そらのおとしもの こどもの日の子供達戦争 |
「あ〜、だり〜」
智樹が部屋で寝転がっていた。
その寝転がりは普通に昼寝したりするものではなく、かったるくてするものだった。
「お兄ちゃ〜ん」
「マスター」
部屋の前の扉でカオスとイカロスがノックする。
「入ります」
イカロス達は部屋に入る。
そこでかったるそうに寝転がる智樹を見つけた。
「マスター、大丈夫ですか?」
「大丈夫……、あ〜かったり〜」
「かったり〜って?」
「要するに何もやる気が起きてないってことよ」
そこにニンフもやって来る。
「ニンフ」
「やる気でないんなら家で寝転がるより外に出かけたら?」
「出かけるってもどこ行きゃいいんだよ?」
「ここに行ったら?」
ニンフが一枚のチラシを見せる。
それはデパートのチラシだった。
「デパート?」
「そこで『こどもの日』特別記念でなんかショーやるみたいよ」
「ショー?」
「そう、ショー」
「そんなのそはらとか秋山にでも連れてってもらえよ」
「「私がなんだって(俺がなんだと)?」」
そこにはいつの間にかそはらと秋山がいた。
「智ちゃん、どうしたの? どこか体が悪いの?」
「ただ単にかったるいだけだって…」
「五月病って奴か? 身体に異常がないのは俺でも分かる」
秋山は闇の力でその者の身体の様子をすぐに看破することが出来る。(精神となるとすぐには看破できない)
「まあかったるいだけなら……」
秋山が智樹の体を持ち上げる。
「行くぞ」
「行くってどこに?」
「ニンフの持ってるチラシに載ってるデパートにだ。
たまにはイカロス達と一緒に出掛けんかい」
「たまにはって……俺そんなに一緒に行ってないか?」
「とにかく行こうよ、お兄ちゃん」
「そうそう、楽しいかもしれないよ、智ちゃん」
「はぁ〜」
こうして智樹は4人の女の子と1人の男に連れて行かれる形で出かけるのだった。
そらのおとしもの こどもの日の子供達戦争
智樹達はヒーローショーを見るためにデパートの屋上に来ていた。
「思ったより人多いわね」
「GW(ゴールデンウィーク)でお休みが続いてるからね」
思ったより人(特にヒーローショーを見るために親子)が多かった。
「そんでもって外だもんな。人が多く入れられるんだろうな」
「……」
「秋山お兄ちゃん?」
少し考え込んでいた秋山にカオスが声をかける。
「いや、少し前(該当作品『そらのおとしものf 番外編 カオスのとある日常(いちにち) ヒーローショー編』)のことがあるのを思い出してな……」
「あの時?」
「あの時って何よ?」
秋山とカオスはその時のことはさすがに問題だろうとして話していないのだ。
「まあいろいろあったんだよ」
「色々…」
「?」
「まあそれはともかく今回やるのは……『殲滅戦隊バーカージャー』か」
「本当にヒーローの名前なの?」
「これでも今やってる(放送してる)特撮ヒーローだぞ。
まあ戦い方にしてはヒーローの一線は越えちまってるけどな…」
「うん、相手の弱点になるところを平気で攻撃したり、敵に寝返ったふりするのに市民を平気で攻撃したり…、敵の基地を思いっきり爆破したりするね」
「そんなのでショーやって大丈夫なの?」
「さすがにテレビでしてることは抑え目にするだろ。
それに出来ないこととかいろいろあるだろうしな……」
秋山がしゃがんでカオスの所に耳打ちする。
(カオス、前にも言ったけど今度はあんなことしないようにな。あちらさんも色々困るから…)
(うん)
「何話してるの?」
「うん、いやな、場所はどの辺がいいかの相談だ」
「それだったらあそこがいいんじゃない?」
そはらがステージを見るのになかなかいい場所を指差す。
「お、いいな。それじゃああそこに座るか」
「うん」
6人は見通しのいい場所に座る。
それから数十分後にショーが始まる。
「皆〜、元気〜」
『元気〜〜〜』
司会のお姉さんの声に合わせるように子供達も答える。
「これから『殲滅戦隊バーカージャー』ショーが始まるけど、皆どれくらい期待してた?」
『すごく〜〜〜〜!』
「バーカージャーも喜ぶね。それじゃあ皆大声で……」
「ふ〜ははははは!!」
そこに不気味な笑い声が聞こえてきて、舞台袖からバーカージャーの敵組織の戦闘員達数名に怪人が1人現れる。
(戦闘員の姿はよくみられる黒タイツ姿で、怪人の姿は包帯ミイラみたいなものだった)
「このショーは我ら『セーカー』が乗っ取った!」
「『セーカー』って?」
「あの怪人ってかバーカージャーの戦ってる組織の名前」
そはらの質問に答える秋山。
「皆、大変だよ! 急いでバーカージャーを呼ぼう! せーの……」
『バーカージャーーーーーーーーーーー!!!』
子供達の声を聴いて舞台袖からバーカージャーの4人が現れる。
「バーカーレッド!」
「バーカーブルー!」
「バーカーイエロー!」
「バーカーホワイト!」
レッド、ブルー、イエロー、ホワイトの4人の戦士が名乗りを上げる。
「なんでバーカーが先なんだ?」
「んなもん制作の方に聞けよ」
「セーカーの怪人! これ以上好きにはさせんぞ!」
「ふん、バーカージャー、飛んで火にいる夏の虫と言うのはこのことだな」
「なんだと!」
「スイッチオン!」
怪人が掌を軽く叩くとステージに何色かの光が照らされる。
「うわあああああ!!」
「苦しい…」
「こ、これは……」
「体が………」
「どうだ! お前達の為に用意したこの『デライト』の力は!
