IS~音撃の織斑 十四の巻:買い物中の災難
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十四の巻:買い物中の災難

 

Side 三人称

 

ラウらとの妹分騒ぎから数週間。臨海学校に行く事が決まった。一夏はラウラを誘い、シャルロットに誘われてショッピングモール『レゾナンス』に向かった。

 

「なあ、さっきから後ろで尾行している奴が三人いるのが感じられるんだが。」

 

「うむ、兄様の言う通り、気配がします。」

 

「シャルロット、走れるか?あいつら巻くぞ。」

 

言うが早いか、一夏はシャルロットの右手を掴み、ラウラは左手を掴んでモールの中を全力疾走で駆け抜けた。少し経ってからどうにか巻けた事を確認し、二人は息をついた。

 

「全く、あの三人が絡んで来ると碌な事にならないからな。離れておいて正解だぜ。(夏も近い・・・・カッパやドロタボウ、バケネコが出なきゃ良いが・・・・)ところで、何故俺達を誘った?俺はとりあえずラウラの服を数着見立ててやろうと思っているんだが。」

 

「僕も水着を買いたいからね。それで誘った訳。」

 

「俺はもうあるから別に良い。水着なら、お前がラウラのを見てくれないか?こう言う物は女同士でやった方が良いだろうしな。それに俺はラウラの服以外に買う物がある。ゆっくり吟味してろ。」

 

一夏はラウラの頭をそっと撫でて人込みの中に姿を消した。そして歩きながら電話をかけた。

 

『はい、立花です。』

 

「おやっさん、どうも。イバラキです。」

 

『おお、元気かい?』

 

「ボチボチです。ところで、紆余曲折する内に妹分が出来たんですが・・・どうすれば良いでしょう?」

 

『ほー、妹分ねえ。好きにやりなさい。鬼の弟子にするも良し、人生の弟子にするも良し。兄分なら彼女にとって最良の事を考えるべきだよ。』

 

「最良の事、ですか・・・・一つ、頼みがあります。」

 

『何だい?』

 

「特別遊撃班の中から誰かこちらに寄越してくれませんか?出来れば俺と同じ位いの。」

 

『ああ、それならそっちに五反田兄妹がいると思うんだけど・・・・』

 

「弾と蘭ですか?弾は確か・・・・ダンキさんの所で、蘭はハバタキさんの所じゃ?まさか仮免許皆伝したんですか?」

 

『うん、そうなんだよ。弾君の方に関しては、もう鬼になれたんだけど、蘭ちゃんはまだサポーターだよ。』

 

「そうですか、じゃあ一報お願い出来ますか?」

 

『良いよ。』

 

「ありがとうございます。」

 

電話を切ると、近くのジュエリーショップに駆け込んだ。中には指輪からネックレスからバングル、ペンダントトップまで色々と幅広く揃っている。

 

「さてと、どうしようかな・・・・アイツの指や手首周りのサイズなんて知らねえし。やるとしたらネックレスかピアス位だな・・・・」

 

「お客様、何かお探しですか?」

 

「はい、妹分に何か買ってやろうと思いまして。ネックレスかイヤーカフスにしようと思っているんです。」

 

「でしたら、こちらなど如何でしょう?兄妹でお揃いにする事が出来ますよ。」

 

差し出されたのは、黒と白のキュービックを使ったシンプルなデザインのチェーンネックレスだった。

 

「これに、名前を入れる事って出来ますか?」

 

「はい。十五分程お時間を頂きますが、よろしいでしょうか?」

 

「大丈夫です。」

 

とりあえず料金を払うと、再びあの水着売り場に戻った。

 

「あ、やっと来たよ、もう。」

 

戻ると思った通りシャルロットが不機嫌そうな顔で待っていた。ラウラも同様である。如何にも怒ってますと言う表情を浮かべている。

 

「済まん。思ったより手間取ってな。決まったのか?」

 

「うん、大丈夫。ちゃんと決まったよ。」

 

「全く、兄様は時間にルーズ過ぎるぞ!全く、折角兄様に・・・・水着を見てもらおうと思ったのに・・・・・」

 

「すまないな。お詫びに@クルーズで何か奢ってやる。」

 

「なら、良いです。」

 

