仮面ライダークロス 第二十九話 Oの連鎖/とある家族の愛憎劇
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クロス、ブレイド、ソウガの三ライダーは、あるドーパントと戦っていた。ドーパントの名はオールド・ドーパント。オールドクリークという赤い波動を自在に生み出し、触れた相手を老化させるドーパントだ。

 

 

なぜ彼らがこんなドーパントと戦っているのか、話は数時間前にさかのぼる。

 

 

 

 

 

「老けさせ屋?」

一真と一緒に買い物に出掛けた光輝は、途中でディスクに出会い、頼みたいことがあると言われて話を聞いた。

ディスクが今言った老けさせ屋とは、風都のどこかに存在する占い師で、依頼を受けて標的を老化させるという。彼女はその老けさせ屋を倒してほしいらしい。

「あなたなら、おじいさんにされても大丈夫でしょ?」

彼女の言う通り、光輝にはアンリミテッドフォースがあるため、老人にされても元に戻れる。

「確かにそうだけど…」

渋る光輝。いかにすぐ治せるとはいえ、進んで老人になどなりたくない。

「お願いよ。ヴェルタース教の会長からも頼まれてるの。なんでも、お孫さんがおじいさんにされちゃったみたいで…」

「えっ、お孫さんやられたの!?」

光輝は驚いた。ヴェルタース教の会長といえば、光輝も面識がある。故人となった両親の件でも世話になった。ともなれば、引き受けないわけにはいかない。

「…わかった。引き受けるよ。一真もいいかな?」

「ああ、もちろん。」

二人は引き受けた。

「それで、どうすればいいの?」

一真はディスクに訊く。まず老けさせ屋を見つけることから始めるわけだが、老けさせ屋は占い師。占い師と一口に言っても、風都に占い師などいくらでもいる。その中から見つけるとなると、かなり大変だ。

「老けさせ屋なら、もう見つけてあるわ。この男よ」

相変わらず仕事が早いディスク。彼女は二人に、一枚の写真を見せる。これに写っている男が、老けさせ屋の正体らしい。

「ちなみに、ダンテとバージルにも頼んであるから、二人と協力して捜して。」

本当に仕事が早いディスク。最高の助っ人まで手配してあった。

 

 

 

 

 

それから二人と合流し、現在に至るというわけである。

「はっ!」

「ぐあっ!!」

ブレイラウザーでオールドを斬りつけるブレイド。

「オラオラ!!」

「があああっ!!!」

ドレッドマグナムで銃撃するソウガ。

「でぇやっ!!」

「うおあああっ!!!」

最後にクロスが衝撃波を放ち、オールドを吹き飛ばす。

「こんの野郎!!」

怒るオールドはオールドクリークを生み出し、クロスを攻撃する。

「光輝!!」

「危ねぇ!!」

慌ててクロスを突飛ばすソウガ。

「「ぐおあああああああああ!!」」

ソウガはオールドクリークを食らって、変身が解けた。

「ダンテ!!バージル!!」

「よそ見してんじゃねぇぞ!!」

「光輝!!」

今度はブレイドがクロスの盾になる。

「うぅっ!!」

ブレイドはダメージを受けるが、それだけだ。ブレイドは不老不死のアンデッドであるため老化しないのだから、当然と言えば当然だが。

「一真!!」

「今だ!!」

オールドは自分自身をオールドクリークで包み、その場から離脱した。

「くっ…逃げられたか…!!」

「ごめん一真。僕のせいで…」

「俺の事はいい。それより、ダンテとバージルを…」

「そうだ!二人を元に戻さないと…」

クロスは二人の元に駆け寄るが、

「…あんまり変わってない?」

思わず呟いてしまうクロス。そう。ダンテもバージルも、あんまり変わっていないのだ。ここで読者の皆さんに思い出してほしい。この二人はスパーダの血を受け継ぐ、半人半魔の存在だということを。

 

実は、スパーダはもう既に二千年以上生きている。そんな長大な寿命の悪魔の血を受け継いでいる二人が、長大な寿命を受け継いでいないわけがない。事実、今の二人の外見はほとんど変わっておらず、雰囲気がちょっと渋くなったかな?くらいな感じである。

「むしろ、こっちの方が似合ってるような…」

「冗談言ってんじゃねぇぞ!!早く戻せ!!」

クロスが冗談を言うと、ダンテに怒られた。本気で怒らせると殺されかねないので、クロスは二人にアンリミテッドフォースをかけて元に戻す。

「ったく、ひでぇ目に合った…」

「ちなみに、老化するってどんな感じだった?」ブレイドは変身を解いて、二人に訊く。もう絶対に歳を取らないから、少し気になったのだろう。

「…うまく表現できないが、最悪の気分とだけは言っておこう。」

バージルはいかにも不機嫌といった感じで答えた。

「でもどうする?」

クロスは変身を解く。

「老けさせ屋には逃げられちゃったし…」

「また捜すしかないだろう。」

当然のように言うバージル。

「そうだね…」

言いながら、一真は時計を見る。時刻は六時。

「今日はもう遅い。明日また出直そう」

一真の言葉を聞き、一同は解散した。

 

 

 

 

 

翌日。

「よし、早速老けさせ屋を捜しに行こう。」

「うん。」

老けさせ屋を捜しに出掛けようとする光輝と一真。

と、

「うっ…」

突然光輝が頭を押さえてうずくまった。

「光輝!?大丈夫!?」

光輝を心配する一真。

「う、うん。大丈夫だよ」

「…無理はしない方がいい。君は休むんだ。ダンテとバージルには俺から言っておくよ」

「本当に大したことないから、大丈夫だって!」

「いいのいいの!翔太郎さんや照井さんにも協力を頼むから、何も心配する必要はない。」

強がる光輝を無理矢理ベッドに寝かせる一真。

「安静にしてるんだよ!」

一真はそう言って、一人出て行ってしまった。

「…本当に大丈夫なんだけどなぁ…」

光輝は眠った。

 

 

 

 

 

照井はブロリーと一緒に、自分の家族の墓参りに来ていた。

と、墓には既に白い花が供えられており、誰かが先に来たことを物語っている。

(ランスターか?)