その改造されたお前達の体の自由を奪うものだ! やれ!」
セーカーの戦闘員達はバーカージャーを攻撃する。
バーカージャー達は体の自由を止められて動けないので、無抵抗のまま攻撃を受ける。
「ああ、バーカージャーがピンチだよ! ステージの前の皆!
バーカージャーを助けよう!」
司会のお姉さんの言葉を聞いて子供達は一斉に立ち上がる。
「へ?」
あまりに突然のことで智樹は思わず声を漏らす。
「やっちゃええええ!!」
『うわああああ!!』
見ていた子供達のほとんどがステージに上がっていき、怪人や戦闘員達と戦い始める。
もっとも大人と子供では力が全然違うので戦闘員達はあまりダメージにならない。
「ねえ、あんなことして大丈夫なの?」
自分達の知ってるヒーローショーとは少し違っているところ(要は子供がステージに全面参加)に少々戸惑うそはら。
「大丈夫でしょ、あっちはそれ承知でやってるんだろうし…」
「でもああいうヒーローショーに出てる人達って、アルバイトの人達なんじゃ…」
「まあ一応注意書きは書いてあるみたいだぜ」
秋山がチラシをよく見てみる。
そこにはこう書かれていた。
『子供達も全面的にバーカージャーと一緒に戦えるよ! ※ただしあまり力を入れ過ぎるとどちらも怪我するから気を付けてね』
「…………」
「子供の方もそんなに力まなくて済みますね」
「甘いぞ、イカロス。子供ってのは大人以上に手加減が難しいもんだ」
秋山の言う通りであった。
ステージの方に視線を戻すと、子供の何人かが敵の脛部分を思いっきり蹴っていた。
人はどれだけ鍛えてもどうしても打たれたりすると痛い部分が存在する。
その一つが脛であった。
怪人の方は着ぐるみのおかげでどうにかなってはいるが、戦闘員の方は着ぐるみではなくタイツのため、ダメージは大きい。
「戦闘員が痛がってます」
「だから言ったろ、子供は大人以上に手加減しないって…」
終いには戦闘員は余りの痛さにステージから落ちて、何とか舞台袖に逃げ帰った。
「後はあいつだけだ!」
『わあああああああ!!』
子供達が怪人の方に攻撃しまくる。
怪人の着ぐるみが思ったより分厚いために何とかダメージがほとんどないのだが、怪人の方は相手が子供のために本気を出して振りほどくわけにもいかなかった。
「おのれ、バーカージャー! 子供を使って攻撃するとは!」
「いいぞ! 子供達! そのままセーカーの怪人と互角だ!」
動けないとして動こうとしないバーカージャーと子供に攻撃されまくるセーカーの怪人。
「ねえ、あれって本当に正義の味方の言うセリフなの?」
ニンフは番組を見てないので、疑念を抱いていた。
「うん、いつもあんな風だよ」
カオスは普通に答えた。
「あきれた、あれじゃ戦隊の方が悪者じゃない」
「まああいつらは殲滅戦隊だからな、とことん敵を倒す奴らだから……、あまり手段を選ぶタイプじゃない」
「酷い……」
「それもはや悪の味方だろ」
そはらに智樹もあきれ返っていた。
「まあそれがマンネリ打破してるせいか人気あるんだよな。
そんでもって撮影の時は周りにいるギャラリーを大体エキストラ参加させてる。
視聴者参加型って言うのかな。だから今日ここに来た子供達は張り切ってるってこと。
っても今いるあの子供達はやり過ぎだな」
秋山が立ち上がる。
「何するの?」
「なあ、お前達、たまには悪役になってみないか?」
秋山が不敵な笑みを浮かべた。
秋山が不敵な笑みを浮かべて1分後。
『えいえい!』
「これでもか! これでもか!」
怪人は子供達の攻撃を受け、倒れてしまった。
「よし! 子供達! そのままいけ!」
「そうは……させないぜよ!」
ステージの上、つまりは空から声が聞こえてくる。
すると空から1人の怪人が降り立った。
その怪人の姿は翼を生やし、アヌビスのような姿だった。
「おおっと!? 突然空から新しい怪人が現れたぞ!」
「大丈夫か! お前!」
空からやって来た怪人は子供達に倒されてる怪人に声をかける。
そして空からやって来た怪人は子供達を引きはがす。
「うわああああ!」
「離せ!」
「お前達はいくらなんでもやりすぎだ!」
空から来た怪人は子供達を観客席に戻す。
「ステージに上がらせないでくれよ」
親に注意をする怪人。
「大丈夫か?」
空から来た怪人は倒されていた怪人を助ける。
「あ、ありがとう」
手を差し出されたのでその手を取って起き上がる怪人。
「あ〜あ、もうショーが滅茶苦茶だよ」
「でも秋山お兄ちゃん、楽しそう」
