真・恋姫無双 未来から来た子達 董卓√ 14 |
「未来光!この袁本初が討ち取りましたわ!!!」
袁紹の叫びと共に兵士たちの歓喜の叫びが戦場を響かせた。それもそのはず、鬼神の如く、たった一人で戦場に現れ多くの兵士たちを倒してきた男が倒れたのだ。あの呂布と並び立つ男、未来光を。
「さて・・・この私の華麗なる振りで痛みを感じさせずあの世へと送ってあげますわ」
袁紹は剣を抜き、兵士たちに光を他の諸侯たちが見える場所まで運んだ
「袁紹!何をしているんだ!」
一刀達が駆けつけると、すでに処刑の準備が進められていた
「あら、北郷さんたち・・・遅かったですわね。この袁家が華麗に討ち取る姿を見せたかったですわ」
「袁紹!あんたねぇ!」
ようやく身体が浮くようになった曹操と孫策は立ち上がるが、すでに立っているのがやっとであった
「あらあら?華琳さん、孫策さん、惨めですわね」
袁紹は普段以上に調子に乗っていた
「袁紹!お前、自分がやっていることが分かっているのか?!」
「あら?敵将を討ち取るのは常識。そして未来光を討ち取ることで袁家の名は更に上がるのです!」
袁紹はまるで自分のしていることが全て正しいと考えている。今、彼女に何を言っても聞いてくれないだろう
「さて、・・・皆さん!見ていてください!私の華麗なる振りでこの未来光の首を落として見せますわ!」
袁紹は剣を構えて振り下ろそうとした瞬間、一刀達の後ろから爆発音が聞こえた
「何ですか!いったい!」
「何ですか!いったい!と聞かれたら答えてあげr『アホやるな!』・・・ぐふ!」
一刀が振り向くとそこには董卓軍の将、戦国と大気、董卓軍の兵、そして虎牢関に囚われていた連合軍の兵士たちがいた。しかし、連合軍の兵士達の手には武器と『董』の我門旗が握られていた。董卓軍の戦闘には大筒を抱えた望と先ほどツッコミを入れた歩が立っていた
「どうも初めまして、董卓軍の軍師、未来望と申します。弟が随分と連合軍で暴れたそうですね」
望は穏やかに自己紹介をしていたが顔は笑っていなかった
「あらあら?軍師自ら戦場に出るなんて。独断で戦場に来た弟同様、おバカなのですかね?それとも弟の最後でも見に来たのですか?お〜ほほほほほ」
袁紹の高笑いが董卓軍を挑発した。先頭にいた歩はすでに今にでも袁紹をぶん殴りたいと必死で堪えていた
「望・・・ウチ、限界・・・あの女をぶん殴らせて!」
「姉さん・・・耐えて」
「望、歩と一緒に下がりなさい。今のアンタ達じゃ話が出来ないでしょ」
歩を抑えようと望が止めるが、望が抱えていた大筒はしっかりと袁紹の方へ向けられていた。そして二人の前に立ったのは詠だった。詠も察したのか、今の望も怒りを堪えるのに必死であった
「袁紹、アンタは連合軍を結成させて董卓様を逆賊と呼びここに攻めてきた。これであっているわよね?」
「そうですわ。逆賊董卓は劉協様を誘拐し、民を苦しめている。慈悲深い私はそんな董卓を許さずこの連合軍を結成した」
「その情報は誰から聞いた?」
「そんなの当然、十常侍の張譲さんですわ」
「張譲ってのはこの黒幕の事かしら?」
詠が引っ張り出したのは縄で縛られた張譲だった
「離せ!貴様ら!こんなことしてただで済むと思うなよ!」
「聞きなさい!この張譲は劉協様を誘拐し、その罪を我が当主!董卓様に擦り付けた!これがその証拠よ!」
詠が投げつけた竹簡は一刀の手に渡り、広げた
「これって!」
「洛陽でこの男がやってきた悪行が全てそこに書かれている。他にもこれからの計画などが記されているわ」
一刀や周りの者たちが読むと確かにそこにはこれまでの計画などが掛かれていた
「それじゃ、劉協様は?いったいどこに?」
