真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第五部『帝立北郷学園』 其のニ |
第五部 帝立北郷学園 其のニ
【エクストラturn】
「大喬ちゃんと小喬ちゃんはおっぱいを大きくしたいと思いませんか?」
朱里の唐突な話題に大喬は顔を朱らめ、小喬はきょとんとしている。
現在『帝立北郷学園』で唯一の教室では、これから行う授業について各組に別れて話し合いや既に教材を使い勉強が始まっていた。
「あ、あのぅ・・・・・また、その話からなんですか?」
亞莎は恥ずかしげに困った顔で朱里と雛里を見つめている。
「亞莎、((貧乳党|このふたり))はこの話が終わらないと先に進まないから、諦めて話が終わるの待ちましょう。」
詠は既に悟りきったようで、朱里と雛里が満足するまで放っておく事に決めたらしい。
「別に思わないかなぁ。」
小喬のあっさりとした発言に朱里と雛里は、まるで雷に撃たれた様にショックを受けた。
「お、おっぱいがちいさいままでいいなんて・・・・・」
「・・・し、しんじられません・・・・・・」
今まで二人が声をかけてきた相手は程度の差はあれ、何らかの反応が有った。
中には亞莎の様にそう思っていなくても顔を朱らめ朱里と雛里に誤解を与える者もいる。
璃々は流石に幼いため除外するが、季衣ですら鈴々と張り合う事が有るのだ。
思春や明命、更に華琳の様に平静を装う訳でもなく、桂花の様に負け惜しみを言うのでもない。
ごく自然にさらりと言ってのける小喬は、朱里と雛里にとって未知の生物との邂逅に等しかった。
「わ、わたしはその・・・・・詠様くらいにはなりたいかなぁ・・・」
「ちょ、ちょっと大喬!何言い出すのよ!」
まさかここで自分の名前が出るとは思っていなかった詠は、思わず胸を隠して朱くなった。
今日の詠は一刀のデザインした胸を強調するメイド服ではなく、軍師の服装だ。
肩に掛けている外套を寄せれば、胸を隠すのは容易である。
「ほ・・・・大喬ちゃんは大きくしたいんですね・・・・・」
大喬の言葉に安堵の息を吐き、胸を撫で下ろす朱里。
「あ、あの・・・小喬ちゃんはどうして胸を大きくしたいと思わないんですか?」
雛里の質問に小喬はニッと嗤って自分の首輪を親指で示す。
「それはあたしの身体が一刀さまたちの物だからよ!」
言い切る小喬に対し、四人は顔を更に朱らめた。
気にせず小喬は更に言葉を続ける。
「一刀さまはおっぱいが大きいのも小さいのも好きだから、そこは気にしなくていいの。むしろ現在一刀さまたちの周りに居る女性達の、おっぱいの大きさで分けた時の人数比率が重要になってくるのよ。特大、大、中、小、ぺたん娘と分けて自分がどの位置にいるかを把握するわけ!もちろん見ての通りあたしはぺたん娘よっ!!」
「「「「「おぉ!」」」」」
言い切る小喬の潔さに五人から感嘆の声が漏れた。
「ゆ、勇者です・・・・・でも、((基準値|ぱいれん))さんより大きい人が多いのは確かだけどぺたん娘率も結構高いよ」
「それは現在の話よね。これが後数年たったらどうなるかっ!?先ずあそこにいる小蓮様!彼女は絶対大きくなるわ!!雪蓮様と蓮華様を見れば一目瞭然よ!!」」
この言葉に朱里と雛里は更なる衝撃を受けた。
「シャオちゃん・・・・・仲間だと思っていたのに・・・・・・」
「シャオちゃんは巨乳人の幼生体だったんですね・・・・・」
