ストライクウィッチーズD  第二話
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第二話「本当にありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

バルクホルン「く・・! このままでは!!」 

 

 

 

 

 

ネウロイの侵攻によって燃え上がり、崩れ落ちていくカールスラント

 

その中でバルクホルンは少しでも早く、撤退作戦を遂行させるために目下奮闘していた。

 

 

 

 

 

バルクホルン「くおりゃあああ!!」

 

 

 

 

 

そして、バルクホルンは目の前にいるネウロイを殺す勢いでシールドを展開しながら、攻撃をする。

 

そして、徐々にネウロイの装甲は剥がれていき、そこから、コアが浮き出る。

 

バルクホルンはコアを見つけるとすぐに自身が装備しているMG42でコアを攻撃し、破壊する。

 

そして、コアを破壊されたネウロイは白い破片となって、燃え上がる街へと落ちていく・・・・が落ちて行った先には一人の少女が崩れていく街の中、一人で泣いて立っていたのだ。

 

バルクホルンはその光景を見て、その少女の名を叫ぶ!

 

 

 

 

 

バルクホルン「クリスッ!」

 

 

 

 

 

その少女、自身の妹の名を叫んで、バルクホルンは現実で起きた悪夢から、目を覚ました。

 

周りを見渡すと、部屋は暗く、まだ夜中である事を指していた。

 

 

 

 

 

バルクホルン「何で、今頃こんな夢を・・・」

 

 

 

 

 

 

その日の朝、食堂にて・・・

 

 

 

 

 

キッチンでは芳佳とリーネが仲良く、皆のために朝食を作っていた。

 

そんな時、リーネはラジオか新聞で知ったニュースを芳佳と話していた。

 

 

 

 

 

リーネ「ねえ芳佳ちゃん聞いた? カウハバ基地が迷子になった子供の為に出動したんだって」

 

芳佳「へえ! そんな活動もするんだ、すごいね〜」

 

リーネ「うん!たった一人の為にねー」

 

芳佳「でもそうやって一人一人を助けられないと皆を助けるなんて無理だからねー」

 

リーネ「そうだね!」

 

 

 

 

 

そう言って、嬉しそうに会話を楽しんでいると、朝食を取りに来たバルクホルンが小さく口ずさむ・・・・

 

 

 

バルクホルン「皆を助ける・・・そんな事は所詮、夢物語だ・・・」

 

芳佳、リーネ「え、」

 

芳佳「え、何ですか?」

 

バルクホルン「すまん、独り言だ・・・」

 

 

 

 

 

バルクホルンは芳佳の質問を適当にはぐらかし、覇気の無い顔をしながら自分の食事を持ってテーブルの方へと向かっていった。

 

芳佳とリーネはそんな様子のバルクホルンを見て、顔を合わせた。

 

すると、そこに優輝が左手の義手に黒いグローブを填めながら、芳佳とリーネに挨拶をした。

 

 

 

 

 

優輝「おはよう。二人とも。」

 

芳佳「あ、優輝さん。おはようございます〜」

 

リーネ「おはようございます。優輝さん///」

 

優輝「朝食を食べに来たんだけど・・・・」

 

芳佳「あ、こちらです。」

 

 

 

 

 

芳佳はそう言って、カウンター席に置いてある朝食を優輝に手渡す。

 

そして、リーネが鍋からお玉でスープを掬い上げ、皿によそいそれを優輝に手渡す。

 

朝食を受け取った優輝は空いていたルッキーニの隣の席に座り、「いただきます」と言って、朝食を食べ始める。

 

食べていると、他の隊員たちも食事を受け取って、食べ始めるが・・・

 

優輝はふと、未だに食事に手を付けていないバルクホルンが目に入った。

 

すると、彼女の隣に座っていたエーリカが茶化すように声を掛けた。

 

 

 

 

 

エーリカ「どうしたのトゥルーデ? ご飯食べないなんて、食事だけはしっかり食べるのに手を付けないなんて?」

 

バルクホルン「ふん・・・・」

 

 

 

そう鼻で返事をして、黙々と朝食を食べ始めた。

 

それを見たエーリカは席に座って、同じく朝食を食べ始める。

 

 

 

 

 

バルクホルン「・・・・・・」

 

芳佳「え・・・?」

 

リーネ「どうしたの?」

 

芳佳「いや、誰かに見られていたような・・・」

 

リーネ「誰か・・・・?」

 

 

 

 

 

芳佳がそう言うと二人は食事している隊員の方へと顔をやったが、皆、普通に食事を取っていた。

 

 

 

 

 

ルッキーニ「おかわりー!」

 

芳佳「は、はい!(気のせいかな・・・・)」

 

 

 

 

 

芳佳はルッキーニに返事をしながら、何か腑に落ちないといった面目でご飯を配りに行った。

 

ルッキーニの所に行くと芳佳はバルクホルンがあまりご飯を食べていなかったのに気づき、申し訳なさそうな声で尋ねた。

 

 

 

 

 

芳佳「あの〜、お口に会いませんでしたか・・・?」

 

バルクホルン「・・・・・・」

 

 

 

 

 

芳佳の声にバルクホルンは無視して、まだかなり残っている食事を片づけていった。

 

それを芳佳はただ、黙って見送るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫

 

 

 

特にやることもなかった優輝は近くにある木箱に寝そべりながら、タバコを吸い。さっきのバルクホルンのことを考えていた。

 

 

 

 

 

優輝「あの目・・・何かを失った・・・いや、守れなかった目をしていた・・・だが、いったい何を・・・・」

 

 

 

 

 

そう呟いていると、外からストライカーのエンジン音が聞こえてきた。

 

優輝は訓練かと思い。タバコを灰皿に擦り付けて、外に出てみた。

 

 

 

そこには、エーリカとバルクホルンが飛行訓練をしていたが・・・・どうも、バルクホルンの様子がおかしかった。

 

