クーデレ義妹と小悪魔少女
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「里村紅葉、いい加減、兄さんから離れて」

「あんたこそ、いい加減離れなさいよ、黒羽紗雪」

「お前らいい加減に・・・・・いたたっ、そんな強く引っ張んな」

午前8時30分 相楽家前

紗雪と里村に両腕に抱き付かれてまともに動けないでいる状態

どうしてこんな状況になっているかは数分前まで遡る。

 

 

 

 

 

朝、玄関

「それじゃ、行ってくるサクラ、まお太」

「行ってらっしゃいなんだよ、マスター、紗雪ちゃん」

「行ってきますサクラちゃん。まお太もいい子にしててね」

「わんっ!!」

そんないつも通りのやりとりを交わしながら玄関から出てる。

玄関を出て家の門を出ようとすると、

 

「おはよー、れーじ!」

 

という声とともに突如、小さな人影が左腕に抱き付いてきた。

「里村!?どうしたんだこんな場所で」

「どうしたんだって、もちろんれーじを待ってたんだけど」

「なら門の前で待ってなくても、苺さんに言って家の中で待ってればよかったのに」

「もう、それじゃあこうやってれーじにいきなり抱き付くことができないじゃん」

「いきなりじゃなくても抱き付いてくるだろうお前は」

「ただ抱き付くのといきなりじゃ意味が違うの」

ただ抱き付くのといきなり抱き付くことの何が違うんだ?

などと考えながら腕時計を確認すると時刻は8時10分を指していた。

腕を組まれたままだと歩きづらいけど里村のことだし言っても聞かないだろうな。

説得する時間も惜しいし、仕方ないこのまま行くか。

 

「待ちなさい、里村紅葉」

 

そのようなことを考えていると突如、紗雪が声を上げた。

「何よ、黒羽紗雪」

その紗雪の声に嫌々そうに言葉を返す里村

「今すぐ兄さんから離れて」

「別にあたしがれーじと腕組んでてもあんたには関係ないでしょ」

「関係ある、あなたは敵、理由なんてそれだけで十分」

そう言って里村を睨む紗雪、だが里村はそんなことは全く気にせず、

「あんたに付き合ってたら遅刻しちゃうじゃない行こう、れーじ」

と言って、里村は腕を絡ませたまま少々強引に俺を引っ張りながら歩いていく、

「なっ!?待ちなさい、里村紅葉」

里村に強引に引っ張られていると今度は紗雪が里村が抱き付いているのとは逆の腕に抱き付いてきた。

「なっ!?黒羽紗雪、何であんたまで抱き付いてくるのよ」

「それはこっちのセリフ、あなたが何をするかわからないから私は兄さんを守るためにこうしてるだけ」

「それなら抱き付く必要はないでしょ、れーじだって義妹に抱き付かれるのなんて嫌でしょ」

「いや・・・・・その」

そんな返答しづらいことを訊いてくるな里村、内心そんなことを思っていると、

「あなたに抱き付かれるくらいなら私に抱き付かれた方がいいと兄さんだって思っているはず、ねぇ兄さん」

紗雪、お前もお前でいきなり何を言いすんだ。

なんだかいつになく嫌な予感がするな、これは早めに話をつけた方がいいなこのままじゃ遅刻するし。

腕時計を確認すると時刻は8時20分を指している。

「なあ二人とも喧嘩はそこまでにして早くしないとち・・」

 

「兄さんは黙ってて!!」

「れーじは黙ってて!!」

 

「あ、あぁ」

あまりの二人の剣幕に少し怯んでしまう。

ここまで冷静さを失っている二人も珍しいな、などと思っていると、

「こーなったら力尽くでもれーじは渡さないんだから」

里村が再び、強引に俺の腕を引っ張る。

「あなたに、兄さんは渡さない」

里村に対抗するように逆の腕を紗雪が引っ張る。

「いたっ・・・・・いたたっ、お前ら離せって」

俺の抗議の言葉も空しく力を緩めるどころか強めていく二人。

「里村紅葉、いい加減、兄さんから離れて」

「あんたこそ、いい加減離れなさいよ、黒羽紗雪」

「お前らいい加減に・・・・・いたたっ、そんな強く引っ張んな」

ああ、これはもう間に合わないな、腕時計を確認すると時刻は8時30分、

遅刻を確信し項垂れる。

 

 

 

 

 

それから数十分、紗雪と里村の口論と俺の腕の引っ張り合いは続いた。

二人が落ち着きを取り戻したのは午前9時を過ぎた頃のことだった。

 

 

 

 

 

紗雪と里村、改めて二人が一緒にいるときは注意しようと心に誓う零二であった。

説明
紗雪と紅葉、誰がどう見ても犬猿の仲の二人、今回は二人の喧嘩に零二も巻き込まれ・・・・・
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