貧乳党にとって『巨乳人』とは人外の生物に域に達しているらしい。
「そして美羽!聞いた話では、いとこの袁紹さんはそうとう大きいらしいじゃない。」
「「美羽ちゃんも幼生体・・・・・」」
「他のぺたん娘たちも大半が成長する可能性を秘めているから、ぺたん娘の希少価値は上がっていく一方!」
「はわわ!さ、策士ですっ!!」
「あわわ!こ、これは盲点でした!」
「むしろあたしは一刀さまの横に立っても一刀さまに恥をかかせない可愛い女の子であり続けることに力を注ぐべきだと思うのよ!」
(首輪をして横に立たれると恥以上の批難を受けると思うけど・・・・・)
朱里、雛里、詠、亞莎の四人は心の中でツッコミを入れた。
「小喬さんと大喬さんは可愛いし綺麗だから・・・・・・私にはそこまでの自信がないですぅ。」
「へ?どうして!?」
亞莎はしょんぼりと項垂れるが、小喬は驚いて目を剥いた。
「亞莎って顔もほっそりしてて綺麗だから、あたしは羨ましいんだけど。」
「私は、その・・・つり目な上に目が悪いからすごい目つきが悪くなっちゃって・・・・・」
「あ、その気持ちわかる!ほらほらあたしも・・・・」
そう言って大喬と顔を並べて見せる。
「お姉ちゃん、タレ目で可愛いのにあたしつり目でしょ。その所為で母さまに『あんたは生意気だー』ってよく怒られたもの。」
(いや、それは目つきの所為じゃないと思う・・・・・)
今度は大喬も含め五人が心の中でツッコミを入れた。
「でもほら、同じような感じでも詠さまって凛々しくてカッコイイじゃない!こういう軍師を目指そうよ♪」
「ちょっと、もう小喬ったらさっきからそんな事ばっかり・・・」
「あはは♪照れてる詠さまって可愛いですよ♪」
小喬はそのまま詠に近づいて耳打ちする。
「(どうです、詠さま?これで朱里達の貧乳党を少しは大人しくできますか?)」
「(小喬・・・あなた・・・)」
「(昨年成都で大騒ぎが在ったって聞いていたので・・・)」
「(あなた、朱里の言う通り策士だわ・・・)」
さっきの話しだって小喬自身大きくなる可能性を秘めているのだ。
よく考えれば強引な理論展開である。
その事に気付いた詠は呆れつつも少し楽しそうだった。
「さて、いい加減に勉強の話をしましょう。大喬、小喬、亞莎、あなた達は何を勉強したい?」
詠は今までの会話のお蔭でかなりリラックスできていた。
その雰囲気が伝わったのか大喬も自然に手を挙げている。
「あの、わたしは一刀さまたちが喜んで下さる事をお勉強したいです。」
「・・・・・・・・・・お姉ちゃん。今までの話の流れでその発言だと違う意味に聞こえるから。」
「ふぇ?」
またしても全員が顔を朱らめている。
彼女達の頭の中には『性技指南書』の文字が浮かんでいた。
【白蓮turn】
「鈴々、季衣、流琉!お前達には教科書として、この絵本が用意されている。まずはこれを読めるようになること。」
何でも赤北郷が自分の教材として使ってたらしいからな。
これならこいつらに丁度良いんじゃ・・・。
「白蓮お姉ちゃん!鈴々この本なら読めるよ。」
「へ?」
「ある山に悪い龍がおりました。その噂を聞いた三人の・・・」
り、鈴々が本を読んでるの初めて見た・・・・・いやいや、そうじゃなくて。
「季衣!流琉!お前達はどうだ!?」
「ボクもこの本だったら・・・」
「わ、私も・・・」
「北郷ぉーーー!ちょっと来てくれっ!!」
なんだよ聞いてた話と違ってきたぞ!
