超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第十三話 疑念 |
現在ルウィー
日が昇って間もなくの頃、既にブランは起床済みだった。
目は大分覚めきっており、部屋にある本棚から無造作に本を抜き取り、本棚を背もたれに床に座り込んで本を読みふけっていた。
同じ部屋のベッドではロムとラムの2人がスヤスヤと寝息を立てている。
2人を起こさないようにブランは部屋の明かりを控えて黙々と本を読み進めた。
視線は本のページに向いていた。
だがその意識は本には向かっていなかった。
先日起きた出来事、ブランの意識は完全にそれに支配されていた。
ブラン「……。」
物思いにふけっているその横顔はどこか寂しげだった。
――私はこれからどうネプテューヌ達に向き合っていけば?
そんなことを悶々と考えているうちに扉の向こうからノックの音が鳴り響いた。
ミナ「ブラン様、失礼します。」
ブラン「……何か用?」
ゆっくりと扉を押し開けながら入ってきたミナにブランは無表情で問いかけた。
ミナ「それが、少しお話したいことがありまして……。」
ブラン「……何?」
ミナの言葉にブランは視線を本からミナのほうに向けた。
それを確認したミナは表情を曇らせた。
一呼吸置いた後にブランの目を見つめながらミナは口を開いた。
ミナ「昨夜、町外れの倉庫で大量殺人事件が起こりました。」
ブラン「!!!」
思わずブランの手から本が抜け落ちた。
本はバサリと音を立てて床に落下した。
ブランは今でも信じられないような顔をしていた。
深刻な面持ちのまま、ミナは眼鏡を中指で軽く押し上げながら続けた。
ミナ「被害者は84人、全員犯罪組織のメンバーです。鋭利な刃物で体を切り刻まれて惨殺されていた。とのことです。」
ブラン「刃物……まさか!!」
顔の色が蒼白になりながらもブランは呟いた
ブランの思考の中には3人の容疑者が浮かび上がっていた。
と言うよりはその3人しか思い浮かばなかった。
80人あまりの犯罪組織のメンバーを一晩で、それも刃物で。
そんな芸当のできる人物はブランの知り得る中では3人しか存在しなかった。
ミナ「違うと思います。」
ブラン「!?」
ブランの心を見透かしたかのようにミナが話した。
ミナの言葉はとてもハッキリとしていた。
ミナ「手口はとてつもなく残忍でした。ブラン様がお考えになっている方の犯行とは……。」
ブラン「そう……ありがとう。」
ミナはあえてその人物を名指ししなかった。
ブランの感謝の言葉はそれに対してもであった。
安堵のため息をつきながらブランは一層本棚に深くもたれ掛かった。
2人は視線を下げ、しばらくの間部屋に静寂の時間が流れた。
ラム「ん、う――・・・ふぁああっ……。」
ロム「…う・・・ううん……むにゃむにゃ。」
静まりきった部屋に幼い声が小さく響いた。
ベッドから上半身だけを起き上がらせたロムとラムは両手で目をこすりながら視線を二人に向けた。
ミナ「お2人共、おはようございます。」
ブラン「おはよう。」
ラム「ふあぁぁあっ……おふぁよう。」
ロム「……おなか…すいた。」
まだ寝ぼけているのかミナとブランの言葉に2人はとぼけた声で答えた。
少し間を空けて2人はベッドから完全に起き上がり、軽く背伸びをした。
その様子を見ていたブランはミナに小声で話しかけた。
ブラン(今の話、2人には言わないでおいて……。)
ミナ(はい。承知いたしました。)「お2人とも、朝ご飯にしましょう。ブラン様もどうぞ。」
言うと同時にミナはブランたちに背を向け、視線の先の扉を押し開けた。
ラム「もうおなかペコペコー。」
ロム「ラムちゃん、お姉ちゃん、早く行こう?」
ブラン「先に行っていて。すぐに行くから。」
ミナに続いてロムとラムも部屋を後にした。
1人になった部屋に再び沈黙が訪れた。
ブランは先ほど落とした本を拾おうとその本に手を伸ばした。
だがふと、その本に偶然書いてあった一文にいつの間にかブランは見入っていた。
――犯人は犯行現場に戻ってくる。
視線をその文章に向けながらブランは再び思考をめぐらせていた。
◆◆◆
現在クレイボーンステイツ50階。
レオン「―――ってわけだ。俺の集めた情報は以上だ。まあ、そう大した情報じゃ無いけどな。」
今までと変わらない中世じみた部屋にレオンの声が響き渡った。
