魔王少女?冥王の前には無力!!11 |
招集され最初に聞いたのは「ファントムの出現」と「管理局の局員半数の離反」だった。
皆驚愕し、言葉が出なかった。
私は内心呆れ、表情では怪訝そうにする。
ファントムは現在、暁(G.Z)が所属している組織だ。
情報によればファントムは転生者であり魔眼を所持しているらしい。
他にも転生者がファントムの元にいるとか。
ふむ。………
「ミッドチルダまで早くても3日掛かります。その間になのはさん達は体調を整えて置いて。着いたら直ぐに戦闘になると思うから。」
「リンディさん!シグナム達は、大丈夫なんか!?」
はやてはリンディさんの服を掴み揺さぶりながら言う。
「はやて!!」
「はやてちゃん!落ち着いて!!」
衛宮となのはがはやてを宥める。
「……詳しい情報はまだ何も。今はいつでも動けるように準備していてね。」
それだけ言いリンディさんはブリッジを出た。
…
……
………
…………
……………話が大きくなりすぎだ。
色々とややこしい。
だが、暁を処分するにはもってこいのフィールドだな。
なら、協力するとしよう。
「誰か、整備室に案内してくれ。」
私の自由の為に、利用させて貰うぞ?ファントム。……
管理局ー本局
ユーノ・スクライア〜
「皆、コッチだ!早く走って!!」
僕は同僚の局員と途中で会った一般市民ら計6人で廃墟と化したミッドチルダを走り抜けていた。
3日前、突如ファントムと名乗る男が数名の仲間を連れ本局を攻撃してきた。
勿論本局もコレに対処すべく本局にいたS級ランクの魔導師を数名出した。
誰もが予想した管理局側の勝利。
だが、現実は違った。
S級ランクの魔導師が本局を攻撃してきたのだ!!
いきなりの味方からの攻撃で本局は混乱し数時間と立たないまま本局は半壊した。
そして、本局の過半数がファントムに着いた。
明らかにおかしい。
裏切りがあったとしてもこれだけの数を引き抜くのは不可能な筈だ。幸いな事になのは達は地球にいてここにはいない。
僕は共に戦ってきたエース達を思い出した。
決して挫けない不屈の心を持つ彼女、そして数々の事件を解決してきた彼女達を思い出す。
(まだ、可能性はある!)
その時、
ドォォォォォォォン!!
「「「きゃああ!!」」」
「「うわぁぁぁあ!!」」
「くっ!?」
巨大な瓦礫の壁を何かの力が吹き飛ばした。
!?この魔力は!!
壁を破壊した魔力に覚えがあった。
彼女達の他にも共に闘った者達との内の1人と全く同じ魔力を感じたからだ。
「そ、そんな、何でキミが!?」
僕の問いかけを無視し彼は僕たちにデバイスを向け、…………
視界が薄れて行く。
なんで、キミが?
暁。…………
ユーノ 終〜
衛宮〜
ミッドチルダまで後1日、今は作業班や操縦士が寝る間を惜しんで全速力で向っている。
アレから2日で管理局の人間の殆どがファントムに着いた。
残った者達も残党として捕縛されている。
聖王教会は未だ戦場を維持しており実質管理局対聖王教会であった。
はやて経由で騎士カリムから情報を得て、今までの報告と結び合わせ、相手は他人の眼を見て相手を操っているらしい。
真尋とマリーさんの2人はこの術を打ち破る方法を模索している。
フェイトも手伝っているそうだが、………現在進行形で二徹らしい。その甲斐がありバイザー式のゴーグルが完成した。
だが、………完成したと言っても『相手の術を防ぐのみ』だ。
破れる訳では無いらしく逐一データを送り、それを解析し続けるらしい。
真尋とマリーさんの仕事は闘いが始まってからが本番だ。
そして俺たちは少しでも相手の情報を与えねばならない。
「ふぅ。」
俺はベットから起き上がり時計を見る。
(まだ余裕はある。トレーニングルームで多少の汗を流そう。)
俺はデバイスとタオルを持ちトレーニングルームに向かった。
「ーー!ーーーー!!」
ん?どうやら俺の他にもトレーニングしようと思っている奴がいたらしい。
気になり覗き込んだ。
「ブラッティダガー!!ミストルティン!!」
はやてだった。
額に汗を浮かべ肩で呼吸し、今にも倒れそうなくらいだ。
(まずいな。このままやったらはやては倒れる。)
そう思った矢先、
「あ!」
はやては持っていた杖を落とした。
慌てて拾おうするが思うように動かず掴めなかった。
「ったく、……はやて。」
俺が話しかけるとさっと、こちらに顔を向けた。
「衛宮、君?」
「…………………はぁ。」
溜息を吐き、俺はドリンクを差し出す。
「取り敢えず飲め、少し休憩しろ。」
渡したドリンクを持ち、彼女は俯いて壁際に向かう。
俺は落ちているデバイスを持ちはやての隣に座る。
「………………」
「………………」
互いに無言。何を語る訳でもなく、静かに座り続ける。
それから数分が経ち、
「なぁ、衛宮君。どうしてここにいるん?」
はやてから話しかけてきた。
「軽く汗を流しに。はやては?」