「「「どうした白蓮?」」」
あ、三人とも呼んじゃった。
「いや、鈴々たち三人ともこれなら読めるんだ。もう少し難しいの用意してないか?」
私が絵本を差し出すと、赤北郷が驚いてる。
「え?三人ともこれ読めるのか?」
緑と紫の北郷がその絵本を確認して。
「あぁ、成程これなら確かに・・・」
「うん。季衣と流琉もこれくらいなら華琳から教わってるから・・・」
「そうだったのか。ちゃんと確認しとくんだったな・・・・・鈴々は愛紗に教えてもらったのか?」
「朱里だよ。愛紗はガミガミ言うからあんまり頭に入ってこないのだ。」
朱里!?さっきはそんな事言って無かったけどなぁ。
「朱里から借りた本を読むのに、わからない所を教えてもらって・・・」
「うわあっ!!鈴々それはっ!!」
?・・・なんで緑北郷が慌ててるんだ?
「あ!朱里から本のことは秘密って言われてたの忘れてたのだ・・・・・にゃはは♪」
「なんだよ、別に秘密にすること無いだろう?いっそのことそっちを教科書にした方が良いんじゃないか?」
朱里の本なら結構難しい本かも知れないし。
「それは絶対止めた方がいい!」
「「おい緑・・・・・それってもしかして・・・」」
「良いか悪いか教える私が決めるから!鈴々、本の題名は覚えてるか?」
「う〜んとね、『快感楽句』って本だったのだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なるほど・・・・・緑北郷が止める訳だ・・・・・。
「なんだって朱里はそんな本を・・・・・」
「ねえ鈴々。『かいかんがっく』って何の本なの?」
わあ!鈴々に気を取られ過ぎて流琉たちのこと忘れてたっ!!
「お兄ちゃんに子供扱いされないためのお勉強の本だって言って貸してくれたのだ。」
「何?・・・・・・という事は何だ?緑北郷・・・・・まさか実技指導までしてないだろうな?」
「え?・・・・・・・・・・・・・・・・・・ど、どうだったかなぁ♪」
こいつ・・・・・えらく間を開けた上に目線も逸して!
「・・・子ども扱いされない・・・・・緑兄さまから実技・・・・・」
流琉!理解したなら口にするなっ!!
「だあああああああああああああっ!!この話は終わりっ!!」
何か話が変な方向に行っちゃいそうだ!
「華琳っ!保管してる報告書なんかの書類や書簡を初等組の教材にしていいか!?」
「ちょっと!どうしたのいきなり?」
中等組を相手にしていた華琳に悪いけど、ちょっと助けてもらおう。
「報告書を使うのは構わないけど、またえらく直接的で難しい物を選んだわね。三人は従いてこられるのかしら?」
「娯楽本みたいな物は読めるみたいだから大丈夫だと私は思う。」
「そう・・・白蓮がそう言うなら任せるわ。但し・・・」
反対はされなかったか。むしろ困ってるみたいだな?
「誰が書いた報告書かは、確認してから使って頂戴。・・・・・春蘭の報告書は見せたくないから。」
「あ〜〜〜〜。分かった。気を付けるよ・・・・・」
実際に報告書を書かせた時に春蘭のを手本にされちゃかなわないもんなぁ。
「所で中等組の方はどんな感じだ?」
「今のところ悪く無いわね。折角だから先ずは孫子からやることにしたわ。美羽が諳んじて蒲公英と小蓮が本で確認。蒲公英が意味を解説して美羽と小蓮がそれを覚える。更に私が孫子について書いた本を使ってより深くその意味を理解する。といった流れね。」
ああ、例の『孟徳新書』か。
前に読ませて貰ったけどかなり深く掘り下げてたもんなぁ。
「驚いた事に小蓮が私の本を教科書に使った事が有るそうなのよ。」
「へえ。本元の孫家が使うなんて・・・流石だなぁ。」
「穏が選んでくれたそうなんだけど、あまり勉強は進まなかったみたいよ。」
「はぁ?どういう事だ?」
「赤一刀の話では穏の方が読むのに熱中してしまって授業にならなかったらしいわ。」
「なにやってんだ穏は?そう言えば穏が教師に入ってないのはその辺りが原因なのかな?」
穏も今じゃ孫呉の筆頭軍師だし、忙しいってのも有るのか?
