魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)−−09 試験−− |
本編一話目に入りました。
−−試験−−
新暦75年4月。
「それじゃあ、リイン。今日の試験、しっかりな」
「はいです!はやてちゃん」
「なのはちゃんもよろしくなー」
「うん。任せて」
「私とはやては、ヘリの中から様子を見させてもらうね」
「うん。行こうか、リイン」
「はい。なのはさん」
「フェイトちゃん。私達もヘリのところに行こか?」
「うん」
本日行われる試験は、魔導師の昇格試験。
というのが表向きで、この試験を利用して機動六課の((FW|フォワード))候補を見るという事が私達の目的。
試験を受ける魔導師は二人。
スバル・ナカジマ二等陸士。
ティアナ・ランスター二等陸士。
二人共、陸戦魔導師ランクBを受ける。
リインがちゃんと試験官できるか、ちょー心配や。
なのはちゃんが一緒やから大丈夫やと思うけど……。
「あれ?ヘリの傍に誰か居る?」
「……来たか」
「せ、刹那!? どうしてここに!?」
ふふ……成功!
「はやてに呼ばれてな。聞いていないのか?」
「聞いてないよ!」
「ドッキリ成功やな!」
刹那君に右手を上げるけど……。
「……なんだ?」
ガクッ
「も〜ノリが悪いでー。手を出したらハイタッチに決まってるやん」
「……そうなのか?」
あー。刹那君はそういう人やったわ。
軽くため息をつくと、パチっと軽い音と右手に何かが触れた感触がした。
「へ?」
「手を叩けばいいんだろう?」
真面目な顔をして右手を出している刹那君。
ちょっと、見惚れてしまった。
「……それ、反則や」
「?」
あかん。なんか顔が熱くなってきよった。
いやいや、私は刹那君に対してそういう気持ちはあらへんよ!
というか、あの二人にO☆HA☆NA☆SHI、されとーない。
気を取り直して、
「さ、ヘリに乗ろーか?」
「ま、待って!刹那がここに居る理由を聞いてないよ。なのはは知ってるの?」
「説明はちゃんとヘリの中でするよ。因みに、なのはちゃんも知らへんよー」
フェイトちゃんを置いて、ヘリに乗り込む。
「行くぞ、フェイト」
「あ、待って」
『八神二佐。離陸してもよろしいですか?』
「お願いします」
『では』
プロペラの回転数が上がり、ヘリが上昇する。
はやてがドアを開けた状態で、試験会場でもある廃棄都市街を見下ろす。
「モニターで見られるから、ドア閉めよう?」
「はーい」
フェイトの言葉に、はやてが了承し開閉ボタンを押してドアを閉めフェイトの隣に席に座る。
「それで、刹那がどうして居るの?」
二人の後ろに座る刹那を見ながら、フェイトがはやてに改めて聞く。
「俺もきちんとした理由を聞いていなかったな」
「ええ!?」
「いやなー。今日、試験を受ける二人はFW候補やん?」
「はやてが見つけてきた子だよね?」
フェイトが空間パネルを操作しながら、はやてに確認をする。
「そ。せやから、六課に協力してくれる刹那君にも見てもらいたかったんよ」
「……なるほどな」
はやても空間パネルを操作して、刹那にも試験の様子が見れるように空間モニターを刹那の目の前に展開する。
「試験内容はどういったものなんだ?」
「各所に配置された((オートスフィア|ターゲット))を全て破壊して、制限時間内にゴールすること。勿論、破壊しちゃいけないのもあるよ」
「オートスフィア……なのはの訓練で使ったやつか」
「そーいや、刹那君は最大レベルのオートスフィアを時間内に全部破壊したんやって?」
「ああ」
「しかも、被弾ゼロって聞いたで」
「シールド防御はしたがな」
「いやいや、防御するのが普通やから」
「……そうだな」
「なのはちゃんとも模擬戦して、被弾ゼロで引き分けだったって」
「詳しいな」
「フェイトちゃんが教えてくれたかんなー」
「……だから、シグナムから連絡が来たのか」
「うっ」
フェイトが、バツが悪そうに縮こまった。
「それから……」
「はやて。今は俺の話ではなく、試験の方だろう?」
「あははは。ごめんなー。つい」
「……始まったぞ」
二人の少女が同時に走り出す。
青紫の髪の少女が廃ビルの中へ飛び込み、小型スフィアの攻撃を避けて次々と撃破していく。
「スバル・ナカジマ。ナックル……近接格闘型か」
「うん」
「ローラーのスピードで一気に間合いを詰める戦法か。しかし、ナックルはいいとして、ローラーで下半身の力の溜めが出来るのか?」
剣術でも格闘でも上半身から繰り出す攻撃は、下半身からの力の連動が要になるはずだが。
