超次元ゲイムネプテューヌmk2+ BlackFateその? 失踪しないための番外編 |
〜本編より1年ぐらい前 ラステイション スラム〜
ラステイションは多階層都市である。
リーンボックスのような中央にデカい建物があるわけでもなく、純粋に多階層の都市である。
多階層都市によくあることとは何か。そう、【階層による格差】である。
最上層に教会があることからわかるように上から下に行くにつれて徐々にランクは下がっていき、最下層はそのままスラムだ。このスラムを囲う壁があり、そこに上層部へのエレベーターがある。
つまりは外から来る連中は基本的に行こうとしない限りスラムの存在すら気づかない。
何とも、哀しきは人間の格差か。
が、それを逆手に取るのもまた人間の賢しさ。
ブラックマーケットや奴隷売買など、表沙汰になってはならないようなことを生業とする連中が集まるのもまた、このスラムだ。
私が構えるここ、【バーテックス傭兵事務所】もまた表沙汰にはできない場所なのだ。
バーテックス傭兵事務所とは、まぁその名の通り人間の貸し出し屋だ。
依頼主の依頼を受けて人材を派遣し、依頼を完遂して報酬を貰う。
これだけならまぁ中層部にあるギルド辺りで十分やっている。
だとしたらそんな事務所が必要なのかと言えば【絶対に必要だ】。
人間、誰しも裏というものがある。
探し物の手伝い、アイテムの捜索、モンスターの討伐なら胸を張って言えるだろう。だが暗殺や裏取引、窃盗なんかをやると言い張ってやるやつはいない。
言わばそんな裏の仕事を引き受けるのがバーテックス傭兵事務所だ。
まぁあくまで裏だしそう多人数いるわけでもない。所長である私、フロムと…えーっとがすとと、1,2,3,4…社員が計4人ぐらい、それで一人アルバイトがいる程度だ。
まぁ、この社員共そろいもそろって不真面目だ。真面目なのと言ったら私と副所長ぐらいだ………前言撤回。本当にまともなのいねぇや。私含む。
ふと仕事表に目を向ける。今日は私とがすと以外休日だ。
仕事表にはそれぞれの名前の横に予定が書いてある。
私とがすとの横には仕事、とだけ。他の連中には…
*水中戦闘訓練に行ってくる
*我、未だ血の渇き満たされず…(ラステイションの食い歩きに行きたいそうなので連れて行ってくる)
*モンスター育成中。ミズーノツルハシ先生まじぱねぇっす
*所用でリーンボックスに行ってくる(決してリーダーの使いたてのタオルとか服とかがほしいわけじゃない)
……うわぁ。
全体的に変人しかいないのはわかっていたがこのカオスとしか言えない仕事表を見ると何度でもそう思ってしまう。
何だこれ。
さて。ぶっちゃけ私のバックレたいのだが所長である上割と仕事も少ない状態なのでいつ来ても良いようにいつもの社長椅子(教会からかっぱらってきた)で待機する。背もたれが大きく稼働するので思いっきり背を反らして足を机に乗せるなんてクレイジーなことも負担無く出来る。この体勢は楽だ。
『電話ですの!電話ですの!電話ですの!』
お、依頼かな。
今の受信音はがすとの奴が勝手に設定したものである。本人以外には不評。
「はいもしもし。バーテックス傭兵事務所。」
『フロムですの?私ですの、がすとですの。』
「…おいがすと、仕事用の回線使うなっつったろ。プライベート回線端末どうしたお前」
『無くしたですの。』
「そのまま帰ってくんな偽幼女!」
ガシャン、と乱暴に受話器を投げ嵌める。
しかし、前時代てきな黒電話にあの受信音。あの偽幼女は何を考えているのかわからん。ほんと。
『電話ですの!電話ですの!電話ですの!』
「はいもしもし。こちらバーテックス傭兵事務所。」
『いきなり切るなんてひど』
がしゃん。
『電話ですの!電話ですの!』
「……」
『ちょっとしたミスぐらい見逃して』
がしゃん。
『電話ですの!電話ですの!電話ですの!』
「………」
『あ、すいません。バーテックス傭兵事務所というのはこれでいいでしょうか?』
あ、がすとじゃない。もう二回ぐらい来たら怒鳴ってやろうと思っていたが、フラグは回避できていたようだ。
ただでさえ少ない依頼をさらに少なくされてたまるかという物。
