒くさいわねー……。

でもね、こっちだって『ハイそうですか』って引き下がるわけにはいかないわ」

「そうです! 私達パーティは一心同体! 死なば諸共です!!」

その言い方だと凄く嫌な感じしかしない。

そんなコンパの言葉にテラは冷や汗を垂らした。

「そうだそうだ! 私達は4人で一つ! 見た目は4人、心は一つ! その名m――」

「ややこしくなるからねぷ子は黙っててくれ。んで、アンタはねぷ子に何をされた? アンタは何をしたい?」

テラは苦々しい表情で目の前の少女を見る。

決して表情は揺らがない。

すなわち、彼女の意図するモノが見えない。

テラはそっと腰のナイフに手を伸ばす。

いざというときに反撃するために。

しかし、少女はそんな彼を一瞥し、静かに武器を構える。

「いい……、これくらい丁度いいハンデ。4人まとめて掛かってくればいい」

「……へぇ。言ってくれるじゃない!」

アイエフはカタールを構えて飛び上がり、上段に構えて勢いよく振りかぶる。

少女はそれを斧の柄で防ぎ、そのまま勢いに乗せてアイエフを地面に叩き付ける。

「っらぁ!!」

「く……!」

振り下ろされる斧をギリギリのところで転がって避け、アイエフは再び体勢を立て直す。

少女は余裕の表情で長斧を肩に担ぐ。

「へっ、他の奴らも掛かって来いよ。特に、ネプテューヌ。テメエとは決着つけさせて貰うぜ……」

バコンと斧を地面に叩き付け、その後に地面を蹴って少女はネプテューヌに蹴りを入れる。

変身し、それを防いだネプテューヌであるが、直後に降ろされた斧の重量、勢いに絶えきれず、その華奢な身体が宙を舞う。

「ぐっ……!」

「そんなモンかよっ!」

しかし、少女の頬を銃弾がかすめる。

コンパの放った魔法弾が少女に狙いを定めて次々と撃たれる。

少女は表情を歪めて地に降り立つ。

「ウゼェっ!!」

少女は近くの柱を斧でたたき壊し、その衝撃で生まれた砂煙に身を隠す。

テラは落下するネプテューヌをキャッチする。

「大丈夫か?」

「何とか……」

とは言ったモノの苦痛に表情を歪める彼女を見てテラはとても心配そうな表情をした。

テラは目を閉じ、聞こえる音に全神経を集中させた。

テラはすっと腰から銃を抜き取り、簡易弾を装填し、少女と思しき気配がする方向へと弾丸を撃ち込む。

「!?」

テラの読み通り、少女は銃弾に驚き動きを止める。

その間にテラは素早く移動し、ナイフを投げつけ、更にもう一本のナイフを少女の首筋に軽く当てる。

「……!」

「動くな」

「侮った……? 違う。貴方……」

少女は素早く右手に持っていた長斧を振り、テラを退かせる。

暫しの睨み合いの後、少女はくると身体の向きを変えてむすっとした声で告げる。

「帰る」

 

 

『……へ?』

その言葉で一同はポカンと呆けてしまう。

そうしてしばらくの後、ネプテューヌは声を上げる。

「どうして彼女は私を狙ったのかしら……。もしかしたら――」

「あの娘はねぷねぷが記憶を失う以前の知り合いかもですね」

「や、いきなり襲いかかってくるなんてどんな知り合い? ……ま、まあいつものねぷ子なら恨みの一つや二つ、抱えてても何らおかしくなさそうだけどさ……」

果たして、アイエフの言い分はなんとなく的を得ていそうで怖いな、とテラは感じたがそれはそれとして彼はまた妙な違和感に見舞われていた。

「……」

「どうしたの?」

ネプテューヌにそう問われ、テラはうぅんと何とも歯切れの悪い声を上げる。

「いや、何というか……。懐かしい、違うな……。とにかく、あの娘を見てたらなんか変な感じがするんだ」

 

『……へぇ』

 

三人の視線が急激に冷たいモノへと化し、テラはぞくりと悪寒が走るのを感じた。

「で、でもさ、ねぷ子の知り合いなら何か聞けば良かったな! あの感じは絶対に何か知ってそうだったしさ!」

苦し紛れの話題替えというか何というか、非常に見ていて心苦しいモノはあったが言い分も最もなのでひとまずその話題は据え置き、閑話休題となった。

「確かに、捕まえて話でもさせれば良かったわね。それならもっと面白い話も聞けたかもしれないし」

アイエフは少し残念そうな表情でそう告げる。

「でも、アレだけフラグを立ててたですからきっとまた機会もあるです!」

コンパの言葉に『まあ、それもそうか』と納得し、一同はダンジョンを後にする。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

「ねえねえ、あいちゃん。やっぱり女神様とどうにかしてお話しできないかなー?」

「なんでこのタイミングで唐突に出るのよ」

しかしまあ、ネプテューヌの奇行もいまに始まったような事態でもないし、アイエフは携帯を開いて何処かに連絡を掛ける。

「まあ、そう言うと思ってちょっと試したいことがあるのよね」

そう言ってアイエフはしばらく何事かを話すと一行を手招きし、何処かへと向かっていく。

 

 