「どうなのでしょうね?孫呉の人間に訊いても誰も言葉を濁すだけで教えないのよ。蓮華も穏では勉強にならないと言っていたし・・・」
「もういやなのじゃああああああぁぁぁあああ!!」
な、なんだ!?今のは美羽か?
「お嬢様!今はお勉強の時間ですから我慢ですよ♪」
「いやじゃ!いやじゃ!もうかくと久しぶりに会えたのじゃから妾は遊びたいのじゃっ!!」
あ〜あ、完全に駄々っ子になちゃってるなぁ。
「やっぱり美羽は美羽って事ね・・・・・幼年組に戻しましょうか・・・」
「そうだなぁ・・・・・いくら孫子を暗記してるって言ってもこれじゃあ・・・」
「妾は遊ぶのじゃ!遊ぶのじゃ!あそ『ゲシッ』ぶふっ・・・・」
「美羽お嬢様!我侭言ってはいけません!」
「(なあ華琳・・・今七乃のヤツ、延髄に手刀を入れなかったか?)」
「(入れたわね・・・しかも手加減抜きで。)」
美羽が机に突っ伏してるけど・・・・・大丈夫なのか?
「今起こしますからちょっと待って下さいねぇ♪」
こいつ・・・・・自分のしたことに何の罪悪感も感じてない。
「ほぅらお嬢様ぁ。大人しく勉強しないと孫策さんがやって来ますよぅ♪」
七乃が耳打ちしたら、美羽が突っ伏したまんま小刻みに震えだした・・・・・。
「悪い子はいねがーってそこまできてますよぅ♪」
うわっ!震えがでかくなった!
「いい子に勉強すれば孫策さんはどっか行っちゃいますよぅ〜。華琳さんが用意したお菓子も食べられるし、はちみつ水も飲めますよ〜。」
あ、止まった。
「ああっ!孫策さんが戻ってきてお菓子とはちみつ水を持ってっちゃいましたっ♪♪」
・・・・・・・・・ひでぇ・・・。
「(・・・・・美羽、泣いてるんじゃないか?机が濡れてる・・・)」
「(さすがに美羽が不憫になってきたわ・・・・・)」
「でも大丈夫。七乃が取り返してきましたぁ。」
こいつ脅してる時の方が生き生きしてやがる・・・・・。
「それじゃあ起きて勉強しましょうねぇ、お嬢様♪はいっ!」
七乃が無理やり机から起こしてるんじゃないか!
『ひっ!』
『・・・・・あぁ〜』
起こされた美羽の顔を見てのみんなの反応は二種類。脅えるか、予想通りだったか。
目は開いてるけど『死んだ魚の目』という表現がぴったりな目をして、更に目から頬にかけて涙の痕が・・・・・・・口も締まりなく開いてヨダレがたれてるし、時々ぴくぴく痙攣してるのは泣いた余韻か?
「さあ勉強を再開して下さい。」
「できるかああああああああああああっ!!」
【緑北郷turn】
「おやつだにゃー!」
「おやつにょー!」
「おやつおやつ!」
「おやつにゃぁ」
「おやつだぁ♪」
幼年組が目を覚ましたと思ったら早速この状態。
これを楽しみに来たんだからしょうがないか。
「何かもう勉強所じゃないし、いいよな華琳。」
「そうね・・・・・明日以降の目処も立った事だし。それじゃあ厨房から運ばせましょう♪」
大きな騒ぎも起きなかったし、初日はまずまずかな?