飛行を見る限り、一歩遅れたり、一歩早かったりと、とても501のエースの一人であるバルクホルンの飛行とは思えなかった。

 

 

 

 

 

ミーナ「遅れてるわね・・・」

 

美緒「完璧主義のバルクホルンらしくないな。次のシフトは外した方がいいか。」

 

ミーナ「エースが使えないのは少し不安ね・・・」

 

美緒「ああ、火力が減るのは厳しいな・・・、優輝さん。」

 

 

 

 

 

美緒は後ろで訓練を眺めていた優輝に気が付いた。

 

優輝は空を見上げながら、二人に近づいて行く。

 

 

 

 

 

優輝「ああ、所で今日は彼女、どうしたんだい様子がおかしいけど?」

 

ミーナ「わかりますか・・・」

 

優輝「一応ね。」

 

ミーナ「宮藤さんが気になるみたいなんです・・・」

 

美緒「宮藤か・・・組ませてみるか」

 

優輝「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

そして、午後になりウィッチーズの皆でのお茶会があるというのだが。

 

リーネ、芳佳がテーブルにケーキや食器を準備している中・・・一人大量の汗を滝のように流しながら俯いている優輝が居た。

 

 

 

 

 

優輝「(マズイ・・・・泥水でも飲んできた俺が紅茶を飲めないなんて、言いづらい・・・しかも・・・)」

 

リーネ「〜〜〜〜♪♪」

 

 

 

 

 

そう苦い顔をしながら、嬉しそうに紅茶を丁寧に淹れているリーネの顔を見る。

 

先程、ルッキーニがおやつと言った時にポロっとリーネの紅茶はおいしいと聞いてしまった。

 

つまり、この紅茶は彼女が淹れたもの・・・・飲めないとわかったたら、彼女に申し訳が立たない・・・・

 

 

 

 

 

優輝「(ヤバい・・・紅茶をまさか最前線で飲むとは思っていなかった・・・)」

 

リーネ「あの、優輝さん。」

 

優輝「え! 何だい?」

 

リーネ「汗すごいですけど・・・具合が悪いんですか・・・・?」

 

優輝「あ! ああ! さっき、ちょっとさっき訓練しててね。お茶会が楽しみだったから、急いできたんだ!!(うおおお〜〜、何、言ってんの俺〜〜〜!!)」

 

 

 

 

 

心の中で自身の答えに悶え暴れるお兄さん(26歳)。

 

リーネは無理して楽しみにしてると答えた優輝の言葉に喜んで、さらに追い打ちを掛ける一言を言う。

 

 

 

 

 

リーネ「よかった〜♪ この紅茶、家から持って来た私のお気に入りの紅茶なんです♪ おかわりもできますから、楽しんで待っていてください♪」

 

優輝「うん・・・ありがとう・・・(宮藤博士・・・たぶんそちらへ逝きます・・・)」

 

 

 

 

 

優輝は生まれて数回目の命の覚悟(紅茶で)をした。

 

この時、少し離れたところで準備していた芳佳から聞いた所だと、目が虚ろになっていたらしい。

 

 

 

 

 

そして、準備が終ったころ、他の隊員たちは各自テーブルに着き。優輝は芳佳、リーネに挟まれるように座った。

 

リーネは頬を赤くしてニコニコしながら、ミーナの挨拶を待っている。

 

一方優輝は顔を青くしながら、足をガタガタと震わせて座り直す。

 

芳佳はそんな優輝を心配そうに見つめる。

 

 

 

ミーナ「では、ネウロイの攻撃日程は二日後となっているので、皆さん、しっかりと英気を養ってください。」

 

美緒「宮藤とリーネは午後から訓練だ。いいな?」

 

芳佳、リーネ「「はいっ!」」

 

ミーナ「では、いただきましょう。」

 

 

 

 

 

その号令で皆は自身の前にある紅茶を飲み始めた。

 

 

 

 

 

ミーナ「あら♪ 今日のはとてもおいしいわね♪」

 

シャーリー「ああ、いい香りっていうかさ、疲れがふっと抜けていく様な。」

 

サーニャ「・・おいしい・・・♪」

 

ペリーヌ「ええ、ほんとにおいしいですわ♪」

 

 

 

 

 

周りから絶賛の声が上がっていく。

 

声が上がるたびに心と喉が絞められていく。

 

そして、隣からのリーネの視線に耐えられなくなった優輝は覚悟を決めて、唾を飲みこみ、紅茶を口に入れる。

 

 

 

 

 

優輝「・・・・・・・・・」

 

リーネ「優輝さん♪ どうでしたか♪」

 

優輝「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

芳佳「優輝さん・・・?」

 

優輝「・・・・・・・ゴハッ・・」

 

 

 

 

 

軽く紅茶を吐いて、物凄い罪悪感を抱えながら、テーブルに突っ伏す。

 

周りから、色々な悲鳴や声が飛び交う中、優輝の意識はフッと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談   あの後、目を覚まして、リーネから物凄く謝られたけど、謝るたびに優輝の心の傷も増えていったという。

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日の夕食後、食堂でミーナが隊員のみんなの給料を払っていたのだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミーナ「ねえ、本当に良いの・・・?」

 

バルクホルン「ああ、全部向こうに回しておいてくれ。」

 

ミーナ「少しぐらい、手元に残して置いた方が・・・・」

 

バルクホルン「衣食住全て出るんだ。問題無い。」

 

ミーナ「そう・・・・」

 

 

 

 

 

ミーナは仕方ないといった感じに返事をした。

 

そして、次にキッチンの掃除をしている芳佳とテーブルに座って、義手を拭いている優輝を呼んだ。

 

 

 

 

ミーナ「宮藤さん、一条さん・・・ちょっと・・」

 

 

 

 

