IS~音撃の織斑 十二の巻:乱れる教え子 |
十二の巻:乱れる教え子
Side 三人称
時は経ち、学年別トーナメントが開催された。一夏はペアで出場すると言う事を前もって調べ上げていたので直ぐにシャルルとペアを組んだ。女子は三人以外どう言う訳か反対はしなかったが。
「さてと、一回戦は俺達の番だよな。」
「一夏はボーデヴィッヒさんとの対戦が気になるんだね。」
シャルルは一夏を名前で呼び、フランクに話す様になった。当然本人の許可の下だ。
「ああ。アイツは・・・・道を外れてる。崇拝と尊敬は紙一重。それをアイツは超えてしまっている。完全にだ。」
そして対戦相手の書かれたモニターを見た。二人の最初の相手は、ラウラ・ボーデヴィッヒと篠ノ之箒だった。
「ええ?!」
「ほう、早速か。待つ手間が省けたと言う物だな。アイツは恐らくパートナーをパートナーとしても見ていないだろう。落とすのは簡単だ。スタンドプレイを行い連携を崩す奴は簡単に倒せる。」
「何でそう言いきれるの?」
一夏は姫と童子の二人一組を一人で相手取るので連携の重要さと息の合った連携プレイの厄介さを十二分に知っているが、当然それは言えない。
「ボーデヴィッヒは他の生徒達を危機感が疎くISをファッションか何かと勘違いしていると言う強い偏見を持っている。まあ、確かに納得出来る。向こうは軍人、こちらは一般市民、危機感の素早い察知は軍人故の性だ。だが軍人なら連携力の重要さと言うのも知っている筈だが、奴はそれは眼中に無い。俺を倒す事に目が行き過ぎているからだ。何かに固執し過ぎている奴は不意打ちに弱い。勝つぞ、シャルロット。」
「うん!」
二人はピットでISを装着、アリーナ上空に飛び出した。少し後から打鉄を纏った箒、シュヴァルツェア・レーゲンを展開したラウラも現れた。
「一戦目で当たるとは好都合だ。これでお前の大好きな教官様に迷惑をかけられなくしてやるからな。小煩い糞チビが。」
「貴様は、私が絶対に倒す!」
カウントダウン直後、一夏は一旦距離を置いて箒を先に潰す事に専念した。シャルロットにはその間ボーデヴィッヒを足止めする様に((個人間秘匿通信|プライベートチャネル))で頼み、零落白夜を纏った慟哭の銃撃で開始から数分後に決着を早々とつけた。
「悪いな。((ボーデヴィッヒ|アイツ))を倒す為にはお前が邪魔だ。いい加減諦めもついて来た頃だろうしな。」
それだけ言うと、再びシャルロットの援護に回った。
「待たせた。篠ノ之は現在お休み中だ。前哨戦が終わった所で、本命の首を取るとするか。」
この様子を管制室から真耶と千冬は真剣な目付きでモニターを見ていた。
「あ、篠ノ之さんを先に倒しましたね!それに零落白夜を使ったにも拘らずシールドエネルギーも大して減ってません!」
「懸命な判断だな。ボーデヴィッヒは確かに強い。が、アイツは自分が複数の側にいる時の戦闘を想定していない。」
やはり元教え子であるからなのか、千冬はしっかりとラウラの性格を分析していた。
「それに比べて、デュノア君と五十嵐君の連携は素晴らしいとしか言えませんね。」
「確かにそうかもしれんが、所詮は付け焼き刃だ。僅か数日の内に上手い事連携が取れていれば、世のIS操縦者達は苦労しない。この位は出来て当然だ。」
side out
Side 一夏
前哨戦はどうにか取った。シャルロットが弾幕を張ってボーデヴィッヒの動きを止めようとするが、アイツは手を突き出して銃弾の動きを全て止めた。まさかアレがアイツの特殊兵装か?
「一夏、気を付けて。あれはドイツの第三世代平気、アクティブ・イナーシャル・キャンセラー、通称AICだよ。実弾兵器主体の僕とは相性があまり良くないんだ。」
「問題は無い。」
飛んで来たワイヤーブレードを是空で弾き、閃爪刃で攻撃しようとするが、やはり当たる前に動きを止められる。一歩もこの場から動けない。人為的とは言え、これが金縛りか。至近距離から俺を仕留めるつもりなのか、ボーデヴィッヒの左肩にある巨大な砲身が俺に向けられる。だが俺は笑った。アイツの愚かさを。
「お前はやはり俺には勝てない。お前は失念している様だな、相手は俺一人だけでは無いと言う事を。」
そして動きを止められた俺の後ろからシャルロットがマシンガンとガルムで肩の大砲を破壊した。とりあえずアレを使えなくなれば幾分か戦闘が楽になるだろう。あのAICが一番の難関だな。近距離攻撃特化の俺には不得手だな、中距離両用の機体は。
「さてと・・・・」
俺は閃爪刃を展開し、是空を六つに分解、ビット、『六道』として操り始めた。ビットを拘束で移動と攻撃を繰り返し、尚且つ俺も肉薄して攻撃を仕掛け、更にシャルルも後方からの援護射撃を行っている。どこをどう足掻いても簡単には俺を止められない。やはりあれは一つの対象にしか使う事は出来ないみたいだな。目を閉じて手を突き出すなんて、意識を集中しているのが丸見えだ。見つけたぜ、AICの弱み!
