魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)−−12 再戦、剣と剣−−
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本編四話目。

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−−再戦、剣と剣−−

 

『おつかれさま。戻ってきてくれる?』

「わかった」

ガジェットを制限時間内に全機破壊し、訓練はクリアすることが出来たか。

「なのは達は、廃ビルの屋上に居るようだな」

歩いて行くのは時間がかかるか……。

エクシアを纏ったまま空を飛び、なのは達が居る廃ビルの屋上を目指す。

 

屋上に降りてジャケットを解くと、

「「刹那さん!」」

((FW|フォワード))の4人が詰め寄ってきた。

「なんだ?」

「私(僕)に戦い方を教えてください!!」

4人が頭を下げた。

「ふふっ……いきなり、人気者だね」

先程のガジェットの訓練を見た所為か?

力や強さに憧れる感情は、わからなくはないが……。

「……悪いがそれは出来ない」

「どうしてですか!?」

頭を上げて、一番初めに声を上げたのはティアナだった。

「俺は人にものを教えることが苦手だ」

「でも……」

「それに……」

「それに……何ですか?」

俺の【戦い】は魔法戦技ではなく、純粋な戦闘技術。

人を殺める技能。

そんなものを教えるわけにはいかない。

「お前達の教師は俺ではなく、なのはだ」

そう言って、なのはの方を向くとFWの4人もなのはを見る。

「え?」

突然自分の名前が出たためか、呆けた顔をした。

「なのはなら、お前達を正しく導いてくれるはずだ。お前達は、なのはを信じて指導を受ければいい。そうすれば、自分の望む強さを得られるだろう」

「せ、刹那君」

なのはが少し顔を赤くして俯いた。

「……どうした?」

「な、何でもないよっ!」

なのはは顔を上げて、両手をパタパタと振った。

その様子を見て、ヴィータとシャーリーは苦笑いをしていた。

「そういうわけで、俺がお前達に教えられることはない」

「わかりました」

スバルが真剣な顔ではっきりと答えた。

「ただ、模擬戦なら受けよう。お前達の基礎が固まったら、いくらでも相手をしてやる」

「そ、その時はお手柔らかにお願いします」

苦笑いしながらティアナが答えた。

「ならばその模擬戦は、最初に私の相手をしてもらおうか」

突然、シグナムが声を上げた。

「シグナムにヴィータ。いつ来たんだ?」

「お前の訓練が始まる直前だよ」

ヴィータがこちらに歩きながら答えた。

「訓練場に向かう姿が見えた途端、シグナムが「行くぞ」ってな」

そう言って、隣に立つシグナムをジト目で見る。

「お前の戦い振りを見る絶好の機会だと思ったんだが……想像以上だった。やはり、私の目に狂いはなかったな」

シグナムは心底嬉しそうに言う。

「手合わせをしてくれる約束だったな」

「……」

「早速、相手をしてもらおうか」

レヴァンティンを待機状態から長剣へと変えて、こちらに向けてくる。

FWの4人は、シグナムの気迫に固唾を飲んで様子を見守っている。

「お、おいシグナム」

シグナムの行動を諌めるかの様にヴィータが声を上げる。

「悪いが今は出来ない」

「何故だ!?」

「FW4人を鍛えることが優先事項だ。今日のところは訓練に集中させてやれ」

「……」

「不服か?」

「……わかった。だが!」

「ああ、近いうちに必ず相手をする」

「それが聞ければいい」

そう言うと、シグナムは歩き出す。

「おい、シグナム。どこに行くんだよ?」

ヴィータがシグナムに心配そうに尋ねる。

「隊舎に戻る。それから、セイエイ」

「何だ?」

立ち止まって少し振り返ると、

「私に時間を与えたことを後悔するなよ?」

口の端を持ち上げて言うと、ビルの屋上から立ち去ってしまった。

「やれやれ。ワリィな刹那」

「構わない。シグナムとの模擬戦は約束だしな。それが早いか遅いかの違いだけだ」

「そっか。んじゃ、アタシも戻るな」

「ああ」

「おう、新人ども」

「「は、はい!」」

ヴィータがFW4人に声をかけると、緊張しながらも返事をする4人。

「折角、刹那が訓練時間をくれたんだ。しっかり、やれよ」

「「はい!」」

今度は、敬礼しながらはっきりと答えた。

「じゃあな」

一度、軽く手を挙げるとヴィータも立ち去った。

 