照井が思った時、

 

「照井さん?」

 

声がした。そこには、ティアナとスバル。それからギンガがいる。

「ああ、君達か。どうしたんだ?」

訊いてみる照井。

「いえ、ちょっと照井さんのご家族のお墓参りに…」

「あたしは付き添いで…」

「私もです。」

ティアナ、スバル、ギンガの順番で答えた。ティアナが今来たということは、この花を供えたのは、

(ランスターじゃない…)

ということになる。

(じゃあ誰が…)

考える照井。すると、スバルが照井に尋ねた。

「あのー…そちらの方は?」

「この前新しく風都署に就任したブロリー刑事だ。」

「ブロリーです。照井刑事の付き添いで、お墓参りーに来ました。」

「はぁ…」

スバルはブロリーから感じる謎の威圧感に、若干圧倒される。照井は一応、ティアナに訊いた。

「ランスター。この花を供えたのは君か?」

「いえ、今来たばかりですけど…」

「そうか…」

やはりティアナではないらしい。

 

 

 

 

 

鳴海探偵事務所に着いた一同。

「ブロリーです。」

ブロリーは初対面の翔太郎達に、軽く挨拶した。

「は、はぁ…これはどうもご丁寧に…」

「こ、こちらこそ…」

思わず頭を下げる翔太郎とフィリップ。

そこへ、

 

「すいません!」

 

一人の女性が訪ねてきた。

「お客さん?」

亜樹子が首を傾げると、女性は言う。

「みゆを…うちのみゆを助けてください!」

言った瞬間、一人の老婆が入ってきた。

「…どなた?」

「あーおばあちゃん。何かご用ですか?」

亜樹子が尋ね、翔太郎がうやうやしく接触する。と、

「おばあちゃんじゃない〜!」

老婆は翔太郎を突き飛ばし、女性に抱きつく。

「ママ〜早く帰ろうよぉ〜!」

「…ママって…もしかして…」

亜樹子はまさかと老婆を見た。女性は答える。

「うちの…みゆです…」

「「「「「…ええええええ!?」」」」」

驚く亜樹子、翔太郎、スバル、ギンガ、ティアナ。

「フフフ…事件の予感だぁ!」

ブロリーが笑い、

「ブロリー刑事。不謹慎だぞ」

照井がブロリーを諫めた。

 

 

 

このあと、彼らは知ることになる。

 

 

この奇妙な事件に隠された

 

 

 

 

とある家族の愛憎劇を。

 

 

 

 

 

 

園咲家。

「お父様。」

若菜は琉兵衛に話しかけた。

「シュラウドという女をご存知?ミュージアムの邪魔をしているとか…」

若菜は怒る。

「許せない…必ず見つけ出して、始末しますわ!」

「…そう簡単にいく相手ではない。」

琉兵衛は言った。

「あの女はまさしく、怨念の塊だからな。」

「怨念の塊?どういうことですの?」

「…実は…お前には隠してきたのだが…」

 

 

 

 

 

依頼人の名は後藤良枝。彼女の話によると、自分の娘である後藤みゆが、たった一晩で老婆になってしまったらしい。しかも、もうすぐ行われる演劇の主役も務めているという切羽詰まった状況だ。

そこへ、一真、ダンテ、バージルの三人が来た。

「えっと…何かあったんですか?」

一真が尋ね、翔太郎が事情を話す。

「それ、老けさせ屋の仕業じゃねぇか?」

ダンテが言った。

「老けさせ屋?」

照井が訊き、バージルが説明する。

「そんな奴がいたのか…」

「昨日のうちに倒しておけば、こうはならなかったかもしれん。我々の責任だ」

老けさせ屋、オールドを倒せなかったことを悔やむバージル。

「気にすることないよ。あたし達だって全然知らなかったわけだし」

亜樹子はバージルをなだめる。

「人間をおじいちゃんおばあちゃんに変えるなんて…」

「そんなドーパントもいたんだ…」

ギンガとスバルは驚く。と、ティアナはあることに気付く。

「そういえば、白宮先輩はどうしたんですか?」

ダンテが答えた。

「俺もカズマから聞いただけだからよくわかんねぇが、どうも調子が悪いらしくてな。家で寝てるってよ」

「そうですか…」

すると、ブロリーがダンテの肩を叩く。

「お大事になぁ。」

「…伝えとくぜ。」

 

 

 

 

 

その後、一真達から老けさせ屋たる男性、相場の写真を見せてもらった翔太郎達は、相場を捜しに行く。ナカジマ姉妹やティアナ、ブロリーも一緒だ。

 

街中をそれぞれ手分けして捜し回る一度。そして、亜樹子が相場を見つけ、一同に連絡。相場を包囲した。

「あっ!お前ら、昨日の餓鬼どもじゃねぇか!!まだしつこく捜し回ってたのかよ!!」

「そういうわけだ。大人しくメモリを渡せ」

「くっそー!!」

 

〈OLD〉

 