そのあと、芳佳はリーネと一緒に優輝がいつも居るハンガーの方に行き、優輝に教えられながら、ストライカーと武器の整備をして、今日貰った、お給料のことを話していた。

 

 

 

 

 

芳佳「それにしても、私お金なんて貰えるとは思っていなかったよ。」

 

リーネ「はは、芳佳ちゃんらしい♪」

 

芳佳「でも、ポンドって扶桑だとどのくらいするんだろう?」

 

リーネ「え〜と、確か今のレートは・・・」

 

優輝「今は大体19・6円だったな・・・・・」

 

芳佳「てことは、米俵一俵分で・・・10ポンドでご飯4000杯!!」

 

優輝「お、よく計算できたね。」

 

 

 

 

 

優輝は褒めながら、芳佳の頭を撫でる。

 

撫でられた芳佳は恥ずかしながらも満更な顔をした。

 

そんな芳佳をリーネは羨ましそうに見ている。

 

すると、芳佳はふとした疑問を優輝に尋ねた。

 

 

 

 

 

芳佳「そういえば、どうしてお給料がこんなに高いんですか?」

 

優輝「ああそれは、最前線に居るためだろう。」

 

芳佳「え、それってどういう意味ですか?」

 

優輝「つまり、最前線に立っているんだから、いつ死んでもおかしくない。だから、せめて金のことには負担を掛けないようにって意味さ。」

 

芳佳「そんなお金だったら私、嫌だな・・・」

 

リーネ「私としては実家に仕送り出来るから、それで良いんだけどね。」

 

芳佳「え、リーネちゃん仕送りしてるの?」

 

リーネ「うん。私には兄妹がたくさんいるから。」

 

芳佳「そうなんだ。あたしもお母さんとお婆ちゃんに送ろうかな。」

 

美緒「おお、お前たち此処に居たのか。」

 

 

 

 

 

そんな会話をしていると、美緒が竹刀を持って、声を掛けてきた。

 

美緒の声に優輝たちは反応して振り向いた。

 

 

 

 

 

芳佳「坂本さん。どうしたんですか。」

 

リーネ「えっと、洗濯物なら、もう入れましたけど・・・」

 

美緒「何って、お前たちいつまで起きているつもりだ。明日は飛行訓練だと伝えたはずだが。」

 

芳佳、リーネ「「ああっ!!」」

 

優輝「二人とも・・・・」

 

 

 

 

 

呆れる様な声をだした優輝だったが、一応二人を誘ったのは自分だったため、一応美緒に謝ることにした。

 

 

 

 

 

優輝「美緒ちゃん、ごめん。俺が二人を誘ったばかりに・・・」

 

美緒「い、いえ! 決して、優輝さんが悪いわけでは!」

 

リーネ「そ、そうです! 覚えていなかった私たちに責任があります!」

 

優輝「だけど、誘ったのは・・・・」

 

芳佳「だ、大丈夫ですよ。優輝さんは気にしないで下さい。」

 

優輝「そ、そうか・・・じゃあ、みんなお休み。」

 

 

 

 

 

優輝がそう言うと三人は一言お休みなさいと言ってハンガーから出て行った。

 

三人が出て行ったのを確認すると、優輝は機材を片づけることにした。

 

そんな様子を見ていた者が物陰に隠れて、聞き耳をたてていた。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「く〜〜あの男、少佐にあんな顔をさせて〜〜〜!! もう、許せませんわ!!」

 

 

 

 

 

見ていたのはペリーヌで、此処に優輝が来て以来、坂本少佐こと美緒の様子がおかしくなったのを感じ、彼女を慕っているペリーヌとしては、とてつもなく面白くないからである。

 

一方、優輝はその気配を感じながらも、今日のバルクホルンの様子を考えていた。

 

 

 

 

 

優輝「(何だか、誰かに見られている気がするが・・・まあいいや)」

 

優輝「(それよりも・・・今日のバルクホルンちゃんの目・・どことなく昔の俺に似ているな)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして深夜0時頃

 

 

 

 

 

 

 

バルクホルン「クリス・・・・・・」

 

 

 

 

 

彼女はそう辛く悲しそうな声で自身の妹の名を口ずさむ。

 

そんな誰に話しても癒えることのない気持ちを押し殺しながら、暗い部屋の窓から見える夜中のドーバー海峡を何も考えないまま見ていく。

 

すると突然、ドアがひしりと開いた。

 

 

 

 

 

ミーナ「どうしたの電気も付けないで。」

 

バルクホルン「・・・・・・・」

 

ミーナ「妹さんの事ね・・・・」

 

バルクホルン「!!!」

 

 

 

 

 

バルクホルンは動揺して軽く背筋を伸ばす。

 

そんなバルクホルンを見て、ミーナは心配そうに声を掛ける。

 

 

 

 

 

ミーナ「・・・あれはあなただけの所為じゃないわ。」

 

バルクホルン「いや、もっと早くネウロイに攻撃を仕掛けることができていたら、クリスまで巻き込むことはなかった。」

 

ミーナ「敵の侵攻を遅らせて、街の人が非難する時間は作ったわ!」

 

バルクホルン「国を守れなかったのは事実だ・・・」

 

ミーナ「・・・それはわたしたちも同じよ・・・」

 

バルクホルン「!!・・・すまない・・・」

 

 

 

 

 

バルクホルンは自分の失言に肩を落とす。そんな様子を見かねたミーナは隊長として友人として、彼女に言ってやれることを探して、ハッと彼女に言った。

 

 

 

 

 

ミーナ「そうだ! 休暇も溜まっているし、しばらく休みをとったらどうかしら? お見舞いにも行ってないでしょ?」

 

 

 

 

 

そうミーナはバルクホルンの心を心配して、提案を出すが、その提案をバルクホルンは却下した。

 

 

 

 

 

バルクホルン「その必要はない。私の命はウィッチーズに捧げた・・・クリスの知っている姉はあの日に死んだんだ。だから次の作戦にも必ず出してくれ。」

 

