ダンボール戦機BASTER 第1話 |
暗く光る電気街の道をセンは歩いていた。
ボサボサの前髪をかき、太陽の光をさえぎる雲仙としたビル郡を見上げた。
「……」
ため息をはいた。
「だからね、弁償してくれるだけでいいって、言ってるでしょう?」
「……?」
小汚い店を見て、センは首をかしげた。
「……」
店の中を覗いた。
「君が壊したんだから、それを弁償するのは当たり前でしょう? 学校に連絡されたいの?」
「だ、だから……私は壊してないって」
「はぁ!?」
店の店主の怒鳴り声に青い髪をしたロングヘアーの少女はビクッと涙目になった。
「商品を壊した子は、みんな、そういうの! 故意でも事故でも壊したなら、弁償するのが当たり前でしょう!? そんなのも習ってないの!?」
「ノボル、なにしてるんだ?」
「え……?」
ノボルと呼ばれた少女は涙目で振り返った。
「セン……なんで、ここに?」
「泣いてるのか?」
「ちょっとね……」
手を握った。
「この店は品質が悪い。もっといい店を教えてやる」
「ちょ、なんだね、君は!?」
店主の怒鳴り声にセンは面倒臭そうに振り返った。
「なにをモメてたんだ?」
ノボルは今に泣き出しそうな顔で答えた。
「私が取ったデクーのフレームが壊れちゃって……」
「弁償しろと?」
「これがそれ」
「MG」と書かれたデクーの商品箱を見せた。
「確かに壊れてるな?」
箱を手に取り、ポイッとゴミのように投げた。
「あ、君!?」
大声を上げる店主にセンは冷たく言い放った。
「弁償する必要はない」
「なに!?」
床に散乱したデクーのフレームに店主は目を鋭くした。
「物を壊しておいて、弁償する必要はないだと!?」
「このデクーは最初から壊れてた」
「あぁん?」
チンピラのように店主はセンを睨んだ。
「ワザと壊れてるものを渡して、弁償代を払わせる詐欺だな……」
「ウ、ウチを詐欺店扱いする気か!?」
「詐欺店じゃないなら、商品詐称だな。このデクーはMGじゃなく、NGだ」
「NGって、これ、ちゃんとパッケージにMGって?」
首を振った。
「中身をNGとMGに取り替えたんだろう。NGのほうがMGより、遥かに安い」
近くの商品棚を取った。
「これも箱はMGと書かれてるが、NGだ」
ゴミのようにまた、箱を投げ、フレームが粉々になった。
「しかも品質も最悪だ。これは商品じゃなくゴミだな」
ため息を吐いた。
「最近、NGをMGとして売る店があると聞いたことがある」
「この小僧!」
胸倉を掴んだ。
「NGかMGかなんて、関係ねぇだろう! 用は壊したか壊してねぇかだ! 弁償するかしねぇかハッキリしろ!」
「本性を現したか?」
「だからなんだ!?」
迫力を増す店主にセンは冷たく言い切った。
「弁償する気はない」
「なら、学校に連絡だ!」
「それよりも、警察に連絡したらどうだ?」
「け、警察?」
店主の顔が顔を青ざめた。
ノボルも怯えながら言い返した。
「そこまで大事にすることは……?」
「黙ってろォ!」
「ヒィ!」
大声で怒鳴られ、ノボルは店主に怒られた以上に涙目になった。
「警察を呼んだらどうだ?」
「こ、このガキ!?」
胸倉を離し、CCMを取り出した。
「タイタン!」
レジの下からカスタムタイプのタイタンが現れ、ランチャーを構えた。
「さっさと金を出せ! でないと痛い目にあうぞ!」
ノボルの顔が真っ青になった。
「エ、LBXを出すなんて!?」
「うるさい!」
「ヒッ……」
店主の勢いに負け、ノボルは黙り込んでしまった。
「さぁ! 金を出すか、それとも痛い目にあうか選べ!」
「お前のこと、好きだ」
「え……?」
店主の顔がキョトンとなった。
「純粋な小悪党は叩き潰しても良心が痛まない」
タイタンの身体が真っ二つに裂けた。
「え……?」