相場はバージルの要求を無視して、オールドメモリを使用。オールドに変身する。それを見て一同も変身。

「お前ら!奴の出す赤い波動に気を付けろ!触ったらじいさんばあさんになっちまうぞ!!」

警告するソウガダンテサイド。

「これでも食らえ!!」

オールドはオールドクリークを出して亜樹子を狙う。

「わっ!なになになに!?」

「言ったそばから…!!」

ソウガは亜樹子を守ろうとするが、

「ぐあああああっ!!」

それより早くアクセルが亜樹子の盾になり、亜樹子を守った。

「だ、大丈夫か所長…?」

「う、うん…」

「お前…よくも!!」

クロスミラージュでオールドを銃撃するティアナ。

「奴を倒せば!!」

オールドに挑むブレイド。

「ダンテ。出来る限り距離を置いて戦うぞ」

「ああ。もうじいさんになるのは勘弁だからな…!!」

 

〈DREAD!〉

 

ソウガもドレッドマグナムで銃撃。

 

「俺達も行くぜ!!」

 

〈XTREAM!〉

 

Wはサイクロンジョーカーエクストリームに強化変身し、さらにプリズムソードで斬り込んでいく。

「ギン姉!あたし達も!!」

「ええ!!」

ナカジマ姉妹も殴りかかり、

「血祭りに上げてやる!!」

ブロリーも伝説化して戦う。だが、

「来いブロリー!!」

「カカロットォォッ!!」

不意に悟空が現れ、ブロリーはそっちに行ってしまう。

「あの人、何のために来たんだろう…」

ブレイドは呟いた。

 

 

接近戦でオールドを追い詰めるWとナカジマ姉妹。そしてブレイド。その時、オールドは突如として反転。攻勢に出た。

「気持ち悪っ!!こいつ裏向きになりやがった!!」

予期せぬ攻撃方法に驚き、オールドから攻撃を受けるW。

そして、

「ハァッ!!」

「「うわああああああああああ!!」」

ついにWも、オールドクリークを浴びてしまう。と、Wは突然プリズムソードを杖にして身体を支えた。

「翔太郎!?どうしたんだ翔太郎!!」

「わかんねぇ…急に…足腰が…!!」

さらには、変身が強制解除される。

「エクストリームが強制変身解除されるなんて…翔太郎!!大丈夫か!?」

慌てて駆け寄るフィリップ。翔太郎の髪の毛は一部が白髪になっており、翔太郎は、

「は?今なんておっしゃった?」

と聞き返した。

「貴様…よくも左を!!」

 

〈TRIAL!〉

 

アクセルはアクセルトライアルに強化変身し、オールドに向かって走る。オールドはそれを察知して逃げようとするが、

 

トライアルの百倍近い速さで飛来した何かがオールドの顔面に激突し、オールドの逃亡は阻止された。

 

オールドの顔面に激突した物は、袋入りのキャンディーだった。

そして、一人の老人が現れる。スバルが驚いた。

「あ、あれ、ヴェルタース教の会長さんだよ!?」

「どうしてこんなところに!?」

ギンガも驚く。

「て、てめえは…!!」

オールドは激痛に顔面を押さえながら、会長を見る。会長は言った。

「私は孫をおじいさんに変えたドーパントを捜しに来ました。あなたですね?」

「だ、だったらどうするってんだよ?」

「孫に代わってお仕置きよ☆」

言うが早いか、会長はオールドに殴りかかった。

 

強い強い。オールドはあっという間に追い詰められていく。

「この野郎!!」

オールドはオールドクリークを会長に浴びせた。しかし、

「何でだ…何で効かねぇんだよ!?」

会長にはオールドクリークが効かない。

「私は特別な存在なのです。」

会長はそう答えた。

「くっそぉ!!」

オールドはヤケになって会長を殴る。だが、

「甘いです。」

会長はそれを片手で受け止め、逆にオールドを殴った。

「特別なヴェルタースオリジナルをくれてあげます。」

言った会長の手には多数のキャンディーが握られており、

「ウェッ☆」

会長はそれをオールドに投げつけた。大爆発を起こすキャンディー。

「ぐああああああ!!」

オールドは吹き飛ぶ。

「…強すぎでしょ。」

ブレイドが言った。

「一応、魔王って呼ばれてる人ですから…」

苦笑いするしかないティアナ。

「ウェッ☆」

さらに、目から破壊光線を出す会長。

「うぎゃああああああああああああ!!!!」

オールドは爆発に巻き込まれてどこかに飛んでいった。

「あっ!逃がしちゃった…」

亜樹子は呟く。会長は、

「特別な存在の君達に、特別なヴェルタースオリジナルをあげましょう。その味は甘くてクリーミィで、素晴らしいです。」

と言って、一同にキャンディーを配ってから、どこかへ行ってしまった。

「…何だったんだ?」

ダンテとバージルは変身を解除する。他の者もそれにならった。

「あれ?」

一真はあることに気付く。

 

「照井さん…老化してない…?」

 

そう、照井はオールドクリークの影響を受けていなかったのだ。

「大丈夫なんですか?」

尋ねるティアナ。

「ああ。今のところ何とも…」

答えかけて、照井は黙った。

 

 

彼の視界に、いずこかへ向かうシュラウドの姿が入ったからだ。

 

 

「シュラウド!?」

照井はシュラウドを追いかける。フィリップも追った。

「渋〜いお茶が、飲みたいのぉ〜」

老化が進む翔太郎。

「まずいな…このままでは…一真。光輝に連絡しろ」

「わかった!」

バージルの指示を受け、一真は光輝に連絡する。しかし、光輝は電話に出ない。

「俺、ちょっと光輝を迎えに行ってくる。」

一真はブルースペイダーに乗り、家に向かう。

ブロリーはその後にようやく戻ってきた。

「…照井刑事?」

ブロリーは照井を捜す。ティアナが教えた。

「シュラウドを追っていっちゃいましたけど…」

「馬ぁ鹿ぁなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ブロリーは叫んだ。

 

 

 

 

