HUNTER×HUNTER 柔拳使いに転生 第1章 |
☆ 第1話 ☆
僕はこの世界に来る前は普通に高校生をしていたと記憶している。
学校に行き、自転車で家に帰る途中で非現実的にも羽の生えた女の子が目の前に現れてぶつからないように避けたところにガードレールがあり・・頭をぶつけて死んだらしい・・あまりにも情けない死にかただった。
ヘルメットを被っていればまた違っただろうか?
で、まぁそこは仕方なかったと諦めるとしてだ、魂のような足がないのに進む奇妙な感覚を味わいながら天へ昇ったわけだがなんともやる気のない声で他の魂とは違う場所まで案内され、案内された場所には俺が死ぬ前に轢きそうになった女の子がいて・・俺が死んだのは全くの想定外の出来事だったと笑いながら説明されたのだった。
「ぁー・・久しぶりに笑った。まさか生きてる人間に私の姿が見えて、その私を轢きそうになって死ぬ人間が出たなんて。で、あなた想定外の出来事で死んだわけだけど、どうする?」
「どうする?とは僕になにか選択するもんがあるんですか?・・いきなりこんなとこに呼ばれて理不尽に人の死に様笑われて・・・次は何をどうしろと?」
僕は魂の状態でなんか悲しい気分になりながら目の前の理不尽に反論する。
「えっとね・・笑っちゃったは笑っちゃったんだけどこの死亡は私のミスってことになるんだよね・・・不本意ながら」
こいつ今・・不本意ってつぶやかなかったか?
「そ・・それで?」
「だから!転生って形でまた蘇ってもらうことになりま〜す!うれしいでしょ?でもって転生する先は『HUNTER×HUNTER』の世界!!」
「また死亡する確率上がるよ!!」
冗談じゃない!『HUNTER×HUNTER』の世界って人の命が凄く軽いところじゃん・・
「だから何か力をつけてあげる!なにがいいか考えて?」
なにがいいかって?・・どんな力なら生き残れるだろう?キメラアントって化け物なんかもいたし、内部破壊とかなら外面をいくら鍛えても無意味じゃないかな?・・・あるじゃん!!アレ貰おう、でもアレだけじゃダメだな・・
「力っていくつくらい貰えるんですか?」
「そんなに無茶苦茶じゃなければいくつでも大丈夫だけど・・決まった?」
「ぁ・・はい。『念』能力の話なんですが、『NARUTO』って漫画の白眼の能力を凝(ギョウ)でできるようにして日向の柔拳法とかでオーラを止めたりってできるようになりませんかね?」
「うん、大丈夫だよ!よく考えてるね〜・・他になんかある?」
「『念』は最初から使えるわけではないので、中国拳法の知識と体の動かし方なんかを教えてほしいです。柔拳法のように内部破壊に準じる技も多いと思うので」
「オッケ〜!それと容姿なんかはこっちで決めるからね!それから修行もしたいでしょ?だから不老ってことにしてあげるよ!お詫びだしね。」
なんかありがたいな・・
「ありがとうございます!それで・・原作にも入りたいわけですが、何年前になるんでしょ?」
「30年も修行すればそれなりに強くなれるでしょ?容姿は変わらないし、スーパーコンピュータに登録もされてないからこの世に生まれた痕跡すらない人間として年齢もわからないだろうしね!」
「修行といえば・・あの!場所と修行の道具とかも願いにいれても大丈夫ですか?」
「うん。なにか希望はある?」
「まわりに人が少なくて見つからない自然が豊富なところでゾルディック家の使用人の家みたいな日常生活で修行になるようなのが欲しいです」
「オーラの量は転生者の特典として多めにするからね!あとは・・読み書きは一般常識レベルでできるように、それに人としての成長限界も排除しよう」
「転生者って他にもいるんですか?」
「君が行く世界にはいないね、でも私のほかの神が管理している世界ならいるよ?ソコに行く?」
「いいです、原作が大幅に変わるのも見たくないですし・・なによりそういうのってイレギュラーは殺されるって相場が決まってるじゃないですか・・」
「そっか!まぁいいんだけど・・それじゃもう行く?」
なんか軽いな・・ノリが・・・。
「はい!いろいろありがとうございます。」
「じゃ!楽しんで生きてね」
なんか嫌な予感が・・・・
「はいばい!!」
俺は目の前の女の子が指差した扉のほうへ飛んでいく・・・
「でh・・あああぁぁぁ・・・・!?」
扉の前に着いたと思ったら足元に穴が空いて落ちた。
なんで浮いてた俺が下におちるんだぁぁ・・
さっきまで少し真面目だったのに・・また悲しくなってた。
そして、
「どーしてこーなった…」
なんで・・
「なんで・・いや僕はこの顔でこれから先、過ごすのか…」
女顔だった。
すげぇ可愛い・・
でも男の子、いやあの神に男の娘にされてしまった・・・
この顔・・灼眼のシャナの『シャナ』にそっくりにされてしまった。
「名前が思い出せないし、しょうがないからシャナって名前にするか。しっくりくるし」
「それにこの顔ならいたずらにも最適な気がする」
フフフ・・・
シャナは黒い笑みを浮かべながら考える。
とりあえず家に入るか。
グッ・・
力を入れる、が
「
はぁ・・はぁ・・・」
なんだこれ・・入るだけで疲れてしまった。
でもレオリオでも開けるのに苦労してた扉だし転生して通常より強い体になったのは実感できた。
鍛えるのに申し分ない身体だ。がんばってみるか!