「朕ならここにおる」
「「「「え?」」」」
劉備の質問の後に兵士たちの中から外套で顔を隠した少女が現れた
「本初、孟徳。久しいな。しかし、こんな形で会うとは悲しいものだ」
「「劉協様!」」
「「「「「ええええええぇぇ!!!」」」」」
劉協の姿を見た袁紹と曹操が思わず声に出し、周りの諸侯や兵士たちが驚いた。中には思わず頭を下げる者もいた
「本初。朕のために兵士を率いたことは見事だ」
「あ・・・ありがとうございます!」
「しかし!騙されたとはいえお主は朕の命の恩人でもある董卓に刃を向けた!その意味は分かっているな!」
劉協の威圧は増した。袁紹はあまりの恐怖で頭が上がらなかった
「今すぐ兵士を下げろ!朕を救い出してくれたのは董卓!そして協力してくれた馬騰だけだ!」
「し、しかし!」
「くどい!お主の行動!それは朕の怒りに触れた!」
「っく!」
袁紹は悔しかった。いや、どちらかと言うと自分が惨めに感じた。そして追い打ちをかけるかのように詠が話し出した
「袁紹・・・アンタ、光が独断で攻めてきたって言ったわよね」
「そ、それが何か?」
「間違っているわね・・・光は最前線で戦ったまで!ボクたちが本隊よ!!!!」
詠の合図と共に董卓軍、そして董卓軍側にいる連合軍が武器を構えた
「諦めろ、本初。この戦、本当の意味で董卓の勝ちだ」
劉協の言葉で袁紹は何も言えなかった・・・いや袁紹の中で何かが壊れた
「・・袁家が・・負ける?・・・・私が?・・・この袁本初が?・・・」
「・・・袁紹?」
「文醜さん!今すぐ未来光の首を取りなさい!」
「「「「っな!」」」」
袁紹の叫びと共に董卓軍は光の方へ見た。劉協の存在で思考から少し離れていたその隙を突かれた
「しまった!」
「・・・文ちゃん」
「やるしかない!・・・この文醜が未来光の首を!」
「させない!!!」
文醜が大剣を掲げると、重い何かがぶつかるのが感じた
「え?・・・黒い矢?」
文醜の剣にぶつかったのは鉄の矢だった。急いで矢が飛んでくる場所を見るとものすごく離れた場所から唯が弓を構えているのが見えた
「嘘だろ!あの距離からこの矢が飛んでくるのか?!」
そして次の瞬間、崖の上から巨大な狼に乗った未来福と嵐が迫ってきた
「光兄(隊長)から離れろ!!!!」
「董卓軍第二部隊副隊長、魏続参る!」
「きゃ!」
「時雨!やっちゃいなさい!」
「ぎゃあ!」
福たちが乗っていた狼は文醜を、嵐は顔良を薙ぎ払った
「賈?様!隊長の保護、完了しました!」
光の安全が確認されると董卓側の方から歓喜が聞こえた
「さて、袁紹?どうする?・・・ボクたちは今すぐにでも連合軍を相手してあげるけど?・・・あ・・もう連合軍じゃないわね」
「え?」
袁紹が見渡すと周りの諸侯の目がおかしかった
「袁紹・・・気づきなさい。もう、アンタには味方がいないのよ!」
「・・・ああ・・あああ・・」
絶望の淵へと落とされた袁紹はもう何も言わなかった。ただ一言『反董卓連合軍は解散させる』と言って兵士たちを連れて引き返した
こうして、反董卓連合軍戦は董卓軍の勝利として幕を閉じた
「ん?・・・・ここは?」
光は時雨の背中に乗せられて運ばれていた。とても気持ち良い毛皮に包まれて身体中の痛みが和らいだ
「隊長!目を覚まされましたか!」
光が目を覚ましたことに気が付いたは急いで光の近くまで入ってきた
「嵐?・・・俺?どうして?・・・袁紹は?」
「・・・袁紹は連合軍を解散させて、自分たちの領地へと戻りました・・・申し訳ございません。袁紹の首を取る機会はあったのにも関わらず・・・」
別に嵐のせいではないのだが、嵐は涙を流しながら光に謝った