「シュラウド!!」

照井とフィリップはシュラウドに追いついた。

「…なぜお前がここに?」

照井の問いに対し、シュラウドはこう答える。

「…左翔太郎はもう使い物にならない。これからはあなた達二人でWになりなさい」

「あなたはまだそんな事を…!」

「フィリップのパートナーは、左以外にありえない!!」

当然反論する二人。シュラウドは返す。

「それでは究極のWになれない。」

「究極…W?」

「…サイクロンアクセルエクストリーム。」

シュラウドは答えた。

「そのパワーの源は、強い憎しみ…」

「憎しみ…」

照井が呟くと、シュラウドはさらに続ける。

「今度ばかりはあなた達の方から頼むことになるわ。究極のWになりたいと…」

 

 

 

 

 

一真は家にたどり着いた。すぐに上がり、光輝の部屋へ行く。

「光輝!光輝何で出ない…ん……」

一真は黙った。なぜなら、

「はぁっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ!」

光輝が眠りながら苦しんでいたからだ。

「光輝!?」

慌てて光輝の側に駆け寄り、手を握る。

「どうしたんだ光輝!!」

「…嫌だ…」

「えっ?」

「嫌だ!!」

光輝はさらに苦しむ。

 

 

「消えたくない!!僕はまだ、消えるわけにはいかないんだ!!」

 

 

「…消える…?」

一真は光輝の言葉を耳にし、光輝は落ち着いたらしく、また眠りについた。

「…」

一真は携帯を出し、ある人物に連絡する。

「もしもし、フェイトさん?」

 

 

 

 

 

「おーい探偵!近くまで来たからそのシケた面見に来てやったぞー!」

事務所にあがり込む真倉。

「おおマッキー。相変わらず騒がしいやつじゃのう」

そんな彼が目にしたのは、お茶をすする老人だった。

「…誰?このおじいちゃん。」

「…翔太郎くん。」

返答する亜樹子。ちなみに、ダンテ達も全員来ている。

「へ?まーたまた…」

当然信じられない真倉。

「マッキー。ちょっと腰を揉んでくれんか」

翔太郎はソファーに寝転び、マッサージを希望する。マッキーは渋々マッサージをすることになった。そこへ、良枝が現れる。

「事件はどうなったんですか!?早くウチのみゆを元に戻してください!!このままだとせっかくの主役が…」

「落ち着いてください!犯人はわかっていますから!」

良枝を落ち着かせるギンガ。フィリップとスバルが説明した。

「犯人は、老けさせ屋と名乗る占い師。」

「恨んでる相手をおじいちゃんおばあちゃんにしちゃうドーパントに変身するんです。」

ティアナは訊く。

「誰かから恨みを買った、なんて事はありませんか?」

「そんな…ウチのみゆが恨みを買うなんて…」

「…そういえば、みゆちゃんの親友だって子のお母さんは?」

亜樹子が尋ねる。

「光子さんの事ですか?とても親切な方ですけど…」

「それはどうかなぁ…」

亜樹子は疑問に思った。なぜなら、亜樹子がその女性、関根光子に会った時、彼女は親切とは程遠い、というか真逆の人間に見えたのだ。

「直接会って、確かめません?」

「はぁ…」

「ギンガちゃん、スバルちゃん、ティアナちゃん。翔太郎くんの事お願い」

「はい。」

「わかりました!」

「気を付けて。」

亜樹子と良枝は、関根家へ行くことになった。

「あ、そうだ。」

真倉は思い出す。

「照井刑事とブロリー刑事知らない?」

バージルが答える。

「パラガスという刑事から連絡を受けて、呼び戻されたらしいが…」

「そう?じゃあ…」

真倉は去ろうとするが、亜樹子に止められた。

「ギンガちゃん達と一緒に翔太郎くんの事お願い。」

「え、ええっ!?」

亜樹子はそれだけ言うと、良枝と一緒に出ていった。

「さて、僕ももう少し検索してみよう。」

フィリップは地球の本棚に入る。

 

 

 

「…!?」

フィリップは驚いた。検索をしないと動かないはずの本棚が、動き回っていたからだ。

だが、その理由はすぐに判明する。

 

「ない!ない!」

 

若菜が検索を行っていたのだ。

「姉さん…何を検索して…!?」

「…来人。シュラウドという女を知っているわね?」

若菜に問いただされ、フィリップは言いよどむ。

「…会ったことはあります。」

「どこへ行けば会えるの!?お父様はそこまで教えて下さらなかった!!」

「会ってどうするんです?」

「…あなた知らないの?」

「何を…?」

「…まぁいいわ。」

若菜は地球の本棚から消えた。

 

 

 

 

 

「しかし、一真は遅いな…」

バージルが呟くと、ダンテの携帯に電話がかかってきた。

「カズマからだな。」

ダンテは電話に出る。

「俺だ。どうした?…あ?コウキがこれなくなった?何でだよ?…コウキが消える!?」

ダンテは電話内容に驚き、それを聞いていた者も驚いた。

「とにかく今からそっちに行く。それから改めて説明しろ」

ダンテは電話を切った。

「バージル。」

「聞こえていた。すぐ行くぞ」

席を立つ二人。スバルが呼び止める。

「あの、白宮先輩が消えちゃうって…」

「詳しい事情は、光輝から直接聞き出す。」

「それからまた教えてやるよ。」

ダンテとバージルは、事務所を出た。

 

 

 

 

 

加頭はトランクを開けた。中には、翔太郎達が使っている純正型と同じ形状のガイアメモリが、二十六本、納められている。ただ普通のメモリと違い、端子部分が青だった。加頭はトランクを閉める。しかし、冴子は見逃していなかった。