そして、たぶん20年くらいたったかな?って時間が過ぎた気がするとき僕の身体は成長はしないけどちょっとは強くなれたかな?って頃
その日もいつもこなす錘をつけての中国拳法の型をゆっくり500回繰り返す反復練習の最中に野生動物に似ているけど違った気配がして振り返った。
見たこともない浮浪者のような男がこちらをおもしろそうに見て、
「おい、嬢ちゃん」
声をかけてきた。
「なに?おじさん」
気配には気づけたけど直前まで近づかれたのがわからなかったので警戒しながら返事を返した。
相手はキョトンとしたが、そのあと笑いながら近づいてきた
「
クッククク・・わりぃ!さっきの修行か?見たことない型の武術だったが、邪魔して悪いが近くに親はいるか?」
「いないよ。ここには僕しか、なにか大人に用?」
「お前、親いねぇのか・・いや、ちっと水分けて欲しいんだ。いいか?」
「ん、いいよ。少し歩くけどいいよね?」
「あぁ、構わねぇぜ。」
「おじさんの名前は?」
「おう!俺はジンっていうんだよろしくな。おめぇは?」
この人原作キャラで一番レアなジン・フリークスかよ・・
初めて会う原作キャラがジンって・・運がいいんだか悪いんだか・・・
「僕はシャナってことにしてる」
「ことにしてるってのは?」
「気づいたらココにいたんだ、名前も自分でつけた。」
そういうことにしておく。
「そりゃ記憶がねぇってことか?」
ジンが聞いてくるので
「一部だけね、」
転生者とは言えないのでボカして教えておく。
「シャナはここにどれくらいいんだ?」
なんでそんなこと聞くんだろ?
「わかんないですけど、10年くらいかな?」
こちらもボカす。成長しない体なんかおかしいし・・
まだ『念』は習得してないけど『念』を覚えれば成長が緩やかになるらしいから原作キャラにも誤魔化せるかもしれない。
「おし!シャナ、俺とこい!」
これって俺の弟子になれってやつか?