変わったことと言えば窓の外には太陽が昇りきっていること。
そしてレオンの目の前の卓上に不気味な青白い灯りが点っている事だった。
レオン「”時だましの香”か。こんな物使ってまで話すことか?」
《時だましの香》とは悪魔の生理的欲求が生み出した究極の魔法物質であると言える。
この香がたちこめるところ時が夜になるのである。
いや、正確には時が今は夜だと錯覚を起こすのだ。
原料の調合と製法の難しさから手に入りにくい代物だが、一度これを使えば昼の真っ盛りでも悪魔たちの目は爛々と輝きを放つのだ。
そこ――いつわりの夜の中でレオンを含む3人はマグナスと向かい合っていた。
マグナス「ご苦労だったな。次、報告せよ。」
エスター「ハイハイ。」
レオンへの返事は沈黙だった。
マグナスの言葉にエスターがだらけた声で答えた。
エスターは右手でネクタイを緩めると面倒くさそうに話し始めた。
エスター「まあこれ((子供|ガキ))に聞いたんですけど、女神に敵対する”犯罪組織マジェコンヌ”とか言う組織に接触しやした。んで、攻撃されたんで正当防衛をしました。ハイ、終わりです。」
誰が聴いてもわかるほど適当な口調で言葉は紡がれた。
聞いている間、マグナスは表情をしかていめた。
だがエスターは別の方向に目を向けていたので気付く筈も無かった。
気まずい雰囲気が立ち込める中、再度エスターの口が動いた。
エスター「ああ、いけねえいけねえ。何でもその組織の四天王って奴は1人で女神全員を倒して縛り上げたらしいですぜ。んでもってその組織のボスは一ヶ月前に女神に倒されたらしいですぜ。……たぶんゲハバーンで。」
全員「!!!」
その瞬間、全員の視線がエスターに向けられた。
気まずい空気は一瞬のうちに消え去り、変わりに張り詰めた空気が当たりに漂った。
未だに濃密な香りが立ち込める部屋の中でマグナスが口を動かせた。
マグナス「もうよい。ご苦労だった。次。」
既にマグナスの視線はライに向けられていた。
咳払いを1つするとライは視線をマグナスに固定して話し始めた。
ライ「ええっと、俺はリーンボックスのことで。何でもリーンボックスは軍事に力を入れているようでその軍事力は4つの国でも1番らしいです。女神グリーンハートについては人前にあまり姿を現さないようです。それとグリーンハートは巨乳だそうです。」
辺り一面にまたしても気まずい雰囲気が立ち込めた。
ただし先ほどとは別の意味で。
レオン(それ今言うことかよ……。)
エスター(空気読めよ天然……。)
口でこそ言わないがレオンとエスターのライを見る視線は明らかに冷たかった。
2人は心の中でライにツッコんでいた。
しばらく無言だったマグナスもようやく口を開き始めた。
だがその言葉は思いもよらぬ物だった。
マグナス「そうか……巨乳か……。」
心底興味深げにマグナスは呟いた。
その視線はいつの間にか天井に向いてた。
レオン・エスター(転職しよう……。)
珍しくレオンとエスターの考えが一致した瞬間だった。
ライ「それともう1つ、その女神グリーンハートは一ヶ月前に突如として姿を消したそうです。それにその後、国の名前がいきなりプラネテューヌに変わったとか。」
マグナス「! ほう……。なるほど。」
ライの言葉によってマグナスを含めこの場にいる4人には1つの答えが導き出せた。
GANTZにあったMEMORYも含めればそれは十分に筋の通った答えだった。
しばらくの沈黙の後、レオンが腕を組みながら声を上げた。
レオン「話をまとめると3年前に女神は犯罪組織の四天王って奴に敗北、その後拘束。さらにその後、何らかの事情で女神は戻り、犯罪神を倒すためにゲハバーンを使った。……恐らくその1人の女神って奴はGANTZのMEMORYの中に居なかったプラネテューヌの女神候補生、パープルシスターって考えるのが妥当だろうな。そして他の女神は全員そいつに……。」
マグナス「殺された。であろう? これで1つ手間が省けたわい。」
レオン「…チッ。」
鼻で笑いながらマグナスは口を挟んだ。
割り込まれたのが癪に障ったのかレオンは視線を落として舌打ちをした。
嫌な雰囲気が立ちこみ始めた所でライが話を切り出した。
ライ「おお、そうだ。今、氷室の調子が優れなくて部屋で休んでるから代わりに俺が代弁させてもらう。」
突然のライの言葉にマグナスの顔が曇った。
マグナス「調子が優れないとは?」