 

 

 

 

そう言われたミーナは黙ってしまう事しか出来なかった。

 

その様子を優輝はドアの向こう側に立って、話を静かに聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日絶好の洗濯日和もとい、訓練日和の快晴で優輝は昨日ことが気になってしまい外に出て、芳佳、リーネ、美緒、バルクホルンたち四人の飛行訓練を覗くことにした。

 

四人とも実践を想定しての飛行訓練のため、皆それぞれの武器を携帯して空へと飛び上がった。

 

 

 

 

 

美緒「では、私の二番機にはリーネ。バルクホルンの二番機には宮藤が入れ。」

 

リーネ、芳佳「「はいっ!」」

 

美緒「よし! ではこれから編隊飛行の訓練を開始する。二番機はひたすらリーダーの後ろを飛べ。それ以外は何も見るな。方向転換したらそれに付いて行く。射撃指示が出たら撃つ。」

 

リーネ、芳佳「「はいっ!」」

 

美緒「リーダーは常に的確な指示を出している。だから安心して付いて行け。」

 

リーネ、芳佳「「わかりました!」」

 

美緒「よし! では各自速やかに準備をしただちに発信せよ!」

 

リーネ、芳佳、バルクホルン「「「了解しました(した)!!」」」

 

 

 

 

 

息も乱さぬ美緒の説明と三人の返事により、訓練が始まって、四人はすぐさま空へと飛んで行った。

   

そして、編隊飛行の訓練が始まった。

            

訓練内容は美緒とリーネの編隊飛行をバルクホルンと芳佳が追うといったオフェンスとディフェンスの決まったドッグファイト形式の物だった。

 

そして、訓練が始まって、その様子を見ていると、突然後ろから声を掛けられた。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「ちょっと、よろしいかしら!!」

 

 

 

 

 

そう怒気が篭った声で喋ってきたのはいつも以上にツンツンしているペリーヌであった。

 

優輝は「え・・・・」といった顔でペリーヌの顔を見た。

 

 

 

 

 

優輝「どうかしたのペリーヌちゃん・・・」

 

ペリーヌ「人の名前を馴れ馴れしく呼ばないで貰えますか!」

 

優輝「・・いったい何をそんなに怒っているの・・・?」

 

ペリーヌ「どうもこうもありませんわ!!」

 

ペリーヌ「あなた!! 少佐とはどういう関係ですの!!??」

 

 

 

 

 

そう強く言って、優輝に人差し指をズビシと指す。

 

指された優輝は一瞬固まってしまったが、すぐに体制を立て直した。

 

 

 

 

 

優輝「関係と言われても、昔からの知り合いと言うしか・・・」

 

ペリーヌ「そんなこと言われても信用できませんわ!!」

 

優輝「え・・・どうして・・・?」

 

ペリーヌ「そんなの少佐を見ていればわかります!!」

 

優輝「????」

 

ペリーヌ「兎に角! 今後、少佐に・・・・!!」

 

 

 

 

 

そんな一方通行気味な喧嘩が始まる中、突如、基地内に警報が鳴り響いた。

 

警報を聞いた二人は言い争いを止め、敵の位置座標を示す放送を聞いた。

 

 

 

 

 

優輝「こいつは!」

 

ペリーヌ「!! ネウロイ!!」

 

通信使『敵ネウロイ! クイント東07地域、高度一万五千フィート・・・ウィッチ隊は以下ペリーヌ・クロステルマン中尉、一条優輝中佐は直ちに坂本少佐率いるロッテに合流せよ!!』

 

 

 

 

 

その放送を聞いた優輝とペリーヌはすぐさまハンガーへと走る。

 

ハンガーに着くとペリーヌはすぐさま靴を脱ぎ捨て、自身のストライカーを履き、武器であるブレンMK‐1を手に取って出撃した。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「ペリーヌ・クロステルマン! 行きますわ!!」

 

 

 

 

 

一方、優輝には専用のカタパルトが無いため、端に設置してある簡易式のカタパルトに鎮座しているストライクブースターにブーツを履いたまま装着させ、テーブルに置いてあるショットマグと専用のホルスターを腰に巻き、予備の弾薬を差し込み自身の心力を解放させる。

 

淡く白いオーロラが優輝の体中に漂う。それを他の下士官たちが異質な物を見るような目で優輝を見る。

 

そんな視線を気にしないで優輝は解放した心力をそのままストライクブースターへと注ぐ。

 

それに答えるかのようにストライクブースターの底から心力によるジェット噴射が湧き出る。

 

 

 

 

 

優輝「一条だ!! 発進する!!」

 

 

 

 

 

そう言った瞬間、優輝のストライカーから、膨大な轟音と近くにいる整備士を軽く吹き飛ばし、飛び去って行った。

 

優輝が発進して、十数秒後にミーナも飛んできた。

 

そのまま、優輝たち三人は上空で訓練をしていた四人と合流して、敵ネウロイの座標位置に急行する。

 

 

 

 

 

美緒「最近、奴らの出現サイクルにブレが多いな・・・」

 

ミーナ「カールスラントで動きがあったらしいけど、詳しくは・・・」

 

バルクホルン「・・・カールスラント・・・!」

 

 

 

 

 

バルクホルンは二人の会話から聞こえたカールスラントという言葉を聞いて、思い出したくない事を思い出す。

 

 

 

 

 

美緒「編隊を変更する。ペリーヌはバルクホルンへリーネはミーナの所、宮藤はわたしの元へ来い!」

 

芳佳「え、あ、はい!」

 

ペリーヌ「つっ!」

 

優輝「美緒ちゃん。俺はどうすればいい?」

 

美緒「そうですね優輝さんは先行して、敵ネウロイの注意を引いて下さい。そのあとはこちらが連携して攻撃をします。」

 

優輝「了解した!」

 

 

 

 

 