野生児のジンの修行って死ぬ気がするから遠慮したいかも・・
「いえ・・僕は修行中だし・・・」
なんか目の前のジンさんは目をキラキラさせてるような・・
「修行なら俺がつけてやるって」
なんか強引だこの人・・
「ええっと、ちょっと考えさせてください」
よく考えたらこれってここから出て行くいい機会な気がしてきた。
ここにずっと居たら第287期のハンター試験を受けるに間に合うかわかんないし、ていうか今何年であと何年で始まるかもわかんないし・・
根本的な部分にぶち当たってるな・・・僕。
「ま、よく考えな!で、さっきの話なんだが、水くれないか?ここ数日、なんも口にしてなくてな」
「わかりました。ここ少し歩いたら家あるんで着いてきてください」
「おう、案内頼む」
とりあえず歩きながら話すか・・
「ジンさんはここへはなにを?ここらへんは人は滅多にこないんですが」
そうだ、僕が転生したココはどの生物も強くて最初の1週間ほど肉も碌に食えないほどで正直、餓死しかけた。前世はただの高校生、野生動物の捕まえ方なんて原始的な罠しか思いつかなかった。
「おう、俺の弟子とはぐれてな・・弟子ってのはカイトっつうんだけどよ!探してる途中で風を切る音が聞こえてそこにいたのがシャナってわけだ!」
おいおい・・弟子ほったらかしかよ・・・
「それで?ジンさんについてこいって・・僕も弟子にってことですか?」
むしろそのほうがいい。
「おう!シャナは強くなりそうだしな」
「なんでそんなことわかるんですか?」
この答えはたぶん・・
「勘!!」
はぁ・・・溜め息ついてしまった。
「つきましたよ、水はそこの井戸から好きなだけどうぞ」
「おう!サンキューな、ん・・?この重さは・・?」
気づくよねそりゃ・・
「えぇ、この家はなぜか知りませんけど扉も日常家具もなにもかもが重くて修行にはもってこいなんです。いまは気になりませんけど最初は苦労しました」
「この家は最初からここにあったんか?」
これも誤魔化しておくか・・
「はい、でも10年くらい暮らしてますが誰も来ませんので僕はありがたく使ってはいるんですけど」
笑いながらジンさんに不法で家を使ってるという
「シャナもいい度胸してんなー」
ジンさんも笑いながら水を飲んでいる。
「あーーーーーーーーー!!!」
なんか僕たちが歩いてきた方向からこちらへ指を刺してさけぶ青年がいた、たぶんあれがカイトなのだろう。
「おう、カイトもきたか。水、飲むか?」
ジンさんが声のしたほうへ向き、マイペースにカイトへ声をかけている。
「カイトさんですよね?ジンさんに聞いた迷子さんの、僕はこの家に住んでるシャナっていいます」
挨拶をする。
「ぁ・・あぁ、カイトさんとか気持ち悪いからカイトって呼んでくれ。嬢ちゃんは?」
嬢ちゃんって・・・
僕が目に見えて落ち込んでるような顔を作って、ジト目で見上げる。
「僕、こんな顔だけど男なんですよ?嬢ちゃんはやめてください」
「すっ・・すまん!あまりに可愛い顔でって、これはほめ言葉じゃないな」
カイトが僕をさらなるどん底に落としながら・・という風に見える僕の表情に苦笑しながら頭を下げてきた。
「いいですよぉ・・どうせ僕なんか女にしか見えませんよ・・・」
若干、僕不機嫌ですって顔をしながらカイトをジト目で見上げる。
ここで補足すると僕の見た目の年齢は11、2歳前後で黒髪に緑目で『灼眼のシャナ』のシャナと違うのは目の色が緑というところだけだ。
今は一応、修行の邪魔になるので長い髪は後ろで一本にまとめている。
「悪かった。それと水、ありがとうなシャナ」
「..どういたしまして、とりあえず中へどうぞ。あまりお構いできませんけど」
演技はバレてなさそうなので、機嫌が若干悪いです。というふうに装って返事を返し・・・
「おう、ありがとな」
ジンさんがついてくる
それでカイトが中に入ったのを確認してから扉を閉めた
「うぉっ」
カイトが原作のゴンたちのようにスリッパを履いたところで前のめりに倒れた。」
「あぁ、カイトには言ってなかったね。この家、あらゆる家具に錘が入ってるから気をつけてね」
僕も最初のほうやったな〜っと思い出し、笑いながらカイトに告げた。
「そういうのは早めに言ってくれ・・・」
カイトは前のめりの姿勢でげんなりしながら僕に顔を向けるのだった。
☆ 主人公紹介 ☆
腰の下まである長い髪を持ち、凛々しい又は可愛らしい東洋系の顔立ち。
見た目の年齢は11、2歳前後に見えるが不老となる。
性格は前世に伴い、生真面目だがいたずら気質で、自分が女の子に見えるのを良いことに誤解されてるのを利用して遊ぶような性格である。
〔保有技能〕
・中国拳法
・NARUTO、日向一族に伝わる瞳術。
・柔拳法
・HUNTER×HUNTER世界における常識的な言語
・針を使った治療のための知識と技術
・布槍術
・不老
《白眼》 特質系念能力
NARUTO、日向一族に酷似した瞳術で主人公が凝(ギョウ)を行って発動する。
ただし、数百メートル先を見通す視力・のほぼ全方向を見渡す視野などはオーラを込める量が距離に比例して減少する。
念〔柔拳法〕一覧 放出系能力
・柔拳法・一撃身(じゅうけんぽう・いちげきしん)
オーラを自分の体に集中させ、密着した敵の身体に大きな一撃を与える。背後から相手に密着され動きが封じられた状態でも、攻撃できる技である。
・八門崩撃(はちもんほうげき)
八つの精孔を突き、相手のオーラを練られないようにする。
・守護八卦六十四掌(しゅごはっけろくじゅうよんしょう)
オーラを掌に集中させ、高速で動かすことによりオーラの壁を作り、外敵を迎撃する。使用には柔軟な動きが求められる。
・柔歩双獅拳(じゅうほそうしけん)
獅子の形に具現化したオーラの塊を両手に纏わせ、敵にぶつける。
・八卦掌回天(はっけしょうかいてん)
敵の攻撃を全身から出るオーラでいなして弾く。
オーラの消費量が多いために連続して使えないが、巨大なクレーターができるほど大きく、攻撃力もあわせ持つ
・???
