IS~音撃の織斑 十の巻:『男』と軍人
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十の巻:『男』と軍人

 

Side 一夏

 

あの騒ぎがあってから数日後。

 

「今日は転校生が来ます。それも二人です。」

 

転校生・・・またか。大方俺のデータ収集か俺に対して何か仕掛ける為だろう・・・・・入って来たのは、一人は俺と同じ男の制服を着ている。もう一人は背丈こそ最初の奴と比べて頭一つ以上の差があって小柄だが、その瞳は睨みを効かせて、どこか人を寄せ付けないオーラを醸し出していた。眼帯もそれを助力していた。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。」

 

「えっと・・・・男?」

 

「はい、こちらで僕と同じ境遇の方がいると聞いて・・・・」

 

「「「「「「「きゃああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」」

 

久々に出たな。今度は馬路で窓ガラスに罅が入ったぞ。

 

「二人目!!守ってあげたくなるタイプ!」

 

「五十嵐君と違って貴公子タイプ!イイ!!」

 

訳の分からん事を口走っていたが、直ぐに静まった。そして隣の銀髪の女は口をキッと引き結んで何も言わないまま立っていた。

 

「挨拶をしろ、ラウラ。」

 

「はっ、教官。」

 

「ここではそう呼ぶな。私はもうお前の教官ではないし、お前は生徒だ。ここでは織斑先生と呼べ。」

 

「了解しました。ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」

 

それ以上言う事は無いと再び沈黙する。

 

「あ、あの、以上ですか?」

 

「以上だ。」

 

簡潔で結構な事だ。長ったらしい物を聞くよりマシだ。それより・・・・教官だと?コイツ軍人だったのか。道理でな。それに織斑千冬を教官と呼ぶと言う事は・・・・成る程。どうやら俺に目をつけたらしく、俺に近付いて来た。そして俺を殴ろうとしたが、俺はその手を掴んだ。

 

「随分な挨拶だな。では俺もその挨拶を返すとしよう。」

 

俺はかなり本気でノーガードの腹を殴り付け、ラウラ・ボーデヴィッヒは後ろに吹き飛ばされてひっくり返った。

 

「無様だな、ドイツ軍人。言っておくが、お前では俺には勝てない。」

 

「黙れ・・・・!私は認めない!貴様の様な奴が教官の弟である事など認める物か!!」

 

「認めない?大いに結構だ。俺だって好きで弟になった訳じゃないし、こっちとしちゃ願い下げの大迷惑なんだよ。俺はアイツとは何の関係も無い。教師と生徒である以外は。分かったら必要以上に俺に突っかかるな。それとも問題行為を起こした咎で本国に強制送還されたいか、代表候補生?二度と俺にあんな奴の話をするな、素っ首叩き落として海に捨てるぞ?糞チビが。」

 

俺はボーデヴィッヒを睨み付け、その目を見た山田先生が竦み上がって少し泣き始めた。

 

「あー、オホン。今日から二年との合同訓練を行う。第二グラウンドに集合しろ。」

 

俺は直ぐに立ち上がって更衣室に向かって走った。あのデュノアとか言う奴、どうも怪しい。あまり容易に関わらない方が良さそうだ。

 

「こんにちは、五十嵐君。僕は???」

 

「話は後だ、走るぞ。ここで女子に掴まってしまったら面倒な事になる。」

 

「何で?」

 

「男子が俺達だけだからだ。」

 

「あ、ああ!そうか、そうだよね。」

 

コイツ、反応がおかしい。自分が男である事を自覚しているのか?