「残っている((弾丸|タマ))全部ぶつけろ!」
「オッケー!」
俺達は更にその攻撃を続けて行き、確実にボーデヴィッヒのシールドエネルギーを削って行った。だが、俺もそろそろシールドエネルギーがヤバい。やっぱり燃費の悪さがコイツの弱点だな。コイツは短期戦にしか向いていない。長引かせると使える攻撃手段が限られて来る。
「今度はこちらの番だ!シールドエネルギーをそこまで消費したお前はもう戦えまい!」
「言ってるだろう?これはタッグトーナメントだ。今だ、行け。」
その言葉を合図にボーデヴィッヒの背後にシャルロットが飛んで来た。教え立ての((瞬時加速|イグニッション・ブースト))を使って。だが当然ながらそれをアイツが見逃す筈が無く、再びAICで動きを封じられた。待ってたぜ、この時を!
「掛かったぜ。」
俺は後ろから((個別瞬時加速|リボルバー・イグニッション・ブースト))を発動し、零落白夜を纏った是空を力一杯投げつけた。それは肩の部分に刺さって破壊し、再びそれが六道にバラけて、一斉射撃を行った。相手のシールドエネルギーも微々たる物。俺も二百を少し下回っている。最後の止めはシャルロットが刺してくれるしな。
「何だと?!」
「余所見厳禁だよ?」
シャルロットの左手の楯がパージされ、ステーク状のパイルバンカーが現れる。その武器の名は・・・・
「シールドピアース!?」
「この距離なら外れない!」
それを一撃アイツの腹に叩き込んでアイツのシールドエネルギーが二桁になった。これなら、勝てる!
(負けられない・・・!私は負ける訳には行かない!!私は生まれた。戦う為だけに。ラウラ・ボーデヴィッヒなど、只の識別コードに過ぎない。私は最強だった。だが、それもISが世界進出するまでの事。私の目に適性率向上の為に眼球にナノマシンを植え付けられたが、適応し切れず、出来損ないの烙印を押された。かつて私は教官に聞いた事がある。どうすれば強くなれるかと。だが教官は悲しそうな表情をして、『私には弟がいた。』そう答えた。違う・・・・貴方はもっと強く、凛々しく、どうどうとしている!だから私は誓った、アイツを認めない!)
『願ウカ?力ガ欲シイカ?更ニ強キ力ヲ汝ハ欲ッスルカ?』
「寄越せ、力を!比類亡き最強を!!」
そして突然ボーデヴィッヒの体がスパークし始め、叫び始めた。そして、ISが黒いドロドロした不定形の物に飲み込まれ・・・・姿を変えた。その姿は・・・・・織斑千冬の姿だった。
直ぐにアラームが鳴り響き、管制塔からの指示が飛んだ。
『状況をレベルDと認定、トーナメントの全試合は即刻中止。制圧の為、教師部隊を送り込みます。来客、生徒は避難して下さい。』
「仕方無い。シャルロット、篠ノ之をここから連れ出してから戻れ。流石に俺一人じゃコイツを相手にするのは骨が折れる。銃弾の補給が必要なら構わない。出来るだけ間を持たせる。」
「分かった!」
久し振りだな、こうして戦うのも。俺は六道を呼び戻し、祟羅神に連結した。それを持ってアイツに向かって歩いて行った。横薙ぎに降られる初代雪平を閃爪刃で受け流し、一撃を入れる。次の攻撃も回避し、一撃。だがやはり全盛期の織斑千冬の世界最強の名は伊達じゃない。すぐうしろに吹き飛ばされた。だが俺は勝たなければならない。ここで勝たないと、被害が拡大する。
「一夏、お待たせ!」
「後方からの援護に専念しろ、近接戦闘じゃお前は不利だ。」
「分かった!」
俺は刀を振り回して応戦する。一進一退の戦いをここまでしたのは久し振りだった。カブキさん以来だ、ここまで打ち合ったのは。だが、後ろに仰け反らせてグレネードランチャーの一撃を受けて、更に俺が真っ二つに断ち割った所でその黒いスライムの様な物からボーデヴィッヒが出て来た。俺はISを解除して、そいつを横抱きにした。
「世話の焼ける奴だ、お前も。」
事態はどうにか収拾したが、俺も左腕の傷から血が流れ出て不覚にも気絶してしまった。
説明 | ||
姉に捨てられ、魔化魍と戦う猛士の鬼、石動鬼に拾われた織斑一夏。鬼としての修行を積み、彼は何を見る? ISと響鬼のクロスです | ||
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ん〜?なんか前回の戦いと違って、随分と弱くなってませんでしたか?タッグになったから?(神薙) | ||
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インフィニットストラトス 仮面ライダー響鬼 | ||
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