☆ 第2話 ☆
「おい、シャナ!世話になっといてなんだが・・3日たったが、決めたか?一緒に来ること」
ジンさんがへばってる僕とカイトを見下ろしながら尋ねてくる。
「はぃぃ・・、ちょっと息を整えたぃので待ってくださいぃぃ・・・」
僕は自分が今まで、どんなに優しい修行しかしたことがないのかと・・
ていうかジンさん凄くスパルタすぎる・・・
「僕はもっと強くなりたいので願ってもないことなんですが・・・」
「おっ!シャナもジンさんと来るのか」
カイトがこの3日間で初めて聞いた感じにジンさんと僕を交互に見て
「よし!決まりだな。実は、この先の街に仲間待たせてんだけどよ、まぁ・・なんだ!10日くらいほったらかしにしてたんだ」
なっ・・・なんて自由すぎる人だろう・・・
「それ・・大丈夫なんですか?」
「まぁジンさんだしな」
僕とカイトでジンさんのズボラな性格について話してると、
「んじゃ、シャナは持っていくもん決めて準備してこい!カイトは俺とシャナの準備の間、稽古の続きだ!」
僕が立ち上がって家に服なんかを準備しに行く。
素早くジンさんたちのほうへ戻ると、動きが早くて何をしてるのか曖昧にしか見えない組み手をしていた。とりあえず声をかけずに一通り終わるまで動きをみて勉強させてもらうことにした。
だが・・・
「あっ・・目に砂埃が入っちゃった」
ジンさんとカイトの激しい攻防で舞い上がった砂埃が風に乗って、こちらに吹いてきて目に入った。
「おい!よけろ!!」
カイトがジンさんに放った、たぶん『念』の弾がこちらに飛んできたが、生憎、僕はまだ『念』を習得していない。背筋に嫌な悪寒が走り、声に反応して顔を上げた僕の顔面にかすった。
そこで、「やっべ精孔がひらいちまった!」というジンさんの声も聞こえて・・・
「おいシャナ!よく聞け体の力を抜いて目ぇ閉じろ!んで俺の手の動きに意識を向けるんだ、大丈夫
だお前は自力でオーラが出掛かっていた、集中しろ!必ず成功させろ」
そりゃ、『念』の起こし方なんて知らなかったから燃えるほうの『念』をしてたし・・・
「おし安定してきた、そのオーラを体に留めんのを纏(テン)っつうんだが・・お前、一発で成功させるとは、素質がすげぇんだな」
なんか無理やり目覚まされたのに現金な物言いである。
「シャナ!大丈夫だったか?苦手な放出系でよかった。他のもんで攻撃してたらシャナが死んでたかもしれねぇ・・本当に申し訳なかった」
「だ、大丈夫だょ・・」
オーラを留めるのに集中しててちょっと冷や汗気味に答える。
「シャナの精孔(しょうこう)も開いちまったし、ますます俺が師匠になってやらなきゃな、ま!すぐに開くつもりだったし結果オーライだよな!」
なんか笑えないことばっかり言われてる気がするのは気のせいなのかな・・・
「おし!シャナはそのまま纏(テン)を維持な!んで、走って街まで行くぞ」
この人滅茶苦茶だ・・・
基礎も終わってないし、説明もないのか・・・・。
☆ 第3話 ☆
「おし、街まで着いたな」
ほんとに街まで走らされた。しかも4日休まずに・・・長かった。
「この纏(テン)っていうの凄いですね、体が頑丈になったのはわかりましたけど疲れにくいっていうのもある感じで」
ホントに『念』って凄い。
纏っているオーラが安定してるのも走ってるうちに気にならないくらいには無意識に出来るようになっていた
「ジンさんもたいがいにチートっぽかったがシャナもチートって感じだな・・」
カイトも僕に呆れ顔を向けている。そっちこそ、と言いたかった。
「もとからオーラ量が多かったってのもあるけどな、んじゃシャナ!ここで仲間を待つ間、全身の精孔を閉じて疲労回復を図るんだ。この技術を念の基本四大行の絶(ゼツ)ってんだ。やれ」
なんとなくで精孔を閉じるイメージをしてみる・・たしか原作のゴン達は気配を絶つのに使ってたし、気配絶ちに似てるのかな?
