超次元ゲイムネプテューヌ Original Generation Re:master 第21話
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久々に感じるプラネテューヌの空気はテラにとってなんらおかしい感じなモノではなかった。

 

 

だがしかし、懐かしさを感じさせるようなモノでもなかった。

長年、自分が過ごしたであろう土地の空気を、それでも懐かしいと思えない自分に妙な違和感を感じながらも、テラは傍らを歩く少女達を見やった。

「久しぶりに帰ってきたです〜」

「はぁ、プラネテューヌの町並みも久しぶりね。懐かしいわね」

「さーて、いーすん? ここからはどうすればいいのー?」

そんな彼女たちを見てテラは薄く安堵する。

ネプテューヌは必死にイストワールと交信を計ろうとするも、何が悪いのか繋がらないようであった。

「……う〜ん? おかしいなぁ……」

「ま、仕方がないな。交信できるようになるまで適当にそこら辺で暇でも潰すか」

と、テラの一言にまあそれもそうか、みたいな雰囲気になり、一同は最寄りの喫茶店へと足を向けたのであった……。

 

 *

 

『ネプテューヌさん、テラさん?』

「ん?」

「ふも?」

ネプテューヌがパフェを一口頬張ったところで、脳裏に少女、イストワールの声が響く。

しかし、今回は少し勝手が違っていた。

「え? この声……」

「もしかして、いーすんさんですか?」

そう、二人だけでなく、コンパやアイエフにまでイストワールの意思伝達が働いているのである。

「どういうことだ?」

テラはそう首を捻る。

が、ふと周りを見渡し、宙に向かって話しかけている怖い集団と思われているのか客はズルズルと一行から距離を取り始めているので仕方なく、渋るネプテューヌを引きずって一行は喫茶店を後にした。

 

 

逃げるように喫茶店を去り、一度人目の付かない場所へと移動して一行は聞こえる声に応答する。

「……にしても、一体どうなってるのかしら。テレパシーみたいな感じ?」

アイエフさえも事態の把握ができていないようで首を傾げる。

まあ、流石にいきなり誰もいないところから声が聞こえれば怖くもなるかとテラは思う。

同時に慣れてしまった自分は如何なモノかとも思った。

「ていうか、今までいーすんさんの声は聞こえなかったのになんで今頃になって私達が聞こえるようになってるですか?」

と全員共通の疑問をコンパが答える。

イストワールは少し考えるような声を上げた後に

『恐らく皆さんがプラネテューヌに来たからだと思います。それより、鍵の欠片を掲げてみて貰えますか?』

イストワールの指示でネプテューヌはポケットから鍵の欠片を取り出す。

しかし、ネプテューヌは困ったように声を上げる。

「でも、これどう頑張っても元に戻らないよ? どうするの?」

ルウィーからプラネテューヌに渡る間、一行はあれこれ鍵の欠片を合わせようと試みたモノの一向にそれらが合わさる気配はなかったのであった。

まあ、後半はほとんどパズル感覚で遊んでいたのはどうかと思うが。

『大丈夫です。私の魔力を注げば――』

と、いきなり鍵の欠片は不思議なオーラを纏い、そして強く発光する。

「ぅわっ!」

「眩しっ……!」

一行は思わず目を瞑る。

そして、ゆっくりとその目を開けたとき、そこには一本の鍵と思しき物体が宙に浮いていた。

テラは恐る恐るそれを取る。

重さはない。

しかし、それが手のひらにあるという感覚がある、とても不可解な物体であった。

「これが、鍵……?」

『はい。これがあれば、きっと私の封印を解くことが出来るはずです』

「で、いーすんは今どこにいるのー?」

と、まあ今のところ一番の問題であることをネプテューヌが宣った。

確かに、鍵があっても肝心の鍵穴がなければ鍵はただのがらくたであるので仕方のないことではあるが。

『少し待ってください。……ネプテューヌさん、鍵の欠片が今、私の位置を示してくれているはずです』

そして、イストワールの声と共に鍵の欠片から一筋の閃光が伸びる。

「これは……」

『この光をたどっていけば、私の元へとたどり着けるはずです。皆さん、どうかお願いします』

一行は少し面食らいながらも『まあいいか』と持ち前のマイペースで乗り越え、光の示す方向へと一行は歩み始めたのであった――。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