そう意気込んで返事した優輝はストライカーの出力を上げて、編隊から一気に離れ飛ぶ。

 

そんな様子を他の隊員はポカンと口を開けて見送ってしまった。

 

 

 

 

 

ミーナ「ちょ! 美緒、一人で先行させるなんて、危険すぎるわ!!」

 

リーネ「そうです! もし優輝さんに何かあったら!!」

 

美緒「大丈夫だ・・・寧ろ、優輝さんにとって連携攻撃する方が逆に危ない。」

 

バルクホルン「・・・・・・・・・」

 

ペリーヌ「・・・・・・・・・・・・」

 

芳佳「えっと・・・どういうことですか・・・?」

 

美緒「まあ、見ていれば分かる! あっはっはっはっはっは!!」

 

芳佳「は、はあ・・・・」

 

ミーナ「美緒ったら・・・・」

 

 

 

 

 

そんな会話をしていると、突然みんなの耳に収まっている魔道通信機から、先行した優輝の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

優輝『こちら、一条だ。敵300m級の大型タイプ二機を捕捉』

 

ミーナ「!!わかりました。では一条中佐は私たちが来るまで・・・『ごめん。もう攻撃されてる。』!!!」

 

 

 

 

 

そう言葉を遮断して、聞こえてきたのは、悲鳴を裂くようなネウロイの叫び声であった。

 

同時に優輝のショットマグナムの銃撃音も通信機から聞こえてきた。

 

 

 

 

 

優輝『あと、そっちにもう一機大型が向かっているから、そっちをよろしく頼む。以上通信終わり』

 

 

 

 

 

そう戦闘に集中するためか、優輝は通信を切った。

 

その様子にミーナは思わずため息を付く。逆に美緒はまた大きな声で笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優輝「さてと、久しぶりに本気で戦えるな・・・・よっと!」

 

 

 

 

 

そう、小さく呟きながらもネウロイのビームを最小限の動作で躱す。

 

そして、一瞬の隙が出来ると、ホルスターに武器を仕舞い、一気に加速してネウロイの懐に潜り、心力を溜めた右手拳を鉄槌のように振り降ろす。

 

 

 

 

 

優輝「らっせーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

振り降ろした拳はそのまま、轟音をたててネウロイの装甲を陥没させた。

 

それと同時に悲鳴のような叫び声を上げ、ネウロイはすぐに優輝から離れようとするが、優輝はそれを許さず、左手の義手をネウロイに突き刺す。

 

 

 

 

 

優輝「逃がさねえぞ・・・・こっからが本番だ・・・・!!!」

 

 

 

 

 

ネウロイはさらに声を上げるが、優輝はそのまま300mもあるネウロイをとんでもない馬鹿力で振り回し始めた。

 

そして、優輝はそのままネウロイを海面に向けて叩きつける。

 

ネウロイは遠心力が重なった上海面での激突により、装甲がバラバラに砕け散る。

 

反撃しようと優輝に向けて、ビームを放つが・・・

 

 

 

 

 

優輝「その程度・・・・ふんっ!!」

 

 

 

 

 

心力で固めた右手で飛んできたビームを振り払うかのように弾き飛ばす。

 

 

 

 

 

ネウロイはそのままビームを放とうとするが、優輝が腰に差しているショットマグナムをネウロイに向けて連射する。

 

撃ち放たれた散弾は雨の様にネウロイに当たっていき、装甲をどんどん剥がしていく。

 

そして、装甲が剥がれ落ちるとそこにはコアの赤い光が見えた。

 

それを見つけた優輝は加速しながら、銃を握っていない左手の義手を振り上げ、心力を義手に溜める。

 

 

 

 

 

優輝「・・・はああああ!!!!」

 

 

 

 

 

心力を溜められた義手は青白く輝き、その色は恐怖を生み出すような輝きであった。

 

しかし、ネウロイも諦めずに、渾身のビームを撃ち放つが優輝はその攻撃を無視して、それを避けずに光り輝いている義手を突き出す。

 

 

 

 

 

優輝「そこだあああ!!!!」

 

 

 

 

 

突き出された義手はネウロイのビームを裂いていき、そのまま突っ込んでいく。

 

ネウロイは近づかせまいとさらにビームの出力を上げるが・・・・

 

 

 

 

 

優輝「!!! 止め!!!」

 

 

 

 

 

左の義手をシールド替わりにし、空いている右腕に心力を溜めて、渾身の手刀を括りだす。

 

その瞬間、僅かな絶音が響くと同時に海に叩きつけられたネウロイの中心が滑り出すように切り裂かれ、その中にあったコアも真っ二つになった。

 

そして、少しの静寂の後、ネウロイは小さな破片となり海へと崩れ落ちていった。

 

破壊したのを確認した優輝は海面から上昇して、すぐにミーナ達に連絡を取ると・・・・

 

 

 

 

 

優輝「終わったか・・・・こちら一条、敵ネウロイを撃破した。これよりそちらと・・・」

 

 

 

芳佳『バルクホルンさん!!!!』

 

ペリーヌ『バルクホルン大尉ッ!!!!』

 

 

 

優輝「!? おい、どうした芳佳ちゃん! ペリーヌちゃん! くっそっ!!」

 

 

 

 

 

先程の悲鳴に近い声、そして、聞こえてきたのはバルクホルンを呼ぶ声であり、優輝は向こうで何かあったと推測し、すぐさまネウロイが進行していった方向に向けて、飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、芳佳たちは・・・・・

 

 

 

 

 

芳佳「バルクホルンさん!! しっかりして下さい!!」

 

ペリーヌ「わ、わたくしの所為で!! こんな!!」

 

芳佳「!!出血が酷い・・・このままじゃ。」

 

ペリーヌ「お願い!!大尉を助けて!!」

 

 

 

 

 

ペリーヌの懇願の声が芳佳の心に届く。

 

