ぎゃる☆がん 兎野葵小説 葵との出会い
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「ただいま〜〜」

「おかえりなさい、天造さま!」

 元気に迎えてくれるぱたこに天造はニヘラと笑った。

「いや〜〜……今日も葵ちゃんのライブの練習で疲れたよ。俺、楽器弾けないけど、曲の雰囲気とか、そんなのを聞きたいって、もう」

「はいはい、今日も楽しかったんですね?」

 容赦なく切り捨てるぱたこに天造は唇を尖らせた。

「最後まで聞けよ!」

「ノロケ話はもう何度も聞きましたよ、天造さま♪」

「今日は違うんだよ〜〜♪」

 幸せいっぱいの顔をする天造にぱたこも嬉しそうに笑った。

(天造さま、本当に幸せそうでよかった)

 床に置いた煎餅を食べ、ぱたこは思い出したように天井を見上げた。

「そういえば、葵さま、ライブのとき、「結成時のときみたいに助けてよ」って言ってましたよね?」

「うん? そんなこと言われたっけ?」

「言いましたよ。もしかして、葵さまのバンド結成って天造さまの助力があったんですか?」

「うん、あ、ああ」

 思い出したように腕を組んだ。

「アレは葵ちゃんが入学したばかりの頃かな?」

 

 

 廊下を歩いていると先生に怒られているウサギの耳のような髪型をした少女を見つけた。

「どうしたんですか、先生? 下級生を怒ったりして?」

「え、あ? 実は彼女、勝手に音楽室を使ってギターの練習をしていたの」

「ギター?」

 自分よりも頭一個分以上も小さな少女を見た。

 少女は唇を尖らせ、納得のいってない顔をした。

「だって、使っちゃダメだっていうから、黙って借りるしかないじゃん」

「それはよくないよ、君」

「だって〜〜……」

 子供のように拗ねる少女に天造は頭の後ろをかいた。

「あの先生。今日だけ、許してくれませんか?」

「え?」

 先生の顔がキョトンとなった。

「俺が見張っておくんで今日だけはここで練習させてやってください。お願いします!」

 グワァと音が聞こえそうな勢いのある頭の下げ方に先生は困った顔をした。

「ま、まぁ、アナタなら、下級生に手を出すようなことしはしないでしょうね」

「信用されてるのか、されてないのかわからない言われよう」

「じゃあ、鍵を渡すから、帰りに私に返してね?」

「はぁ〜〜い!」

 先生が去ると天造はホッとした顔をした。

「よかった。交渉成立」

「助かったぜ、先輩! 本当にありがとう!」

「別にいいよ。それよりも、明日もここで練習するの?」

「……」

 また拗ねた顔をする少女に天造は苦笑いした。

「言い忘れてたね。俺は茂手杉天造! 君は?」

「ボ、ボクは兎野葵! 葵って呼んでよ!」

「わかった、葵ちゃん。それよりも本題ね」

「本題?」

「この調子じゃ遅かれ早かれ、君は何度も音楽室を使って、音楽室使用禁止をくらうだろうね!」

「そ、それは困るよ! ボク、ロッカーになるのが夢だから、一秒でも長く練習したいのに!?」

「だから、堂々と音楽室を使える手段を手に入れよう!」

「え?」

 

 

 話が戻るとぱたこは納得した顔でうなづいた。

「なるほど、その後、天造さまがブラバン部を設立させたんですね?」

「もっとも、その後も大変だったけどね。葵ちゃん、あんな性格でしょう? 部の代表者が集まらないといけない部活動会議には忘れていたという理由で無断欠席はするし、許可なしでライブを開いて怒られたこともあったし、そのたびに俺がフォローしてたからな」

「本当に苦労してるみたいですね……」

「今ほどじゃないけどね」

 今は女子から理不尽に嫌われる毎日なため、ある意味、あの頃のほうがまだ、マシだったと天造はつくづく思った。

「でも、天造さまはなんで、見ず知らずの女の子を助けるつもりになったんですか?」

「え、そ、それは……か、可愛かったから」

 ぱたこの顔が満足そうに微笑んだ。

「天造さま、下心ありありですね♪」

「う、うるさい! 結果よければ全てよしだ!」

「ほっへはひっはらなひへ〜〜!」(ほっぺた引っ張らないで〜〜!)

 携帯電話が鳴った。

「葵ちゃんからだ。もしもし?」

 電話を取ると、うんうんと頷いた。

 天造はガッツポーズをとった。

「よし! 今度の日曜、練習がてらにカラオケの約束を取り付けたぞ!」

「やりましたね、天造さま! よっ、日本一!」

「いやいや、それほどでも!」

 テレた顔で謙遜する天造にぱたこは満面の笑みを浮かべた。

「音痴でも天使の力でフラれませんから、安心してください!」

「余計なお世話だ!」

 数ヵ月後。

 天造と葵の愛は天使の力でないことが発覚し、大変なことになるがそれはまた次回の話で……

説明
今回は兎野葵との出会いを書いてみました。
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コメント
>ywxhffrom341さん、コメントありがとうございます!案に「この子なら、手を出すほどの度胸もないでしょう」と舐められてるだけです。(笑)ギャルゲー主人公に良くある話です。(苦笑)(スーサン)
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