IS~音撃の織斑 五の巻:怒れる青 |
五の巻:怒れる青
Side 一夏
あーあ、またあの金髪馬鹿がぐだぐだ言い始めたよ。
「男がクラス代表など、良い恥曝しですわ!その様な屈辱を私、セシリア・オルコットに味わえとおっしゃいますの?!私が遥々この島国に来たのはISの事を学ぶ為であって極東の猿のサーカスを見に来たのではありませんわ?!良いですか、クラス代表は実力トップがなるべき!そしてそれは私ですわ!大体、文化的にも後進的な」
あー、もう駄目だ、一回キレた方がすっきりするな。
「さっきから聞いていれば、随分言ってくれるな、((英国人|ライミー))。だが、お前が貶した極東の島国の猿によってISの技術を分け与えられた事を忘れていないか?誰のお陰で専用機を持てると思っているんだ?それに、そこまで俺が代表になるのが不満なら、さっさとイギリスに帰れ。後、俺が覚えている限りじゃイギリスも島国だぞ?地理の勉強位しっかりして来いよ、教養のあるお高くとまったお嬢様。」
「な、貴方私の祖国を馬鹿にしますの?!」
「だったらどうした?侮辱を侮辱で返して欲しくなければ先に侮辱を言わなければ良いだけの話だ。それより良いのか?国を代表する者が日本政府に喧嘩を売る様な口をきいて。極東の猿だの、文化的に後進的だの、お前の口からそれが出るイコールイギリスの言葉だと思われるぞ?そしてその侮辱の対象は、ISの生みの親と世界最強の二人も含んでいるんだぞ。分かっているのか?」
ようやく己の愚行に気付いたのか、オルコットの顔から血の気が引いて青ざめた。馬鹿め。
「もしこれが公になれば、お前は代表候補から除籍され、専用機を取り上げられ、社会的に抹殺される。感情が高ぶると判断力が鈍るとはとても代表候補に向いているとは思えない。傲岸不遜もここまで来ると笑えて来るな。IS委員会に正式に抗議が出れば、最悪イギリスは全てのコアを取り上げられる。著しいダメージを受けて、比喩表現ではなくお前の国は潰れるぞ?」
教室は水を打った様にしーんと静まっている。やはり正論で相手を論破するのは気持ちがいいな。
「だが、一つだけお前は正しい。実力トップこそが、代表になるべきだと言う主張だけは。だがそれはお前じゃない。お前は全く票を入れられなかったからな。つまりクラスの皆はお前に投票したくないと言う事だ。推薦されなかったからと言って僻むな。気持ちは分からなくもないが。更に言えば、お前はISを自分の力と履き違えている。ISがあるからこそ、女は今の地位を保つ事が出来るのであって、ISがあるから女が偉い訳じゃない。代表候補なら、以上の事を踏まえて発言、行動し、それら全てに責任を持つべきだと俺は思う。」
おおーーっ、とクラス中からどよめきが起こる。
「確かにな、オルコット。お前の入試での所要時間は何だ?」
「三十七分ですわ!」
織斑千冬の質問に得意気にそう答えた。俺には届きすらしねえな、小物が。そんなに時間が掛かってたら攻撃を読まれて負けるぞ?
「五十嵐は一分弱だ。管制室での担当は山田先生と私が行った。嘘だと思うなら映像記録を見せても良いぞ?分かったら座れ。では、五十嵐だけか?他にいないのならばこれで打ち止めにするが。」
「け・・・」
「あ?」
「決闘ですわ!ここまで言われて引き下がる訳には参りません!私は貴方に決闘を申し込みます!」
「受ける義理は無いな。己の過失を指摘された挙句結果がこれか。」
俺は思わず嘲笑してしまった。この女の愚かさに。
「に、逃げますの!?腰抜けですわね、貴方。その様子じゃ碌な親に育てられ」
ブチっ!