「はい。間違いないですよ。こちら雑用から人殺しまで何でもやるバーテックス傭兵事務所。依頼ですか?」
『えっと、その…あ、暗殺の、依頼です……。』
受話器の向こうのか弱そうな、怯えた声色とは別に話す内容は過激そうだった。
私の領分じゃないし、がすとの奴呼び戻さないとなぁ…。
『えっと、その、暗殺してほしいのは、わたしの父親です。』
「父親……?」
『はい。テレビでよく出ている金森ラステイション政府議員です。』
「ああ、あの汚物。」
『……父は、金に物を言わせてマジェコンを普及させようとしています。マジェコンヌを、推進するつもりなのです。』
「それを止めるために、と?」
『…私、ブラックハート様に直接お会いしたことがあるんです。それで、ブラックハート様がいない今政府の人間がマジェコンヌが普及するのを抑えないといけないのに、父は金に目が眩み……』
「ッ……依頼内容はわかりました。しかし政府議員となればセキュリティも厳しい。となると三日以内に依頼は完遂されるでしょう。報酬はどれぐらいお支払いただけますか?」
『……父が、各所に回す手はずの資金、5000,0000creditを。』
「承りました。これで取引は成立しました。依頼完遂後三日以内にバーテックス傭兵事務所へお支払ください。仮に三日以内に依頼が完遂されなかった場合、お支払は結構。では失礼。」
がちゃん。
受話器を置き、数テンポ置いた後再度電話が鳴った。
受話器を取ると、先ほどと同じようにがすとの声が聞こえた。
『何か話中だったみたいですの。何かあったですの?』
「喜べ、仕事だ。報酬は5000,0000credit。」
『ヒュゥ♪また良い依頼を貰ったんですの。』
「暗殺だよ。目標は金森ラステイション政府議員。殺し方は問わないが決して私達のことばれないようにな。」
『わーってるですの。それで期限は?』
「三日だ。」
『余裕ですの。では仕事に取り掛かるですの。』
がちゃん。
がすとが妙に乗り気だったが、何かあったのだろうか?
まぁあんなだがこの事務所の中で最も暗殺など隠密系の依頼が得意なのががすとだ。どうやってるかは知らんが今まで失敗がない。基本ウザいが信頼はできる。
……まぁ、大玉の依頼だしあいつに任せよう。私は・・・寝るかな。
〜翌日 バーテックス傭兵事務所〜
……はっ。
しまった、寝ていた。
時間は……5時か…ざっと10時間は寝ていただろうか。ニートのような生活してるな、私。太らないのが不思議なぐらいだ。
ああそうだ、日課のニュースを確認しないとな…。
『――――――次のニュースです。本日未明、金森御崎ラステイション政府議員が何者かに惨殺された姿で発見されました。金森議員には一枚の紙が貼られており、その紙には【コノ者マジェコンヌニ魂ヲ売ッタ罪ニヨリ死罪ニ処スル】と書いてありました。』
………
画面には、ほぼ全身モザイクの人間のようなものが映っている。モザイクがかかったと言っても真っ赤だ。あいつのことだ、恐らく臓物なり血管なりを軒並み表に露出させたのだろう。
『なお、金森議員の横にはラステイション女神候補生、ブラックシスターによく似た遺体が並べてありました。教会に確認を取ったところブラックシスターに特に異常はないものとの答えがあり、何者かが教会への印象操作目的で殺害したのではないかとの方針で警察は調べを――――――』
私が少し呆けていると、電話が鳴った。がすとか、依頼主だろう。依頼主は私より年下だろうし、あれをモザイク無で見れば私だって引く。誰だってそうする。
とりあえず、目をこすりながら受話器を取った。
『私ですの。』
「お前・・・やり方を選ぶってこと知らないのか?」
『選んだ結果ですの。ちょうど女神への嫌がらせもやりたかったんですの。』
「大して意味なさそうだぞ」
『こういうのは自己満足ですの。』
「報酬もらえなかったらどうすんだ」
『一族皆殺しにして頂戴するですの。』
「やめろっての。」
『とりあえず、報酬は4割ほど研究資金にもらっておくですの。他は知らんですの。』
「給料じゃものたりねぇってか」
『月200000creditじゃ足りやしねぇですの。』
「てめぇ給料抜くぞ」
