死の神様の童話。〜世界一勤勉な神様〜 |
昔々の遠い昔、ある所に貧乏な“やもめ”の農夫が居りました。
農夫には息子が一人あって、親子二人慎ましく暮らして居りましたが、父親は生活が余りにも貧しいので、どうにか楽になれない物かと考えるようになりました。
そこで父親は息子にこう言いました。
「なぁ、せがれや、どなたか偉ぇ神様を連れてきてくれねぇか。人間の俺らがよ、幾ら頑張ったところで大した違いなんざ有りゃしねぇ。なら、偉大な神様とやらに暮らしを楽にしてもらおうや」
では、どんな神様に来てもらうか、二人は話し合いました。
「世界一勤勉な神様に来てもらうってのはどうだ」父親が言いました。
「世界一勤勉な神様なら俺達みてぇなちっぽけな人間の話しでもきっと真面目に聞いてくれるはずだ」
そこで息子が世界で一番勤勉な神様を連れてくることになりました。
旅に出た息子が一番最初に出会ったのは、生命の神様でした。
「あんたは、勤勉な神様じゃあないね」息子は言いました。
「あんたは総てを生み出しておきながら、後は個々で勝手にしろと言いなさる。生んだ後に、あたしらがどんな目に遭おうが知らん顔。責任逃れもいいとこさ。あんたなんか世界一勤勉な神様じゃあないね」
生命の神様は悲しそうに農夫の息子を見送りました。
次に農夫の息子が出会ったのは、運命の神様でした。
「あんたも、勤勉な神様じゃあないね」息子は言いました。
「あんたは生命に見捨てられて、途方に暮れる連中を適当に選んで寵愛するとんでもなく気紛れな方だよ。気に入った奴はどんな悪人だろうがお構いなし。逆に嫌われちまったら善人だとしてもお先真っ暗さ。あんたみたいな気分屋、世界一勤勉な神様じゃあないね」
運命の神様は呆れたように農夫の息子を追い払いました。
最後に農夫の息子が出会ったのは、死の神様でした。
「あんたは・・・・・・ 」息子は言いました。
「あんたは生命の神様に見捨てられて、運命の神様に弄ばれた者を誰彼貴賎を問わず連れて行く。死こそ平等、貴方こそ世界一勤勉な神様です。」
息子は死の神様を伴って家路に着きました。
いらっしゃった死の神様に親子は頼みました。
「死神さま、どうか私たちを楽にしてください。」
すると死の神様は黒い装丁の古い手帳を取り出しになって、
「分かった、父は三十年後、息子は六十年後に迎えに来よう」と、おっしゃいました。
それを聞いて親子は驚いて、そんな後ではなく今連れてって欲しいと嘆願しました。でも死の神様は「規則に反することは出来ない。何故なら私は自他共に認める世界一勤勉な神なのだから」
と、そうおっしゃって死の神様は、自分の世界中に居る待ち人達を迎えに行きました。
説明 | ||
随分昔に書いた作品。・・・若かったなぁ。 創作童話で短いお話です。生活に疲れた親子が世界一真面目な神様を探しにゆきます。 ちなみにpixivにもあげてあります。 |
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