リトルバスターズ!ー秘密を持った少年ー第1話
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俺、((灰闇蓮|かいやみ れん)) は現在自分が通っている学園の校門に立っていた。

 

(やっとここに戻れたよ。ったく、アイツ等人使い荒すぎる)

 

一週間ぶりの学園戻ってきて、安堵と仕事を押し付けた上司に対するグチが出て来た。

 

(理樹達はもう寝てるだろうなぁ。もう3時だしなぁ)

 

友人の顔を思い浮かべながら門に手を置き、一気に跳び越える。

 

「よぉ、相変わらずの運動神経だな」

 

声に振り返れば、門の向こう側に一つ上の友人、棗恭介( なつめ きょうすけ) が立っていた。

 

「よぉ、久しぶりだな。恭介も今帰りか?」

 

「ああ。お前はあの仕事、まだ続けてんのか?」

 

恭介が門を越えながら聞いてきた。

 

「まあな」

 

苦笑しながらそれに答える。良く見れば、恭介の体はボロボロだ。制服の上に土や枯れ葉がつ いている。

 

「今回はどこ行ってたんだ?」

 

「東京の出版社だ」

 

歩きながら雑談を続ける俺等は食堂の方へ向かっていた。

 

「どうせ学園革命スクレボの作者のサインを取りに行くついでに面接受けに入ったとかそんな もんだろ?」

 

「正解だ!」

 

「やっぱりか」

 

溜め息つきながら堂々と胸を張る恭介をジト目で見る。コイツはどうしてこうなんだろうね。

 

「お、食堂についたぜ。ちょっくら顔を出すか」

 

「お前が行ったらまた喧嘩が始まるだろ。って聞けやコラァ!」

 

意気揚々と食堂に入って行った恭介を追う。そして入った瞬間まだ起きていた男子生徒の一人 が入り口に走ってきて、

 

『きょーすけが帰ってきたぞーーーーーーーーーーーーーっ!』

 

そう叫んだ。当の本人はとっくに床で眠りについている。

 

「もう、良いや。俺も寝よ」

 

俺は恭介の隣で眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、止めなくちゃ」

 

僕、直枝理樹( なおえ りき) は焦っていた。目の前で大立ち回りをする2人の姿。食堂はただのバトルフィールドと化して いる。片方は、ルームメイトである井ノ原真人 (いのはら まさと)もう片方は、袴姿の男、 宮沢謙吾 (みやざわ けんご) 。どちらも僕の幼なじみで昔から犬猿の仲。意見を違わせては喧嘩を繰り返してきている。今 回も何かの意見が食い違って生まれたのだろう。

 

ばきぃぃっ!

 

真人が放った拳を謙吾が避けたことにより、巻き込まれた後ろの机がひび割れる。

 

男子生徒1「さすがだな、井ノ原・・・」

 

男子生徒2「部活にも入らず無駄に鍛え上げられた筋肉をここぞとばかりに見せつけてやがる ・・・」

 

野次馬の中から適当な解説が聞こえてくる。

 

「うおぉ!?」

 

謙吾の手に握られていた竹刀がぶれた、と思ったら真人の胸板に×マークの傷が出来上がった 。

 

男子生徒1「でた!愛情、性衝動の全てを捨てて完成させた一太刀!」

 

男子生徒2「なんと切り傷が哀と読めるらしい・・・」

 

男子生徒1「いや、あれは死刑、と書いてるらしいぞ」

 

男子生徒2「なにぃ!?それは殺人衝動の表れじゃないか!」

 

勝手な憶測が飛び交い、場は異様な盛り上がりを見せている。

 

「誰か止めてやってよっ!」

 

僕はそんな野次馬達に訴える。

 

男子生徒3「えー、これからが面白いとこじゃん」

 

この2人の喧嘩は校内ではすでに見せ物当然となっている。

 

「放っておいたら、まずいって。何があったか知らないけど、今回の2人本気っぽいしさ、大 怪我するって」

 

「じゃ、お前が止めればいいだろ。幼なじみなんだからよ」

 

「え?ああ、そうだね」

 

もっともな事を言われて、たじろぐ。確かに、2人と親しい自分が止めるべきだ。

 

(なんとかしてみよう・・・・・・)

 

「そこまでっ、ストップ!」

 

僕は心を決めて間に割って入る。

 

「理樹、邪魔すんじゃねぇ・・・」

 

「そうだぞ、理樹。おまえまで怪我することになるぞ」

 

真人は謙吾を睨みながら、謙吾は冷静に僕に向かって言う。けど、謙吾の言葉は真人の怒りに 油を注いだようだ。

 

「までって・・・・オレは怪我すること前提かよっ!そこまで馬鹿にされて、黙ってられるか っ!うらああぁぁぁぁぁああぁぁーーっ!」

 

真人が拳を固めて謙吾に迫る。周りの生徒が慌てて道を作ったのだが、僕はそれに足をとられ 、転けてしまった。その上を真人が通り抜ける。再び始まった戦いに野次馬がどっと沸き上が った。

 

(やっぱり、僕じゃ無理だ。恭介に頼むしか・・・)

 

「恭介は!?」

 

男子生徒2「え、あー、あそこ」

 

男子が指さした所には、酔っぱらいのように仰向けに寝転がる恭介がいた。その隣には蓮の姿 もある。急いで恭介に駆け寄り、肩を揺する。蓮が起きないように出来るだけ動きと声を最小 限に押さえながら。

 

「恭介、やばいって、2人を止めてっ」

 

恭介の目が薄く開く。

 