華琳的にも手応えは悪く無かったようだし。
美羽が一人で貧乏くじを引いた感じだよなぁ・・・・・後で蜂蜜を買ってあげようかな・・・・・・甘やかしてるって怒られそうだけど。
「はい、お待たせしました♪華琳さん謹製の“どーなつ”です♪」
月がドーナツを山積みにしたワゴンを押して教室にやって来た。
そして月の後ろにはメイド隊の女の子達が同じ様にワゴンを押して廊下にずらりと並んでいる。
そう、今回のおやつに選ばれたのはドーナツなのだ。
華琳に何がいいか相談された俺たち三人は色々とお菓子の候補を上げたのだが、今回は時間もないし鈴々と季衣が居るから短時間で大量に作れる物ということでのチョイスである。
しかしたかがドーナツと侮れないのが華琳だ。
俺たちが思い出せる限りのドーナツを華琳に教え、材料の手に入らないチョコレート系を除き、ほぼ全てを再現して見せたのだ。
更に華琳独自のアレンジの入った物が有るので種類はドーナツショップ以上になっている。
「今回は私と朱里ちゃん、雛里ちゃんも手伝って作りました♪きちんと出来ていたか後で教えてくださいね、ご主人様♪」
「月の作ったドーナツか。そりゃ楽しみだ♪」
董の兄ぃに持っていったら泣いて喜びそうだ。
少し分けといてもらおう♪
「なんでコレ、真ん中に穴があいてるのだ?」
「それは生地への火の通りにムラができないようにするためよ。」
「?????」
華琳の回答を聞いても鈴々はさっぱり理解出来ないみたいだ。
「鈴々は料理を覚えたいのでしょう?そうやって疑問に思ったことは実際に作ってみるとわかるわよ。」
既に料理教室の第一歩が始まってるな。
知りたいと思うことこそが、全ての勉強にとって一番の原動力だからな。
みんながドーナツを手に取って食べ始める。
俺たちも当然いただくけど、
「お茶もいいけどコーヒーとか紅茶が欲しくなるな。」
「コーヒーは無理でも紅茶なら作れそうじゃないか?」
「華琳に教えたら研究し始めそうだ。今度頼んでみよう♪」
なんて事を話している時、ふと見ると白蓮がドーナツをじぃっと見つめて黙っていた。
「白蓮。先生役の事で悩んでる?」
俺が話し掛けると白蓮は慌てて、危うくドーナツを落としそうになる。
「ほ、北郷!?い、いや別に・・・・・・いや、やっぱり正直に言うよ。何か不安になってきてさ。折角北郷たちが抜擢してくれたってのに・・・・・・・・情けないよな、私・・・」
根っから真面目な白蓮のことだ。
きっとどう先生をしていくか、生徒になる子達をどう指導していくか考えている内に迷いが出て来たんだろうな。
「それはさ・・・・・」
と、言いかけた所で教室の扉が勢いよく開かれた。
「華琳様っ!!夏候元譲!夏候妙才!只今許都より戻りましたあっ!!」
春蘭!?このタイミングで現れるって・・・・・ドーナツの香りに釣られて来た。
・・・・・ワケじゃないよな。
華琳の所に駆け寄るかと思いきや、いきなり俺たち三人に詰め寄ってきた。
「北郷!貴様ら華琳様にこの様な仕事を押し付けおって!城門で話を聞いて両目が飛び出すほど躍いたではないかっ!!」
いや、お前左目無いじゃん。自分で食っちゃって。
「どう聞いたか知らんがこれは華琳が言い出した事だぞ!」
「何をバカな事を!お忙しい華琳様が季衣と流琉にならともかく、他の者にするわけ無かろう!こんな雑務は白蓮にでもやらせればいいのだっ!!」
うわ!春蘭のヤツ、頭に血が上ってるからって、なんて事言うんだ!
「・・・・・ざつ・・・む・・・?」
「「「ぱ、白蓮!」」」
「ちょっとあんたっ!!いくら魏の大将軍だからって言っていいことと悪いことが有るわよっ!!」
小喬!?
「一刀さまたちへの態度!白蓮様への暴言!許せない!!それにこの勉強会は華琳さまが元々あたしとお姉ちゃんの為に考えてくださった事よ!こうしてみんなに勉強を教えることがこの国の将来のためという華琳さまのお考えが分からないなんて!あなた本当に華琳さまの忠臣だと言えるの!?」
小喬も言い過ぎだ!