「さて、刹那君の訓練時間が丁度いい休憩になったと思うから、早速みんなの訓練を再開しようか?」

「「はい!」」

うん。いい返事。

いい刺激になったかな?

「シャーリー、設定をお願いね」

「任せてください」

パネルを叩き始めるシャーリー。

「刹那君の期待に応えられるように、しっかりやっていこう?」

「「はい!」」

元気のいい返事をした4人は、地上へ向かって走って行く。

「刹那君。よければ、訓練を見てくれる?」

「構わない。隊長の補佐が俺の仕事なのだろう? 遠慮する必要はない」

「うん」

 

その後は、休憩を入れながら夜までガジェット相手に訓練。

基本的には自分で考えるようにさせて、アドバイスは偶にしたくらい。

でも、その甲斐あってたった一日で連携は結構いい形になってきた。

「今日はここまでにしようか」

「「はい」」

返事はあるものの覇気が感じられない。

フリードはキャロの腕の中で眠っていた。

流石に限界って感じだね。

みんな、お疲れさま。

「明日は、朝6時に集合ね」

「「はい」」

「ちゃんと休んで、明日も頑張ろうね。それじゃあ、解散」

「「ありがとうございました」」

FW4人が重い足取りで隊舎へ向かう背中を見送る。

「シャーリーもお疲れさま」

「はい。後で、今日取れたデータを送っておきますね」

「うん」

「では、なのはさん。刹那さん。お疲れさまでした」

シャーリーも見送って、訓練場に繋がる海沿いの道路に残っているのは私と刹那君だけになる。

「ごめんね。結局、最後まで付き合わせちゃって」

「問題ない」

ポーカーフェイスで答えるいつもの刹那君。

「刹那君から見て、4人はどうかな?」

「現時点では何とも言えないな。だが……」

「なに?」

「素質はある。後は、なのはとあいつら次第だ」

そう言われると、責任重大だよね。

「任せて、ちゃんと育てるよ」

「ああ」

「さて、私達も隊舎に戻ろう。あ、一緒にご飯食べる?」

「そうだな」

「うん。行こう」

刹那君と一緒に歩き始める。

管理局の制服を着た刹那君と一緒に歩くのは、なんだか不思議な感じだなぁ。

 

