同居人2
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第二話 「雛苺」

 

 

 

J 「おはよう」

家の前を歩いている巴に挨拶をする

巴 「おはよ・・・」

少し疲れた様子で挨拶を返す巴

なんか昨日よりも顔色悪いな

そして巴はそれだけ言うとさっさと学校へ行ってしまった

それを見送る俺は、自分の家のドアの前に立ったままだ

なぜそんな所で動かないでいるかって?

それはもちろん、こいつのせい

水銀燈 「早く引っ張りなさいよぉ〜!」

このアホっ子は助けてもらってるって実感ないのか

 

ちなみに水銀燈は新聞受けに体が挟まって上半身が家の中、下半身が外に出ている状態だ

なんでこんな状態なのかというと、

朝早く外を飛び回り、家に帰ってきた時ドアを開けるのが面倒だったそうだ

そこで思いついたのが新聞受けから勢いよく突っ込んだら入れるんじゃないか、ということらしい

そしてそれを実行に移した結果、新聞受けの入り口を破壊、その上動けなるという

涙なくしては語れない状況となった。

ていうか、あんな小さい入り口から入ろうとするなよ。

 

水銀燈 「痛いわよぉ、もっと優しく」

J 「やかましい、家のドア壊しといて偉そうにするな馬鹿」

水銀燈 「なによぉ、馬鹿って言った方が馬鹿なのよぉ!」

園児かお前は・・・

んなことより、どうするかなマジ取れねぇよ。いっそこのままにしとくか?

いや、ドアから尻が生えてる家ってご近所で評判になってしまう。

それより隙間に石鹸水でも流し込むか・・・

そうだ、反対側から引っ張ってみよう、案外簡単に取れるかも

その前にこの下半身を新聞で隠すか

その時、水銀燈が騒ぐ

水銀燈 「ちょっと人のお尻真剣に眺めてなに考えてるのよ。この変態!!」

俺がエロいことを考えてると思ったのか足をバタつかせる

J 「アホか!この状況で妄想などするか」

まったく、妄想ならもっと静かなときにするわ!!

 

そして俺は水銀燈の下半身を新聞で隠し

ドアを開け家の中から水銀燈を引っ張ろうと試みる

J 「それじゃ引っ張るぞ」

水銀燈 「早く出してぇ」

どうやら少しづつ不安になってきたらしい

さっきよりも声が小さくなってる。

J 「いいか、俺の服をギュッてつかむんだぞ」

水銀燈 「わ、わかったわ」

そして俺も水銀燈の服を掴み少しづつ力を入れる

 

----ズ、ズズズ・・・---

 

ちょっとづつ水銀燈の体が出てきて

最後に強めに引っ張ると一気に水銀燈の体が出てきた

J 「やっと取れたか」

ため息をついて俺はその場に腰を下ろす

J 「ん?」

なんか重いなと思って下を見るとそこにはまだしがみついてる水銀燈

J 「おーい、もう終わったぞ〜」

水銀燈の頭をペシペシ叩きながら言う

すると水銀燈が顔を上げる。その顔は涙でぐちゃぐちゃだった。

水銀燈 「出れないかと思ったわぁ」

実はすごく怖かったんだな・・・

俺は数分間その場で水銀燈が泣き止むのを待った。

 

J 「って、やべっ、遅刻だ!!」

時計を見るともう8:20

泣き止み始めた水銀燈をメイメイに任せて俺は着替えて速攻で学校へ行く準備をした

J 「いいか家からあまり出るなよ。チャイムが鳴っても絶対に出るなよ

   俺の部屋には入るなよ。火を使ったらガス栓はきちんと閉めること!

   それじゃいってきまーす」

口早に告げて俺は玄関から飛び出した。

水銀燈 「い・・・ひっく・・・てらっしゃぁい・・・ひっく・・・」

まだ泣いてる水銀燈の声が後ろから聞こえた

 

そして俺は遅刻ギリギリで学校に着いた

 

 

放課後

 

友達から寄り道を誘われたが断った。だって家帰ってドア直さなきゃいけないんだもん

俺が急いで帰っているとき、ある店が目に入った。

 