「貴様!華琳様の真名を軽々しく口にしおって!!」
「待て!春蘭っ!!」
春蘭の次の行動はみんなが予測できた。
実際俺たちを含め武将全員が春蘭を止めるための動作を、小喬の言葉が終わる前から始めていた。
春蘭の目にも止まらぬ剣速に対応するにはそれぐらいでなければ不可能だ。
いつもなら秋蘭が即座に対応する所だが小喬の言葉に動揺したのだろう。
完全に出遅れていた。
かくして一番最初に小喬の前に飛び出し、春蘭の七星餓狼を受け止めたのは、
白蓮だった!
何とか剣で受け止めたものの、白蓮は吹っ飛ばされて壁にぶつかった。
この一瞬の間が手に入れば他の武将たちが一斉に春蘭を抑える事は可能だった。
俺たちも春蘭にしがみ着いて動きを止める。
「離せ貴様らっ!」
それでも尚、動こうとする春蘭の前に華琳が立つ。
「春蘭っ!!」
「か、華琳さま・・・・・」
華琳の表情は怒りを通り越して、まるで氷の様に冷たい。
「あなた・・・・・今から又、許都に戻りたい?」
春蘭が華琳に逆らえる筈もなく、大声で泣きながら謝った。
流石に春蘭が可哀想なので俺たちも華琳に取り成した処、春蘭はお仕置き部屋送りで許される事となった。
数日前に桂花が入れられたお仕置き部屋である。
桂花が部屋から出て来た時に、泣きながら「ごめんなさい」を繰り返していた。
あの桂花がだ!
果たしてあの部屋の中では何が行われているんだろう・・・・・・・。
城内医務室
西の空が夕焼けに燃えて、房都の街を朱く染めている。
典医華佗の為に造られた医務室も、本来白を基調にした室内が夕焼けの朱に染まっていた。
室内にあるベッドの一つには白蓮が寝かされている。
春蘭の一撃を受けて気絶した白蓮を運び込み、俺たち三人が介抱している。
俺と赤、紫の三人が見守る中、白蓮が薄く目蓋を開いた。
「華佗!白蓮が目を覚ました!」
「白蓮、気分は悪くないか?」
「頭とか痛くないか?」
ぼんやりと俺たちを見渡した白蓮。
「ほ、北郷!?さ、三人とも?ここは?私なんで・・・・・」
ガバっと上半身を起こした白蓮はキョロキョロしていた。
「白蓮は春蘭の一撃を受けて気絶してたんだ。」
「ここは城内の医務室だよ。」
「あれから二刻半くらいかな。」
「あ・・・・・そうか・・・って、二刻半!?そんなに気絶してたのか?私!」
「おい一刀たち。まだ診察が終わってないんだから少し待ってくれ。どうだ公孫賛?寝てる間に鍼を打っておいたが、何処か痛むか?」
華佗の問診に白蓮は自分の身体をチェックしている。
「いや、大丈夫。むしろ午前中より調子が良いくらいかな。」
「そうか。長く寝ていたのは成都からの旅の疲れの所為だろう。その辺りの病魔も退治しておいたから身体は心配無い。後は・・・・・一刀、お前に任せる。」
華佗が俺の肩を叩いて自分の椅子に向かった。
心のケアをしろって事だな。
「ええと、白蓮。小喬を守ってくれて有難う。あの時白蓮が居なかったら大惨事になってた所だった。」