「今のメモリは…」

「あなたよりずっと以前にミュージアムを辞めた方が開発し、以降封印されていた物です。我々財団Xが次世代型ガイアメモリとして、独自に完成させました。」

「…父への裏切り行為ね…」

加頭は持っていたスプーンを落とす。

「でも、あなたはもうミュージアムの人間ではない。」

加頭が言ったことは事実である。

「ところで、あなたへのお客様のようですよ?」

加頭が言い、冴子が店の入り口を見ると、そこには照井が立っていた。

「では。」

加頭は店を出て行った。

「…ここがわかるなんて、さすが優秀な刑事ね。」

冴子は照井を迎える。

照井が冴子の潜伏先を見つけられた理由だが、それは数分前にさかのぼる。

 

 

 

 

 

照井とブロリーは、パラガスに呼び戻された。

『パラガス刑事。要件とは?』

『私は科学者に、園咲冴子の居場所を見つけ出す装置を造らせました。』

『!?本当か!?』

照井が尋ねると、パラガスの隣にいた黒衣の科学者が、地図を出して教える。

『コンピューターが弾き出したデータによりますと、ここですじゃ。』

『…ここか。礼を言う』

照井は地図の場所を記憶し、その場を去った。

『親父ぃ。ガンバガンバ』

ブロリーも照井を追う。

 

 

 

 

 

というわけである。

ちなみにブロリーは、

「ふおおっ!!」

「ああああああああああああ!!!」

「ぎゃああああああああああああ!!!!」

ベジータとトランクスと悟空を血祭りに上げていた。

 

 

照井は冴子に要求する。

「聞きたいことがある。シュラウドという女についてだ」

「…ああ、あの女…」

 

 

 

 

 

亜樹子と良枝は、関根家に到着した。出迎えたのは、光子の娘にしてみゆの親友、久美だ。

「あ、みゆちゃんのママ。」

「ねぇ久美ちゃん。お母さんいる?」

「うん。でも、今お客さんが…」

その時、

 

「じゃあ、また何かあったら連絡を。」

 

関根家から相場が出てきた。亜樹子が驚く。

「あーっ!老けさせ屋!!」

「ん?お前あの時の…」

「よくもいけしゃあしゃあと…覚悟しなさい!」

「覚悟するのはそっちだろ?」

 

〈OLD!〉

 

相場はオールドに変身する。

「今回は出家大サービス!五十年コース無料体験だ。婆さんになっちまいな!」

ゆっくりと近付くオールド。そこへ、

「本当、最低の人間だね。」

フィリップとナガシマ姉妹がやってきた。

「フィリップくん!スバルちゃんにギンガちゃんも!」

「助けに来ました!」

「事務所はティアに任せてあるから大丈夫です!」

「あっ!餓鬼ども!」

「あたし達が相手だよ!」

スバルとギンガはデバイスを起動させ、オールドを引き離した。フィリップも追う。良枝は光子に詰め寄った。

「どういうことですか光子さん!?」

しかし、光子は答えず、久美を連れて家の中に入ってしまう。

「ちょっと答えて!」

良枝は光子を追って家にあがり込んだ。

 

 

 

 

 

なぜか店内のビリヤード場に来ている照井と冴子。

「あの玉が私の父、園咲琉兵衛。」

冴子は多くの玉に囲まれた一つの玉を差す。

「そして、こっちがシュラウド。」

今度は手玉を差す冴子。

「あの女は一つの玉を落とすために、周りにある全ての玉を動かした。」

冴子は玉を打ち、二つのポケットにそれぞれ一つずつ、玉を落とす。

「今落ちたのはあなたの家族よ。」

「…何?どういうことだ?」

 

 

 

 

 

「ファングジョーカーなら、戦える可能性はあるね。」

 

〈FANG!〉

 

フィリップはWファングジョーカーに変身。ナガシマ姉妹とともに、オールドを討つ。

 

 

 

 

 

「私、井坂先生から聞いたの。」

冴子は照井に説明する。

 

 

 

「井坂先生にウェザーのメモリを渡したのはシュラウドよ。」

 

 

 

「何だと!?」

 

 

 

 

 

オールド相手に激戦を展開する三人。

しかし、突然Wの動きが悪くなった。

『なんか、わし、眠くなってきた。』

「翔太郎!?」

そんなWに向けて、オールドは容赦なくオールドクリークを放つ。

「危ない!!」

間一髪でWを救出するギンガ。そこでWは気付いた。こちらを見ているシュラウドの存在に。

(こいつを倒すためには…やはり、サイクロンアクセルエクストリームになるしかないのか!?)

 

 

 

 

 

ダンテとバージルは、光輝に詰め寄る。

「どういうことだよコウキ!?」

「お前が消えるだと!?」

「…」

コウキはつらそうな顔で、ゆっくりと語った。

「…夢の中でアンリミテッドフォースに言われたんだ。僕の覚醒はまだ終わっていない。そして、その真覚醒とも呼ぶべき覚醒が終わった時…」

光輝はそこで一旦言葉を切り、告げる。

 

「僕は神を治める者、神帝となり、この世界から消える。」

 

 

 

 

 

冴子は語る。

「わかった?あなたの家族はシュラウドに殺されたも同然なの。残念だったわね。井坂先生を倒して復讐を果たした気になっていたのに…」

そこまで言ってから、冴子は再び構え、

「復讐は終わらない。」

手玉を打つ。

 

 

 

 

 

 

「「リボルバァァァ…!!」」

スバルとギンガはカートリッジをロードし、マッハキャリバーとブリッツキャリバーを始動。

「「キャノンッ!!」」

全力の拳を放ち、オールドを吹き飛ばした。

「くっ…こんなことしたって無駄だぜ!俺はこれからも、人の恨みを晴らし続けてやる!!」

オールドはオールドクリークで身を包み、逃走した。

「…恨み…」

亜樹子と一緒に戦いを見に来ていた良枝は、小さな声で呟いた。

 

 

 

 

 