「それで、訓練初日はどうだった? 新人たちは立派になれるかな?」

「皆、元気あるし大丈夫だよ。何より刹那君のお墨付きだしね」

「刹那の?」

ベッドに腰掛けて、遅く帰ってきたフェイトちゃんと今日のことを話す。

「うん。素質はあるから後は私達次第だって」

「そっか」

「それに……」

「うん?」

――なのはなら、お前達を正しく導いてくれるはずだ。お前達は、なのはを信じて指導を受ければいい。

あんなこと言われたら、頑張るに決まってるよ。

「なのは? どうかしたの?」

「あ、何でもないよ」

「……何か隠してる?」

目を細めて、私の顔を覗き込むフェイトちゃん。

フェイトちゃん鋭いなぁ。

「本当に、何でもないって」

「そう?」

「うん。……あ、そうだ。今日、刹那君もガジェットの訓練をしたんだけど、その時の映像見る?」

「見る!」

即答。

「レイジングハート。お願いね」

《はい》

レイジングハートが快諾すると、空中にモニターが出現する。

そこには、昼間刹那が行った訓練の様子が映し出される。

刹那がガジェットを撃破するたびに、フェイトは子供のように声を挙げた。

「刹那はやっぱり凄いね。これでも、本気じゃないわけだし」

「そうだね」

映像を見終えたフェイトが、なのはに向き合いながら話かける。

「あ、刹那君の背中から出てる光だけどね。GN粒子っていうんだって」

「GN粒子?」

「うん。今日、教えてくれたんだ。それから、通信阻害も発生させる特徴があるとも言ってたなぁ」

「GN粒子」

なのはから聞かされた言葉を何度も呟くフェイト。

「今度、ユーノ君に頼んで調べてもらおっか? 何か分かるかもしれないよ?」

「多分、無理じゃないかな」

「どうして?」

先程までとはうって変わって、凄く真面目な顔になるフェイトちゃん。

「忘れちゃったの? 刹那は地球出身だけど、それは私達が知ってる地球じゃないんだよ?」

「あ」

「ミッドと繋がってる地球のことは無限書庫にも資料としてあるけど、刹那の地球とミッドは繋がってない」

「だから、調べても何も出てこない?」

「私の推測だけどね」

苦笑しながらフェイトちゃんが答える。

「それに、刹那のことだから確認済で教えてくれたんだと思うよ」

「……そうだね」

 

GN粒子。

GNソード。

何かに関連していることは間違いない。

何だろう……。

――俺はソレスタルビーイングのガンダムマイスター。

十年前。

別れ際に言った刹那の言葉。

無限書庫で調べても何も分からなかった。

「GN粒子。G……ガンダム」

多分、答えはそこにある。

フェイトはそんな気がしていた。

 

新暦75年5月早朝。

FW4人とフリードは、早朝訓練の仕上げに入っていた。

なのはの攻撃を5分間。

誰一人、被弾することなく避けきるか、なのはに一撃を入れることができればクリアとなる。

しかし、疲労している状態でのそれは無理に近いだろう。

「やはり短期決戦を選んだか」

海上の訓練場の様子を見ているのは六課の民間協力者。

刹那・F・セイエイ。

訓練初日からなのはと共にFWの訓練を見てきた。

上空からのフリードの攻撃をかわしたなのはに、エリオが槍型のデバイスを持って突進する。

爆煙が舞い、エリオが吹き飛ばされる。

失敗したのかと誰もが思ったが、エリオの攻撃はなのはのジャケットまで届いていた。

「訓練終了か」

 