『マジすまんかったですの。でも反省も後悔もしていないですの。』
「もういい。切るぞ。」
『研究費用はくださいですの』
切る寸前まで金かあいつは。私でもそこまで守銭奴じゃねぇぞ。
あんな見ればトラウマ物なものだがまぁ、報酬は期待しよう。
……場所、知ってるのかな。広告とか出してないけど。
まぁうちが広まる理由なんて口コミとかネットぐらいしかないし別にいいか三日間気長に待とう。
「はよはよ〜。ふーたーん。」
アクワイアが出社してきた。こいつにしては珍しく早い。基本的に10時(午後)に来ることが多いのに。
「ふーたんはやめろ。他の連中は?」
「あーちゃんはルー助が【要約すると食い過ぎで死にかけてる】って言ってた。」
「食い歩き……」
拒食症が無理しやがって……
サプリメントで我慢しないから…。
「で、その他馬鹿共は」
「さーたんはさっき溺死体で発見されてたよ。ぽー子は…知らない。」
「どうせCD屋で5pb.のとか探し回ってんだろ。ほっとけ。」
うちの社員の連中は殺しても死なないようなのばかりだ。私とがすとは除く。
私は殺せば死ぬし死ねば死ぬ。色々おかしいとは思うがこの通りだ。
他の連中殺しても死なないし。そのままの意味で。
「とりあえずそのうち仕事の支払いが来るから対応任せた。」
「Fooさんはどうするん?」
「最早別人だそれは。ただ身体を動かしたいだけだよ。」
「性的な意味で?」
「その面ぶち抜くぞ?」
グレネードライフルの銃口を額に押し込むとアクワイアは涙目で「すいませんマジすいません痛いのは勘弁してください」とか謝りだした。痛いで済まないからな、普通。
「じゃあ、店番頼んだぞ。」
「へぁあぁ〜い。」
気の抜けたというか抜けすぎた返事を後ろに事務所を出る。
……うん、光も何もない見事なスラム街だ。
こんなところに何、政府の怪しい連中が来たりするんだからおかしいものだよな。
金網を越え、港方面からエレベーターに乗る。スラムに入る方法が結構限られているのでこうやって無理やり越えるのが一番手っ取り早い。
何日も居たくはないんだよね。スラム街。ほら、陰気くさいし。
とりあえず適当に中層辺りの飲食店に行こう……。
ふと外を見ると、金網の先には海が広がっている。
……ドルフィン種って食えるのかな。
……そういえばイメージカラーが青の国ってないよな。
とか考えていると、視界の隅(下の方)から黒い丸い何かが見えた。エレベーターより速い(というよりエレベーターが遅い)それは徐々に私の視界にその姿を現……
「あ、よう。所長じゃねぇか。」
目の前の蒼と赤の継ぎはぎ風船が話しかけてきた。
というかこの風船顔あるぞ顔。知ってるやつだけど。
「何してるんだ、お前」
「いやよ、お姫様が倒れちまったから薬でもと思ってよ。」
目の前の風船の名前は【ルシファー】。何故か顔があってしゃべる風継ぎ接ぎ風船であり、うちの社員の一人の相棒兼遊具兼話し相手兼武器兼世話係だ。
どうやってきたんだ、こいつ。確かこいつ誰かが掴んでないと只管上に上がってくはずだけど・・・・・
「ああそうだ所長、頼みがあるんだ」
「……?」
「オレを掴んでくれねぇか?上昇止まらねぇんだ。」
「……おい、このエレベーターお前より遅いんだが」
「どうにかしてくれ〜このままじゃお姫サンが孤独死しちまうんだぁ〜……」
ルシファーが私の視界の外まで登って行った。
まだ到着まで暫くかかる。
このままでは際限なく上昇し、行方不明……う〜ん、戦力低下は勘弁してもらいたいなぁ。
チーン。という高い音が到着を知らせる。
急いでエレベーターを出た途端。私の頭上に金属のようなものが降ってきた。
それに気づかなかった私の頭頂部に直撃し、そのまま床に落下。
私、悶絶。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉ……!」
「よぅ、大丈夫か所長」
「てっめ、風船……!」
すぐ横を見ると、黒ずんだレーザーキャノン(?)が落ちていた。
喋る辺り、変形したルシファーだろうこいつ。
変形すると質量が変わる。というか重くなる=落ちてくると考えたんだろう。そしてわざわざ私の頭上に落ちてきた、と。