「あのローラーブーツもデバイスやからね。魔法で制御できるから問題ないよ」
俺の疑問にはやてが答える。
つくづく魔法は何でもありだな。
「だから、壁を走ったりできるのか。魔力は消費するが、体力には余裕ができるな」
ナカジマの様子を見たあと、もう一人の方を見る。
オレンジの髪の少女。ティアナ・ランスター。
アンカーガンによってビルの屋上へ登ったランスターは、その場所から少し離れたビルの中にあるスフィアを正確な射撃で破壊していく。
「命中率100%……大したものだな。視野も広いし、反応も悪くない」
「刹那君も命中率100%やろ?」
「訓練のことか? 確かにやったが……俺と彼女を比較するのは意味がないぞ」
「え?」
「この試験は二人の実力を知るものであって、俺と比較するものではない。その者の能力を評価するのであれば、他者と比較しては駄目だ。それは歪みを生む」
「……」
「……」
俺の言葉にフェイトとはやてが黙ってこちらを見る。
「それと、これは俺の推測だが。この試験は戦闘能力の試験ではなく【達成する能力の有無】だろう」
「どうして、そう思ったの?」
「単純に戦闘能力を知るだけならば、試験官と模擬戦でもして戦闘技能を見ればいい。もしくは、俺のようにスフィアをただ破壊する内容にするのでもいいだろう。だが、コースを作り様々な場所にスフィアを配置し、制限時間内にゴールするという条件。だから、俺と比較するのは意味がないし【達成する能力の有無】の試験だと思った」
「ふふ……」
俺の説明を聞いたフェイトが微笑んだ。
「なんだ?」
「何でもないよ」
「?」
「流石、刹那君やね。やっぱり、来てもらって正解やったわ」
はやても微笑んでいる。
「意味がわからないぞ」
「気にせんといてー」
そう言って、再び前を向いてモニターに集中する。
「?」
会話をしている間に、スバルとティアナは合流し次のターゲットへ向かって行く。
「次は、上がって来た受験者にスフィアの集中砲火」
「どんな方法で乗り越えるのかな?」
モニターを見つめるフェイトとはやて。
と、ティアナのアンカーが天井に張り付き、それにスフィアが反応してそちらに集中する。
アンカーが巻かれ天井に銃本体が現れ、天井にぶつかる。
直後、銃本体にのみスフィアの集中砲火が始まる。
「あ」
それを見たフェイトとはやてが小さく声をあげる。
そして、スフィアの背後からスバルとティアナの姿が突然現れ、スフィアを瞬く間に撃破する。
「……やはり、アンカーガンは囮だったか」
「気づいていたの?」
「まあな。しかし、二人の姿が先程まで見えなかったうえに、スフィアにも感知できていなかったようだが?」
「多分、あれは幻術魔法の一種じゃないかな?」
「幻術?」
「そ、迷彩によって簡単なレーダーとかを騙せることができる。今のは、そういう魔法だね」
「アンカーガンを囮にしているその隙に、その魔法を使って有利な場所に移動していたのか」
「そうなるね」
(マスター)
(どうした)
突然エクシアから念話が送られてきた。
(私達も出来ますよ?)
(なに?)
(光学迷彩皮膜を使えば、姿を隠すことが可能です。ただ、これは戦闘特化ではないし、こちらの世界では粒子とマスターの魔力を消費します)
(そうか……)
(それに、GN粒子によりセンサーを撹乱させることはわけないですよ?)
(確かにそうだな。しかし、GNドライヴを持ちえない味方に影響が出る。粒子による撹乱は使うな)
(了解)
「さて、これで残りは最終関門の大型オートスフィアだね」
エクシアと念話をしていた間に、受験者である二人が次に向かうようだ。
と、ランスターが攻撃態勢に入っているスフィアに気がつき、すぐに行動を起こす。
スフィアを破壊しようと銃を向けるが体勢を崩し倒れる。
倒れたランスターにスファイアが攻撃を放つが、これを何とか避ける。
ランスターが射撃をした直後にモニターが映らなくなる。
「サーチャーに当たったのかな?」
フェイトがパネルを操作しながら、映らなくなった空間モニターを見る。
先程のランスターの不自然な倒れ方……おそらく、足をやったな。
フェイトとはやては、気がついていないようだが……。
ナカジマと違い、自身の足で走るランスターには残り時間でゴールするのは不可能だろう。
「……さて、どうなるか」
フェイトとはやてに聞こえないように独り呟く。
残り時間は約3分。
一向に動きがない。
諦めたのか?
と、思っていたところにランスターが((走って|・・・))出てきた。
「あ、出てきた」
モニターでランスターの姿を確認したはやてが声をあげる。
走っている?
怪我をしていないのか?
