クローズクローゼット |
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いんざくろーぜっと
先にこれみてねー。許可とってないから怒られるかなー
人の幸不幸を決めるのは一体何か。
そんなことを考えながら私はこの粗末な命を火を宿している。
轟々と燃えたぎるような烈火ではなく、くすぶった黒煙を上げる生木のような、そんな退屈な毎日。
夢も目標も欲しいものさえない冷めた日常。満ちに満たされた結果が空虚という退屈。鏡をみると可愛らしい私の顔が写る。相変わらず目に影が入り込み不機嫌な顔だ。それでも平均水準をはるかに超えた自身の顔に嫌気が差す。顔がいいとか悪いとかで一喜一憂している庶民が羨ましい。完璧すぎるというのも考え物だ。
ベッドの上に散らかっている服やバッグなどを無造作に手で払いそのまま横になり携帯電話を見つめる。
すべてのものに飽きてしまったのだが、ブログで庶民の生活を覗き見するのはいい暇つぶしになる。
いつものようにランキングを目で追っていると見慣れないページを発見した。
インザクローゼット
昨日まではなかったタイトルのブログだ。アクセス数が急激に伸びている。好奇心を退かれそのページを開きざっと目を通すと私は腹の底からかつてないほどの笑い声を上げた。
日記の内容はくだらない自慢話である。よくある庶民の見栄を張った誇大日記だ。表向きは。
しかし私は正体を知ってしまった。いや、むしろこれで騙される人間の気が知れない。
はやい話、なりきりである
ブログに映されている写真を見ただけで整形していることがわかるし、品と学のない文章。成金趣味の思考回路となぜかクローゼットに一個だけ置かれているバーキン。恐らく劣等感に苛まれた卑しい雑種なのだろう。同情に値する。コメントをしている人間もそれに気付いて必死で持ち上げているのかもしれない。優しいものだ。それを考えると余計滑稽に思えてくる。笑いが止まらない。
しかしながら、このレイナと名乗る人物(恐らくこれも偽名であろうが)は自身の弱点を克服し、新たな人生を、命の火をたぎらせているのではないだろうか?私と同じく、空虚と虚無に苛まれたそれまでの生活を彼女は断った。その事実に私は敬服せざるを得ない。
そう。人は変われるのだ。現状を甘受しているだけの私は間違っていた。このなに不自由ない退屈な生活にしがみついていただけのくだらない毎日と決別しよう。わたしはそう決めた。
翌日は私は整形外科に行った。医者が涙ながらに思いとどまってくれといっていたがこの決意は変わらない。手術は無事行われ世界一醜い顔を手に入れた。鏡を見ると歪なパーツがところ狭しと並んでおり、神話にでてくる化物を連想させる。変わり果てた自身の顔をまじまじと見て大笑いしてしまった。それから私は何も持たず町を徘徊しすれ違う人々に指を指され笑われた。人間の顔じゃない。気持ち悪い。そんな罵詈雑言が心地よく、また快楽であった。しかしまだまだこんなものではない。私の人生はここから始まるのだ。ふっと笑った途端近くにいた子供が大泣きしたので私は絶頂に達した。
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