嫌がらせかこいつ。
「まぁそう睨まないでくれよ。オレだってそんなつもりはなかったんだぜ?」
「とりあえずお前帰れ…買い物なら私がやってやるから…」
「自力じゃ帰れないんだなぁこれが。」
「テメェ……」
「そう睨むなよ、照れるだろ?」
「割るぞ」
「悪かった。頼むから割らないでくれ。お姫サンが大変なことになる。」
仕方なくルシファーを拾ってエレベーターに戻り、下層に戻る。ルシファーがうだうだ言っているが無視。いいか、私は面倒が嫌いなんだ。
〜ラステイション下層〜
下層にあるアパートの一部屋。ルシファーに連れられてきた場所は見事に貧相な場所だった。
「社員のプライベートにどうこう言う気はないけどよ、こんなところに住んでんのかあいつ」
「お姫サンの色々な都合でな。オレを寛容すんのはここから下ぐらいだ。ここが望める最上級の場所だ。」
「苦労してんだな…」
「苦労してないのは所長とがっさんぐらいだろうて。」
「違いない。オイコラ、入るぞー。」
扉を開け(蹴り開けはしない)、部屋に入る。下層の安アパートの中身にしては妙に綺麗に整えられていた。あいつの趣味か、この風船の趣味か。
どちらにしろ、目当ての人影はなかった。
「いないぞ?」
「いねぇな。」
「どうする?」
「探しに行くしかないだろうが…」
『我が界に土足で現れたるは貴様らか…』
突然、妙にエコーがかった声が後ろから聞こえた。
振りむくと、黒と赤のツートンパジャマの少女が立っていた。結構苦しそうな表情だ。
「何してんだ、アーク」
「げほっ、わ、我は真紅の使者成り…我が・・・・・げほ、お、ごぉ……」
「駄目だこりゃ」
「ほら大丈夫か姫サン。無茶しねぇで乗れ。」
風船が平べたくなり、顔色が真っ青なアークが倒れこむように乗る。流石万能風船。
…はともかく。一応所長だし何かやんないといけないかねぇ…
「おい風船。どうすんだコレ。大食いの反動だろ?」
「とりあえず吐かせるだけ吐かしてから薬だろ。おい姫サン。ベッドまで送るからオレに吐くなよ?」
「われはぁ〜……おぶっ…」
多少揺れるだけで結構危ないらしく、顔を上げることすらできてはいないようだ。
それをわかっているのかルシファーも揺らさないように平行移動で部屋の中に入っていった。
しかしどういう原理なんだろう、あの風船。
…やっぱあの風船だけでいい気がしてきた。長年の付き合いらしいし任せよう。さーって、気が入ってきたし休んでる連中の視察でも行くか。私の休日はこんなことで消費されるんだな……
〜ラステイション 旧リゾート地区〜
GPS(ゲイムギョウ界・ポジショニング・システム)の反応からすればこの辺りに反応があったが……。
視界に広がるのは海。とついでにちょいと前に廃棄されたリゾートの建物群。
前は女神も良く来ていたとのことで(いろんな方向で)人気だったここもすっかりモンスターの巣窟。
まぁ泳げない私からすればぶっちゃけた話どうでもいいんだがな。
さて。どこにいるかなーっと……
「……いた。」
見つけた。
といっても本人を見つけたわけじゃない。剣だ。
ここから見て20mほど空高くまで聳えた黒い大剣。あそこまでデカくなるのはそうないが、とにかく確定だろう。
うちの社員の一人、サンドロットはあの場所にいる。
何で20mみたいな大剣になんだとかそんなの振るえるのかという説明は今は割愛。
とりあえず見に行ってみよう。
「どぉらぁああ!!!」
『きゅぴぃぃぃぃぃぃぃ!!!』
少し歩くと、ドルフィン種…細かく言えばダゴンと殴りあってる一人の女性がいた。
うちの社員の一人、【サンドロット】だ。
黒いマントに身を包み、ここからでは黒い長髪と細い右腕、そして先ほどの黒い大剣しか見えなかった。
彼女は左手はないものの、右手で大剣を振るい禁忌種とも言われるダゴンと互角に戦っている。これにもちょっとした理由があるのだが今は割愛。
決して余裕ではなく、互いに苦戦。実力は全くの互角に見える。
振るった大剣が鰭を切り裂き、吐かれた水鉄砲が身体を貫く。
一進一退の攻防だが、見ている分には楽しい。恐らくやっている分にも楽しいのだろう。
大体二十分後。
