ゼロの使い魔 〜しんりゅう(神竜)になった男〜 第一話「死亡、そして転生」
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「う〜ん」

 

俺は先ほどまで携帯でドラクエVをしながら((隘路|あいろ))を歩いていた。

 

だが、今俺は自分を見下ろしている。

そして、遥か遠くへと逃げて行く車も見えている。

これは所謂・・・・・・。

 

「ひき逃げか・・・・・・」

「ずいぶんと冷静ですね。自分が死んだというのに・・・・・・」

 

突然、後ろから声が聞こえてくる。

振り返ると、手にでかい鎌を持った骸骨がいた。

 

・・・・・・うん、死神だな。

 

「まぁ、俺の状態を見たら死んだも当然だからな。で、あんたは?」

「見ての通り、死神ですよ〜」

 

うん。物凄く軽い。

死神だったら、もう少し恐怖っぽい口調じゃないのか?

 

「いや、それは爺さん達の代だけですよ。俺たちの代はもう少し現代っ子ぽくしてみようかと」

「心を読むなよ。・・・・・・はぁ、まぁいい。で、俺をあの世へ送るのか?」

「いや〜、それがですね〜」

 

死神はそう言うと、頭をかく。

 

ちょっと、嫌な予感がビシビシと感じるんだが・・・・・・?

 

「本当は轢き逃げはされても無傷ですんだはずだったんですよ〜」

「うんうん」

「でも、部下のうっかりミスで死んじゃいました♪ テヘッ」

 

死神のポーズは無視するとして、嫌な予感が当たったようだ。

 

「うっかりミスねぇ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・すいません。私の監督不行届です、はい。部下にはそれ相応の罰を科しますんで・・・・・・」

「はぁ・・・・・・、もういいよ。それで、俺はどうすればいいんだ?」

 

部下のうっかりミスで俺は死んでしまったワケで、話の流れからするとあの世に送られないっぽいが・・・・・・?

 

「えっと、本来はあなたを天界へ送るのが私の役目なんですけど、今回は大創造神のブラフ様の命により、特別にあなた様を別の世界での人生を歩んでもらうという事になりました」

「この世界じゃ、ダメなのか?」

「はい。天界での理で、その世界で死んだ者をその世界に新たに転生させてはいけないというのがありまして」

「ふ〜ん。で、俺をどこに転生さしてくれるんだ?」

「えっと、候補はこちらになります」

 

死神は懐から『もしもツ○ーズ』で使用するようなルーレットを取りだした。

 

意味が分からん。

 

「これは・・・・・・?」

「ルーレットです。私のような死神は、まだ神様たちのように全ての世界へと転生させる事ができないので」

「ふ〜ん。で、何故ルーレット・・・・・・?」

「いや〜、希望の世界へと行かせられない事もあるんで〜」

 

死神は頭をかきながら、そう弁解する。

 

なるほど、この死神が送れる世界はこの九つの世界だけだから、人によっては希望の世界がないということになってしまうと・・・・・・、だったらそのブラフとかいう神がくればいいんじぇね?

 

「それはつっこまない方向で」

「だから心を読むなって。はぁ、まぁいいや。それじゃあ回すとしますか」

「はい♪」

「よっ、と」

 

 ガラガラガラガラガラガラ・・・・・・

 

勢い良く回り始めるルーレット。

 

 ガラ、ガラ、ガラ、ピン

 

そしてルーレットが止まった先は・・・・・・。

 

「“ゼロの使い魔”の世界。使い魔召喚ルートですね」

「使い魔召喚ルート?」

「はい。使い魔として召喚されるということですね」

「はぁ・・・・・・」

 

使い魔として召喚ねぇ。

・・・・・・まぁ俺は死んだから、召喚されてもいいワケだが・・・・・・。

 

「誰に召喚されるんだい?」

「それはランダムです」

「あっそ。じゃ、送ってくれ」

「はい。でもその前にですね。容姿の設定を行います」

「コピーでもするのか?」

「用紙ではないですよ〜。姿かたちのことです」

「分かってるよ。ドラクエVのしんりゅうで」

 

ドラクエシリーズの中で、人間では“テリー”が、モンスターでは“しんりゅう”が一番好きだし、使い魔と言ったら“しんりゅう”だよな。

 

「了解です。あ、そうです。今回はブラフ様の計らいで能力を付加させていただきます」

「MA☆JI☆DE!?」

「はい」

「じゃ、ドラクエの呪文や特技を全て使えるようにしてくれ」

「了解です。あ・・・・・・っ!」

 

一度頷いた死神だったが、なにか思い出したらしく、そこで言葉を句切った。

 

何か不都合でもあるのか・・・・・・?

 

「人を生き返らすことや相手を即死させるような呪文・特技は使えませんので」

「まぁ当たり前だな。それでいい」

「了解です。ああ、あと容姿が神竜ですので、ドラゴラムを唱えると逆に人間になるようにします。その時の容姿はどうしますか?」

「おっ、ありがとうな。じゃ、ドラクエYのテリーで」

「了解です。では向こうの世界にお送りします」

 

そう言った直後、俺の真下に真っ黒な穴が開いた。

 

え゛!?

 

「それでは良い人生を〜」

「てめぇえええええええっ! 覚えておけよーーーーーーーーーーーーーっ!?」

 

俺はそう叫びながら、奈落の底へと真っ逆さまに落ちていった。

説明
死神のうっかりミスによって死亡した主人公。
その上司の死神からお詫びとして、『ゼロの使い魔』の世界に転生させてもらえることに・・・・・・。

第一話、始まります。
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ゼロの使い魔 ドラクエ 呪文・特技 しんりゅう(神竜) テリー 

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