俺の頭の中で何かが弾け、俺はあっという間にオルコットの目の前に辿り着いて首を掴み、持ち上げていた。バタバタと暴れているが、酸欠で苦しんでいる所為で力が入っていない様子だ。
「もう一度言ってみろよ。なあ、おい。」
「あっ・・・ぐっ・・・ううっ・・・・」
「撤回しろ。さっきの言葉を、撤回しろ。でなければ、お前の首の骨をへし折るぞ?そんな生意気な事しか言えないならお前こそ碌な親に育てられなかった様だな。良いぜ、その決闘受けてやるよ。ただし、死ぬ事を前提に全力で来い。叩き潰して、お前の愚かさを分からせてやる。」
それだけ言うと俺はオルコットを椅子の上に落とし、自分の席に戻った。あーあ、これは俺恐らく暴力男のレッテル張られたな。噂話ってのは山火事並みに早く広がるし。
「失礼しました、織斑先生。決闘は受ける事になったので。」
「あ、ああ。(何だ今のは・・・・全く動きが見えなかったぞ?!)では来週の月曜に第三アリーナでクラス代表決定戦を行う。各自準備を怠らない様に。なお、五十嵐には専用機を与えられる事になる。以上だ。」
専用機か・・・・政府がデータ収集の為に寄越して来るんだろうな。まあ、足掻いた所でどうせ送られて来るんだろうからな。
side out
Side 箒
私は篠ノ之箒。一夏の幼馴染みだ。六年振りに再会した幼なじみに会えたと言うのに、私を覚えていないと言われて私は愕然とした。六年間思い続けた相手に、覚えていない、知らないと言われて私はショックだった。それに、オルコットのあの発言を全て正論で論破し、いきなりオルコットの首を絞めて持ち上げる程の力を披露した。顔も声も気迫も、全て鬼の様で、私は恐ろしくて何も言えなくなってしまった。一夏、お前は一体どうしてしまったのだ?昔のお前はどこに行ったのだ?!放課後私は寮長室に向かった。
「篠ノ之、どうした?」
「千冬さん、一夏は・・・一夏は一体どうしてしまったんですか?!何故私の事を・・・・」
私はもうどうして良いのか分からず泣いてしまった。千冬さんは私を部屋に招き入れて何も言わなかった。
「一夏はもうお前が知っていた幼馴染みでは無いと言う事だ。私の所為でああなってしまったのだ。すまない。一夏が誘拐された所為で、ああなってしまったのだ。私が((大会|モンド・グロッソ))にさえ連れて行かなければ・・・・」
「私は、私は諦めません!私も、クラス代表として立候補します。そして一夏の記憶を呼び覚まします!」
「やれるだけやっても構わんが、今のあいつに、お前では勝てない。見ただろう?あいつのあの動きを。私ですら認識出来なかった。」
信じられなかった。あの千冬さんが、震えを押さえていた。やはり一夏のあの覇気はそれ程までに・・・・だが、構わない。勝てようが勝てまいが、一夏が私の事を思い出してくれればそれで良いのだ!そう思い、私は部屋に戻って気持ちを落ち着ける為にシャワーを浴びた。
side out
Side 三人称
一夏は寮の部屋の鍵を受け取った後、鍵と一緒に貰った紙切れに記入されている部屋番号を書いてある部屋に向かった。
「1025号。ここか。(シャワーの音・・・既に誰かいるな。)」
一夏は部屋に入ると、荷物を整理し始める。石動鬼から賜った武器やディスクアニマルの入ったケースを窓際のベッドの下に隠し、((盲眼|もうがん))の術を掛けてそれを見つからない様に細工した。
「い、一夏・・・?」
「馴れ馴れしく名前で呼ぶな、篠ノ之。お前は俺の幼馴染みだと言い張るが、俺はお前を覚えていない。後、臨時の間相部屋になるだけだ。その短い間よろしく頼む。」
言う事はこれ以上何も無いとばかりに音楽プレイヤーのスイッチを入れてイヤホンを掛けると、椅子の背もたれに掴まって逆立ちをしてあろう事かそのまま腕立てを始めた。箒はそれを唖然としてみるしか無かった。弱冠十六歳の青年が出来る芸当ではないが、一夏は数年間石動鬼野本で厳しい修行を重ねた末に鬼になれたのだ。これ位の事は造作も無いのである。
「お前は何故決闘を承諾した?!相手は代表候補生だぞ?!」
だが一夏はどこ吹く風と言った様子で腕立てを続ける。
「聞いているのか!おい!」
やはり無視して一夏は腕立てを続けた。業を煮やした箒は壁に立てかけてあった竹刀を引っ掴み、一夏の腕を狙って振り下ろした。だが、その竹刀は掴まれ、相変わらず一夏は腕立てを止めない。
(馬鹿な・・・・あの体制で・・・どうやって!!)
ここに来てようやく箒は、千冬の言わんとしていた事が分かった。そして悟った。今の自分では一夏には勝てない。たとえ勝機はあるとしても、万分の一、いや那由他の彼方である。
「何故俺があの決闘を受けたか。意味は無い。あいつをぶちのめすだけだ。あいつは、自分の立ち場を、責任の重さを、自分の手にある人を殺せる『力』の意味を分かっていない。そもそも何故お前が気にする必要がある?幼馴染みだから、なんて言うのは理由にもならないぞ。お前には何も教える必要は無いからな。」
そう言い捨てて一夏は服を脱いで薄着になり、そのままベッドの上に倒れ込んで眠りについた。
説明 | ||
姉に捨てられ、魔化魍と戦う猛士の鬼、石動鬼に拾われた織斑一夏。鬼としての修行を積み、彼は何を見る? ISと響鬼のクロスです | ||
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なんか、前のやつより険悪になってますね。これは和解フラグはないかな?(MAK) | ||
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