「「おはようございます。刹那さん」」

「キュク〜」

「ああ」

訓練を終えたFWが、なのはを先頭に海沿いの道路にやって来た。

「おはよう、刹那君。いつから来てたの?」

「10分程前だ。なのは」

「なに?」

「この後、訓練場を少し使ってもいいか?」

「早朝訓練は終わったから構わないけど……訓練をするの?」

「いや、訓練ではない」

「それなら?」

「……来たな」

「「?」」

なのは達の疑問を余所に視線を動かすと、シグナムが近づいて来ることを確認する。

シグナムだけではない。

はやてとリインフォースにヴィータ。

そして、フェイト。

なのはが改めて刹那に問う。

「刹那君?」

「これから、シグナムと模擬戦を行う」

「「!」」

延ばしてきた約束。

それをこれから果たす。

「ようやくだな。待ちわびたぞ」

「始める前にいくつか言っておく」

「なんだ?」

「模擬戦は1本勝負。時間は15分。魔力ダメージによるノックダウンか降参させるかだ」

「……ノックダウンか」

シグナムが笑みを浮かべる。

「お前の性格を考えたら、これがいいと思ってな。だから1本勝負にさせてもらった」

「ふっ……十分だ」

「ところで、何故はやて達も居るんだ?」

はやて達の方を向く。

「いや〜。シグナムが刹那君と模擬戦をするって言うからなー。久々に、刹那君の戦う姿を見れるチャンスやと思って」

にこやかに答えるはやて。

「私は刹那さんが戦う姿はまだ見たことがないので、是非見学をと!」

リインフォースが胸元で拳を作りながら答える。

「アタシはシグナムが暴走しないように」

軽く手を挙げながら答えるヴィータ。

「私は「刹那君の勇姿を見るために、やろ?」はやて!」

はやてに茶化されるフェイト。

「……まあ、いいか」

「では、早速始めようか」

「ああ」

「刹那君。訓練場の設定は?」

「このまま……廃棄都市で構わない」

「うん。わかった」

なのはと確認を終えて、シグナムと共に訓練場へ向かう。

「「シグナム副隊長。刹那さん。お二人共、頑張ってください!」」

 

「何か凄い事になっちゃったね」

「そうね」

「シグナム副隊長と刹那さん。どっちが勝つと思う?」

隣で空中モニターを見つめるティアに話かける。

「そんなのわかるわけないでしょ」

「そうだよね」

ティアの言うとおり……わからない。

刹那さんの強さは訓練初日に見たけど、シグナム副隊長の強さはわからない。

父さんは、八神部隊長と多少交流があるらしいから、少し話を聞いたくらいでよくは知らない。

どんな戦いになるんだろう。

戦いは嫌いだけど……。

でも、凄くドキドキしてる。

自然と胸の鼓動が高鳴る。

 

廃棄都市を模した訓練所でセイエイと向き合う。

「手加減は無用だぞ」

「お前相手に手加減が出来るヤツが居たら、見てみたいものだな」

「ふっ……では」

「エクシア」「レヴァンティン」

互いのデバイスに合図を送ると、光に包まれる。

目の前に立つ男は、青と白を基調とした鎧を纏っている。

魔導師が纏う((防護服|バリアジャケット))というより、我らが古代に纏っていた騎士甲冑に近いな。

かつて戦った時よりも強い威圧感を感じる。

この言い様のない高揚感。

久方振りだ。

『二人共、始めるよ。準備はいい?』

「ああ」

「問題ない」

高町の通信に答える。

ようやくだ。

この時をどれ程待ち望んだことか。

レヴァンティンを構えると、セイエイも右腕の刀身を起こして構える。

『それでは……レディー、ゴー!』

開始合図と同時に地を蹴って、セイエイに斬りかかる。

「はああああぁぁぁ!!!」

「うおおおぉぉぉぉ!!!」

互いの剣がぶつかる。

甲高い金属音が澄んだ青空に響く。

これが、剣の騎士にとって本当の開始合図だった。

 

幾度となく刃を交える。

時には地で。

時には空で。

シグナムが振り下ろすレヴァンティンを受け止め、すぐさまGNソードを払いシグナムを押し返す刹那。

距離が離れたと思えば、刹那が距離を詰めてGNソードを振るう。

GNソードを受け止め、鍔迫り合いになったかと思えば、今度はシグナムが押し返し、再び斬りかかる。

それを繰り返す二人。

それは純粋な剣士の戦い。

「す、凄いです」

「あの二人……気合い入りすぎだろ」

リイン曹長とヴィータ副隊長がそれぞれ感想を口にする。

私は、その光景に言葉が出てこない。

私だけじゃない。

ティアもエリオもキャロも。

誰一人、言葉を発せずにいた。

「シグナムとあそこまで互角に打ち合える人は、そうはおらへんやろうなー」

「そうだね」

八神部隊長の言葉になのはさんが同意する。

シグナム副隊長も凄いけど、やっぱり刹那さんも凄いんだ。

 

互いに力を込めて、後方へ飛び距離を取る。

ここで、一旦打ち合いが途切れた。

模擬戦開始から5分が経とうとしていた。

「流石だ。太刀筋もスピードも更に磨きがかかったな」

「……」

「ここから、全力で行かせてもらうぞ!」

そう言うや否や、目の前からシグナムの姿が消える。

咄嗟に左腕のシールドを前方に出す。

次の瞬間、シールドにシグナムの一撃が入る。

「っ!」

まずい!

