真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第101話「嶺の上に雪が降る(二)」
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真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第101話「嶺の上に雪が降る(二)」

 

 

―――虎牢関―――

 

雪蓮「それじゃ、始めましょうか♪」

嶺上「応っ!」

藍里たちの撤退を確認すると同時に雪蓮と嶺上は動いた。

 

雪蓮「ほらほら、どうしたの♪ 突っ立ったまま死ぬ気?」

嶺上「はーははは…♪ お前たちの力はこんなものかー!」

その動きはまるで血に飢えた獣のようだった。

武器を持たない雪蓮は素手で敵を殴り倒し、嶺上は双戟で敵を切り伏せる。

そして、次々と敵兵は地面へと倒れていった。

 

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張遼「お前ら下がっとき」

張遼の部下「ですが」

張遼「お前ら束になっても、こいつらに勝てへんよ」

張遼の部下「…わかりました」

張遼の部下たちは後方へと下がる。

 

雪蓮「やっとヤル気になったの?」

張遼「ほら、受け取れや」

そう言うと張遼は剣を雪蓮に投げ渡す。

雪蓮「どういうつもり?」

張遼「ウチが勝った時、武器がなかったから負けたやなんて言われとうないからな」

雪蓮「ふふ……お礼は言わないわよ」

雪蓮は剣を鞘から抜いて構える。

張遼「ふん」

張遼も飛龍偃月刀を構えた。

嶺上「ちょっと待て!」

雪蓮「何よ?」

嶺上「何でお前が先に張遼と戦おうとしているんだ?」

雪蓮「へ? 何でって、嶺上じゃ勝てないでしょう?」

嶺上「どういう意味だ!?」

嶺上は戟を雪蓮の鼻先へと向ける。

雪蓮「ちょっと危ないじゃない!」

嶺上「誰が勝てないだ!」

雪蓮「いいから、ここは私に任せときなさい」

嶺上「そういう訳にいくか! もともと先に張遼に一騎打ちを挑んだのは私なんだぞ!」

雪蓮「そんなの知らないわよ」

張遼「ウチはどっちが相手でもええで。なんなら二人いっぺんに相手になったるわ」

雪蓮・嶺上「!!」

雪蓮「それは大きく出すぎじゃないかしら」

張遼「そんな事あらへんよ。今のウチなら、あんたら二人を相手にしても負けへんよ」

嶺上「ふん。面白い。そこまで言ったんだ後悔するなよ?」

張遼「ふっ」

張遼は笑みを浮かべて答える。

それを見た雪蓮と嶺上は同時に張遼に斬りかかった。

 

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藍里「はぁはぁ、どうやら無事に脱出できたみたいですね」

楽進「そのようですね」

虎牢関を脱出した藍里たちは自分たちの陣に戻ってきていた。

于禁「もう心臓が破裂しそうなの」

李典「でも、あの二人は大丈夫やろか?」

藍里「大丈夫です。二人の事を信じて待ちましょう」

于禁「あれ?」

李典「どうしたん?」

于禁「誰の声もしないの。それにこの匂い…」

藍里「え?」

虎牢関には少数精鋭で潜入したので、この陣にはまだ多くの兵士が残っているはずなのに声も姿も気配もない。

あるのは鼻に付く匂いだけだった

 

?「張遼め、こんな雑魚どもを取り逃がすとは何をしているのだ」

藍里・李典・于禁「なっ!」

楽進「何者だ!」

玄武「……我が名は玄武」

藍里「あなたが…玄武」

藍里たちは突如目の前に現れた玄武を警戒する。

玄武「ほう。私の事を知っているのか?」

藍里「雪蓮様から聞いています。雪蓮様や赤斗様の命を狙った賊ですね。……ここに居た兵士はどうしたんですか?」

玄武「ふっ、有能そうな者は頂いた。その他の無能そうな者たちはそこら辺に転がっているぞ」

藍里「何を言って……」

そう言いながら周りを見回す。

闇夜だった為、今まで気がつかなかったが、地面や天幕は夥しい血で染まっていた。

藍里「そ、そんな……」

于禁「これって…」

李典「むごすぎやろ」

楽進「貴様…」

玄武「兵の補充はできた。お前たちには用はない。ここで死んで貰おうか」

玄武は剣を抜いて構えた。

楽進「藍里様は下がって下さい」

藍里に後ろに下がるように言った後、楽進・李典・于禁の三人も武器を構える。

玄武「無駄な抵抗だ」

そう言い終えると玄武は黒い風となった。

 