芳佳は一つ深呼吸をすると、バルクホルンの上着を脱がせ、魔法力を自身の固有魔法である治癒魔法に全力を注ぐ。

 

注がれた魔力は広く広がり、芳佳自身とバルクホルンを暖かく包み込む。

 

 

 

 

 

芳佳「(落ち着いて・・・落ち着いて・・・ゆっくりと集中して・・・)」

 

 

 

 

                    仲間

芳佳は自身に暗示を掛けるが如く、目の前の家族を救おうとしていた。

 

が、その時、芳佳たちに向けて、上空に居たネウロイから、ビームが放たれた。

 

しかし、それをペリーヌが許す訳もなく、シールドを展開して芳佳とバルクホルンの前に立つ。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「やらせませんわ!!絶対に!!」

 

 

 

 

 

空で戦っているミーナ達もネウロイの注意を自分たちに向けようとするが、ネウロイはミーナたちに牽制の攻撃だけをして、下に居る芳佳たちを集中して狙っていく。

 

 

 

 

 

ミーナ「くっ・・見向きもされないなんて・・・!!!」

 

美緒「どうにかして、注意をこちらに向けなければ・・・!!!」

 

 

 

 

 

仲間が一方的にやられていくのを苦しそうに感じながらも的確にネウロイにダメージを蓄積させているが、弱点であるコアが見える様子は一向に見えない。

 

そんな中、芳佳に治療されているバルクホルンが芳佳に向かって声を出す。

 

 

 

 

 

バルクホルン「わたしのことはいい・・・早く武器を取って戦え・・・」

 

芳佳「見捨てることなんてできません・・・!!」

 

バルクホルン「わたしは捨て駒でかまわない・・・だから・・・」

 

芳佳「できません!!・・・今あなたを助ければ、わたしよりも多くの人を助けられます・・・」

 

バルクホルン「・・・無理だ・・・私は一人も守れなかったんだ・・・」

 

芳佳「でも・・・命を粗末にしていい理由にはなりません・・・」

 

 

 

 

 

芳佳は弱気になっているバルクホルンを治療しながら励ます。

 

しかし、その二人を護っているペリーヌのシールドが徐々に薄れてきている。

 

何とか気力だけで残っている僅かな魔力を振り絞って、シールドを張る。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「くっ・・・まだ・・まだですわ・・・」

 

美緒「まずい・・何とか二人を助けなければ・・・」

 

ミーナ「でも・・私たちがペリーヌさんの代わりにシールドを張って護ったとしても・・・結果は同じ・・・どうすれば・・・」

 

 

 

 

 

状況は緊迫している中、僅かな時間で策を練るミーナと美緒だが、解決策が見つからない。

 

基地から、足の速いシャーリーを呼ぶべきだが、今となっては時間が足りない。

 

そんな時、ネウロイがビームを収束してバルクホルンたちに向けて強力なビーム攻撃を放とうとしていた。

 

 

 

 

 

バルクホルン「わたしを捨ていけ・・・さもないとお前たちまで・・・」

 

芳佳「ダメです・・ここであなたを見殺しにしたら、悲しむ人がいます!!」

 

バルクホルン「だが・・・このままでは・・・」

 

 

 

 

 

その時、上空にいたネウロイが収束したビームを放ってきた。

 

ペリーヌは既に魔力が切れてしまい、もう終わりだと目を瞑る。

 

それを見たバルクホルンは覚悟をして、唾を飲む。そのバルクホルンを芳佳は庇う。

 

その時だった・・・・誰かが、ビームの間に飛んで入ってきた。

 

そして、ペリーヌたちはその誰かによって、ビームを遮断された。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「な、なんですの・・・・」

 

 

 

 

 

ペリーヌが目を開けた先に居たのは・・・・

 

 

 

 

 

優輝「よかった・・・間に合ったみたいで・・・」

 

 

 

 

 

ビームによって所々、傷を負った一条であった・・・・

 

 

 

 

 

ペリーヌ「・んん、・・・・・・」

 

 

 

 

 

ペリーヌは思わず、息を飲んでしまった。

 

先程あれだけ罵倒をした人物がどうして、こんな目に会ってまで、そんな優しい笑顔をするのかと・・・・・

 

 

 

 

 

リーネ「ゆ、優輝さん!? 何やってるんですか!!」

 

優輝「わかってるって・・・それよりも・・・」

 

 

 

 

 

そう言って、優輝は心配そうに叫ぶリーネをあしらって、視線を空にいるネウロイへと向ける。

 

その時、優輝の胸にペリーヌが魔力を尽かして、身を任せるように倒れ込んできた。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「・・・すみません・・ごめんなさ・・い・・・」

 

優輝「・・・大丈夫・・・ゆっくり休んでいいから・・」

 

 

 

 

 

そう優しく返すとペリーヌは静かに目を閉じた。

 

その時、優輝の後ろから、静かに立ち上がる者がいた。

 

それは重症だったはずのバルクホルンであった。

 

彼女の横に同じく力を使い果たした芳佳も倒れていた。

 

バルクホルンはそんな彼女を優しく撫でると、近くに転がっていた芳佳の武器を取って、自身の武器と組み合わせ、魔法力をストライカーに流す。

 

 

 

 

 

バルクホルン「もう・・・何も失いたくはない・・・・一条中佐・・・援護を・・・」

 

優輝「・・・了解だ!!」

 

 

 

 

 

抜け殻だった何かに命が吹き込んだバルクホルンを見て、優輝は笑顔で肯定の返事をした。

 

 

 

 

 

優輝「じゃあ、俺が敵の装甲を剥がすから、あと始末は頼んだよ・・」

 

バルクホルン「了解した!!」

 

 

 

 

 

そう簡単な作戦を立てて、目の前の敵を倒すために二人は飛び上がる。

 

敵ネウロイは今、ミーナ達三人によって、牽制されていて、狙いが厳かになっている。

 

