超次元ゲイムネプテューヌmk2+ BlackFateその12 |
〜午後0時4分 ルウィー世界中の迷宮前〜
コクメンの名乗り、睨み合いの開始から数分が経過した。
互いにピクリとも動かず、ただ睨み合う。
アイエフが(推して参るとか言ったくせに自分から来ないんだ)など思っていたが、すぐに合点が着いた。
相手は、最初から待つ気しかなかったのだ。
自分達と相手の格は数段違う。相手の土俵で戦うことは完全に自爆行為であり、【戦闘】するにはこちらが待つ必要があった。
相手が待つなら逃げればいいという選択もあるだろうが、背中を見せた瞬間に18分割などされかねない。
結局は、睨み合いに落ち着いてしまう。
「どうした、足が震えているぞ?」
「…ッ!舐めんじゃないわよ!!ネプギア!」
「う、はい…!!」
アイエフが両手を下げ、カタールを構えながら走る。
ネプギアもそれに続き、コクメンはやっとやる気になったかと仮面の裏でニヤけていた。
「さぁ、来い…!」
「言われずとも、行ってやるわよ…!!!」
走りながら勢いを付け、カタールを振りかぶる。
コクメンが左腕を構えた瞬間。アイエフの姿がコクメンの視界から消えた。
カタールを振りかぶり、地面を削りながらアイエフは跳びコクメンを跳び越えた。
前からネプギア、後ろにアイエフが周り、前後から同時の斬撃。
待ちの相手にはフェイント、アイエフの経験の賜物だった。
「これで…!!」
「てぇえい!!」
コクメンはアイエフに目もくれず、ネプギアの剣を左腕から現れた【守】と描かれた障壁で防いだ。
「読めるぞ!」
障壁に剣が当たり、硬直したネプギアの胸倉を掴んだコクメンはそのままアイエフにネプギアを叩きつけた。
「ぐっ……!」
「あ、アイエフさん!大丈夫ですか!?」
「なぁに、へっちゃらよ…!」
ネプギアのクッションとなり、地面に叩きつけられたアイエフ。
そのダメージは本来人間が耐えられるものではないのだが、アイエフは何ともないような顔をしていた。
「どうした、それが貴様らの実力か…!」
「っ、この…!」
「アイエフさん!?」
ネプギアを跳ねのけ、再度アイエフが切りかかる。
縦横無尽な斬撃を刀で受け続けるコクメン。その動きには余裕すら浮かび上がっていた。
「何故本気を出さん?貴様の力はその程度か!」
「舐めんなって…言ったでしょうがあ!!」
カタールを地面に刺し、振り上げる。
大量に砂が巻き上げられ、アイエフも飛び上がり砂嵐に紛れる。
「目晦ましか!」
「誰がそんなこと言ったのよ。」
砂嵐に一瞬視線を奪われたコクメンの背後にアイエフが周り、砂嵐の中に蹴り飛ばした。
砂嵐の中は外からは見えないが、多数の斬撃音が響いていた。
「天を切り裂け、星を墜とせ!全てを切り裂く刃となれ!」
砂嵐が一か所に集まり、巨大な一つの刃となった。
ローブが切り裂かれ吹き飛ばされたコクメンに向け、刃が放たれる。
「天昇流星げ「亜空陣【雪風】」……ぇ………?」
確かにコクメンは吹き飛ばされていた。
そこから体勢を立て直す時間なんてないはずだった。
でも。コクメンは空中で巨大な障壁を張り、砂の剣を受け止め【アイエフごと】切り裂いた。
コクメンは既にアイエフの背後に佇んでいた。
アイエフがもう通り過ぎたと思った瞬間。血柱が立った。
「生まれ変わって出直せ」
「ま、だ……」
アイエフの膝が崩れ、仰向けに倒れる。
大きく傷が入ったからだからは溢れるばかりに血が流れ出ていた。
「あいちゃん!!!」
「まず、一人か……」
コンパがアイエフに走り寄り、治療を始めた。
二人を庇うようにネプギアが間に立つ。
アイエフの血を間近で見たからか、完全に体が震えていた。
「立ち向かうか、紫の女神よ」
「アイエフさんを傷つけた人を…許せは…!」
「虚勢は足の震えを止めてからにするのだな」
「はーい、そこまでにしておけですの。」
突然、第三者の声が入った。
間に入ったのは、コクメンが現れた直後から姿を消していたがすとだった。
「がすとちゃん!?どうして!」
「だから落ち着けと言っているですの。女神様たちが挑んだところでこいつには勝てはしないですの。」
「貴様は……」
「…なるほど。一つの実験体ですの。何を使ってるかは知らないけど、また酷いことをする。」
「邪魔立てするか、貴様…」
「ええ。邪魔するですの。でもがすとは脚が遅い。ここは見逃してもらうですの。」
がすとが一つのカプセルを取り出し、コクメンに投げつける。
即座に反応し、コクメンがカプセルを切り裂いた瞬間。カプセルから緑色の液体が現れ、コクメンの身体を包んだ。
「どうせ急造品で接続もままなってないんですの。腐敗に弱そうな構造じゃあ長い戦闘もできないでしょうですの。だからこんなあっさり。」
コクメンの身体が突然腐り始めた。その速度もかなり早く、既に両腕が腐り落ちている。
