IS−転生者は漆黒の騎士となりて− 第12話 |
side千冬
今私は太平洋上で日本に飛来してくるミサイルを迎撃するために束と悠也が作成したIS、白騎士を装備している。
事の始まりはおよそ1時間前……
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「何!?軍事コンピュータをハッキングして日本にミサイルが飛んでくるようにしただと!?」
「うんそーだよ、ちーちゃん。だからちーちゃんには今から白騎士を使ってその飛んでくるミサイルを全部撃墜してほしんだ」
「おい束、何故そんなことをした!?」
「それはねちーちゃん、ISを世界に認めさせるのとゆーくんを引っ張り出すためだよ」
何?ISを世界に認めさせるのはミサイルを全機撃墜することで世界に示すということで理解できるがそれが何故あれからずっと出てこない悠也を引っ張り出すのとどう関係がある?
「うん、それはねゆーくんは多分白騎士が動いてたら黙ってなんかいないからだよ」
「何?」
「実は前にね白騎士のプロトタイプを作ったときに何で自分に声かけなかったって怒ったからね。それにゆーくんはISを娘って呼んでかなり愛着もあるみたいだから絶対に黙って無いよ」
ISが娘だと?確かにISには意識の様な物があると悠也と束から聞いたがそれだと2人の娘という事になるのか?聞いてて何故かやり場のない怒りがこみ上げてくるな……
「……それで私は白騎士を使いミサイルを落としに向かえばいいんだな?」
「うん、ちーちゃん何か怒ってる?」
「……別に怒ってなどない」
「いや、絶対に怒ってるよね?」
「怒ってないと言ってるだろ」
「……うん、分かったよ。それじゃあお願いね」
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《ちーちゃん、そろそろ来るよ!!》
「ああ!!」
視界にミサイルが映る。私はステルスを解除しその手に持った剣を構える。
ミサイルに向かい飛翔し近場の物からすれ違いざまに剣を振るい撃墜していく。
その場に飛んで来たミサイルを全て撃墜し終えると続けて第2陣が飛来して来る。
《ちーちゃん、今度は荷電粒子砲を使って撃墜して!!》
「分かった!!」
私は拡張領域《パスロット》から荷電粒子砲を呼び出す。次の瞬間粒子から大型荷電粒子砲が構成しそれを発射する。荷電粒子砲から発射された光が離れたミサイルを飲み込み次々に爆砕していく。
「しかしとんでもない威力だなこれは……」
《そりゃそーだよちーちゃん。これはゆーくんがくれた技術を元に私が改良したビーム兵器だもん》
「そうか…それよりミサイルはこれで終わりか?」
《うん、その筈だよ》
「そうか…何!?」
全て撃墜したと聞いた次の瞬間白騎士のハイパーセンサーに今まで撃墜したのと同数のミサイルが飛来してきていることが表示された。
私は再度荷電粒子砲を構えて撃墜しようとするが次の瞬間飛来してきたミサイルが上空から一直線に伸びてきた緑色の光に薙ぎ払われ一掃された。
《ちーちゃん、上空からIS反応がするよ!!》
「何!?」
どういうことだ!?ISは今は束と悠也の作ったこの白騎士だけの筈。それなのに別の反応がするだと!?
私は束に言われたように上空を見上げる。そこには白騎士とは真逆の色の漆黒の装甲に全身を包まれた黒い騎士が右手に剣を構え佇んでいた。
side悠也
時間は遡る事10分ほど前……
「リヴァイヴ、あとどの位で目的地に到着する?」
《トランザムを使って最高速度で飛ばしているから後5分もかからないよ》
「そうか了解した」
リヴァイヴの報告を聞き調整を切り上げる。これで最低限の機動はできる程度には調整は済んだ。ただし殆どの機能は使用制限がかかっているが大気圏外から突入しミサイルを撃墜し戦闘機等を相手取るだけならなんら問題は無い。
俺はIS用に調整したノーマルスーツを着込みヘルメットを装着しISに冷却用フィルターを装備させその上から高機動ユニットを装備できる様にセットしISを自分に装備する。
(ところで悠也?)
(何だリジェネ?こんな時に)
(こんな時だからこそだよ悠也、君の緊張をほぐすためだよ)
(……そりゃどーも。それで何を聞きたいんだ?)