「覚醒が終わっていなかった?真覚醒?」

「光輝、どういうこと?」

光輝に尋ねるフェイトと一真。光輝は答えた。

「無限の使徒が真の意味で完全覚醒すると、アンリミテッドフォースの使用にはエターナルメモリも、インフィニティーメモリも必要なくなる。そしてその時こそ、無限の使徒は神を超えた最強にして絶対の存在、神帝になる。」

「早い話が、今より強くなるってことだろ?それと消えるってことと、何の関係があるんだ?」

ダンテが訊く。

「…僕は知ったんだ。覚醒した無限の使徒こそが神帝になれる。人間の中から新たな神帝を選ぶ…それこそが無限の使徒の誕生理由なんだ。そして、神すら超えた力を持つ者が人間の世界に留まることは、許されない。」

つまり、光輝の話をわかりやすく説明すると、無限の使徒とは、神が人間の中から次の神帝として選別した存在であり、完全覚醒を迎えた者が神帝になれるということだ。

そして、神帝になった者は人間世界を離れ、誰にも知られることなく世界を見守る、永遠の存在となる。

「そんなの嫌!!」

フェイトは光輝に抱きついた。

「フェイトさん…」

「嫌だよ…光輝…」

「…ごめん。もう、決まったことなんだ。」

「…無限の使徒…ただ無限の力を操るだけの存在とは思えなかったが、まさかこのような結果をもたらすとは…」

バージルは驚き、そして、友人に何もしてやれない自分に対して怒りを覚えた。

 

 

 

 

 

「シュラウドォォォォーッ!!!」

ブロリーとともに例の雑木林を訪れた照井は、シュラウドを捜す。

間もなくして、シュラウドが現れた。照井はシュラウドを問いただす。

「訊かせろ。なぜ俺だった?」

「あなたが、私がずっと捜していた特殊体質の人間であることがわかったからよ。」

「特殊体質?」

「精神干渉タイプのドーパントの攻撃を無力化する人間。実際、オールドの攻撃が効かなかった。それはすなわち同じ種類のドーパント、テラーの攻撃にも耐えられるということ。」

「そのために左も排除したのか。あのドーパントを利用して!」

「そうよ。」

「ウソです!!がはっ!!」

ブロリーが割り込んできたトランクスを殴り飛ばした。

「そして、あなたの持つその憎しみこそが、Wサイクロンアクセルエクストリームの力の源となる!」

シュラウドはそれをスルーして話を続ける。

「…もう一つ訊かせろ。井坂にメモリを渡したのはお前か?」

「…それは…」

「答えろッ!!」

「…本当よ。」

「…そうか。よくも俺の家族の命を!!」

照井はエンジンブレードを振りかぶり、シュラウドに挑んだ。しかし、エンジンブレードはシュラウドが取り出した護身用の銃、シュラウドマグナムに叩き落とされてしまう。

「とてもいい目をしている。その調子よ」

「俺達はお前の道具じゃない!!」

 

〈ACCEL!〉

 

照井はアクセルに変身。それに合わせて、

 

〈BOMB!〉

 

シュラウドはシュラウドマグナムにボムメモリを装填。

 

〈BOMB・MAXIMUM DRIVE!〉

 

マキシマムを発動させ、引き金を引く。すると、発射された光弾が分裂し、時間差でアクセルに襲いかかった。

「!!よくも照井刑事を!!」

ブロリーはシュラウドへの怒りが頂点に達して伝説化。

 

〈TRIAL!〉

 

「手を出すな!!こいつは俺がやる!!」

 

〈TRIAL!〉

 

アクセルはアクセルトライアルに強化変身。ブロリーはエネルギー弾でアクセルを援護し、アクセルはシュラウドのもとに到達する。

 

アクセルがシュラウドの顔面で蹴りを止めるのと、シュラウドがアクセルの顔面にシュラウドマグナムを突き付けるのは、同時だった。

 

「やれ。」

シュラウドはシュラウドマグナムを引く。

「私の命を断てば、お前は完全なる憎しみの化身となる。」

「…くっ…!」

「ならこの俺が血祭りに上げてやる!!」

シュラウドに襲いかかるブロリー。

 

その時、三人を重力弾が襲った。

 

「へああっ!?」

「「ぐあああああああああああああ!!!」」」

吹き飛ばされるアクセルとシュラウド。

「何なんだ今のは?」

ブロリーは驚いただけでノーダメージだが。

「その女は私の獲物よ。」

現れたのは、クレイドールだ。

「わ、若菜…!!」

シュラウドはクレイドールの変身者たる女性の名を呼ぶ。

「気安く呼ばないで!!私達家族を捨てたくせに!!」

クレイドールは怒り、シュラウドに向けて重力弾を乱射する。アクセルはクレイドールに組み付く。

「答えろ!!家族とはどういうことだ!!」

「…いいわ。教えてあげる」

クレイドールはアクセルを振りほどいてから変身を解除した。アクセルも変身を解除し、ブロリーも通常状態に戻る。

「その女の名は園咲文音。私と来人の、実の母親よ。」

「何!?」

「え゛」

驚く照井とブロリー。シュラウドは顔を伏せる。照井は尋ねた。

「本当なのかシュラウド!?」

「…本当よ。」

シュラウドは、そう告げた。

「照井竜。また来なさい…」

シュラウドは炎を出現させ、その中に消えてしまう。

「逃げられた!!」

舌打ちする若菜。だが、照井を見て言う。

「…お前がやるならそれでも構わないわ。」

若菜も去ってしまった。

「…俺は…無視ですか…」

呟くブロリー。照井は、すぐ近くにある木の根元を見た。

 

そこには、照井家の墓に供えられているものと同じ、白い花があった。

 

 

 

 

 

 