「おし!完璧だな・・ホントに初めてか?お前」
ジンさんがなんか疑ってるし、ちょっと加減しながらやらないとな〜・・・
まぁ『念』の才能があったんじゃないですか?って誤魔化したが。
そして、絶(ゼツ)で待ち人を待つこと、2時間ほど。やっと目当ての人が来たようだ。
「おいジン!おめぇ何日待たせりゃ気が済むんだ、あん?そっちの嬢ちゃんはどこで拾ってきたんだ?」
この髭の人もしかしてG・Iゲームマスターの1人のドゥーンじゃないかな?少し若い感じがするけど・・・
「嬢ちゃん、名前は?この野郎に無理やり連れてこられたのか?」
なんか面白そうだし遊んでみようかな♪・・
ちょっと、声を怯えてる感じにして、
「ぁ・・あの!シャナっていいます。ぇと・・お兄ちゃんはだれ?」
こんな感じで大丈夫かな?
「お兄ちゃん・・なんかいいな、おう!俺はドゥーンってんだ!WDWUNEでドゥーンな」
「うん!ドゥーンお兄ちゃんだね!僕、ジンさんの弟子になったんだ〜」
なんか楽しい・・・
この20年、町には毛皮を売りに来るのと調味料を買いに来るときしか人と接点なかったし
けど、カイトがなんか言いたげな視線を送ってきてる。
「ドゥーン、シャナは・・・男だからな?」
ジンさんがドゥーンにネタ晴らししてしまった。
チェッ・・
もう少し遊ぼうと思ってたのに、邪魔されちゃった・・・
「おいおい・・マジか?」
ドゥーンが、ガーン・・・といった感じで落ち込んでしまっている。
「ドゥーンお兄ちゃんどうしたの〜?」
ちょっと黒い笑い方で僕は落ち込んでいるドゥーンにバックに花が咲き誇っているような幻覚が見えそうな満面の黒い笑みを浮かべた。
「シャナ、お前・・・」
カイトは僕になんとも言えないような顔で苦笑いを向けていた。
「――・・んで、遅れたわけか」
ドゥーンに事情と弟子入りの経緯を聞いて一応は納得したみたいだ。
それから、内緒話なのかジンさんがドゥーンさんの肩を掴んで、引っ張っていった
ちなみに、ドゥーンにお兄ちゃんはやめるように言われたのでドゥーンさんなのである。
面白かったのに・・・。
「おう、待たせたな。んじゃ『念』の基本は走りながら教えたから・・修行にいくぞ!」
ジンさんのアノ大雑把な説明は教えたに入るのか?・・などと思いながらもジンさんはどんどんと街の出口へ歩いていっている。追いかけないと・・・
「んじゃ、このあたりでいいか。カイト手本だ、シャナに練(レン)を見せてやれ!んでシャナはカイトといっしょに練(レン)だ」
なんという無茶な手抜き説明だ・・やりますよ?やるけどね?