サンドロットの大剣がダゴンの頭を貫き、空中に浮いていたダゴンの身体が地面に落ちた。
サンドロットも大分ボロボロ…というか常人なら死んでもおかしくない傷だ。というか穴空いてるし。体に。
「……所長」
サンドロットが私に気付いたようで、声をかけてきた。
銀色の光が消えた瞳
正直視察って訳でもなく様子見して帰るつもりだったんだが…まぁいいや。
「よう砂子。」
「砂子 違う サンドロット」
「暇だったから社員の視察だよ。で、また特訓か?お前に特訓が必要なのか偶に思うのだが」
「……。」
「……。」
「……まだ 20戦 ある」
「ギルドで稼いどけよ、せめて。ダゴン殲滅依頼あっただろ?」
「面倒 戦闘 優先」
こいつ、自分が戦えればそれでいいんだな…。いや、まぁわかってたよ。うん。
変人しかいないもんね、仕方ないね…
今目をやると、先ほど身体に空いていた穴が既に埋まっている。人間とは思えない再生能力だが、確かがすとの奴が改造したはずだ。一体何者なんだろうなあいつ。スカウトしたの私だけど。
「じゃあ、私は次…副所長でも探すかな。」
「副所長 リーンボックス 買い物」
「またプレゼントだな…?あの人にやってもさぁ…また突っ返されるんだろうな。」
「損得 恋愛感情 交錯」
「交錯すらしてないけどな、あいつ経費でプレゼント買いだすし」
「……」
話すことはなくなった、と言わんばかりにサンドロットは私に背を向け、大剣を担いで歩き出した。
……まぁ、特に誰かの迷惑になることはしてないしいいか。
そういうことで、私も視察を切り上げて事務所に帰ることにした。もうめんどくさくなった。こんな暇つぶしでリーンボックスまで行きたくないし。
〜ラステイション スラム バーテックス傭兵事務所〜
「おかえりふーさーん。」
暗く汚らしいスラムの一時のいやし、事務所に戻るとアクワイアが出迎えてきた。
人懐っこい笑顔は奇人変人大集合のここでは地味に癒しだ。こいつよくサボるけど。そこに目を瞑れば。
「ただいま。私が出ていた間なにかあったか?」
「何か札束もらったよー。あれが報酬?」
「ああ。がすとの奴の報酬だ。」
「がっちゃんさすがぁ。」
「で、他には?」
「だれもー。」
半日程度空けていたつもりだったのだが、あったのは報酬だけか。仕事ないな。
裏の仕事って普通地味に多忙だったりするイメージがあるあがうちは暇だ。
二日に一つ依頼があるか程度。人員を考えれば少なすぎる。
偶には内事以外で多忙になりたいもんだ。
「アクワイア。サンドロットとアーク、ついでに副所長にもシフト入れとけ。あいつらたまには働かせる。」
「はいは〜い。」
アクワイアがホワイトボードに向かい、さらさらと仕事表を書き換えていく。
無駄に字うまいのがムカツク。
『電話ですの!電話ですの!』
あ、電話だ。
「はいもしもし。こちらバーテックス傭兵事務所。」
『久しぶりですねフロム。一年と1か月ぶりでしょうか。』
……あー、がすと以上にめんどくさいのだった。
あーやだやだ…。
電話の相手は所謂スポンサー。
のボス。私嫌いってわけじゃないけど苦手なんだよねー。あの似非二重人格者。
「はいなんですか((ボス|・・))。こちとら依頼が殺到しているのですが。」
『嘘はいけませんよ。……女神についてです。』
「うっわめんどくせ」
『プラネテューヌの方で独自に女神救出の算段を建てている様子です。イストワールの手腕は侮れませんね。流石の先進国家と言ったところでしょうか。』
「で、何。妨害しろっての?」
『まさか。寧ろ援護、支援してください。出来るだけばれないように。あちらの成果次第ではさらに作戦を立てます。』
「はいはい、うちのボスは聡明なことで。で、その作戦って何時なんだよ。」
『早くても半年。遅いと1,2年はかかるでしょうね。』
「遅すぎだろ!?」
『情報は鮮度が命。どのギョウカイでも常識ですよ。』
「鮮度どころか卵の状態で収穫すんじゃねェよイクラじゃねぇんだぞ…」
ああわかった。こいつ私をおちょくりに連絡入れやがった。がすとと同類だよほんと。
私の周りには常識人がいない。私自身常識人のつもりはないけど、それ以上に周りが吹っ飛んでいる。
…心労、半端ないよ?