余りの衝撃に僅かに体が後方へ下がる。

GNソードを下から切り上げるが、既にシグナムは離れており空を斬る。

「ふっ、いい反応だな」

(エクシア、シールドのみモード・リリースだ)

(宜しいのですか?)

(ああ、シグナムの全力の打ち込みをシールドで防ぐのは逆に危険だ。下手をすると左腕をもっていかれる)

(わかりました。再展開する際は言ってください)

(わかった)

左腕からGNシールドが消える。

これで、シールド防御は使えない。

だが、((アレ|・・))は使える。

「防御を捨てたのか?」

「ああ、だが」

GNソードを折り畳み、両腰からGNビームサーベルを引き抜く。

「勝負を捨てたわけではない」

「……そうこなくてはな!」

再び、シグナムが斬りかかって来る。

GNビームサーベルを交差させて、シグナムの攻撃を受け止める。

すかさず両腕を払い、シグナムを押し返す。

後方へ下がったシグナムへ右、左と順に突きを繰り出す刹那。

一撃目を回避。

二撃目をレヴァンティンの刀身で反らし防ぐシグナム。

更に縦、横と連続で繰り出す刹那。

 

光刃の二刀流になったセイエイ。

突きに斬り、払いと……見事な連撃だ。

レヴァンティンを振るい、セイエイの連撃を中断させる。

「今度はこちらの番だ」

ガシュ、と音がすると薬莢が飛びレヴァンティンの刀身が炎を纏う。

レヴァンティンを握る力を強めて上段に構える。

セイエイは両手の光刃を腰に戻し、右腕の刀身を起こして構える。

「行くぞ!」

セイエイに斬りかかる。

「紫電一閃!!」

炎を纏ったレヴァンティンを力の限り振り下ろす。

「ぐっ!」

渾身の攻撃を右腕の大剣で受け止めるセイエイ。

「おおおおぉぉぉぉ!!!」

シグナムが力を込めてレヴァンティンを振り抜くと、刹那は吹き飛び後方のビルへ激突し瓦礫と煙が舞う。

 

シグナム副隊長がカートリッジシステムを使用し、長剣が炎に包まれる。

炎熱変換。

長剣を振り下ろし、刹那さんはそれを右腕の大剣で受け止める。

僅かな硬直の後、刹那さんが吹き飛ばされて、ビルに激突し煙をあげる。

けれど、それと同時にシグナム副隊長にも爆煙が上がる。

「え? なに? 何が起きたの?」

隣のティアに話かける。

「わ、わかんないわよ!」

ティアにも分からなかったみたいで、エリオとキャロにも聞いてみる。

「エリオとキャロはわかる?」

「すみません。わかりません」

「私もわかりません」

私達には何が起きたのか分からなかった。

でも……。

「大きな攻撃の後ほど、硬直――隙ができるのはわかるよな?」

ヴィータ副隊長がモニターを見ながら説明をしてくれた。

「は、はい」

「シグナムが振り抜いた瞬間、その僅かに生じた隙を狙って刹那が撃った」

「え!? そ、それって右腕の射撃ってことですか!?」

「違うよ」

今度はフェイト隊長が説明をする。

「((左腕|・・))だった」

「え!?」

説明してくれたけど、疑問が増えた。

刹那さんの射撃は右腕の武器だったはず。

それが左腕?

「私にもわからないけど、吹き飛ばされた時、刹那は左腕をシグナムに向けていて、そこから光弾が5発は出ていた」

どいうことですか!?