僕は1時間ほどでバテてしまったが、それでも初めてなら上出来だとカイトには・・というよりカイトだけに褒められてジンさんには、
「だらしねぇなぁ!根性でもっとだ!!」
無茶苦茶すぎる・・・
そんな修行も3年が過ぎた頃で、
「カイト、それにシャナも・・最期の最終試験だ。俺を探して捕まえろ、まぁシャナはハンターになるのが先になるけどな」
「なんですか?いきなり・・・」
僕は食事の途中の何気ない唐突だがなンさんらしい横暴なつぶやきに答え
「ジンさん、それって何年かかるんですか・・・」
カイトもやる気はある感じだけど自信なさげに言う。
「よし!じゃあスタートな!」
なんか勝手に決まって勝手に始まったっぽい・・・ジンさん走って消えたし、
「シャナ、お前どうする?」
カイトが呆然としていたが気を取り直しこちらにたずねてくる。
「僕は、まぁ・・ジンさん探すのも時間とお金も必要そうだし、イータさんに聞いた天空闘技場で『念』も鍛えながらお金稼ぎでもしてからハンター試験を受けるよ」
「そうか、でもお前今でも結構でたらめな強さだぞ?試験くらいは余裕だと思うくらいに」
僕は今、能力ありの模擬戦でも制限ありでカイトに勝ち越せてる状態なのだ、アマチュアハンターでも中堅の上位に入れるとカイトは思っているらしい。
「まぁでも、柔歩双獅拳(じゅうほそうしけん)の発動にも時間がかかってるし、柔拳もまだ浅くしか入らないから強制絶(ゼツ)にするのも30分が限界だし・・・」
そう、接近して柔拳を叩き込むのも経絡系、つまりはこちらの精孔に叩き込むオーラの量が少ないがために完全には入らずに精孔がすぐに開いてしまうから、まだ未完成なのだ。
「まぁ、『念』は奥が深い。じゃ、俺はいくぞ!いつでも俺の携帯にかけてこい!携帯電話買ったらな、これが番号だ。じゃぁな」
カイトは振り返らずに片手をあげ、歩いて去っていった。
「じゃ、僕も行こっかな。ここから天空闘技場までは1週間くらい走れば着くかな」
なんか、この3年で思考がジンさんに似た気がする。乗り物じゃなくて走っていくって思考に至る辺りが特に・・・
まぁ自分のオーラに合わせて重さが変わる念具もつけてるし、普通に手足と腰のベルトにも1つ30kgの錘をつけている。
なんかこの3年間の修行はジンさんの言う、『根性』での精神論が一番の教えだった気がするし、
「ま、行くか!」
☆ 第4話 ☆
「ここが天空闘技場かぁ〜」
まさに空いた口がふさがらない、だな・・・
というより、今はあやふやな原作でも見たけど天にも届くってのはこんなに圧巻だとは・・・
「ようこそ天空闘技場へ、選手登録で宜しいでしょうか?」
外の屋台で買ったメロンパンをかじりながら列を進めてきた、社会的に声をかけたら変態の称号を貰いそうな容姿をしている僕を怪訝な目で見る視線の多さにメロンパンのやけ食いでイライラを誤魔化しながら並ぶこと4時間、やっと受付までくることが出来た。
「あ、はい。お願いします」
「はい、それではこちらの書類を読んでいただき、了承していただけるならサインをお願いします。あと、こちらの書類にも項目ごとに記入してください」
どうやら、同意書と経歴書のようだ。これを要約すると、この闘技場内での戦闘行為で大怪我、死亡する事があっても闘技場及び、対戦相手には一切の責任を問わない事を誓約する物である。そして二枚目には、自分の名前、年齢、出身地、格闘経験年数、流派、最後に自分が死亡した場合の荷物や資産の送り先を書き込む物である。
自分の名前はシャナで年齢は・・んーっと、16にしとこ、それで出身地は空白にして格闘経験年数は11年っと・・流派は何にしよ?日向流柔拳法ってでっち上げるとするか・・・
「これで大丈夫ですか?」
「・・・・出身地は書かれていませんが、まぁ、問題ありませんね。それでは一階闘技場の待合室でお待ち下さい。あなたの番号はこちら、1983番です。アナウンスで番号が呼ばれましたら呼ばれた番号の闘技場に上がってくださいね。それでは頑張ってください」
なにか、こちらに慈愛と少しの興味が混じった視線を受付の人たちからも受けた。
