武装神姫 生まれ来るわたしへ 5 |
「さて、どうする。センターに行くかい」
「そうしましょう、オーナー」
「よし。じゃ、またケースに入ってくれるか」、と、ケースをわたしの目の前に押した。
確かにケースに入って移動した方が安全だが、たいした時間では無いにせよ、センター内を見ることが出来なくなるのは残念だった。
「お厭でなければ、手に持って歩いていただけないでしょうか」
「手に持って、か。」少し眉根にしわを寄せた。
ためらうのも無理はないと思えた。神姫の見た目は15cm程の大きさの人形だ。いい大人が人形を手に歩き回るのは体裁の良いものではないだろう。だが、ここは神姫センターだ。ここにいる人たちのほぼすべてが神姫を連れて来ているのだ。問題は無いだろう。オーナーより年上に見える男性もちらほらと見受けられる。わたしたちのいるテーブルの横を通り過ぎる人たちも、肩や腕に乗せたり、何体か入った籠を胸に抱えたりしていた。中にはオーナーの二の腕にしがみついている神姫もあった。
周りを見て、オーナーも納得したようだ。「じゃあ、手に持って歩くのは危ないから、ここに入っていてくれ」と自分の左胸を指し、わたしをそっと掴み上げると足先から上着の胸ポケットに入れた。わたしはポケットのふちに手を掛け、首がポケットの外に出るように体を固定した。
「いいかい」頭上からオーナーの声が聞こえる。「はい、問題ありません」そのままの姿勢で答えた。
「よし」オーナーは立ち上がると、床においてあった荷物を手に取りセンターへ向かった。
センターに入ると、ティールームとは比較にならない数の人と神姫でごった返していた。人だかりを透かしてみるとティールームの数倍はある空間にバトルロンド用の筐体が並び、見上げると、中央の天井から多方面に向けて大型ディスプレイが吊るされ、各筐体で行われているであろう試合の模様が映し出されていた。
今、行われているのはオフィシャル戦だろうか。出来得るならば、他の神姫たちと競って上位のランクを目指すオフィシャル戦に参加したかった。だが、オーナーもわたしも初めて神姫センターに来たばかりで勝手が分からなかったし、オーナーが今後もバトルロンドをするつもりなのかも分からなかった。
説明 | ||
本日もup。新聞小説のノリで気長にお付き合いくださいますよう、お願い申し上げます。 神姫センター内の描写などは、バトルロンドで遊んでいたときの筆者の妄想をベースに解釈しなおしてあります。 |
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