実はカオスの言う通りであり、空からやって来た怪人は秋山が変身したものであった。
さすがに一方的過ぎる+台本通りに進んでないと思った秋山は助けてやる気になったのだ。
(もっとも智樹達を誘ってさらに盛り上げようとしたが、却下された)
「しかしこれではあまりに不公平だな。ふん!」
秋山が扮した怪人がデライトの光を止める。
「ああ! デライトの光が消えちゃった!」
「これで動けるぞ」
「ああ、勝負だ! セーカーの怪人!」
(それじゃあ後はそちらの台本通り頑張ってくださいね)
(どうもすみません、助けてもらって……)
(いえいえ、それじゃ)
そう言って秋山の怪人は屋上から飛び降りて帰っていった。
「ってあんな帰り方したら、驚くだろ!」
ツッコミを入れる智樹。
もっとも秋山には時止めと瞬間移動があるので、見られる心配はない。
「ただいま」
「早っ!」
瞬間移動などして変身を解除し、帰って来た秋山。
それからショーは何とか終わりを迎えた。
帰り道。
「楽しかったね、バーカージャーショー」
「どこが?」
カオスは楽しそうだったが、ニンフはそうは思えなかった。
「まあ楽しい云々は置いといて、智樹、いい気分転換にはなったんじゃないか?
ツッコミがそれなりに冴えてたぞ」
「ツッコミたくなるぜ、あんな滅茶苦茶な展開じゃ…」
「智ちゃん、お疲れだね」
「大丈夫ですか、マスター」
「何とかな…」
「まあ、お詫びと言っちゃなんだが、これからこのメンバーで食事にでも……」
「あ、イカロス先輩達だ!」
そこにアストレアに見つかる。
「アストレアお姉様」
「どこか行ってたんですか?」
「デパートでショーを見てた」
「デパート? ショー?」
よく分かっていないアストレア。
「まあいいさ、アストレア、これから一緒に飯食いに行かないか?
俺のおごりでいいからさ」
「本当!? じゃあ私、お肉が食べたーい!」
「じゃあこのメンバーで焼肉にするか」
『賛成ーーーーーーー!』
そして智樹、そはら、イカロス、ニンフ、アストレア、カオス、秋山で焼肉を食べに行くのだった。
終わり
おまけ
作者「おまけじゃけん」
ニンフ「早いわね」
作者「こどもの日記念だからな。まあこれ書いたのは数日前で投稿自体忘れてて、今さっき思い出した」
ニンフ「急ね」
作者「そういえば最近な…」
ニンフ「何よ?」
作者「いや、俺がここで最初に書いてたものは何かな?」
ニンフ「『恋姫シリーズ』でしょ? それがどうしたの?」
作者「いや、俺的な考えだが最近は恋姫の転生ものが多い気がしたんだよな。
そして俺もその影響を受けて書いている」
ニンフ「あんた連載物ほかに2つ抱えてるでしょ!」
作者「まあな、っても投稿はしてないからまだどうにでもなる。
それに書いてるものはだらだらできる昭和特撮ものとゲーム主体のために行動がいろいろ変るもの、そう考えると次書くものはきちんとプロットもできて書きやすい。いざとなれば俺が過去に書いた作品から文章の流用とかもできるからな。他人のならともかく自分のなら問題なかろう」
ニンフ「…………」
作者「そんで最近になって自分の作品を見直してたんだが、俺って新年の時投稿してたのって『仮面ライダー×真・恋姫†無双』に『そらのおとしもの』の新年記念で今年はそれを合わせたものだったな。てかそれに俺が考えた昭和ヒーローチックなのも合わせてたな」
ニンフ「何が言いたいの?」
作者「簡単に言うと今年の新年投稿は集大成だったってことだ。
まあとりあえずはその転生ものの影響で俺も転生ものを書いてると言うことだ。
それでは!」
説明 | ||
今回はこどもの日記念の作品として作りました。 また作者の分身となるオリジナルキャラ(秋山総司郎)も出てくることをご了承ください。 関連作品 そらのおとしものf 番外編 『カオスのとある日常(いちにち) ヒーローショー編』 http://www.tinami.com/view/208253 |
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コメント | ||
うん、カオスが乱入しないで本当に良かった。怪人(秋山)VS子供(カオス)なんて起こったら会場が灰燼と化しますからね。(tk) なにげにアストレアさんがハブられていたことに最後の段落になってようやく気づきました(枡久野恭(ますくのきょー)) |
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