ちょっと複雑な気分だ。
しかもさっきの経歴書に性別の欄がなかったからたぶん、絶対に女の子に間違えられたよね・・・
シャナはそのまま進み、一階闘技場に入って行く。
「うわぁ〜、一体幾つの闘技場があるんだろ?広いなぁ」
覚悟はしてたけど入ってみて始めての経験に感動する。
建物の中とは思えないほどの広さの空間が広がっており、ざっと見て20メートル4方くらいの闘技場が数10個は並んでいるように見える。
ここらへんの人はみんな手に番号書いてる紙持ってるし、選手だろうから僕もここらへんに座ってよう。
ここにいる人の中には『念』能力者はいても錬度が低いし、全力出したら相手・・死ぬな。コレは・・
「『念』なしの身体能力で中国拳法の寸勁(すんけい)で場外に飛ばせばいいかな」
周りには聞こえないように小さい声で言い、それにここでの戦闘で手加減も覚えなきゃいけないと思い直す。ジンさんとの修行に手加減なんかできなかったし、加減も覚えなきゃハンター試験で手加減が出来ずにヒソカみたく遠巻きにされるのなんかゴメンだしなぁ・・
「1328番の方、1983番の選手の方は第D闘技場のほうへお越しください。132・・・・」
呼ばれた・・手加減はどうしよ?でこピンくらいの強さで寸勁(すんけい)すればいいかな?
ジンさんの修行では、手加減なんて考える暇もなかったしな、家を出てから3年・・・
ゾルディックでいう試しの門で僕は何番までの扉を開けるくらい力がついてるのか、はっきりわからない。
呼ばれるまでずっと試合を見ながら手加減の方法を模索してたシャナは周りの野次に気がつかないままにリングのほうへと黙々と歩いていく。
日常生活での手加減と、戦闘での手加減は別物だから、迷う・・・。
「ナンバーの書かれた紙を渡してください。はい、両名とも間違いありませんね、試合時間は3分間。勝敗は負けを認めるか、戦闘不能の状態になった方が負けとなります。それでは、両者、始めっ!」
審判の人が始めの合図を出すが、相手の男性がこちらに声をかけてくる
「お嬢ちゃん、悪いけどおとなしくしてれば優しく気絶させてあげるから抵抗しないでくれるかな?」
なんか見た目もそうだけど甘い考えの人だなぁ・・・
「いえ、僕もココに出るからには選手ですのでご遠慮なく。それとも僕を舐めてます?骨の何本かは覚悟してくださいね?」
寸勁(すんけい)で内部の骨の何本かを折ろう、なんか甘いというより馬鹿にしてるような笑みを浮かべてるし
「シッ!」
相手の腹を扉を押す程度の力で寸勁(すんけい)を与え、内部の骨を何本か粉々に粉砕してやった。
ちょっとだけココにくるまでに感じていた不愉快な視線のストレスを解消できた気がした。
「・・・・し、勝者1983番。ぅ、うむ・・君は50階に進みたまえ。このチケットを50階の受付に提出してくれ。そうすれば今回のファイトマネーを貰え、次の試合の登録もする事になる。詳しい事はその受付に聞いてくれ」
審判のおじさんは引きつった顔を場外にめり込んだ相手選手に向け、5秒ほど放心したあとでこちらにチケットを渡すのだった。
☆ 第5話 ☆
「50階でございます」
エレベーターが50階に着いた。
しかし、いろいろ考えすぎてエレベーターガールさんの天空闘技場の説明を聞き逃してしまった。
「やっぱり原作通りに152円、いやジェニーだった・・何年も経つのに硬貨が一緒だから慣れないな・・・」
まだ少しこの世界にイマイチ馴染めていないな。反省しなきゃ
「ココが控え室かな?」
入り口から入ってすぐのベンチに座って下で買ったメロンパンの処理を行う。
「おい、あの子だぜ・・・可愛い顔してえげつないよなぁ」
「あぁ、なんでも相手してた奴を場外までふっとばして骨を粉砕したって話だ」
「あの細腕のどこにあんな・・・」
なんか色々、噂されてるし遠巻きにされてる。でも、まだ手加減が足りなかったのか・・・
手加減の練習に来たのにちょっと失敗したなぁ。感情の制御も今後の課題に追加しなきゃ、相手の体を気遣ってこその武術家だよね。
「テルカン様、シャナ様・・53階、C闘技場へお越しください」