鍵が示したのは町はずれにあるただのダンジョン。

ネプテューヌとコンパはそれを見て不満げな表情を見せた。

「ここがいーすんを封印してる場所?」

「なんか……凄い普通の場所です」

「当たり前でしょ……。いーすんさんをわざわざ封印するのに目立つ場所にする方が間違ってるわよ」

と、アイエフは呆れ気味に答える。

それもそうなんだけどさー……という雰囲気が二人に流れ始めたのでとにもかくにも状況を打破するためにはイストワールを解放しないといけないなと思い、テラは先陣切ってダンジョン内を進んでいく。

 

 

確かに、入り口はそれほど、なんて事はない洞窟のような場所であったが進んで行くに連れて、周りには遺跡のような作りになっていた。

遥か昔に、何処かの文明が築き上げたような神秘的な空気が漂っていた。

これは、最初から遺跡が持っていた雰囲気なのか、それともイストワールという神秘の存在が作り上げたモノなのかは定かではなかったが。

「……なんか、変な感じー」

「そうね。確かになんかこう……肌で感じる何か変なモノがあるわよね」

「んー、確かに違和感たっぷりです」

三人もそれに気付いたようで、各々感じたことを述べている。

しかし、テラにはそれだけではない。

何処か、懐かしさすら覚えたのだった。

 

そして一行が進み、しばらくすると開けた部屋のような場所に出た。

黒い外壁に、中央にはひとつ、燭台のようなオブジェがひとつ佇んでいた。

天辺にはドームのように丸い装飾がなされ、何か見えないオーラで包まれているように感じられた。

『待っていましたよ。封印を解くためとはいえ、皆さんにはとても大変な思いをさせてしまいましたね……』

そこからは先程まで聞こえていたイストワールの声が発せられていた。

恐らく、これがイストワールを封印している何かなのであろうと一同は悟った。

「それでは、その鍵をこのオブジェに掲げていただけますか?」

イストワールの指示に、ネプテューヌは鍵を掲げる。

すると、そのオブジェは目映い光を放つ。

そして、そこに現れたのは一冊の――書物。

金色の装飾で彩られたその本は、この遺跡の中でも一際異彩を放つモノであった。

一行が首を傾げ、テラはそれを持ち上げる。

「……本、だよな?」

「……本だね」

「……本です」

「……本ね」

何コレ? 何でこんなに気まずい雰囲気なの?

みたいな雰囲気が一行に流れる。

『何? これだけ頑張って出てきたのがこの本なの?』みたいな。

「えーと……何? どうすればいいの?」

テラはたらりと冷や汗を垂らすが

『いや、そんなこと私に聞かれても……』

的な視線でテラを見る三人を見てテラは眉をひそめた。

『皆さん、ありがとうございます。それが、その本が――私です』

 

 

『……』

 

 

その間、恐らく一分ほどであろう。

4人を沈黙が襲い、というか全員が本、いやイストワールを見て呆けていると言った方が適切だろう。

しかし、いち早く復帰したテラがうわずった声で答える。

「え、と……あの、てことは何? イストワールって……本、なの?」

『はい』

なんかちょっと嬉しそうに答える辺り何かあんのかな? とかそんな疑問を抱いたが注目すべき点は他にもあったのでそこはスルーだ。

『あー、テラさん? もう少し優しく持っていただけますか?』

と、イストワールに指摘されてテラは少し戸惑いつつも本を持ち直した。

『では、その鍵をこの本の鍵穴に差し込んでください』

イストワールにそう言われ、一行は顔を見合わせつつも、テラはゆっくりと鍵を鍵穴に差し込み、そっと回した。

そして――。

本がゆっくりと開かれる。

そこにいたのは――。

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます(*^-^)ノ♪ みなさんのおかげでブジにフウインがとけました!」