「ねぷ子とこんぱには話してなかったと思うけど、実は私ね、ギルドのメンバーなの」

アイエフがそう重々しく口を開く。

ちなみにテラはリーンボックスでその情報は本人の口答で既知していた。

「ぎるど、って何?」

ネプテューヌはやはり記憶喪失か、大陸の情報については何も知らないのでこくんと首を傾げる。

「ギルドって確か自分の大陸の女神様を信仰しない人が集まった組織、ですよね?」

「要は異教の集団って事。ルウィー生まれなのにグリーンハート様を信仰してるとかそんな感じね」

アイエフの言葉にネプテューヌはうんうんと頷き、納得。

「で、あいちゃんは誰を信仰してるの?」

「な、それは言わない!」

アイエフは必死に覆い隠そうとするも

「グリーンハート様」

事情を知っているテラは軽々と口を開いた。

「んなっ! ちょ、言わないでよ!?」

「いいだろ、別に。俺もいい人だと思ったぞ、グリーンハート様」

その後、しばらく二人で揉み合った後、ごほんとアイエフは咳払いを一つして話の流れを元に戻す。

「ともかく! そういう異教の集団、ギルドに対する風当たりっていうのは何処の大陸でも厳しいわけ。リーンボックスみたいに大陸を追われたりなんかも、ね」

「でも、それじゃあギルドの皆さんは根無し草になっちゃうです。あいちゃんみたいに世界を旅するんですか?」

アイエフは首を横に振る。

「そういうわけでもないの。ルウィーはこうやって街ごとに協会があるでしょ?」

アイエフはそう言って向こうに見える協会を指す。

「街ひとつひとつが協会を中心にした自治都市として機能している」

「それが、どうかしたんですか?」

「ん、まあ詳しいことは別の人にお願いするわ。その人の方が説明上手だと思うし」

アイエフは再び携帯のボタンをプッシュし、誰かを呼び出す。

 

 

数分後、ぱたぱたという足音と共に一人の女性、見覚えのある女性が顔を出す。

「お待たせしました、皆さんとは以前お会いしましたね。フィナンシェです」

そういってお辞儀をするフィナンシェを見てアイエフ除く三人は深く衝撃を受けた。

「って、侍従さん!?」

「ちょ、おま……」

「どうしてですか!?」

まあ、予想通りの反応というか何というかである。

「何でまた……。つーか、アンタ協会の人じゃないのか?」

「まあ、協会に属していてもホワイトハート様を信仰しているわけではないので……。仕事は仕事、信仰は信仰で割り切っているんです」

そんな彼女を見てテラは引きつった笑顔を浮かべる。

「それより、ルウィーの街とギルドの関係がまだ聞けてないです。どうなっているですか?」

コンパの問いにフィナンシェはこほんと咳払いをひとつ。

「ええと、ルウィーの自治都市の中にはギルドの隠れ蓑、ギルド都市と呼ばれる都市が幾つかあります」

「ほう」

「リーンボックスから逃げおおせた異端者達が当時ルウィーの中央協会にいた異端者の協力で一時的に協会の目から逃れるように生活していたんです」

それには一同にも聞き覚えがあった。

十年ほど前にあったリーンボックスでの異端者弾圧事件。

「しかし、そのような生活にも限界が来た。それで、異端者達は自分達のためだけの都市、つまりは現在のギルド都市を造ったのです」

長々しい説明を終え、フィナンシェはふうと小さく息を吐く。

「えと、つまりここもギルド都市なんだよね? 見た感じあんまり普通の都市と変わらないけど」

「目立たないくらいで良いのよ。つーか、ばれたらまずいんだってば」

「第一、目的はそれじゃないだろ」

テラの言葉で一行は軌道修正。

「それで、私達、女神様に会いたいです。侍従さんが助っ人に来たってどうやって協会に入るですか?」

「やっぱり侍従さん権限でVIP待遇とか?」

ネプテューヌの言葉にフィナンシェは苦笑いを浮かべた後に静かに首を横に振る。

「侍従なんてそんなに偉くないですよ。さっきの話の続きですが、協会内の異端者は追放、悪ければ制裁を加えられてしまいます。リーンボックスの粛清が良い例ですね」

「ああ……」

「それで、そんな異端者達のためにギルド都市である個々の協会と中央協会は秘密の抜け道で繋がっているんです」

そこで納得したようにテラは声を上げる。

「その抜け道を通って中央協会に侵入しようって事か?」

「で、その案内のためにフィナンシェを呼んだってワケ」

「なるほどです!」

一行が納得したところで、フィナンシェは4人を引き連れて秘密の抜け道へと案内する。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

薄暗い地下道の前に一行は立っていた。

時折吹く風が怪物の声のように低く唸りを上げて不気味さを演出している。

「ここが抜け道ですか? なんかスゴイ危ないです! モンスターさんの匂いがプンプンするです!」

「なにせしばらく使わなかったモノですからモンスターが住み着いてしまったんですね。モンスターといえど、外は寒いですから」

「な、なるほど……」

モンスターだって生きているんだなと納得してしまうのだが、残念ながらここでそれは問題ではないし、障害になると言うのなら倒さねばならないだろう。

「ほら、フィナンシェは戦えないんだから私達が先に進まないと! いくわよ」

アイエフは船頭切って薄暗い洞窟の中を進んでいく。

 

説明
第17話です 最近またスランプ気味?です
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コメント
藾弑サマ>ぶらんちゃんマジカワユスw 妹キャラ最高ですw(ME-GA)
やべぇ、ブランの「帰る」(ムスッに目覚めてしまった…ネプギアとネプテューヌが一番なのに…(駆蘭)
リアルではおぜうタイプサマ>まったくですねw テラ「困ったもんだよな、その点ベールは話しやすい」 怒ると怖いけどね テラ「そうなのか…ノワールは意外と人の話聞かないぞ?」 妄想の世界に浸っちゃうからねw(ME-GA)
どういうことだおい…また絵が更新されてるじゃねぇか…!フロム「しかし、女神は誰も彼も人の話聞かないな。聞くの緑ぐらいか?」ネロ「ノワールねーさんはどうした!」フロム「知らねぇよそのまま死んでろクロ」(リアルではおぜうタイプ@復帰)
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超次元ゲイムネプテューヌ 二次創作 ご都合主義 

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