『では、次の仕事があるのでこれで。』
「へいへーい……。」
電話を切り、一気に脱力。ボスと話すのマジ疲れる。
アクワイアは何か暇になったのかスライム(スライヌではない)で遊んでるし…
あー……。ほんと。どっかで宣伝しようかなー。無理だろうナー。
失せ者探しから戦争まで何でも引き受けますバーテックス傭兵事務所、ってかー……。
似合わねー……。
あー………仕事がほしい。
↓ここから先キャラ紹介↓
フロム(番外編時点で17歳。本編18歳)
身長:154cm
体重:42kg
イメージCV:相沢舞
モデルイメージ:白髪のニャル子(這い寄れ!ニャル子さん)
バーテックス傭兵事務所の所長。
曲者揃いの中で比較的まとも故かなりの苦労人。胃腸薬は友達。
元々は武器フェチの一般人だったがある事件を境に女神(ノワール)を恨むようになり、15歳の頃にがすとと共にバーテックス傭兵事務所を立ち上げる。それ以外のメンバーは全員フロムがスカウトした。
所長故仕事を受けることは少ないがかなりのベテラン。
得意分野は狙撃・砲撃。成層圏までとはいかなくてもラステイションからプラネテューヌぐらいの距離なら寸分の狂いはないらしい。
なお、大艦巨砲主義であり武器はグレネードライフルと大型ミサイル(通称核)、狙撃用のアンチマテリアルライフル。
がすと(番外編時点で18歳。本編19歳)
身長:112cm
体重:19kg
CV:桑谷夏子
バーテックス傭兵事務所の問題児筆頭。
バーテックス傭兵事務所初期からいるが初期から仕事はサボる、好き勝手に殺戮するでロクなことをしない。
仕事があり、尚且つ仕事が気に入ると真面目になる。ただし基本的にやりすぎる。本人は反省することはあるが後悔はそうしないらしい。
見た目は幼女だが18歳。これにはきちんと理由があるらしい。
見た目通り真っ向からの殴り合いには弱いが絡め手や頭脳戦では他の追随を許さない所謂天才。
自前で作ったアイテムを仕掛けて使って陥れるタイプ。見た目に騙されるなよ!絶対だぞ!
アイテムを除いた武器には一応護身用のダガーナイフがある。(このナイフ、超強力な毒が塗ってあるとか)
アーク(番外編時点で14歳。本編15歳)
身長:132cm
体重:25kg
イメージCV:沢口千恵
モデルイメージ:ヴァレンタイン(ギルティギア2)
相棒ルシファーと共に傭兵事務所に所属する少女。
汎用性が高すぎるルシファーを匠に使いこなし、戦闘能力はかなり高いアタッカー。
なのだが、重度の厨二病(アイエフを超える)で言語が基本的に異次元であり通訳のルシファーを通さないとまともに会話にならない。
なお言語が異次元なだけでいうことは聞くし、割と素直だったりもする。単に世間知らずなだけ。
拒食症だが食い倒れツアーに興味を持ったり遊園地の風船をルシファーの同類だと思ったりと精神的には一番子供なのかもしれない。というか実際最年少。
ルシファー(年齢不明)
身長:変形するのでよくわからない
体重:変形して結構変わる
イメージCV:特になし(合成音声っぽい声)
モデルイメージ:ルシフェロ(ギルティギア2)
アークのお供の風船。元ネタのもろパクリ?気にするな!