呼ばれたみたいだ。えっと、エレベーターで行けばいいよね。
なんか凄く呆気なかった、顎に拳を掠らせて脳を揺らして昏倒させた。これなら力加減を間違えることもないよね・・・。でも、150階くらいでお金も稼がなきゃだし、あんまり強く闘技場側に知られるとクレームとかきそうだ。ココも客商売だ、強い選手には上の階へ上がってってもらわないといけないだろうしね・・・
「でも、とりあえずはホテル取らなきゃなぁ。100階までは個室は貰えないし」
それから3日、原作のゴンたち同様に150階までノンストップで駆け上がり大分、金額を稼いだ。
この天空闘技場では、あまり長居するつもりはない。
格闘経験は、ジンさんとの修行で十分にしたし、ココでの目的は金稼ぎのほかには原作に関係ありそうな人と接点を作ってみたいということ。
「けど、まぁ高望みはしないほうがいいよね」
危ない奴、ヒソカとかに目つけられたくないし・・・
「おい、150階のシャナちゃんだぜ?見てみろよ?」
「お!本当だ、可愛いなぁ。あのちっこい体で今、全勝だろ?」
エレベーターから降りて、151階まで上がってきたところでまた遠巻きから囁く声と背筋に悪寒が走る気持ち悪い視線・・・
現実逃避にこれまでの3日間のことを思い出していたが、やっぱり視線が気になって落ち着かない。
「あ、あの……シャナ様!」
「はい?」
早足で外に出ようとした、すぐ後に後ろから声をかけられた。
振り向くと服装からして受付のお姉さんのようだ・・・
「えっと、あの!1度、抱きしめてもいいですか?」
えぇ〜、ココは握手とかなんじゃ・・・などとは思いながら顔には出さずに
「え、えぇ良いですけど・・・」
というと、受付のお姉さんは躊躇いがちにだが、顔を赤らめて
「ありがと〜!では、さっそく」
思いっきり、僕の顔を自分の胸にうずめるようにホールドされてしまった。
向こうは僕を女の子だと思ってるようなので、犯罪にはならないが書類上では17歳な男の娘・・・転生してからも修行、修行のまた修行の毎日で女性との接点はジンさんに連れられてカイトと行った、グリードアイランドでエレナさんとイータさん、双子の姉妹に男だとバラしてもさせられた着せ替え以来だ・・・。アレは正直、もう思い出したくないけど。
なので、受付さんは美人だし、役得感を抱いてしまったが・・・それは顔に出さない。
10分くらいだろうか?鍛えているので胸にうずめられてから息はしてなかったのだが、少し苦しくなってきた。受付お姉さんの背中を叩いて知らせることにする。
「シャナちゃん、ありがとう!」
シャナ様からシャナちゃんへランクが落ちたらしい。まぁいいけど。
「いえ、まぁ、はい」
両手でガッチリ握手して、
「次の試合も頑張ってね!」
他の受付のお姉さん方のほうへ早足で去っていってしまった。なんか手を握り合って興奮しながら騒いでるのを横目で眺めて試合があるのを思い出し、試合会場へ向かうことにする。
さっきまでの気持ち悪い視線がさっきのお姉さんと抱き合った直後から濃くなっているが、もう気にしても仕方がないと諦めることにした。
なんか、周りの男共が股間を手で抑えてるようで、自分も男なので視線の意味がわかる身としてはこれ以上関わるのは自分の身の危険も感じるのだ。
僕の見た目はまんま『シャナ』だ。それも少し原作の『シャナ』より幼い見た目だ。
年相応に可愛い、凛々しい見た目・・・簡単にはお目にかかることが出来ないぐらい整った容姿をしている。育たないがこのまま育てば、美人になるのは想像に難しくと視線の主は思っているはずだ。
まぁ、視線が気持ち悪く感じるのは慣れるしかないよな。男の娘の宿命だと思おう。
説明 | ||
読者の皆様へ、この物語の柔拳法とは点穴を突くことでチャクラを練られないようにする変わりにオーラを強制で絶(ゼツ)にすることにするというややチートな能力にしています。 主人公最強系が苦手な方更新は不定期になるかと思いますが、それでも良いよ〜っていう方は宜しくお願いします。 |
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