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一瞬にして玄武は藍里たちの視界から消えた。

そして、気が付いた時には、楽進・李典・于禁の三人は地面へと倒れていた。

楽進「うぅ…」

李典「そんな、アホな…」

于禁「ぜんぜん見えなかったの」

三人は何とか立ち上がろうとするが、身体は思う様には動けずにいた。

藍里「三人とも!」

楽進「ダメです!」

近づこうとする藍里を楽進は止めた。

玄武「まだ生きているのか。中々に優秀だな。だが、これで止めだ」

玄武が楽進たち三人に止めを刺そうとゆっくりと近づいてくる。

藍里「させません」

楽進「藍里様!?」

近づく玄武の前に藍里が護身用の短刀を構えて立ちふさがった。

玄武「……何のマネだ?」

藍里「これ以上、勝手なマネはさせません!」

李典「あかん! はよ逃げえな!」

于禁「藍里ちゃんじゃ勝てないの!」

藍里「私だけ逃げる訳にはいきません。私だって戦います!」

力強く言う藍里だったが、藍里の脚は恐怖で震えていた。

藍里「約束したんです」

玄武「約束だと?」

藍里「また、みんなで宴を開くと…赤斗様が帰ってきて、火蓮様や雪連様、蓮華様、嶺上、呉のみんな。それに蜀や魏の人たちも一緒に…」

楽進・李典・于禁「……」

藍里「だから絶対に私は負けません!」

玄武「ふっ。宴なら黄泉の国で好きなだけ開くといいさ」

藍里を冷たく見下しながら、玄武は藍里に向かって剣を振り下ろそうとした、その瞬間…。

 

?「撃てーーーーーーーーっ!」

 

藍里「え?」

号令とともに玄武に向かって大量の矢が降り注いだ。

玄武「なっ、何だ!?」

間一髪のところで玄武は矢を避けた。

藍里「これは…」

?「藍里、無事か?」

自分の目の前に大量の矢が降り注いた事により、呆然としていた藍里の耳に若い王の声が聞こえた。

藍里「れ、蓮華様!?」

穏「おーーい。援軍に来ましたよーー♪」

祭「どうやら無事のようですな。武の心得がないくせに無茶をしおって」

藍里「穏ちゃんに、祭さまも!」

蓮華「遅くなってすまない。あとは任せろ。矢を構えーー!」

祭「矢を構えーーーー!」

蓮華の命令を祭が復唱する。

もちろん標的は玄武ただ一人。

蓮華「撃てーーーーーーーっ!」

そして、再び玄武に向かって大量の矢が射られた。

玄武「ちっ、これまでか…」

玄武は舌打ちをして矢を避ける。そして…

楽進「消えた!」

現れた時と同じように、玄武は忽然とこの場から姿を消した。

 

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―――虎牢関―――

 

その頃、虎牢関の中では、雪連と嶺上の二人が張遼一人相手に苦戦を強いられていた。

雪連「はぁはぁ…言うだけあってやるじゃない」

嶺上「まさか、これほどまでとはな」

雪蓮と嶺上は満身創痍となっていたが、一方の張遼にはまだまだ余裕が見受けられた。

雪蓮「でも、惜しいわね」

張遼「惜しい?」

雪蓮「そうよ。あなたほどの武人が司馬懿の手下なんてね。主人が変わるとこうも変わってしまうものなのね」

張遼「ウチが…変わった?」

雪蓮「以前、反董卓連合の時に見たあなたは、もっと輝いて見えたんだけど…。今のあなたは確かに強くなったようだけど、全然輝いて見えないもの」

嶺上「お前もしかして、今の自分自信に誇れないでいるんじゃないのか?」

張遼「ウチ自身に、誇れない…」

雪蓮たちの言葉に張遼に動揺が走る。

張遼「ウチ、何で…司馬懿に…ウチの主は月。いや…華琳? うぅぅ…」

頭を抑えて張遼は苦しみ始めた。

雪蓮「張遼?」

張遼「はぁはぁ…そうやウチは…」

玄武「何をしている張遼」

虎牢関に前触れもなく玄武が現れた。

雪蓮「お前は!」

玄武「何、孫策だと!」

急に現れた玄武に雪蓮は驚く。玄武も居る筈のない雪蓮の顔を見て驚いた。

玄武「お前が何故ここにいるのだ? 風見赤斗や関羽たちとともに消えたはず」

雪蓮「残念だったわね〜。私ならこうして無事に戻ってきたわよ。いや私だけじゃないわね。きっと赤斗たちも戻って来てるはずよ」

玄武「何だと! 風見赤斗が…。張遼ここは撤退するぞ。この事を忠達様に御報告しなければ」

張遼「……」

玄武「張遼?」

張遼「いや、何でもあらへん」

嶺上「逃げるのか?」

張遼「勝負の続きは、また今度や。ウチにはどうしても先にやらなきゃいかん事ができたんでな。ほな行こうか」

玄武「…あぁ」

そう言うと玄武と張遼は虎牢関から姿を消したのであった。

 

 

つづく

説明
虎牢関の戦いも今回で終わりです。
主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。
未熟なため文章や設定などにおかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。
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蓮華  諸葛瑾 孫堅 赤龍 張遼 太史慈 雪蓮 オリジナル 真・恋姫†無双 

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