優輝は「今だ!!」と、ショットマグナムをホルスターに入れ、ネウロイのビームを突き抜け、全身の傷跡から出ている出血を無視して、渾身の力でネウロイをドンッ!とぶん殴る。

 

殴り飛ばされたネウロイは先程のネウロイと同様に陥没して、装甲が吹き飛んでいく。

 

その様をミーナとリーネはポカンと口を開けながら、見るしか出来なかった。

 

バルクホルンも驚いているが、何より今はネウロイを倒すことにしか頭になかったので、残された弾薬をフルオートで装甲の剥がれて行った部分に集中攻撃する。

 

 

 

 

 

バルクホルン「ずおりゃあああああ!!!!!」

 

 

 

 

 

渾身の叫びとともにネウロイのコアは見えた瞬間に壊されて砕け散っていった。

 

それと同時にバルクホルンの中にあった枷も剥がれ落ちて行く。

 

ネウロイの破壊を確認したミーナはバルクホルンへと近づいて行き彼女の頬を叩く。

 

 

 

 

 

ミーナ「何をやっているの!!!あなたまで失ったら、私たちはどうすれば良いの!!??故郷は失った・・・・けれど、私たちは家族でしょう!!」

 

バルクホルン「ミーナ・・・」

 

ミーナ「あなたの妹だって、きっと元気になる。だから、新しい仲間のためにも絶対に死に急いじゃダメ!!」

 

バルクホルン「・・・・・・・・・」

 

ミーナ「みんなを護れるのは私たちウィッチーズだけなんだから!!」

 

 

 

 

 

心から泣いて叫ぶミーナを見て、バルクホルンはいかに自分が隊に迷惑を掛けていたかを実感した。

 

そして、これ以上心配掛けまいと声を返す。

 

 

 

 

 

バルクホルン「そうだ・・・私たちは家族だったんだな・・・・・休みを貰えるか? 見舞いに行ってくる・・・」

 

ミーナ「・・・ふふ・・・」

 

 

 

 

 

その言葉を聞いて、ミーナは小さく喜んだ。

 

その様子を優輝は疲れて眠っている芳佳とペリーヌを抱え上げて、暖かそうに見守っていた。

 

あの後、優輝は基地に帰った途端、リーネと美緒から物凄い剣幕で叱られ、その後、目を覚ました芳佳もそれに参戦して、優輝を叱っていたが、途中芳佳とリーネが泣き出してしまい。真っ赤な夕陽が差し込んだハンガーは夜になって、やっと静かになったとさ・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、夕食が終って、八時くらいの頃・・・

 

 

 

 

 

 

 

優輝は芳佳にやりすぎと感じる位の包帯を上半身にたくさん巻かれながら、滑走路の外に出て、好物のワインをビールグラスに淹れて、今日の出来事を思い出していた。

 

 

 

 

 

優輝「ああ、今日は色々あったな〜〜〜〜」

 

 

 

 

 

すると、後ろから少女と思われる足音が近づいてきた。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「あの・・・一条中佐・・少しよろしいでしょうか・・・?」

 

優輝「ん、どうしたのペリーヌちゃん・・・」

 

ペリーヌ「・・その・・先程はありがとうございました・・・・そして、出撃前・・・あのようなひどい事を申し上げてしまい・・・本当に失礼いたしました!!」

 

 

 

 

 

彼女はそう言って、深く頭を優輝に向かって下げる。

 

一方、優輝は「へ・・・」といった顔で、ペリーヌを見ていた。

 

 

 

 

 

ペリーヌ「それに・・そのような傷を着けてしまって・・・」

 

優輝「いやあ・・・あれは俺が浅はかだったから・・・」

 

ペリーヌ「!!そんなことありませんわ!!」

 

優輝「おお・・・!!」

 

ペリーヌ「!!・・・驚かせてしまって・・すみません・・・」

 

優輝「・・・すごいな・・・君は・・・」

 

ペリーヌ「・・・へ・・・?」

 

 

 

 

 

今度はペリーヌが「どうして?」といった目で優輝を見る。

 

それに対して、優輝は小さく笑うと手に持っているワインを一気に飲み干す。

 

そして、ワインをグラスに注ぎながら、声を出す。

 

 

 

 

 

優輝「君はすごいよ・・・その年で・・責任を感じているんだから・・・」

 

ペリーヌ「そんな・・・当たり前のこと・・・」

 

優輝「いや・・そうじゃなくてさ・・・また、優しい子に会えたんだって・・・思ってね・・・」

 

ペリーヌ「なっ・・・ななっ/////////////////」

 

 

 

 

 

それを聞いて、ペリーヌの顔は夕陽の様に赤く染まった。

 

 

 

 

 

優輝「だから・・・・」

 

 

 

 

 

そう言って、右手をペリーヌの頭の上にぽんと置いて、優しく呟く。

 

 

 

 

 

優輝「優しいままの君で居てくれ・・・・・あと、中佐は要らないから」

 

ペリーヌ「・・・わたくしも「ちゃん」は要りませんわ//////////////」

 

 

 

 

 

その言葉に優しく返事をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ペリーヌが去った後、優輝は景気づけにと、ワインボトルを三本開け、その内の一本を豪快に飲みだす。

 

すると、また人の足音が耳に聞こえてきた。

 

今度は二人の様だ・・・・

 

振り返るとそこに居たのは、いつも通りの笑顔のエーリカとどこかそわそわしているバルクホルンだった。

 

 

 

 

 

優輝「二人とも、俺に何か様でも・・・?」

 

エーリカ「うん・・まずは一条中佐,トゥルーデを助けてくれて、ありがとね♪」

 

優輝「そんな、お礼を言われることの程じゃ・・・・」

 

エーリカ「もう〜〜〜お礼は素直に受け取るべきだよ・・・それと、これはわたしからの気持ち・・・ちゅ・・・////////」

 