 

更衣室で俺は制服を脱いでロッカーに突っ込んで直ぐにグラウンドに出た。デュノアも少し遅れて出て来たが、まあ間に合った。

 

「では、これよりISの基本動作の訓練を行う。鳳、オルコット。専用機持ちなら直ぐに始められるだろう。前に出ろ。」

 

「何で私が・・・」

 

「右に同じですわ。」

 

不満そうにしているが、まあ良いだろう。嫌だと言ってもやらされるしな。

 

「で、相手は誰なの?私はセシリアでも構わないわ。」

 

「そのお言葉、そっくりそのままお返しいたしますわ、鈴さん。」

 

「慌てるな、お前の相手は・・・」

 

「うわーーーー?!ど、どいて下さーーーい!」

 

空から暴走しているラファールを纏った山田先生が現れた。俺は直ぐにその場から移動して巻き添えを食らうのを防いだ。

 

「山田先生、大丈夫ですか?」

 

「は、はいぃ?。」

 

全くアレで教職員と言うのだから恐れ入る。俺は直ぐに彼女を助け起こした。

 

「さて、小娘共、相手は来た。始めろ。」

 

「え?二対一で?」

 

「それは流石に・・・・」

 

どうも気が進まなさそうにしているが、人は見かけによる物では無いと言う事をコイツらはまだ知らない。

 

「安心しろ、お前達ならすぐ負ける。」

 

それを聞いてたい後進に火がついたのか、二対一の戦いが始まった。だが、開始から約五分弱、二人は一カ所に纏められた所でグレネードランチャーを叩き込まれて地上に落とされた。阿呆共が。

 

「アンタねえ・・・何馬鹿みたいに回避先読まれてるのよ?!」

 

「鈴さんこそバカスカと衝撃砲を撃ち過ぎですわ?!」

 

「では、二人の反省点を上げられる者はいるか?」

 

俺は即座に前に進み出た。やっぱり寝相が悪いから肩が凝るな。そんな事を考えながら欠伸を噛み殺した。

 

「まず、オルコット。いきなりビットを出すな。多対一の連携訓練も積んでいない奴がいきなり実戦で出来る筈が無い。最悪フレンドリー・ファイアがオチだ。使っても精々一つか二つにしろ。その方が燃費の悪い第三世代でもエネルギーを節約出来るし、他の事に思考を割く余裕が出来る。次に鳳。お前は近距離パワー型ならそれを活かせ。オルコットの方が遠距離攻撃はお前よりは上手だ。お前は近距離に専念して、もし相手が離れたら追い詰めろ、撃つな。相方の射撃に牽制を任せろ。お前も連携訓練を積んでいないから仕方無いと思うが。」

 

「良いだろう。では、今後はその点を直す様に努力しろ。これで教員の実力も分かってもらっただろう。以後は敬意を持って接する様に。ちなみに山田先生は日本代表まで登り詰めた人だ。」

 

「む、昔の話ですよ。それに結局候補生止まりでしたし。」

 

山田先生が照れながら謙遜する。

 

「ではこれより出席番号順にグループに分かれろ。リーダーは専用気持ちだ。」

 

俺はラファールを取って来て俺の所に来た奴らを一瞥した。

 

「よし、じゃあ出席番号順にラファールを起動、装着、歩行、そして停止までをやるから。ちゃっちゃとやろう。まず一番、相川。」

 

「はーい。」

 

俺も念の為に白式を起動して一通りの基本動作を見守った。

 

「よし、止まって。しゃがんで次の人に交替する様に。」

 

こんな調子でスムーズに作業が続いて行ったが、ある所で、

 

「あ、やばっ。立ったまま・・・・」

 

「初歩的なミスだな。まあ良い。俺が登ってしゃがめば良いだけだからな。」

 

白式を一旦解除し、地面を蹴ってコクピットまで跳び上った。起動させてしゃがませて再び外した。

 

「よし次の人。」

 

授業が進んでいる間、俺はデュノアの方に目をやった。アイツも教えるのが上手いタイプだな。それに・・・・・あいつのIS、基本的な形がラファールと同じだ。かなりカスタマイズされているが、アレで男とは考え難い。あの時の反応が引っ掛かり過ぎる。それに男の癖に声が高いし、余りにも細身だ。フランス政府が送り込んだな、俺のデータと広告塔の為か。