と、

本の上にちょこんと乗るくらいの少女が、告げていた。

一行は先程と同じく口を開けて呆けている。

「ちゃんとあうのははじめてですね。わたしがいーすんことイストワールです\(^ - ゜)u」

と、礼儀正しく挨拶をするも、それすら一行には聞こえていない風だ。

「……なんか、違う」

ネプテューヌは理不尽なことを言うが、一同は全く持って同意見であった。

「シショのときとはまたちがうのでシヨウもかわるんです(*^_^*)ゞ」

てな感じで、平仮名片仮名ばかりで読者には非常にわかりにくい言語ではあるが一同にはそんなこと分からないし、知ったことでもなかった。

ともかく、とりあえず落ち着きを取り戻した――といっても最初から落ち着きっぱなしではあったがとりあえずアイエフは口を開く。

「ま、まあ、とにかくいーすんさんを助けるっていう初期目的は達成したのよね……。後はどうするの?」

「えー? それはもちろんモンスターと魔王とマジェコンヌをやっつけるんでしょ? 俺達の戦いはまだまだ終わらないぜ!」

その言い回しに今日俺達終わるんじゃないかとテラは一抹の不安を覚えたが決してそんなことはないのでご安心ください。

「でも、結局大陸中を回ったですけど、魔王さんにもマジェコンヌさんにも会えなかったです……。どうすればいいですか?」

その言葉に、イストワールは首を横に振る。

「ザンネンですが、ユニミテスというマオウはソンザイしません。すべて、マジェコンヌがながしたウソなのです」

「えー、ちょっと残念……」

と、ネプテューヌはがっかりしたような声を出すが、倒すべき敵が一人いなくなったのでラッキーくらいに思えればいいかとそれは流した。

「じゃあ、マジェコンヌは? ソイツは存在してるんだろ?」

「はい。……マジェコンヌは……メガミ。センダイの、メガミです」

 

 

 

 

 

『……はあ』

 

 

 

 

 

面食らった人間などえてしてこんなものだろう。

一行は表情をそのままに固まったという表現が最適な感じにもう、固まっているのである。

「……えと、何? 何で先代の女神様がそんなことを企むわけ?」

アイエフがうわずった声で一番に返す。

「…くわしいことはわたしにもわかりません。ですが、カノジョはセカイをほろぼすつもりなのです。モンスターでヒトをおそわせるのも、シンコウシンをそぐためのコウドウだったのです」

「信仰心……女神の力の原点、か」

「はい」

女神は大陸の人々の信仰心を得て力を得る。

信仰が薄くなれば、それだけ女神の力も衰える。

それを狙ってのことだろう、と一同は悟る。

「わたしのなかのキジュツでも、いままでのタイリクであなたたちがソウグウしたできごともすべてマジェコンヌがカンヨしていました」

「そうだったですかー」

コンパが度肝を抜かれた感じで驚いたが抜かれすぎていてもう普通のリアクションになっていた。

「マジェコンヌはいま、シンカイにかくれています。メガミさまたちがゲカイにおりるとどうじにシンカイにいったのでしょう」

と、そこまで言ったところで再び一同を沈黙が襲う。

そしてテラはおずおずと口を開く。

「ちょい待ち。神界って……俺達行けないじゃん。

……あ」

テラは思い出したように声を上げ、ネプテューヌを見る。

視線を向けられたネプテューヌは首を傾げる。

「何?」

流石に疑問に思ったか、ネプテューヌはテラにそう告げる。

テラは焦ったように表情を崩したところをアイエフは見逃さなかった。

「テラ、アンタ何か知ってるわね? ……言いなさいよ」

と、もの凄い雰囲気でそう言われるのでテラはチラリとイストワールを見る。

恐らくそれで通じたのだろう。

苦笑を浮かべ、静かにこくんと頷いた。

テラは意を決して、口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぷ子、お前は――『女神』だ」

 

 

 

 

 

 

 

と静かに、告げた――。

 

 

その判断は、彼女、ネプテューヌにとって

 

 

 

コンパにとって、

 

 

 

アイエフにとって

 

 

 

 

 

 

テラにとって、良いことであったかは定かではなかった。

 

 

 

しかし、この時から――

 

 

 

 

 

 

 

 

運命は、確実に、

 

 

 

 

 

揺らぎ始めていたことだけは、明らかであった――。

 

説明
21話です 最近小説書けてません…どうしよう
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コメント
あっ、やべぇ!ブランが教えていた事忘れてました!orz (駆蘭)
藾弑サマ> テラ「ま、簡単なことはブランに聞いてたからな」 簡単なとは? テラ「む…やっぱりどこか信じられなかったんだよ」 まあ普段のネプ子さんはねw テラ「ま、ネプ子が女神だろうが何だろうがネプ子はネプ子だけどな」 …ポイント稼がなくていいよ? テラ「ポイントって何だよ」 もういいよ、次回もお楽しみに〜(ME-GA)
テラ…鋭い(駆蘭)
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超次元ゲイムネプテューヌ 二次創作 ご都合主義 

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