「どういう攻撃をしたのかは刹那に聞くのが一番いいね」

私の心を読んだかのようにフェイト隊長が苦笑いしながら答えた。

「でも、姿勢が安定していない状態で射撃をして当てることなんて出来るんでしょうか?」

ティアが質問する。

「理屈のうえでなら可能やろうなー」

「真っ直ぐ飛ぶ弾ならただ撃てば当たるよね」

八神部隊長となのはさんが簡単だという風に答える。

「「え!?」」

「だって、シグナム副隊長と刹那君の位置は直線上。仮に右腕だとしても、シグナム副隊長に真っ直ぐ向ければいいだけ」

「あ、なるほど。確かに当てる事は可能ですぅ」

リイン曹長が人差し指を頬に当てながら言う。

「まぁ、理屈のうえだけどね」

「実際に出来る人間はそうはおらへんよ」

 

「くっ!」

《大丈夫ですか?》

「ああ。お前はどうだ?」

《問題ありません》

シグナムに吹き飛ばされ、瓦礫をどかしながらエクシアと状態確認を行う。

「GNバルカンは?」

《5発全弾命中しました。効果の程は、期待できませんが》

「構わない」

答えながら見上げる。

シグナムの姿は煙で見えない。

だが、まだ先程の場所で様子を伺っているはずだ。

シグナムの様なタイプは、無闇に突っ込んでは来ない。

それを逆に利用させてもらう。

「((TRANS−AM|トランザム))の途中解除は可能か?」

《可能です》

「では、合図をしたら1秒だけ頼む」

《わかりました》

ライフルモードのGNソードをシグナムが居る方向で向けて右腕に左手を添える。

目を閉じる。

集中しろ。

と、GNソードの銃口からやや前方に拳ほどの光の球が出現する。

「トランザム!」

一瞬、刹那の体が赤く発光する。

光が収まると、光の球は一回り大きな状態となっていた。

《マスター。まさか……》

「少し、驚いてもらう」

 

「……」

まさか、振り抜いた瞬間を狙ってくるとは……。

おまけに左腕にも武器を持っていたのか?

ダメージはそれ程ではないが、やはりセイエイは只者ではないな。

刹那のGNバルカンを受けた右肩に左手を置いて、ビルを見下ろすシグナム。

「む?」

何だ……光が?

次の瞬間、太い光がシグナムに襲いかかる。

「なっ!?」

咄嗟に回避し事なきを得るが、光が伸びていった空を見ながら驚愕の声を上げる。

「馬鹿な! 今のは、高町の高速砲なのか!?」

と、攻撃態勢のセイエイが目に映った。

「うおおおおぉぉぉ!!!!」

右腕の大剣を振りかぶって来る。

レヴァンティンで受け止めるが、反応が僅かに遅れて態勢を崩して吹き飛ばされる。

その隙を見逃さず、大剣を折り畳んだセイエイが右腕と左腕を突き出して連射する。

「くっ!」

防御魔法を展開し、防ぐが何発か被弾する。

続いて両腰の光刃を投擲してくる。

それを、レヴァンティンで弾く。

と、いつの間にか接近していたセイエイが下から大剣を切り上げる。

キィンと、レヴァンティンを手から弾き飛ばされる。

「しまっ……!」

レヴァンティンが地に突き刺さると同時にセイエイの大剣が首元に止まっていた。

「……まいった。私の負けだ」

両手を上げて、降参の意を伝える。

-3ページ-

読了おつかれさまでした。

予定より長くなってしまい、区切る場所がわからなくなってしまいました(汗)

悲願達成のシグナム。

刹那の戦術は、A'sOOより薄味に。

連結刃の対処の別パターンも考えましたが、長くなのるので省きました。

それでは、また次回に。

説明
再び魔法少女の世界へ降り立ったガンダムマイスター刹那・F・セイエイ。はやてが部隊長を務める機動六課がついに活動を開始する。魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。
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コメント
>ゼロ・スパークさん。コメントありがとうございます。刹那が最近強すぎかなとちょっと反省中(^^;(ケイ)
刹那の反応速度は半端ないですね。さすが純粋種のイノベイターですね。(ゼロ・スパーク)
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