「いいんだよ・・・戦っている時に気が付いたんだ・・・袁紹を殺したって空は喜ばないって・・・・むしろ悲しむよ。自分のせいだと思って」
「・・・隊長」
光の顔はまるで安心しているように見え、悲しい顔をしているようにも見えた
「それよりも、良報です。空様は無事命を取り留めたようです」
「・・そうか・・・本当に良かった・・・・本当に」
悲しい顔の次は嬉しさの涙を流した
「(本当、色んな顔をする方だ・・・笑ったり、怒ったり、泣いたり)」
安心したのか光は再び眠りについた。ちなみに光が目を覚ましたことは内緒にしておいた。歩や唯などに知られたら自分に何されるか分からないからだ
それから数日間、長安へと戻った董卓軍は洛陽復興のために動きを進めて行った。劉協救出の功績で洛陽の地を渡されたのだった
光はあの戦から数週間ずっとベッドでの生活が続いた。目を覚ましたのは戦から三日後であったが、身体中に激痛が走りしばらく身体を動かすことができなかった。誰が光にご飯を食べさせるかで喧嘩が起きたのは目に見えていた
その頃、広間では月が書類などに目を通していた
「月〜、また諸侯が謁見を求めているわよ」
「分かった」
「大丈夫?あの戦の後、お詫びとか言って月に近づこうとする奴らが増えているみたいだよ」
その通り、あの戦いの後。各諸侯は一度自分たちの領地へ戻りお詫びと称して月の所へやってきた。そして誰もが月の姿を見て目を丸にしていた
「いいよ、それに私も頑張らないといけないから」
「月・・・うん!ボクも頑張る!月を立派な王にしてあげる!」
「そういえば、琳音さんと月音ちゃんは?」
洛陽から連れてきた蔡?と蔡?の母娘は正式に董卓軍に入ることになった
「今は望と一緒に作業しているわ。結構呑み込みが早いみたいだよ、特に娘の方は」
蔡?と言えば三国時代でも有名な詩人である。その頭脳と記憶力で多くの詩を再現させた者だ
「そう・・・馬騰さん達は?」
「馬騰は娘たちと一緒に西涼へ戻ったわ。今度正式に同盟を結びに来るわ」
馬騰は劉協救出の功を得てかなりの地位を手にすることができた。しかし、それを手にするとあっさりと自分たちの国へと戻った。まあ、面倒くさがり屋の彼女の事を考えるとそれが当然なのかもしれない。しかし、董卓との同盟は積極的に動いたのは彼女だった。今まではあまり関わりを持とうとしなかった彼女の行動は娘たちも驚かせたそうだ
「っで、肝心なのはあの馬鹿どもよ」
「あ・・・」
『馬鹿』という単語を聞いた瞬間空気が重くなった。『馬鹿』とはあの袁家の事だ。あの戦の後、袁紹たちは自分たちの領地へと戻り全く動きを見せなかった。あの様子からしてよほどショックが大きかったのだろう。手紙を送ろうにも拒否されているみたいだ
「月さん、少し良いですか?」
そんな風に考えていると月たちの所に来たのは望だった
「望、どうしたの?アンタ仕事がまだ残っているでしょ?」
「一段落着いたので少し休憩を・・・それと月さんにお願いがありまして」
「お願いですか?」
「何、簡単ですよ。今度劉備さん達が謁見を求めていますよね。それに僕も一緒に混ぜてほしいのですよ」
「情報が早いわね・・・何か企んでいるの?」
「企むなんてヒドイですね・・まあ、理由もなくて参加するなんて言いませんし・・・ただ、彼女たちが来るという事は『天の御使い』も来ることですし・・・」
「・・・光さんのためですねね。分かりました・・・それでは望さんもお願いします」
天の御使いである北郷一刀と未来光は同級生で友人である。いろいろと話をしたいだろうからこちらから手配すべきだろうと考えたのだろう
「そうそう・・・先ほど連絡が来たのですが、孫権さん達が来るみたいですよ」