「でもみんな、心配しないで。僕が園咲琉兵衛を倒すまでは消えないよう、誓約を立てさせてあるから。」

光輝は言った。しかしそれは…

「つまり、両親の仇討ちを終えるまでの間、か…」

一真が呟いた通り、光輝にとっての最初の目的を果たすまでの期間である。

そこで、クロスフォンに翔太郎から電話がかかってきた。

「もしもし、翔太郎さん?」

「おぉ〜光輝。実は今老けさせ屋を捜しとってのぉ〜…捜索を手伝ってほしいんじゃ。」

「わかりました。すぐ行きます」

光輝は電話を切った。

「翔太郎さんが、老けさせ屋を捜すって。みんな、協力してもらっていいかな?」

光輝は協力を要請するが、ダンテも、バージルも、一真も、フェイトも動かない。

「…だから、大丈夫だって!僕が園咲琉兵衛を倒すまでは、絶対に消えな「もうやめろ!!」!?」

怒鳴ったのはバージルだ。

「それ以上…自分を偽るな。」

「バージル…」

「…わかっているぞ。お前はただ覚醒しただけでなく、エターナルメモリとインフィニティーメモリというファクターを使うことで、真覚醒までの時間を劇的に早めてしまった。誓約があるとはいえ、いつ消えてもおかしくない。そして、一番消えたくないと願っているのは、紛れもなくお前自身のはずだ!!」

「…やっぱりバージルはなんでもお見通しなんだな…」

核心を突かれ、光輝は白状する。

「そうだよ、消えたくない。せっかくこんなに素晴らしい仲間ができたのに、僕はもうすぐ消えてしまう!!そんなの嫌だ!!僕はもっと…もっとみんなと一緒にいたいよ…」

泣き出してしまう光輝。

「私も嫌!!せっかく…ようやく光輝と恋人同士になったのに…こんな別れ方…嫌…」

フェイトも泣く。

「…」

「…」

「…」

ダンテ、バージル、一真は、何も言えなかった。

「でも、じっとしてるのも、嫌なんだ。」

顔を上げる光輝。

「一度戦う力を手にしたからには、もう後には引けない。最後の時まで戦い続ける!僕は、仮面ライダーだから!!」

その瞳には、強い意志が宿っている。

「…それがお前の選んだ道なら、俺はもう何も言わない。」

「できる限り協力してやるよ。俺達も、仮面ライダーだからな!」

「俺だって仮面ライダーだ!君は俺が守る!!」

「私は仮面ライダーじゃないけど、それでも光輝のためなら、何でもする!!」

口々に協力を申し出る光輝の友人達。

「みんな、ありがとう!!」

光輝は心から礼を言った。

 

 

 

 

 

照井はブロリーとともに、再び雑木林を訪れていた。

「ようやく決心がついたのね。」

二人の前に現れるシュラウド。しかし、照井は首を横に振る。

「俺は、Wにはならない。」

「何!?なら、何をしに来た!?」

「…あなたを、許しに」

「っ!まだそんなことを言っているの!?」

「あなたは、自分の目的のために多くの人を巻き込み、傷付けた。あなたをそこまで駆り立てたもの…あなたを復讐鬼に変えたもの…それは、愛だ。」

「!!」

照井がこう言ったのにはわけがある。照井は一度事務所へ戻り、良枝が相場に依頼して、久美まで老人にしてしまったことを聞き、光子と良枝を咎めた。しかし、直後に劇団の責任者から、親が子に抱く愛は理屈ではないと聞き、シュラウドがこのような行動に出たと知ったのだ。

「…そうよ。」

シュラウドは肯定した。

「あの頃は、とても幸せだった。でもあの人は…園咲琉兵衛はあの時から、来人を道具のように扱った…!!」

シュラウドは、まだ自分が文音と名乗っていた頃、フィリップを奪われ、重傷を負わされたのだ。

「私は復讐を誓った。全てはあの子のために!!私の!!私の来人を取り戻すために!!」

そこまで、想いを吐き出し、シュラウドは気付く。すぐ側にフィリップがいて、話を聞いていたことに…。

「憎しみのWなど必要ない。俺達七人で証明する」

照井は言った。シュラウドは聞き返す。

「七人?」

「俺と、フィリップと、白宮と、剣崎と、ダンテと、バージルと…左翔太郎で。」

「全てウソです!!」

「帰れ!!」

「あああああああああああああああ!!!」

ブロリーがトランクスをエネルギー弾で吹き飛ばした。

 

ズドーン!!デデーン☆

 

 

 

 

 

 

「ようやく見つけたぞ!!」

翔太郎は亜樹子、スバル、ギンガ、ティアナとともに、相場を見つけていた。

「おい…俺に勝てると思ってんの?」

「勝てる!さぁ、お前の罪を…数えるんじゃ!」

翔太郎はステッキを振りかざし、相場を圧倒する。

「強いじゃない!!」

「…ウソみたいだけど」

褒める亜樹子と、こっそり言うスバル。

「若いもんには…まだまだ負けんわい…!」

既に息が上がっている翔太郎。そこへ、

「仙豆だ。食え」

ピッコロが現れて、翔太郎に豆を渡した。翔太郎はそれを食う。

「おお!!若返った気分じゃわい!!」

翔太郎が今食った豆は仙豆といい、食った者の体力を全快させるのだ。

「調子に乗りやがって…!!」

 

〈OLD!〉

 

オールドに変身する相場。

「みんな!行くわよ!!」

「うん!」

「はい!」

ギンガの言葉を皮切りに、デバイスを起動する三人。ピッコロは、

「ふん、化け物め…消え失せろ!二度とその面見せるな!!」

「ふおおっ!!」

なぜか近くにいたベジータをつかみ取り、オールドに投げつけた。

「ぐがっ!!」

倒れるオールド。

そこで、ようやく照井とフィリップとブロリーが来た。

「待たせたな。」

 