「私も軽く「ダウト。あんなぶっ倒れそうになるまで汗を流すのは軽くとは言わない。」………」
はやては再び俯いた。
「何を慌ててるんだ。」
俺は俯いた彼女に尋ねるように聞いた。
すると彼女は小さな声で、だが、確かに聞き取れるように呟く。
「私、あの時から何も変わってないんや。皆に助けられてからずっと、いつもシグナムやヴィータ、シャマルにザフィーラ、そしてリイン。誰かしらがそばに居た。でも、今は誰もいない。私1人なんや。」
段々涙ぐみながら喋り出す。
内に溜まった不安や恐怖がダムが決壊したかの如く喋り出す。
「あの時、シグナム達がいなくなった時、怖かった。また1人ぼっちになると思うと怖くて怖くて堪らんかった。皆のお陰で何とかなったけど、リインが消えて、今度はシグナム達が消えてまう!また、一人ぼっちになってまう!……だから強くなろうと、皆を守れるよう強くなろうと!……でも、肝心な時に側に居ないとか、そんなん、意味ないやん!!私は、何も出来んかった、リインが消えた時、何も、そして今回も、皆が苦しいのに直ぐに駆けつけられなくて!………何も、出来ないんや。」
そう言い切るとはやては静かに泣き出した。
悔しくて、怖くて、家族を奪われるかもしれないと不安になって、泣いていた。
「何も、って訳じゃないんじゃないか?」
「………え?」
俺の一言にはやては反応した。
「はやて、お前は何も出来なかったと言ったがそれは違うと思う。あいつらははやてに会えて良かったって思っている筈だ。じゃなかったらボロボロになるまで蒐集なんてしないし、涙なんか流さない。はやてはヴォルケン達の、そしてリインフォースの支えになっていたさ。はやてがいたから、あいつらは笑って居られる。はやてがいたからあいつらは闘って居られるんだ。あいつらが護りたいものの為に。」
「護りたいもの。」
俺ははやての眼を見て言った。
「はやて、お前の愛する守護騎士達を信じろ。そして、お前が愛するモノを護ってやれ。其処には力は必要ない。お前にあるのは魔力ランクやレアスキルだけじゃない。そうだろ?」
「…………………」
はやてはただ俺を見続け、
「……………フフ、」
しだいに笑い始めた。
「クフフ、衛宮君、流石にそのセリフは臭いわ。」
「な!?」
まさかの返しを受けてしだいに俺の顔が熱を持ち始めた。
「なんや?顔を赤らめて、自分でも恥ずかしいと思っていたんか??」
「別に、コッチは真面目に言ってるのに茶化すな。」
自分でもわかる程顔を赤くし頭を描く。
「だっていつも口説いとるイメージしかあらんもん。なんか真面目になると可笑しいやんか。」
「うっ!」
そう、だったか?
少々暁と競っていた節もあったが。
以後気をつけねば、
「ありがと、ちょっと楽になったわ。」
俺が思案しているとはやてが俺に微笑みながら言った。
「っ!!?」
その笑顔に俺は眼を奪われた。
何だ?この感じ。
「な、なら、もう休め。明日にはミッドチルダに着く。その時になって動けなければ意味は無い。」
俺ははやてに背を向けそのままトレーニングを始めた。
「ありがとう、志郎君。」
はやてが出る前に、そう言って行った。
衛宮 終〜
ミッドチルダまで後1日、私としてはもう闘いは終了しているんだがな。
今回はデバイスマスターのマリーさんと協力して対魔眼のバイザーを各デバイスに装着。
その時に各デバイスのデータを得た。バイザーは相手のデータを得て分析するという名目のカメラも搭載しており、苦労せず敵のデータも撮ることが出来る。
同時にバイザー作りの際、アースラの航行技術、アルカンシェルのデータを得た。
流石にワープなどは得られなかったが、まぁいいだろ。
そして、暁(G.Z)経由で得た情報は3つ。
・転生者と思われるのはファントムを含む3名。
ファントム、(恐らく)魔眼使い。
ウィンド・ダーマイル、風(空気中の元素をも操る。)使い。
メビウス・A・トーリッシュ氷使い。(氷点下まで下げる事が出来る。)
この3名が転生者と思われる者たち。まぁ、私はファントム以外には興味はないがね。
・とある管理外世界をまるごと組織が使用している。
この情報は美味しいな。指定された世界は、…………ふむ。
なら実験にはもってこいか。
・最後に数多くのロストロギアを所有していること。
暁(…)の強化の際そこに訪れたらしい。そしてそこに、………ふふふ。
あぁ、早く闘いにならないか。
成り行きでこんな面倒な闘いにと悔やんだが、こんなに報酬があるんだ。
それこそ、なのは達のデータがゴミ屑になるくらいの財宝、研究対象、そして、…………。
私がそれらを手に入れるまで、頑張ってね、なのは達、それに転生者さん達。
ふふふ、ふふふふふふ。
説明 | ||
自身の死因が面白かったから。 神にそう言われ転生することになった主人公。 彼はその世界でどう生きて行くのか? | ||
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