 

授業が終わると、俺は部屋に戻って盗聴器、隠しカメラなどを探し当てて破壊した。そこまでして俺のデータが欲しいか。購買で買った飯を食い終わった後、俺は屋上に一対の忍者刀を持って行った。幸い誰もいない。それを抜き放ち、俺はそれを振り抜いた。俺が師匠から手解きされたのは鬼としての心技体だけじゃ無い。戦国時代に生きていた鬼達が使った武術、((戦鬼流|せんきりゅう))も伝授された。鬼によって使う者は違ったが、やはり自ずと刀剣か体術の類いに絞られた。忍者刀を使うのは超近接及び高速戦闘の為に使われる。普通の刀よりも若干短いが、切れ味は全く変わらない。更に、師匠が以前使っていた物を見た事があるが、あれは何故か柄同士が連結出来る様になっていた。古い文献によるとそう言う武器を使った鬼が昔いたそうだ。その型を真似て我流で磨いた。戦鬼流は千差万別、鬼によって戦い方は違う。

 

「でやあ!!!」

 

最後に両方の刀で突きを放ち、再び納刀した。

 

「軍人はコソコソするのが好きみたいだな。」

 

思った通り、ラウラ・ボーデヴィッヒが現れた。俺から隠れようなんざ十年早いぜ。

 

「何の用だ。」

 

「いや、お前を見ていると、昔の私を思い出してな。」

 

「世間話なら俺は聞かないぞ。用事があるなら早く言え。」

 

昔の自分を思い出すだと?

 

「教官は大会優勝に連覇を達成したのに全く嬉しそうな顔をせず、直ぐに会場を去った。それはお前の所為ではないのか?!」

 

だったらどうした。二連覇達成が出来たんだからおめでたい事じゃないか。まあ確かに拉致られたのは俺の不覚だったが、あの頃の俺はまだ弱かった。

 

「ああ、確かに。数年前俺がアイツの前から姿を消したからだ。俺は拉致されたんだよ。そして織斑千冬はそうとは知らず決勝戦に出た。((お前達|ドイツ軍))からその通達が来たのは、決勝戦の後だった。確かに、掴まった俺にも非はある。俺の不注意だ、それは認めよう。だが、ワザワザ国の重要人物の血縁者を人が多い所に連れて行くか?それにISの大会なんて拉致にはもってこいの所だろう?」

 

ボーデヴィッヒの顔が引き攣って険しくなった。

 

「貴様は、何故教官から離れた?」

 

「言う必要は無い。もし知りたければ、俺を倒す事だ。そしたら、教えてやるよ。」

 

「ならば、話は簡単だ!」

 

軍人である故か、やはり武器を隠し持っていた。二本のコンバットナイフを。俺も似通った武器を持っていて助かった。流石に丸腰じゃやり難い。俺は持っている忍者刀のうち一つを抜いてナイフを一撃で叩き折った。そして袖に隠し持っていた小型の銃を引き抜いてボーデヴィッヒの頭に押し当てた。

 

「なっ・・・?!」

 

「俺の勝ちだ。お前の動きはワンパターン過ぎる。まあ、水準はある程度上回ってるがな。」

 

Side out

 

 

その屋上でのやり取りをシャルルは密かに見ていた。そしてシャルルは恐怖した。あの洗練された動き、スピード、殺意。全てが非の打ち所無き完璧さだった。彼を相手取れる様な相手はそう簡単には見つからないだろう。

 

(どうしよう・・・・・彼から・・・・データを取らなきゃ行けないなんて・・・・絶対無理だよ。)

説明
姉に捨てられ、魔化魍と戦う猛士の鬼、石動鬼に拾われた織斑一夏。鬼としての修行を積み、彼は何を見る? ISと響鬼のクロスです
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誤字 リーダーは専用気持ちだ(yasu)
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仮面ライダー響鬼 インフィニット・ストラトス 

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