途端にラウラの機嫌が良くなった。三人は@クルーズで席を取り、注文を頼もうとしたが、そこで店長がいきなり頭を下げて来た。

 

「貴方達、ここでバイトしてくれない?!」

 

「「「はい?」」」

 

どうやらそこの従業員二人が駆け落ちをしたらしく、視察も入る為、今日だけ凌ぐ為に雇われて欲しいそうだ。

 

「う?ん・・・・まさか俺に執事服を着せる訳じゃありませんよね?俺は出来れば厨房にいたいんですけど。料理結構上手いですし。あの二人にはメイド服を着せてあげて下さい。この条件を呑んでくれればやりますよ。」

 

「良いわ、それ位なら安い物よ。」

 

と言う事で、臨時のバイトが始まった。

 

Side out

 

 

 

 

 

Side 一夏

 

とりあえず厨房で俺は料理を作っている。ここは喫茶店でも普通の軽食も出すらしい。それは俺が作って、店長の方はデザートなどを作っている。俺も出来なくはないが、客に食わせられる程の自信は無い。バイト自体は・・・・・まあまだ『向こう側』にいた頃だった。しかし、こうしてみると、ラウラもシャルロットも似合うな。メイド喫茶では日本人が来ているが、本場の物はやっぱり綺麗だ。シャルロットは三つ編みにしていた髪を伸ばしていたし、ラウラの銀髪も流れる様なロングヘアーだ。

 

「ラウラ、これ三番テーブル。シャルロット、これは五番と六番テーブル。冷めない内に持って行って。」

 

「本当に手慣れてるわね。どこか別の所で何かやってたの?」

 

「いえ、他愛も無い取り得ですよ。元々食べるのが好きなので。」

 

「へー。」

 

やはり客足は右肩上がりになったのはシャルロットとラウラの所為と言うか、お陰だな。あそこまで綺麗な奴はそう簡単にはお目にかかれないだろう。そんな時、如何にもと言った感じの男が三人入り込んで来た。

 

「全員うごk、ぎゃあああああ!」

 

俺は直ぐに厨房の包丁を全て取り出し、奴らの足に向かって投げつけた。数本は牽制用に足元、残りは足に突き刺さった。

 

「ラウラ、武器を取り上げろ。シャルは他に何か持ってないか確認。持ってたら厄介だから。ベタに爆弾とかさ。」

 

「銃も安物だな。」

 

「あ、プラスチック爆弾発見。強盗だね。ワイヤーを切って、よしと。」

 

「よしと、騒ぎがデカくなる前に行くぞ。」

 

野次馬が集まって来たので、直ぐにその場からいなくなった。書き置きを残して。

 

「まったく・・・・ラウラ、ちょっとよる所がある。一緒に来い。」

 

「はい・・・・?」

 

シャルロットは上手い事察してくれたのか、用事があると言って先に帰った。先程のジュエリーショップで注文の品を受け取った。

 

「さてと。これは、まあ言うなれば兄妹の証だ。白いのがお前のだ。」

 

「あ・・・・」

 

「次は、お前の服だな。行くぞ。」

 

「兄様。何故、ここまでしてくれるのですか?私は」

 

「ストップ。お前は何か勘違いしてないか?これは俺がやりたいからやってるんだ。確かにお前は軍人であり、ドイツ代表候補生かもしれないが、それ以前に俺と同い年の女の子だ。俺の師匠曰く、女は原石みたいな物だ。研磨すれば、美しくなる。服やアクセサリーはおまけみたいな物だってな。妹は兄に甘える物だぞ?そして兄は、妹を守る物だ。な?」

 

差し出したペンダントをラウラは直ぐに付けてみた。やはり良く似合うな。それからは普段着を数着買い求めて学園に帰った。終始ラウラはご機嫌だったと言う事は改めてここに記しておく。兄と言うのも、案外良いかもな。

説明
姉に捨てられ、魔化魍と戦う猛士の鬼、石動鬼に拾われた織斑一夏。鬼としての修行を積み、彼は何を見る? ISと響鬼のクロスです
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コメント
いーじゃないですか、それぐらい。(i-pod男)
じ…地味にシスコンになりやがった…。(神薙)
妹ラウラ、最高に可愛いです(ken)
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