風船のようだが変形してバズーカ上になり、さらに平べったくなり謎の推力と共に高速移動もできる。
多少やかましいのが難点だがアークの会話が異次元なので通訳業で寧ろ役に立っている。
そう考えると見た目がキモイ以外の欠点がないというまさに万能。
風船の癖につぎはぎってどうやって浮いてるんだろうこいつ。
アクワイア(番外編時点で16歳。本編17歳)
身長:143cm
体重:34kg
イメージCV:松岡由貴
モデルイメージ:沖田総司(バクマツ維新伝)
傭兵事務所の癒し担当。
ふわふわした表情と言い回しで謎の癒し空間を発生させることがあり、胃痛に悩むフロムを度々救っている。
傭兵事務所の中ではかなり常識人な方(よくサボることを除けば)であり、ラステイション中〜下層部で割と顔が広い。
セクハラ癖があり、趣味は『美少女の衣服を脱がすこと』。下着は取らないのがジャスティスだそうだが【どう考えても問題はそこではない】。
武器はツルハシ。武器と言ってもそれで攻撃するわけではなく、地面を掘ることでモンスターを召喚する召喚士タイプ。本人の戦闘力は0。
サンドロット(番外編時点で19歳。本編20歳)
身長:173cm
体重:120kg
イメージCV:折笠富美子
モデルイメージ:フレイヤ(斬撃のレギンレイヴ)+黒マント・黒長髪
傭兵事務所の戦闘狂。
闘うことにしか興味がなく、日々強い相手と戦うことだけを考えており、度々フロムの頭を悩ませる。
過去事故で瀕死の重体になるもがすとの((治療|かいぞう))により一命を取り留め、なんだかよくわからない生物になった。なおその事故の名残か左腕が欠損している。
武器は黒い大剣。別にドラゴンころしなんて名前じゃない。
基本は背丈より少し大きいぐらいだがちょくちょく巨大化する。原理は不明。これを片手で振るう。
サンドロットは【自分と相手の強さを平均化する】という特殊能力を持っておりタイマンで戦うと確実に泥仕合になる。なお多数いる場合平均化された強さが人数分分配される。サンドロットが参加する多対多は確実に双方壊滅なんて事態になるだろう。
なお、この能力は敵が強いほど強くなり、弱いほど弱くなる能力なので、【禁忌種だろうとスライヌだろうと互角の戦いを強制される】。何だかよくわからない能力だが、とにかく一対多に強い。
ボス(年齢不明)
身長:不明
体重:不明
イメージCV:nao
フロムがスポンサーという謎の相手。
何もかもが謎に包まれているが、とにかく女性ということだけはわかる。
説明 | ||
その名の通りの番外編。 本編に関係あるかもしれない組織がギャグっぽく日常を過ごすだけの番外編。失踪しないためとか言ってるけどこれ書くのに三週間ぐらいかかったんだぜ。 そして…うん。もう何も言うまい。(クオリティ的な意味で) |
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コメント | ||
>ロージュ&ミヤウエ御中 フロム「うちみたいに辺鄙な裏企業だと逆に信用できるんだよね、金に関しては。それに払われなかったら…殺ればいいわけだし。」がすと「なんとなく思いついたからやった。反省はしていないですの。殺し方指定されなかったし。」フロム「まぁ、うん…そうなんだがな……」(リアルではおぜうタイプ@復帰) 電話だけで金銭取引済ませるとかさすがアウトロー。暴力団の金貸し並みにクイックだ・・・んであんな劇場型犯罪チックに派手に死者を晒し者とは、がすとめ、なんという愉快犯。(柏中ロージュ&ミヤウエ) >クリケット氏 フロム「変態は褒め言葉(キリッ」がすと「しかし全く同じ身代わりをするとは。単細胞にもほどがあるですの。だから獣臭いんですの。」フロム「で、その狼は?」がすと「…培養液で大人しくしてもらうですの。獣臭いとはいえ悪魔に興味があるですの」フロム「殺すより嫌なことを…」(リアルではおぜうタイプ@復帰) >ツバキちゃん ほぼ全員その社のネタなのでググってみるといいかも。(ただしニャル子・ドラゴンころしは除く)がすと「妹は害悪。存在価値を疑うですの。」フロム「脱衣話はいいから。まぁ、女神嫌いは私とがすとだけ【かも】しれないけどな。じゃ、度々番外編もよろしく。」(リアルではおぜうタイプ@復帰) 氷室「全員個性が強いな。」 確かに。 エスター「1つだけ共通してるのは守銭奴ウサギ(笑)も貧乳漢女(笑)も全員"変態"ってことでさ。」 氷室「変態と言うより別の意味での"廃人"だろ(笑)」 ライ「2人とも口悪すぎだろ『じゃ、後は任せた。』……って、え? この状態で俺だけここに放置ー!!?」 哀れなライに合掌…。(クリケット) フウ「おー、フロムさんとなんか色々ー。というかネタ分かったのアクワイアさんだけっていうね」ヴァイス「…相手の掴みを避けてると服が壊れて面倒…」フウ「暗躍する人たち、って感じ?」アリス「とりあえず女神嫌いなのは変わりないですから…フウちゃんは仲良くなれそうにないですね」フウ「え?なんで?」(風音ツバキ) |
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