そして俺が家へ帰るとそこには

ドアの前で一生懸命メイメイと新聞受けに新聞紙を被せる水銀燈の姿

水銀燈 「メイメイそっち持ちなさい」

メイメイ 「・・・・・・・・」

水銀燈 「自分でやったことの後始末を出来ないようじゃアリスになんかなれないわ」

メイメイ 「・・・・・・・・」

水銀燈 「違うわよ。そんなんじゃないわよ」

多分メイメイとしゃべってるんだろうけど、普通の人にはメイメイの声聞こえないから

お前、痛い人にしか見えないぞ。

などと考えながら水銀燈に近づくと彼女もこっちに気がついた

水銀燈 「人間が早く直さないから私が直すはめになったじゃない」

頬を膨らませて抗議する水銀燈

J 「全部お前のせいだろ」

水銀燈 「あら、何でもかんでも人のせいにするなんて小さい人間ねぇ」

こ、このガキャァ・・・やっぱりあの時、ケツ引っ叩いとくんだったな

 

その後2人と1匹でドアに新聞紙を貼った

 

J 「まったく、疲れたぜ」

なんか俺昨日からろくな目にあってない気がする

しかも元凶の水銀燈は女王様気質だし・・・報われねぇな

その時、後ろを歩いてた水銀燈が小さくつぶやいた

水銀燈 「ありがと・・・」

・・・なんだよ、ちゃんと可愛いとこあんじゃん

J 「家族だから当たり前だろ」

俺が振り返らずにそう言うと水銀燈は首をかしげて

水銀燈 「奴隷じゃないの?」

こいつ・・・いつかイワしちゃる。

と、その時水銀燈が俺の持っている物に気がついた

水銀燈 「それはなに?」

J 「ん?これか」

俺がテーブルに「それ」を置いて中を開くとそこには

水銀燈 「甘いニオイがするわぁ」

テーブルに飛び乗って鼻をヒクヒクさせる水銀燈

J 「はしたないからヤメイ」

水銀燈にそう言いながら中のひとつを取り出す

 

J 「知らないのか?苺大福」

水銀燈 「いちごだいふくぅ?」

首をかしげる水銀燈

J 「まぁいいや。夕飯前だけど食うか?」

水銀燈 「いいの?」

水銀燈は目を輝かせる

J 「ああ、一個だけな。残りは夕飯後に食べようぜ」

水銀燈 「そこまで言うなら、ひとついただくわ」

そう言うと結構上品に苺大福を食べる水銀燈

水銀燈 「へぇ、これがいちごだいふく・・・」

そうつぶやくと何かを考えるようにつぶやき続ける

水銀燈 「苺大福・・・・苺・・・いちご・・・雛苺・・・くすっ」

いきなりドSっぽく笑うなよ。ビビるから

 

そしてその日の夜

 

水銀燈 「お腹すいたわぁ」

テレビを見てる俺の背中を爪で引掻きながら水銀燈が騒ぐ

J 「しょうがないだろ、巴が夕飯持ってこないんだから」

いつもならとっくに持ってきてるのに今日はやたら遅いな

だけど催促の電話入れるわけにもいかずこうして空腹に耐える俺

J 「つーか、お前さっき苺大福食べただろ」

水銀燈 「もう消化しちゃったわよぉ」

そう言うと俺の指に噛み付く水銀燈

J 「いだっ!!放せ馬鹿!」

水銀燈 「う〜、鳩肉〜」

こいつ普段なに喰ってるんだ?

しかたない、あと少し待っても来なかったらコンビニで弁当買うか。

じゃないと俺が喰われる。

と、ちょうどその時チャイムが鳴った

 

水銀燈 「はーい」

うれしそうに玄関に行こうとする水銀燈の首根っこを捕まえテーブルに置く

J 「お前が出るな」

すると頬を膨らませる水銀燈

俺は水銀燈の頬を指で両方押して中の空気を出した後玄関に向った。

J 「はー・・・い?」

ドアを開けて固まる俺

巴 「はい、夕飯」

俺は差し出された夕飯を無言で受け取る

巴 「それじゃ」

そう言って巴は帰っていった。

J 「巴、イメチェンしたのかな?」

俺は金髪で巻き毛になった巴を見送った。

 

翌日、元に戻った巴に昨日の奇抜な格好を聞いたら

取り込まれそうになったとか訳のわかんないことを言われた

彼女って電波系だったっけ?

 

 

説明
アニメのローゼンメイデンの
サイドストーリー的なものです
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