ライ「あの分じゃ日光の浴びすぎが原因だろうと思います。陽光症になってからじゃ遅いんでね。」
少し皮肉の混じった口調でライが話した。
マグナスは表情を一切崩さなかった。
少しイラついた表情でポケットに手を突っ込みながらライは話し始めた。
ライ「何でも氷室の話ではゲハバーンの事を女神に教えたと自称する男と接触したらしい。」
全員「!!!」
ライの言葉に全員が驚愕の面持ちを見せた。
やはり、とライは思いながら話を続けた。
ライ「見た目はただの老人。今のところそいつに敵意は見られないようですが、氷室は恐らくこちらの事も何か知っているようだった。と言ってました。」
マグナス「……。」
ライの言葉が終わると同時にマグナスは3人に背を向けて何かを考え始めた。
その思考時間にはすぐに終わりが来た。
すぐさま3人の方へ振り向くとこう続けた。
マグナス「カタストロフィが終わるまでこちらの存在は絶対に感づかれてはならない。危険因子は排除せねばならん。今夜三人共それぞれの国へ赴き、犯罪組織の人間の排除、及びその老人を排除せよ。氷室の不足分は我が娘が補う。話は以上だ。」
レオン「待てよ。氷室無しでどうやってあの場所からあっちへ行くんだ?」
マグナス「それももう考えてある。」
返事はすぐにあった。
マグナスはマントの中に手を埋めると何かを取り出してレオンの方へ放った。
左手を上げてキャッチしたレオンの手には大きめの麻袋の中に小さな麻袋が3つ入っていた。
レオン「何だこいつは?」
マグナス「((大妖鳥|グリフォン))の翼の灰が入っておる。死んだ大妖鳥の血をあちらの世界の黒い球のすぐそばの大地にコウモリを使って染み込ませておいた。足元に一振りすればその場所まで移動できよう。好きに使うがよい。」
言い終えるとマグナスは身を翻して部屋の奥に消えていった。
残された3人は面倒くさそうに顔をしかめながら階段の方向へと歩き出した。
全員がいなくなったその部屋には未だに残る夜の香りの中、壁の肖像に描かれている吸血鬼の神祖が寂しげに部屋を眺めていた。
説明 | ||
ようやく女キャラ出せたー…って思ったのにあれ? なぜかブランに死亡フラグ? 大丈夫だよなあ……たぶん。 |
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コメント | ||
ここだけの話あの老人はこの後かなりの重要人物です! 氷室「まあ何にせよ女神についたら即時排除だがな。」 てか魔界のビジネスマンだってよ(笑) 氷室「好きでこの格好してるわけじゃない。これしか服が無いからだ。」 少しはオシャレしろよ…。(クリケット) 今さらながらあのご老人、一体何者・・・ゲハバーンだけならまだしも、魔界のビジネスマンさんたちにも牽制かけるかのような態度。氷室くんのセリフでようやくこの事実にようやく気づきました。(柏中ロージュ&ミヤウエ) リアルではおぜうタイプさん>エスター「泣き声が綺麗ならよかったのに……。」 S通り越して変態化してきやがったこいつ。 氷室「昼でも一応は活動できるけどな…。まあ明るくは無いな。」 珍しく怒らない! 氷室「これから殺されるんだ。せめてもの情ってやつだ……クスクス。」 こいつもある意味変態だな…。(クリケット) 風音ツバキさん>さーて、どうなるでしょうか? 氷室「エスターが本気出せば白い女神なんて瞬殺だぞ?」 あくまで夜だったらの話だろ、それ。どちらにしろ何かしらのバトルの予感!? 氷室「これで女神が1人減る……か。」 縁起でもないこと言うな!(クリケット) フロム「夜にしか出てこれないとかマジ根暗」がすと「乾燥して磯臭くなるから海に帰れですの。」フロム「寧ろイカ臭いな。多分大量虐殺して気持ちよくなってたぞあの変態(笑)」がすと「全く、存在が18禁な奴らですの。臭いですの。離れるですの」フロム「わー臭いのが来たーにげろー」ネロ(酷い目に遭った)(リアルではおぜうタイプ@復帰) フウ「ブラン様に死亡フラグ…だと…」 アリス「うーん、大量虐殺するほどの彼ですからねぇ…。どうなると思います? ヴァイスさん」 ヴァイス「…結局胸か…胸なのか…くっ…」 アリス「ダメだこの人」(風音ツバキ) |
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