「孫権さんたちですか?」
孫権たちが謁見にやってくるのは別の理由がある、それは・・・
「雪蓮!それはウチの酒よ!返しなさい!」
「いいじゃないの。歩にはまだ酒があるじゃない」
「あんた、自分が捕虜だってこと忘れているでしょ!ってか、もう大丈夫なら一人で帰れ!」
望たちが話をしていると歩が孫策に怒鳴っているのが聞こえた
光との戦いで重症を負った孫策は今の状態で帰すのは危ないと判断され長安へと運ばれた。一応、捕虜と言う形ではあるようだがある程度自由にさせている。自由にさせることに当然反対した詠たちであるが武器を取り上げた状態で恋か歩が見張ることで許された。孫権たちが謁見に来た時には解放するという約束をしている。当然、孫呉の王となる人物を捕虜にしたのだ。彼女を取り返すためそれに見返りとなる物を持ってこなければならない
「姉さん、あまり騒がないでよ。孫策さんも大人しくしていてください。でないと、分かっていますよね?」
「「・・・はい」」
望の黒いオーラを感じたのか二人は黙り込んだ。歩と孫策は酒仲間となったのかあっさりと真名を許した。そして、彼女を診てくれた過去空と母親である孫堅に似た光にも真名を許している
「さて・・僕はそろそろ仕事に戻ります」
「あ・・・望さん・・・その、空さんは今どうしています?」
「空はいつもの場所ですよ」
「あ・・・はい」
望の言葉で月は安心したような表情になった
そして空がいるのは
「スースー」
「・・・また寝ちゃいましたか・・・・光・・」
光が寝ている部屋には車椅子に乗った空がいた。彼女が刺されてしばらくは足が動かない生活をしなければならないと華佗に言われたため才たちに木製の車椅子を作ってもらった。数週間すれば足も動くと言われている
「光・・・ありがとう・・・・そしてごめんね。私のせいで・・・・」
「・・・違うよ」
「え?」
彼女の謝罪と共に光は目を覚ました
「空が謝る必要はないよ。俺は俺の怒りをぶつけるために戦場に出た」
「・・・もし、刺されたのが私じゃなくて歩さんだったら同じことをした?」
「した・・・歩姉だけじゃない、望兄、才兄、福、恋さんや音々、嵐や唯さん・・・俺の大切な人皆が空と同じことされていたら絶対に戦場に出ていた」
「そうだよね」
光の何もためらいの無い言葉を聞いて自分だけが特別ではないと知ってガッカリはしなかった。いや、するはずもない、光は誰をも大切にする人だって空は十分知っているからだ
「俺はまた寝るね」
「うん・・・お休み」
そう言い残し、彼女は光の部屋を出た
「あ」
「「・・あ」」
空が部屋から出ると唯と嵐が扉のすぐ近くに立っていた
「光はああいう人です・・・誰にでも優しい。それが光の魅力なんです。強さなんかじゃないのです」
空は二人の気持ちを理解しているかのように自分の部屋に戻った
「強さじゃなくて、優しさか」
「・・・なんとなく分かる気がする」
二人は光の近くにとんでもないライバルがいることを改めて知った
あとがき
董卓√の反董卓連合軍戦がようやく終わりました!
さて、今回は光が大暴れしました。ですから次はしばらくボノボノとした日常や別キャラ達の行動を書いていこうと思います
それでは次回ノシ
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久々の投稿 色々と書きためていたのですがなかなか投稿する機会が無くこんなに長引いてしまいました。相変わらずの駄文ですが温かい目で見てください |
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