(君のISの名前だよ。まだ誰も聞いて無かったからね)
名前…名前か……そういえばまだ付けていなかったな……
自身の装着したISを想定し逡巡する。
(そうだな……白騎士とは真逆の漆黒の装甲。さしずめ黒騎士と言ったところか)
(随分と安直だね)
(……うるさいリジェネ。シンプルイズベストだ)
そう言って脳量子波を遮断する。だがまあリジェネのお陰というのは少々癪だが緊張は無くなった。これならいける。そういった確固たる自信がある。
黒騎士を装着し格納庫からリニアカタパルトに移動する。
《悠也、到着したよ》
「了解した、ではDIVA、ヒリング手筈通りに頼んだぞ」
『《了解!!》』
「では…十神悠也、黒騎士……出るッ!!」
次の瞬間リニアカタパルトから射出され、黒騎士を大気圏突入シークエンスに入らせる。
「GNフィールドおよび冷却フィルター展開!!」
機体前面にGNフィールドが傘のように展開され、そのまま地球に向かって突き進む。
大気圏に突入すると同時に摩擦により視界が真っ赤に染まる。だが熱はGNフィールドと冷却フィルターに遮断され伝わってこない。
成層圏を抜け切ると同時に機体のミラージュコロイドを展開し機体を隠蔽する。
さて、後はミサイルを撃墜するだけだ。
機体のコンディションと武装を確認する。ミサイルを一掃できる武装は唯一つ、ビームソードによる最大出力で薙ぎ払うだけ。ただし調整が完全で無い為最大出力での使用可能時間は僅か数秒のみで一回限り。
そろそろミサイルの通過予想ポイントに近づいてきた。近くに白騎士の反応もある。
高機動ユニットをパージし機密保持の為自爆させ内蔵させていた大量のGN粒子を散布させる。ビームソードのエネルギーをチャージしミサイルが向かってくる方向に向けて構える。
来た!!ハイパーセンサーに大量のミサイルの反応が表示される。その数およそ2341発!?
さっき白騎士が撃墜した数と同数のミサイルだと?覚悟を決めミラージュコロイドを解除しミサイル目掛けてビームソードを最大出力で薙ぎ払う!!
全てのミサイルがビームソードの高密度に束ねられたエネルギーに飲み込まれ爆発していく。
これで全てのミサイルが撃墜されたはずだ。ビームソードを通常出力に戻し周囲を警戒する。
ハイパーセンサーにロックオン反応?反応のあった方向を見てみると白騎士がこちらを見上げている。
このままだと斬りかかられかねない。白騎士にむけてプライベートチャンネルを開く。
「もしもし?千冬さん聞こえてます?俺です、悠也です」
《何?悠也か?何でお前がISを使ってここにいる?》
「ああそれではすね……『マスター6時の方向から米軍機が迫ってます』ちっ……話は後ですどうやらここに軍が迫ってきてる様なので」
一旦通信を切り左手にGNビームサーベルを呼び出し構える。
向かってくる戦闘機の機銃をすれ違いざまに左手のサーベルで切り落とし無効化する。後続の機体がこちらにミサイルや機銃を撃ってくるがそもそもISに効くはずもない。いくら俺の黒騎士のエネルギーシールドが未完成とはいえガンダニュウム合金製の装甲に傷を付けられる筈もない。
機銃による攻撃は全て受け切りミサイルは右手のビームソードと左手のビームサーベルで切り落とす。
「千冬さん、空の方は俺が引き受けるんで空母とか駆逐艦とか海の方はそちらでお願いします」
《あ、ああ…分かった!》
「さてDIVA現在の状況はどうだ?」
『はい、現在そちらに向けて米軍を始めとした各国の戦闘機や空母、駆逐艦が向かってます。その中には幾つかの最新機や極秘開発の機体なども紛れているようです』
そこまで評価されているか。だがまあ幾ら向かってきたところでこちらにかなう訳は無いしDIVAから送られたデータを見る限り物量によって押し切られてのエネルギー切れも無いだろう。いざとなったら武装はエネルギー消費の比較的高いビームソードから五大剣に変えればいい。
さて、ここは向かってくる相手に向けて騎士らしく名乗りをあげるとするか。もちろん声も変えて素性は完全に隠して。
『黒騎士、推シテ参ル!!』
side某国軍将校
何という事だ……自国の軍事コンピュータが何者かに掌握され日本に向けて発射されただけでもかなりの失態だというのに……
それが正体不明の訳のパワードスーツを装着した人間に撃墜されているとは。
今の私は国からそのミサイルを撃墜したモノの分析、可能であれば捕獲、無理ならば撃滅という命令を受けてここにいる。
近場の青年士官が慌てて報告をあげてくる。
「司令!!先発の偵察機が全機無効化されました!!」
「何!?パイロットはどうした!?」
「ハッ、全員無事のようです。報告によれば他国の物も同様のようです」
「そうか…」
死傷者は無しか、それも他国の軍の物も同様に。つまり偶然ではなく意図的にやっているという事だ。相手にはそれだけの余裕があるという事になる。
「世界は……変わるぞ…」
私は誰にも聞こえ開ないような声で呟いた。
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side悠也
さて、これで打ち止めかな?