〈ACCEL!〉

 

照井はアクセルに変身。オールドに攻撃を仕掛ける。オールドはアクセルの攻撃をよけながら、近くの工場の中へ逃げていった。

 

〈CYCLONE!〉

〈JOKER!〉

〈CYCLONE/JOKER!〉

 

「ままま待たんか〜い!」

Wに変身した翔太郎も、よろめきながらアクセルを追う。

「あっ!翔太郎さん!!」

「危ないですよ!!」

スバルとギンガも追いかけた。ティアナはクロスフォンに連絡する。

「白宮先輩、老けさせ屋を見つけました!」

ピッコロとベジータは、

「全力で食い止めるぞ!!」

「サイヤ人の王子ベジータがぶっ殺してやる!!」

「帰れ!!!」

「ぐああああ!!!」

「おああああああ!!!」

ブロリーにズドーン!!デデーン☆された。

それらの様子を、シュラウドが見つめていた。

 

 

 

 

 

オールドを追い詰めるアクセル。そこへ、

「照井!大丈夫か!?」

スバルとギンガに肩を借りながら、Wが来た。お前が大丈夫か。

「まず二色の方から片付けてやる!ついでに餓鬼どももだ!!」

W、スバル、ギンガにオールドクリークを放つオールド。しかし、アクセルが立ちはだかる。アクセルはすぐ近くにシュラウドの視線を感じ、叫んだ。

「よく見ていろ。憎しみのWなど必要ない!!」

ダメージを受けながら突き進むアクセルは、オールドの手を掴む。

「何だこいつは!?」

アクセルは驚愕のオールドを無視し、そのままオールドの手を自分に当ててオールドクリークを塞ぐ。

「今だ!やれ左!!」

『ああ!』

「よっしゃ!二人とも、せーのでわしを投げてくれ。」

「わかりました!行くよギン姉!」

「ええ!」

「「せーの!」」

二人はWを投げる。

「えくすとり〜〜む!!」

Wは空中でサイクロンジョーカーエクストリームに強化変身。プリズムソードを抜いて、オールドを縦一文字に斬る。

「ぐああああああああああ!!」

オールドはダメージを受けるが、すぐ裏返った。しかし、その直後に、光線が、電撃が、榴弾が、魔力弾が、一斉にオールドに直撃した。クロス達が到着したのだ。

「大丈夫ですか!?」

一同の身を安じるクロス。

「大丈夫だ。ここは俺に任せてくれ」

 

〈TRIAL!〉

 

アクセルはアクセルトライアルに強化変身。

 

〈ENGINE・MAXIMUM DRIVE!〉

 

さらにエンジンブレードにエンジンメモリを装填。

「俺は、Wではなく、仮面ライダーアクセルだ!!」

言い放ったアクセルはトライアルメモリのマキシマムモードを起動。超高速で動きながら、オールドをエンジンブレードでT字型に斬りつけ続ける。

 

〈TRIAL・MAXIMUM DRIVE!〉

 

「絶望が、お前のゴールだ。」

「ぐああああああああああああああああああああああ!!!!!」

オールドはメモリブレイクされた。

「ちっ、せっかく来たのに出番なしかよ。」

「まぁまぁ…」

「ぼやくな。」

変身を解除する一同。オールドをメモリブレイクしたことで、翔太郎は元に戻っていた。

「やった!翔太郎くんが若い!」

「…何ですか、その喜び方…」

駆けつけた亜樹子にツッコミを入れるティアナ。

照井はシュラウドに訊く。

「俺の家族の墓に、白い花が手向けてあった。あれはあなたがやったんだろう?井坂の暴走は予期していなかった…違うか?」

「私は…彼の、テラーを倒したいという願望を聞き、力を与えた。でも、あそこまでの怪物だとは思わなかった。まさか、あなたの家族や、他の、あんなに多くの人の命を奪ってしまうなんて…ごめんなさい…。」

謝るシュラウド。そして、

「私はもう、干渉しない。」

シュラウドは去っていった。

「…行けよ。」

翔太郎は促し、フィリップはシュラウドを追いかける。しかし、シュラウドはもう、いなかった。

「…家族、か…」

光輝は来る途中、連絡を受けてシュラウドがフィリップの母であると知っている。と、フェイトが光輝の腕にしがみついた。

「フェイトさん?」

「…光輝には、私がいるから。残された時間が、わずかだったとしても…」

「…」

光輝は、何も言えなかった。

 

 

 

 

 

財団Xの一人、田端は、加頭からトランクを受け取る。

「AtoZ…二十六本確かに。私が責任を持って、財団本部にお届けします。」

「では、よろしくお願いします。」

田端は店から出て行った。加頭は、ビリヤードに興じる冴子に話しかける。

「ところであなたのお母様は、このゲームを降りたみたいですよ。」

「そう。」

冴子は再び玉を打ち、テーブルを見る。

 

 

「でもまだ動いてる玉はあるわ。」

 

 

 

 

 

 

 

風都ホテル。

木林影斗は、とある男性から電話で連絡を受けていた。

「お前から連絡するなんて珍しいな。今日はどうした?」

「もうすぐ俺達は、今お前がいる街、風都で大規模な作戦を実行する。」

「へぇー。それで?」

「昔共闘したよしみだ。お前を巻き込みたくない」

「で、今すぐ風都から離れろって?心配はいらねぇよ。だから、お前はお前で勝手にやりな。俺も俺で勝手にやる」

「…そうか…わかった。気を付けろよ」

「そっちもな、大道克己。」

影斗は電話を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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次回はいよいよ、AtoZ編です。お楽しみに!

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遅くなってすいません。長いですが、どうぞ。
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