「なんだ、理樹か。悪いが昨日寝てないんだ」

 

そういってまた寝ようとする恭介は体中土や枯れ葉がついている。っと、今はそんな事観察し てる場合じゃない。

 

「恭介が帰ってきたから、真人と謙吾が喧嘩を始めたんだろっ!?ちゃんと、怪我しないよう に見てやってよっ。帰ってくるまで我慢してたんだから」

 

これは僕らがいくつか結んでいる約束の一つで、恭介がいない時に、本気の喧嘩は禁止。恭介 がいつでも仲裁に入れるようにするためだ。もう一つ理由があるが、今はそれはどうでも良い だろう。

 

「恭介っ」

 

僕は体を揺すり続けた。

 

「わかったよ」

 

恭介が僕の手を押しのけて、ゆらりと立ち上がる。そして闘っている2人に顔を向けた。

 

「じゃ、ルールを決めよう。素手だと、真人が強すぎる。竹刀を持たせると、逆に謙吾が強す ぎる。なので」

 

今度は野次馬の方へ顔を向ける。

 

「お前等がなんでもいい、武器になりそうなものを適当に投げ入れてやってくれないか。それ はくだらないものほど良い」

 

再び謙吾と真人に向き直る。

 

「お前等は、その中からつかみ取ったもの、それを武器に戦え。その武器にあった使い方でな 。それなら今よりか危険は少ないだろ。良いな?」

 

確認を取っているが、有無言わさない空気を発しているためその場の誰もが頷いていた。

 

「じゃ・・・・・バトルスタート」

 

最初は戸惑っていた野次馬達だが、一人が何かを投げ入れると、それを合図にしたかのように 活気づいた。色んな物が真人と謙吾に向かって飛んでいく。

 

「やるか?」

 

「やるに決まってんだろ」

 

「・・・・・・・・」

 

真人に確認を取った謙吾は、目を伏せて心の目で投げ入れられている物を掴むかのように手を 前に出した。

 

スチャ

 

その手には、しゃもじが握られていた。

 

「・・・・・・・・」

 

それを見た謙吾は何か思案するかのような顔になった。

 

「謙吾、お前の負けだぜ!」

 

真人の声で、野次馬や謙吾、僕らはそちらに目を向ける。真人の手には、ゴルフのパターが握 られていた。

 

『これは、井ノ原の勝ちだな』

 

野次馬の誰かが言った。その通りだろう。しゃもじとパターでは強度とリーチの差が激し過ぎ る。

 

「・・・・・・・・」

 

スッ

 

それでも謙吾はしゃもじを構えた。これはもう、プライドの戦いなのだろう。

 

「行くぜ!」

 

真人がパターを下から上に振り上げる。それを謙吾は受け流す。さすがにしゃもじでは全てを 流しきれないようで、衝撃で顔を歪めている。

 

「そらそらそらそら!!」

 

真人が好機とばかりにショットを打ちまくる。謙吾は防戦一方だ。誰もが真人の勝利を疑わな かった。けど、真人は運がなかった。

 

バン!

 

真人が振り上げたパターが近くの机を一つ吹っ飛ばした。

 

ガタン!

 

他の机を巻き込んで行った机は最終的に、蓮へと他の机と一緒に突っ込んだ。

 

『『『あっ』』』

 

ガシャーン!

 

派手な音をたてながら机がゴッチャになった。食堂にいた全員がフリーズする。

 

「きょ、恭介、どうしよう!」

 

「と、取り敢えず皆動くな!今動いたら犯人だと思われるぞ!」

 

恭介が適切な指示を出す。その顔は少し青ざめている。一番青ざめているのは真人だけど。別 に皆、蓮が怪我をしたらとかそうゆうのは心配していない。

 

「きょ、恭介。取り敢えず、どんな状態か僕が見るよ?」

 

「あ、ああ。頼む」

 

僕は恐る恐る足を踏み出そうとした。その瞬間、

 

ドカァン!!

 

ゴチャゴチャに積み重なっていた机が吹き飛んで壁に激突した。幸い、皆には当たらなかった ようだ。当たってたら下手すれば死んでる。

 

吹き飛んだ机があった場所に立っている蓮。その顔は長めの前髪のせいで良く分からない。け ど、皆分かっている。蓮は、怒っている。

 

「誰だ」

 

ドスの効いた声が食堂を支配する。何人かの野次馬が震えている。

 

「俺の安眠を邪魔した馬鹿は」

 

全員が真人を指さす。そして、蓮の目も真人を捉える。静かに歩み寄っていく。

 

『皆、巻き込まれたくなかったら死ぬ気でこの場を脱出しろ!』

 

野次馬の1人が走り出したら、他の人も走り出した。僕と恭介、謙吾はその場に残る。蓮を止 めるために。皆がいなくなった食堂で真人と蓮が対峙している。

 

「へっ!一度お前と正々堂々とやってみたかったんだ。行くぜ!うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉガ ブラッ!?」

 

ドォン!ドゴォン!

 

雄叫びを上げながら蓮に突っ込んだ真人はカウンターとして顔面に拳をくらい、吹っ飛ぶ。そ してその後も蓮の猛攻は止まない。夜遅くの食堂に、真人の悲鳴、ではなく破壊音が響いていった。

 

 

 

説明
彼、灰闇蓮(かいやみ れん)は恭介や理樹が通っている学園の生徒である。彼はある秘密を持っており、それがバレることを望んでいなかった。

これはリトルバスターズ!の2次小説です!
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リトルバスターズ! ヒロイン 二木佳奈多 一応原作沿い 理樹は鈴ルート 

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