「そう言う意味じゃ、春蘭も助けてくれた。もし春蘭が小喬を斬っていたら春蘭の立場もどうなってたか・・・・・」
「いや、私は咄嗟に動いただけで・・・・・しかもあっさり伸されちゃったし・・・・・」
「春蘭のあの一撃を防いだだけでもすごいよ。」
「小喬も泣いて感謝と謝罪を言ってたよ。白蓮にすがり付いてるのを離すのに苦労するくらいだったんだ。」
「小喬が・・・・・・なんか恥かしいなぁ・・・」
「みんなも心配して一刻くらいはここに居たんだけど、華佗が心配いらないって言うから冥琳がみんなを連れて行ったんだ。」
「俺たちに白蓮の介抱をするように言ってさ♪」
「そうか・・・みんな心配してくれたんだってじゃあ一刻半も私は北郷たちとだけだったのか!?」
「「「いや、華佗も居たけど・・・・・」」」
真っ赤になって焦る白蓮は毛布を手繰り寄せて顔を隠してしまった。
「なあ、白蓮。春蘭が現れる前に言ってた事だけどさ・・・・・」
「ん?」
白蓮は毛布で顔の下半分を隠したままだったけど返事をしてくれた。
「もっとみんなを頼ればいいと思うぞ。」
「あんな個性的な子達を一人でまとめて勉強を教えようなんて、そりゃ無謀だって。」
「でも・・・・・それじゃあ私が無能みたいで・・・・・」
「「「白蓮は無能なんかじゃないってっ!!」」」
「うひゃぁ!」
「「「あ、ごめん・・・」」」
ベッドに横になってる白蓮に三人で詰め寄ったら怯えるよな。
「えっとだな・・・俺たちは武力も知力も白蓮に敵わないし、馬術なんか雲の上なんだぜ?これで白蓮が無能なら俺たちは無能以下って事じゃないか!」
「そ、それは・・・・・北郷たちはそれ以上に・・・」
白蓮が言いかけるの無視して畳み掛ける。
「俺たちは白蓮のことを姉貴分みたいにも思ってるんだ。だから今回先生役もお願いした。雑務だなんて決して思ってない!大切な妹分達を任せるんだ、いい加減な気持ちじゃ頼まないって!」
白蓮の口元は見えないけど、見開かれた目がその気持ちを伝えてくれていた。
「私が・・・北郷たちの姉・・・・・」
「力及ばない時はその道に特化したのが居るんだから、遠慮せずに力を貸して貰おうよ。俺たちが白蓮の力を借りるみたいにさ♪」
「・・・・・・・うん、そうだな・・・・・そうするよ♪」
なんだか色々と熱く語っちゃたけど、白蓮が自信を取り戻してくれたのならそれでいいさ。
「もう日が暮れそうだな・・・・・どうだ、これから呑みに行かないか?」
「場所はどうする?」
「あの居酒屋がいいな、落ち着いた雰囲気の。華佗も行くだろ?」
照れ隠しに話題変更ということで、俺たち三人が誘ってみる。
「すまん、まだ仕事が残ってるんだ。俺の事は気にせず四人で行ってきてくれ。」
あ、華琳とかに報告が有るもんな。
「そうか・・・・・また誘うからその時にな。じゃあ白蓮行こうか♪」
「ちょ、ちょっと待てよ北郷・・・・・呑みに行くって・・・・・この四人だけで?」
ちょっと強引過ぎたかな?