と、ビルの窓から光が飛び出して、ランスターに当たる。
「直撃!?」
「ううん」
はやての言葉を否定するフェイト。
その否定どおり、再びランスターが姿を現す。
しかも、
「ランスターが……二人?」
「多分、あれも幻術魔法だよ。しかも、かなり上位の幻術魔法だと思うよ」
あんなことも出来るのか。
「ランスターは囮か……」
ランスターに大型スフィアの注意を向けて、ナカジマが撃破する作戦か。
「しかし、ナカジマはどこだ?」
「ビルの屋上」
俺の疑問にフェイトが答える。
大型スフィアが配置されている場所から少し離れたビルの屋上にナカジマは立っていた。
「あんな場所に?」
ナカジマは近接タイプで陸戦魔導師。
空を飛ぶことが出来ないのに、あんな場所からどうやって?
この疑問の答えは、直ぐに得られた。
『ウイング・ロォォォド!』
ナカジマの空色の魔法陣から同色の光が一直線に伸びる。
「道を作ったのか!?」
「彼女の生れ持ったスキル」
「ウイングロードやね」
俺の驚きの声にフェイトとはやてが答える。
その光の道を進み、ビルの壁を破壊して大型スフィアに肉薄する。
右の拳はシールドに阻まれるが、カートリッジを使い障壁を破壊する。
破壊後の硬直を狙ってスフィアが反撃をするが、ナカジマはそれを何とか防御する。
防御したその攻撃は天井にはね返り、辺りを煙が漂いナカジマの身を隠した。
スフィアがナカジマを探している間にカートリッジを二つ使用し、左手を前に出し、右の拳を下げて構える。
『一撃必倒。ディバイィィン・バスタァァァァ!!』
右の拳を突き出すと、拳の先から魔法が放たれる。
「あれは、なのはの砲撃魔法か?」
空色の魔法がスフィアに当たり、大型スフィアが爆散する。
大型スフィアを破壊したナカジマがランスターをおぶってゴールに向かう。
やはり、ランスターは足に怪我をしたようだ。
「あとは、ゴールするだけだね」
「そやね」
フェイトとはやてが安堵の声を出す。
が、最後のスフィアを破壊した直後にナカジマがスピードを上げる。
「……あれ、まずいんじゃないか?」
「え?」
スバルがスピードを上げてゴールへ向かう。
「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」
「なんか、ちょいヤバです」
その様子を見たリインが呟き、ゴールセンサーを猛スピードで通過する二人。
「ふぅ……」
右手を掲げて、魔法を発動させる。
≪アクティブガード。ホールディングネット≫
二人が壁に激突する前に、桜色の光に包まれる。
魔法によって生み出されたネットと支柱が二人の衝突を阻止した。
「二人共!! 危険行為で減点です!」
逆様になったスバルと白い支柱にぶら下がっているティアナにリインが注意をする。
頬を膨らませて怒るリインの傍に降り立つ。
「ちょっとびっくりしたけど。無事で良かった」
色々あったけど、試験は終了。
魔法とジャケットを解除する。
「ちゃんと試験官できてたよ。リイン」
「わ〜い。ありがとうございます!」
リインが手を挙げて喜ぶ。
可愛いなぁ。
気を取り直して、
「ランスター二等陸士」
「は、はい」
「足を怪我してるよね? 治療するよ」
倒れた時に足を怪我してたんだね。
スバルにおぶられていたことからも、かなり痛めたみたい。
「治療なら私がやります」
リインがティアナの元に飛んで行く。
「なのは……さん……」
スバルが呟く。
「うん」
「い、いえ。高町教導官」
「なのはさんでいいよ。皆そう呼ぶから。久しぶりだね」
スバルに会うのは、空港火災以来。
あの時救助した女の子に、こんな形で再会するとは思ってもみなかったけど。
感極まったのか、スバルは泣き出してしまった。
ヘリのドアを開けて、フェイトとはやてが魔法の発動態勢に入ったところで、なのはとリインがいち早くフォローに入っていた。
なのは達の様子を見ていたフェイトとはやてが試験の合否について話していた。
スバル・ナカジマとティアナ・ランスター。
はやてが見つけてきただけのことはあるということか。
「刹那はどう思う?」
「さあな」
合否の結果は直ぐにわかることだ。
フェイトの質問に答える必要はない。
フェイトもなのはが出す答えはわかっているはずだ。
読了おつかれさまでした。
今回は、余りおふざけは無しの方向で。
刹那の解説は……どうなんでしょう?
ようやく某サイトへ投稿していたものが終わりました。
次回からは、完全に「更新」です。
それでは、失礼します。
説明 | ||
再び魔法少女の世界へ降り立ったガンダムマイスター刹那・F・セイエイ。イノベイターへと変革した刹那に訪れる再会と新たなる出会い。魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。 | ||
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