優輝「・・・え・・・・?」

 

 

 

 

 

エーリカは恥ずかしそうにしながら、優輝の頬にキスをしてきたのだ。

 

当然、優輝も「なんで・・?」なことを思っている。

 

そして、横に居たバルクホルンは・・・・赤くなりながらも、ウィッチになって、エーリカを怒った。

 

 

 

 

 

バルクホルン「おい、エーリカ!お前は何を・・・!!」

 

エーリカ「にしし////////・・・じゃあ、優輝。おやすみ〜〜〜〜///////♪♪」

 

 

 

 

 

しかし、エーリカも怒られるのをわかっていたのか、同じくウィッチになり、とっとと逃げてしまった。

 

 

 

 

 

バルクホルン「あいつは〜〜〜、まったく・・・」

 

優輝「まあまあ・・大目に見てやりなって・・・」

 

バルクホルン「そうはいきません!!・・・と言うか、ゆう・・!!いえ、一条中佐も何を呑気に!!!」

 

優輝「はは・・・あ、後・・名前で呼びたいんだったら、優輝って呼んでも良いよ。」

 

バルクホルン「そ、それとこれとは・・・それに上官である一条中佐を名前だなんて・・・」

 

 

 

 

 

本当は呼びたいが、彼女の堅物さがそれを邪魔してしまう。それを感じ取った優輝は意地悪半分で彼女に命令をする。

 

 

 

 

 

優輝「じゃあ、上官命令で、俺の事は優輝さんとでも呼んでくれればいい。反論は認めません♪」

 

バルクホルン「そ、そんな・・・・・・う、・・ゆ、優輝・・さん/////////」

 

優輝「よし! よく出来ました♪」

 

バルクホルン「うう〜〜〜〜//////////」

 

優輝「それより、バルクホルンちゃん、どうして此処に・・?」

 

バルクホルン「ん!そうでした・・・・」

 

 

 

 

 

ここに来た目的を思い出したバルクホルンは先程の顔と違い、悲しそうに優輝の包帯を見る。

 

 

 

 

 

バルクホルン「今日の作戦・・・本当にすみませんでした・・・」

 

 

 

 

 

バルクホルンはそう言って、心から深く頭を下げる・・・・

 

その姿を優輝は黙って見る。

 

そして、顔を上げると、淡々と言葉を繋げていく。

 

 

 

 

 

バルクホルン「今日だけじゃありません・・・入隊当時もあんな無礼なことをして・・・」

 

優輝「良かったら・・・話してくれないか・・・・?」

 

バルクホルン「はい・・・・・」

 

 

 

 

 

バルクホルンは小さく返事をすると、ぽつりぽつりと自分に起きた出来事

 

を話していく。

 

撤退戦のときに国も妹も守れなかった・・・その言葉一つ一つに悲しさが降り積もっていく。

 

そして、徐々に彼女の声も呂律が回らなくなっていった。

 

 

 

 

 

バルクホルン「わたしは・・・・結局・・何も・・何も・・見えていなかった・・ミーナたちが・・・あんなに頑張っている中・・・わたしは・・・わたしは・・・!!」

 

 

 

優輝「・・もう良いよ・・ほら・・」

 

 

 

 

 

そう優しい声で、バルクホルンを自分の胸に持って行く。

 

出来るだけ義手が当たらないように右手だけで、彼女の頭を撫でていく。

 

 

 

 

 

バルクホルン「一つ聞かせて下さい・・・・」

 

優輝「何だい・・・?」

 

バルクホルン「どうして、優輝さんはあんなに強いんですか?」

 

 

 

 

 

純粋な疑問であった。彼女の言う通り、今日の戦闘での貢献者は周りから見たって、優輝であることは明白であった。

 

だからこそ、バルクホルンはその強さはどこから来るものか、気になった。

 

「そうだな・・・」と一言間を開けて、答えた。

 

 

 

 

 

優輝「此処まで来れたのは、出会いかな・・・」

 

バルクホルン「出会い・・・?」

 

優輝「俺も昔は色々あって、そういったことに悩んでいた事があってね。どう強くなればいいのか、理屈ばかりを求めていた・・・だけど、答えは単純だったんだ・・・・」

 

バルクホルン「・・・・・・・」

 

優輝「・・・出会いの一つ一つは俺に力と勇気・・・そして、思い出をくれた・・・だからこそ、護りたいんだ・・・その思いを力に変える力・・・そんな思いが俺の強さに繋がっているんだ。」

 

 

 

 

 

バルクホルンはこのような言葉を真っ直ぐに聞いたのは初めての経験であった。

 

その言葉はきっと彼にしか言えない言葉であると、同時に理解した。

 

 

 

 

 

バルクホルン「(なるほど・・・少佐の言う通りだったな・・・こんな人がまだこの世界に居るなんて・・)」

 

 

 

 

 

そう頭の中でポツリと呟くと優輝から離れて、優輝の義手を両手で掴む。

 

 

 

 

 

バルクホルン「わたしのことは・・その・・・トゥルーデって呼んでもらって良いですか・・?」

 

優輝「トゥルーデ・・・?」

 

バルクホルン「わたしの・・その・・愛称みたいな物です・・・」

 

優輝「俺が呼んでも良いのかいい?」

 

バルクホルン「ええ、優輝さんだからこそです////////」

 

優輝「そうか、じゃあこれからもよろしく頼むよ・・・トゥルーデ。」

 

トゥルーデ「はい・・・・///////////////」

 

 

 

 

 

そう彼女は暖かい笑顔で返事を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
いやあ〜〜リアルに大学と教習所が忙しかったのと、中々ネタが思い付かなかったんで、遅くなりました。

何かあれば、感想、またはコメントよろしくお願いします♪
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コメント
オリ主ハーレム物ですか、似たようなものを書いているんで色々参考にさせていただきます。(okura)
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