「白蓮には成都と房都の間を行ったり来たりしてもらった所為でゆっくり話す時間もなかったからな、こんなチャンスだから誘ったんだけど・・・」
「ちゃんす・・・・・機会って意味だっけ?・・・・・・でもいいのかなぁ、他のみんなに悪い気が・・・・・」
「大丈夫だって、今日の大活躍も含めて俺たちからのお礼って事でみんな納得してくれるよ♪」
前の外史では恩を返せなかった白蓮。
この外史で受けた恩もまだ全然返していない。
こんなモンじゃまだまだ感謝の気持ちの一部も表せていないんだぜ、白蓮。
「じゃ、じゃあさ・・・・・呑みに行く前にひとつだけお願いが有るんだけど・・・・・」
遠慮がちに言ってくる白蓮に、俺たちは笑顔答える。
「「「一人に一つで三つは叶えてあげるよ♪」」」
「いやいやいや!一つでいいよ!・・・・・・その、私も・・・その・・・一刀って呼んでいいかな?」
何だそんな事、なんて言いはしない。
白蓮なりに考えて、しかもそんな恥らいながら言ってくれた事だ。
いくら俺たちだってそこまで野暮じゃないさ。
「「「ああいいよ♪今度からは俺たちのことはそう呼んでくれ♪」」」
途端に嬉しそうになる白蓮がすごい可愛かった。
「ようし!今夜は久々に楽しい酒が呑めそうだ♪さ、いこうぜ!緑一刀、赤一刀、紫一刀♪」
こうして俺たちは四人で城を抜け出し、街の居酒屋へ繰り出した。
第五部 帝立北郷学園 了
あとがき
今後、この外史では『学園』は日常の一部となります
そして始まる、白蓮のスーパー弟タイムw
意味の分からない方はウィキの『河原木志穂』さんの項目をご覧下さいw
貧乳党と小喬
活動を抑えるよりもむしろ火種をぶち込んだような気がしますw
鈴々の読んだ本
『快感楽句』は鈴々√で読んでいた本ですね
絵本の方の内容は・・・・・
タイトルを付けるとしたら『医者王と漢女達の龍退治』でしょうかw
美羽のむずがり
前回の頂いたコメントを盛り込んで
書かせていただきました。
・・・・・こんなになっちゃいましたw
白蓮のセリフって
一刀とかぶるので華琳との会話のシーンなど
推敲してるとどっちのセリフか判らなくなる時がありました。
自分の力不足もあるのですが
声優さんてすごいなぁ、と思いましたねぇ。
春蘭登場
春蘭VS小喬
第一ラウンドは水入りで引き分けでした。
次回から夏企画
夏といえば当然水着!
第六部は少々長めの水着シリーズにする予定ですw
説明 | ||
早速勉強・・・・・と、思いきや、何やら不審な発言が 白蓮も知力90オーバー集団に混じって先生ができるのか? ご意見、ご感想、ご指摘、ご要望、更に 「愛紗ちゃぁぁん・・・・・華琳さんに『料理の基礎を叩き込むから愛紗も連れて来なさい』って怒られちゃったよぉ(´;ω;`)」 などの報告がご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。 |
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コメント | ||
…幾らなんでも七乃、歪んだ愛で済むレベルを越えてる気がするんだが…。いっその事これ以上の暴走抑制の為に、一度漢女の園に放り込むべきだったんじゃ?(クラスター・ジャドウ) 神木ヒカリ様 お待たせ致しました。ブルマ回ほど一刀が暴走しないよう気をつけたいと思いますw 美羽には一刀たちから蜂蜜が届いたと思いますので、それを励みに頑張って生きて行って欲しいですw(雷起) 水着の回待ってました。そして美羽・・・哀れだ。(神木ヒカリ) 量産型第一次強化式骸骨様 この外史の七乃、暴走しすぎですねwでも、この状態を見た華琳と冥琳は美羽に優しくなると思います。 成程!その発想はありませんでした!!そのアイディア使わせて頂きたいと思いますm(_ _)m 貧乳党結成以来の最大の危機ですw今後の貧乳党の行方にご期待下さいww(雷起) ゆぎわ様 不幸の後には幸福が訪れるはず・・・・・いえ、ちゃんと幸福になるように考えておりますw たんぽぽコーヒー!すっかり忘れておりました!漢方薬にたんぽぽ茶が有りますので直ぐに作れますねb *追記*『たんぽぽが代用品』の所でイケナイ妄想しました。深く反省しますorz(雷起) アルヤ様 美羽を愛するが故に心を鬼にして・・・・・・・基本となる愛が歪みまくっている所為ですねwww(雷起) いじめっ子な七乃さんww お仕置部屋は漢女の園にでも繋がってるのだろうかwww 「まさか我ら貧乳党に巨乳人の幼生体が紛れ込んでいたとは……これからは入党前に調査する必要があるでしょうか」(量産型第一次強化式骸骨) 美羽がいたたまれないww コーヒーと言えばたんぽぽが代用品としてありますね。(ゆぎわ) 七乃鬼かwww(アルヤ) |
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