周囲には戦闘機や艦船の残骸が浮き漂っている。だが死傷者はゼロ。全員脱出して周囲の海域にはもう居ない。
《悠也、さっきの話の続きだが……》
「そうですね。その前に一旦ここを離れましょう。白騎士にもステルスは付いていた筈ですし」
《ああ》
(さてヒリングこちらの反応が消えたらやってくれ。リヴァイヴ全部落としたらソレスタルビーイング号にそのまま戻ってくれ。俺はこのまま家に戻る)
((了解))
俺は五大剣を量子転換しミラージュコロイドを起動し千冬さんは白騎士のステルスを使用し束さんのいる海岸に移動した。
「ちーちゃん、お疲れ様〜、ゆーくんも凄かったね」
「ああ」
『ソリャドーモ』
「ゆーくん声が変なままだよ?」
ああ忘れてた。黒騎士を装備したままだから変声機が作動したままだ。黒騎士を解除し中で被っていたヘルメットを脱ぎ捨てる。
どうやら千冬さんも白騎士を解除したようだ。
「それで今度は2人は俺に何を聞きたいんです?」
「まずはゆーくんは何でISを使えるんだい?ISは女性にしか使えない筈だよ?」
「それは簡単ですよ。話せるんだから使えても何ら不思議は無いでしょう?」
「何!?悠也お前はISと会話ができるのか?」
まあ実際には俺も原理はよくは分かってないが実際に使えるのだから問題は無い。
「ええそうです。まあこの事は前に束さんに話したんで詳しくはソッチに聞いて下さい」
「そうか…それでお前はどこから来た?」
「どこからって……そりゃアソコ以外無いでしょう」
「ゆーくんそれって宇宙から降りてきたってことかい?」
「ええ、あの船から衛星軌道上まで多目的輸送艦できて単独で大気圏突入してきました」
「束もだがお前も大概だな……」
「そんな事は無いですよ」
そんな事は無い。俺はそこまでマッドな人種じゃ無い………筈。もしそうだとしても絶対に認めない。絶対にだ。
「今度は俺から聞きますけどな・ん・であんな事したんですか?」
俺はとびきりの笑顔でそれで尚且つ最大限にプレッシャーを込めて2人に尋ねる。勿論言外に理由次第じゃ説教通常の5倍近くまでいくという意味を込めて。
案の定2人はプレッシャーに押されバツの悪そうな表情で説明してきた。
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「そういうことですか……」
2人の説明を聞き俺は見事にその考えに乗せられたと思う。普段じゃ絶対に事前に阻止するための策を用意して実行前に止めて直後に説教になるのだが今回はそれをやれなかったという事は俺はよっぽど追い込まれていたらしい。
そう考えた直後意識が朦朧としだす。どうやら先程までの興奮状態が一旦落ち着いたことで切れてきたことによりこの2ヵ月間のつけが回ってきたようだ。
「……お…悠也!!…」
「ゆー……くん!!」
2人の声が遥か遠くに聞こえる。
ああ…もう意識を保っていられない。俺は2人の声を聞きながら意識を手放した……
黒騎士
世代:第1世代?
操縦者:十神悠也
開発:十神悠也 ソレスタルビーイング号ファクトリー
悠也が自分専用機として作り上げたISで使用されたコアはbO02
ヴェーダ内の技術を元に作り上げたのでかなりのハイスペックだが操作性はかなりピーキー
になっており文字通り悠也専用機と化している。しかし現状ではヴェーダ内にISに関する技術を登録していないためISとしては未完成となっているし今回の事件で急遽出撃したためそれ以外の機能も一部使用不可となっている。
動力源としてはISコア以外にオリジナルの太陽炉を搭載し装甲はガンダニュウム合金を使用しているため出力や強度はかなり高い。現状ではまだ積んでいないがサイコフレームも使用予定だった。
形状はエピオンを基本とし四肢がヴァイサーガで頭部がバルカンの部分を取り払ったトールギスVとなっておりカラーは黒。
現在使用可能な機能は隠蔽のためのミラージュコロイドとボイスチェンジャーと大気圏突入機能のみとなっている。
・試作型ビームソード
エピオンのものを参考に作ったが調整が不完全で最大出力で使用できるのは1回の出撃で1度のみ。2回目以降に使用すると回路が焼き切れ通常出力でも使用が不可能となる。
なお、このビーム刃は本機のビーム兵器の中で唯一GN粒子を使用していない。
ビームを展開してないときは短剣として使用可能。
未使用時は右腰にマウントしてある。
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第12話 | ||
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