Sky Fantasia(スカイ・ファンタジア)8巻 エピローグ |
エピローグ
お昼休み時間、屋上の扉を開けたわたしは、探していた相手を見つけた。
ポピーちゃんのお姉さん救出から、1週間後。お姉さんは、眠るように息をひきとった。そこに立ち会っていたポピーちゃんが言うには、満足するような顔だったそうだ。そして、その遺体は、ポピーちゃんとお姉さんの故郷である世界に埋めたそうだ。
こちらに帰ってきたとき、ポピーちゃんは、いつものポピーちゃんに戻っていた。多分、お別れを、しっかり言えたからだと思う。
「ポピーちゃん」
「ん? ああ、リリちゃん、どないしたん?」
手すりに寄りかかって景色を見て居たポピーちゃんは、視線をわたしに移した。わたしは、その隣に立つ。
「サブ君とリョウ君は、購買に買出し、リニアはお留守番。そして、わたしはポピーちゃんを呼びに来たの。すぐに教室から居なくなるから探したよ」
「ホンマ? それはゴメンなー。ちょっと、外の景色がみとーて」
そう言うと、ポピーちゃんは、視線を外へ戻した。わたしも同じように外を眺める。
「大丈夫?」
「・・・・それは、何に対してや」
「お姉さんのこと」
「・・・・」
少し間を空けると、ポピーちゃんの口に笑みが浮かんだ。
「たくさん泣いて、ホンでたくさん話した。だから、悲しくない、ゆーたら嘘になるけど。それでも整理はついたわ」
「そう・・・・でも、ポピーちゃんが、あんなに泣いたの始めて見た」
わたしは、いつもの仕返しと少し意地悪してみた。すると、ポピーちゃんは、少し頬を染めた。
「別にええやろ。ウチだって女の子なんや。それに我慢せんでええって言ってくれたひとがおったから」
「えっ?」
「そんなことよりも・・・・」
すると、ポピーちゃんは視線をわたしに向けた。
「リョウ君と話できたん? ウチ、ばたばたしてたから聞けんかったけど」
「う、うん。急に寮に移ったこととか、避けてたのは、わたしの勘違いだったこととか」
「なんや、“自分のことどう思う?”ぐらいのこと聞かんかったんか?」
「そ、そんなこと訊くわけないよ! リョウ君だって、困るだろうし。そもそも、わたしとリョウ君は―――」
わたしは、頬に熱を感じながら必死に否定した。その姿をポピーちゃんは、楽しそうに笑う。
「居た。お前ら、まだそんなところ居たのか? サブとリニアが文句言ってたぞ」
入り口が開くと、そこからは、リョウ君が現れた。どうやら、わたしとポピーちゃんが遅いから呼びに来てくれたみたい。
「あっ、ごめん」
わたしは、素直に謝ると、リョウ君は苦笑いを浮かべた。
「たく、早く食おうぜ」
そして、そのまま先へ行ってしまった。
わたしも後を追おうとした。そのとき、ポピーちゃんが、わたしの前に出た。
「なら、ウチが先制打たせてもろーてもええな?」
「えっ?」
わたしは、一瞬、驚いて目を見開いた。そして、さらに。
「ウチ、リョウ君、好きやから」
笑顔でそれだけ、言い残し、ポピーちゃんも屋上から出て行った。
最後に残ったわたしは、なにが起きた数秒分からなかった。そして、やっと理解すると。
えっえええええええええ!!
声に出さなかった自分が、奇跡だと思った。
○
青年は、ビルの上から街を覗く。
雑音しかない街。
少年の耳には、そうとしか聴こえなかった。
少し強い風が青年のフードを揺らす。
そして、そこから表れたのは、黒い髪だった。
「それじゃあ、始めるか」
To be continued
説明 | ||
おはようございます。こんにちは。こんばんは。 ”masa”改め“とげわたげ”です。 今作、1年の休載からついに書き終えることができました。 今まで読んでくれた方やこれから読んでくれる方。 簡単でいいので、よろしければ、感想おねがいします。 |
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コメント | ||
幻想殺しさんは、まだまだ増えそうですけどね(笑)(とげわたげ) ああ、やっぱりもう一つフラグを立ててたんですね。リョウ、コワイ子。一つの巻でフラグ二本とか、どこかの幻想殺しさん並ですよ?(端っこの) |
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