「ぐっ……!退くしかないというのか……!」
空間がぐにゃりと歪み、中にコクメンが飛び込む。
がすとが腐り落ちたから両腕から刀を取り、腕を歪みに投げ込んだ。
歪みが閉じられ、場に静寂が訪れた。
「いやぁなんとかなったですの。死ぬかと思ったですのー。」
「がすとちゃん…どこにいたの」
「真っ先に逃げたのは謝るですの。ただがすとは真っ向勝負というのが苦手だったからさっきまで様子を見て弱点を探していたですの。」
「…ありがとうございます、がすとちゃん。」
「礼には及ばないですの。…でも、アイエフは……」
「表面の傷は治したです。でもかなり深いです…急所は外れていても、この出血量だと……」
「流石に血を増やすみたいなアイテムはないですの…。エリキシル剤も効果はなさそうですの。」
「……コンパさん、がすとちゃん。アイエフさんをルウィーに送ってください。ゲイムキャラは、私が回収します…」
「そんな、一人じゃ…」
「あのひと相手に、私は何もできませんでした。怖かったから。だから、一人でだって……!」
ネプギアは激怒、いや憤怒という感情に包まれていた。
対象は紛れもなく、自分。また何もできなかった自分。そんな自分が何より憎かったから、ネプギアは動き出した。
「…任せたですの。」
「がすとちゃん!?」
「どうせ一人じゃアイエフは運べないですの。延命なら多少は出来るけど時間は一刻を争うですの。急いで戻るですの。」
「……頑張って、ぎあちゃん…。」
「はい、行ってきます!」
ネプギアが落ちていた長刀を拾い、世界中の迷宮に入っていった。
それを見送った後、コンパがアイエフを背負い、がすとがそれに寄り添うようにその場を後にした。
世界中の迷宮前には、アイエフの血だまりだけが残った。
〜今回のキャラ紹改〜
ネプギア:今回のネプギアは原作準拠の鋼鉄メンタル。でもトラウマが追加された。どうしよう。
アイエフ:アイエフ盾。コートの下には生傷が絶えないとか。今回でさらに傷が追加された。
がすと:本当に頭のいいお方。隠れて様子をうかがっていたのは本当。
コンパ:パーティーヒーラーだけどそのせいで若干空気。注射器でコクメンは無理だよね。
説明 | ||
※今回コクメンがやること 5D 雪風 だけ。 ※クリ○ット氏…エグイ表現が、書きたいです…!死なない程度に…! ※主人公とはなんだったのか(迫真) ※アイエフが厨二臭い?そういうキャラだからこれ! |
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コメント | ||
>トマト畑氏 アイエフは投げ捨てるものではない…!いや、ほんとに。フロム「あいつ、人間の中では重要キャラだよな?」まぁね。ネロ「そのまま死ねばよかったのに。」がすと「はい、ユウと戯れてくるですのー。」ネロ「な、何故わたしが出来底ないなんかとぉ〜……」(リアルではおぜうタイプ@復帰) なんというアイエフガードベント!! ユウ「たしかプラネテューヌの諜報部の人でしたっけ?今度戦闘に参加してもらいましょう。」 ネプギアが来たらどうするの? ユウ「……。」 考えてなかったんだ。(トマト畑) >ツバキちゃん がすと「まぁ、有機物に対する最も有効な攻撃は腐敗ですの。」フロム(ついに有機物にまで行ったよ)がすと「あと、残念ながらルウィー西部にはちっとも雪がないですの。世界中の迷宮前もですの。残念。」(リアルではおぜうタイプ@復帰) >クリケット氏 よし、ならば鍛えるためにクリケット氏の更新を フロム「ヘルシングでも読んでこい。」がすと「あれ大体死んでるですの」(リアルではおぜうタイプ@復帰) >ロージュ&ミヤウエ御中 (◆)「殺すつもりではあったがどうやら急所を外したようだ」フロム「生まれ変わって出直せ(笑)」がすと「亜空陣 雪風(笑)」(リアルではおぜうタイプ@復帰) ヴァイス「あーあ、やられちゃった」 アリス「さり気なくがすとさんが腐敗させるとか恐ろしい事してますね」 ヴァイス「…怒りに任せて進むのはあまり得策とは言えない。どこぞのサイヤな人種なら強化フラグだけど。それにしても…雪には鮮血が映えるね。ふふ…」 アリス「さらっと怖い事言いますね…」(風音ツバキ) 死なない程度のエグイ表現……難しい!! 氷室「頭ひねって考えろ。それしか取り柄の無い駄目作者が。」 う〜〜ん……。やっぱり色々他の小説を見て比喩を鍛える…? 氷室「もう少し気の利いたこといえないのか? 能無し。」 ゴメンナサイ……。(クリケット) 峰打ち・・・いやでもそこまで出血するならまずないか・・・目的は決闘なんだろうけど・・・う〜ん・・・続き待ってます。(柏中ロージュ&ミヤウエ) |
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