タイタンの身体が爆散した。
「お、俺のタイタンが……!?」
爆風の中から黒いLBXが現れ、センの肩に止まった。
「それは!?」
「俺のLBXスサノオだ」
肩に乗った、スサノオを見て、店主にいった。
「スサノオが今までの事を記録したぞ。「脅迫罪」か「傷害罪」は免れないだろうな」
「ま、待て!」
店主の威勢が嘘のように弱まった。
「べ、弁償はいい! 見逃してやるから、早く帰れ!」
「悪いな」
スサノオの武器が剣から銃に持ち換わった。
「ノボルを泣かせる奴は俺は許さない!」
大声を上げ怒鳴った。
「必殺ファンクショォォォォォォォンッ!」
≪ATTACK FUNCTION! ハイパーエネルギー弾!≫
「ヒッ!?」
店主の身体が青いエネルギー弾に飲み込まれた。
数分後。
「ひぃぃ! もう詐欺はしません! だ、だから、裁判だけは!?」
「さよなら」
警察に連れて行かれた店主を見た。
「……」
「あ、ありがとう……セン」
ようやく安心したのかノボルは泣き出してしまった。
「……」
一瞬、涙をぬぐおうと手を伸ばすが、慌てて、ポケットに手を突っ込んだ。
ポケットから白いハンカチを取り出し、ぬぐった。
「あ、ありがとう……」
ハンカチで涙を拭ってもらうとノボルはホッとした顔をした。
「ところでなんで、センはここに?」
「LBX製作のための素材を探してたんだ」
「そうえいば、アナタ、趣味でLBXの製作代行をしてたわね?」
「そう」
店の商品の一つに手を伸ばした。
「こんなところに探してた素材があったとはな?」
ポケットから小銭を取り出し、レジに置いた。
「買ってくぞ」
「勝手に持っていっていいの?」
「金は払った」
「いいのかな?」
センの後を追って、ノボルも店を出た。
ノボルを家まで送るとセンは面倒臭そうに頭をかいた。
「街に行くときは俺に声をかけろ」
「え……なんで?」
「毎回、お前を助けられない」
「もしかして、心配してる?」
「そうだが?」
「ありがとう!」
クスクス笑った。
「次は絶対に誘うね!」
「そうしてくれ」
背中を向けようとするとセンの両頬が掴まれた。
「……?」
いきなり顔を固定され、センはキョトンとした。
「今日のお礼」
チュッと唇を重ねられた。
「……」
さすがにビックリしたのか、センは目を大きく開いて身体を固めた。
唇を割るようにノボルの舌がセンの口に入り、嬲るように舐めた。
「むちゅ……むちゃくちゃ」
いやらしい音が一軒家の家の前で響き、ようやく唇を離した。
「ぷはぁ……」
糸を引くようにお互いの唾が服にかかり、ちょっと汚れた。
「……?」
不思議そうな顔をした。
「ありがとうね、セン♪」
「それはどうも」
顔色を変えず、センは踵を返した。
「また、明日な?」
「うん、また明日!」
足を止めた。
「セン?」
急に足を止めたセンにノボルは顔を覗き込もうとした。
「今度の休日、暇か?」
「うん? 暇だけど?」
「遊びに行くか?」
「いいの?」
「キスのお礼だ」
「お礼返しだね? じゃあ、海に行きましょうよ! 新しい、水着買ったんだ!」
「わかった。また、明日な」
帰っていくセンにノボルはふふっと笑った。
「楽しみ♪」
説明 | ||
オリジナルLBX小説です。 短編の寄せ集めをしながら、たまにシリアスを入れる予定で連載します。 |
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コメント | ||
ywxhffrom341さん、コメントありがとうございます!こういうの基本的に進めて、キスをもっと濃密にいこうと考えてます。(汗)(スーサン) | ||
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