黒神家のちょっと普通なお兄さん 第三話/ もう一人の妹と変態 |
俺が鬼海たちと出会って何週間か経って俺とめだか病院を退院した。その後、俺は親父に自分が傷の治りが早いことをを話したが親父は「へぇ〜。鯱って傷の治りが早いのか凄いな」としか言わなかったからビックリしたがそのことは親父と鬼海たちしか知らない。
それで、今俺とめだかはリムジンに乗って善吉の家に行く途中なのである。
『めだかー。そろそろ善吉の家につくから降りる準備しとけよー』
「わかった兄様」
そして善吉の家について俺は善吉の家の扉をノックした
コンコン
「はーい!ちょっと待ってねー」
ガチャ
出てきたのは瞳さんだった。
「あ!鯱くんとめだかちゃん。待っててね今善吉くんを呼んでくるから」
『お願いします瞳さん』
家の中から瞳さんが善吉の名前を呼んでいる声が聞こえる。
「お待たせー。今日は何して遊ぶの?」
善吉がやってきて今日何をするか聞いてきた。
「今日は私の家に行って遊ぶぞ善吉!」
「わーい!めだかちゃんの家で遊ぶんだー!やったー!」
「それじゃあ、善吉くんのことよろしくね鯱くん」
『わかりました瞳さん!それじゃあ行くか!』
俺とめだかと善吉はリムジンに乗って我が家に向かった。
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「めだかちゃんたちの家はいつ来てもすごいや〜」
「ほら善吉早く行って遊ぶぞ!」
「待ってよめだかちゃん!」
『二人ともそんなに急いだら転ぶぞー!』
めだかは急いで我が家に入って行き善吉はめだかの後を急いでついていき俺は後ろからゆっくりと
ついていった。
俺たちがやってきた部屋はめだかの自室である。
「さあ、遊ぶぞ!」
どこからか大量のボードゲームを引っ張り出すめだか。
箱庭病院であれだけの知育玩具をいとも簡単に解いていためだかにとって、文字通り児戯に等しいもの
なのだろうが、三人でできる遊びとして彼女なりに考えた結果なのだろう。
「善吉と兄様はどれで遊びたいんだ!」
『じゃあオセロでもやるか』
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さっきまで俺とめだかがオセロで勝負していたが、ずっと俺が勝っていたからめだかが「兄様は強す
ぎるから善吉と勝負するぞ!」と言ったため俺は「手加減しろよ」とめだかに言って傍で見ていたが、
長丁場になりそうな感じだったからめだかと善吉に一言「家をブラブラしてくる」と言って部屋を出た。
『ブラブラするって言ったけど何しようかな?・・・そうだ!アイツの部屋でも行こう!』
俺は廊下を進んで、一際異質な扉の前に辿り着く。
鎖で幾重にも囲い、いくつもの南京錠で封印された重厚な造りだ。
押し開けると、子ども一人が通れるくらいの隙間を作る。
『あいつは今日も同じことをしてるのかな?』
隙間に身体を捻じ込む。
『あいつは一体どこにいんるのかな〜?・・・・お!いたいた』
部屋のほぼ中央、唯一照明のついた机にかじりつき、身体を鎖で縛りつけた拷問の如きスタイルで鬼気
迫る表情で狂ったようにペンを走らせている少女がいた。
その少女の名前は黒神くじら。めだかの姉で俺の妹だ。。「素晴らしいものは地獄からしか生まれない」
を信条にあらゆる幸福を否定して学業に没頭して部屋に引きこもっている。
俺はくじらに声を掛けることもなく、本の山の一つに腰かけた。
くじらは俺に気付いていないのか、それとも意識して無視を決め込んでいるのかは分からないが、ペン
の音だけが響く空間の中、互いに無言のまま時間だけが過ぎて行った。
「おい兄貴」
『なんだいくじら?』
二十分ほど経ち、くじらが女の子らしからぬ口調で呼びかける。
「勉強の邪魔だからこの部屋から出てってくれねえか兄貴?」
『おいおいくじら。兄に向かってそんな言い方はないだろ。それと何でくじらはそんなに幸福を嫌悪する
んだ?』
「歴史上の天才の奴は不遇の人生を送っている。偉大な発明や発見のほとんどが劣等感から生まれている。だから素晴らしいものは地獄からしか生まれない!」
くじらは両手を机に叩きつけた。それだけでは飽き足らず、積まれていた本を蹴り飛ばし、時計や水差しを叩き落とす。
「それに比べてこの私はどうだ!? 恵まれた生まれ恵まれた容姿恵まれた才能恵まれた環境! クソ喰らえだ! こんな幸福のままじゃ私は駄目になる! もっと苦しまなきゃ、もっと追い込まれなきゃダメだ! もっと地獄を、もっともっと地獄を!」
『くじら。よく聞け素晴らしいものは地獄から生まれないよ、地獄からは最低と最悪しか生まれない』
「なら私はどうしたらいい!? これ以上ない偉人(アブノーマル)になるために、私はどうしたらいいんだ!? 教えてくれよ!」
俺はくじらの頭に手をのばして、頭を優しく撫でた。
『いいかいくじらちゃん。くじらちゃんは何でもかんでも一人で背負いすぎだ。
天才たちだって理解者がいたから死ぬまでやってこれたんだ。くじらちゃんも友達でも作ってそいつを
頼るんだ』
「兄貴、ありがとな」
『気にすることはないくじら。それじゃあくじらの友達作りをするためめだかの部屋に行こう!あそこに
は、俺とめだかの友達善吉がいるから最初は善吉と友達になって、徐々に増やしていこう!』
「うわ!自分で歩けるから降ろしてくれ兄貴!」
俺はくじらをおんぶして走ってめだかの部屋に急いだ。
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『そろそろめだかの部屋だけど心の準備はいいかくじら?』
「ああ。心の準備はできてるぞ兄貴」
『よし!行くぞ』
俺はくじらを負んぶした状態でめだかの部屋を開けようと一歩進もうとした瞬間・・・
それは内側から吹き飛ぶように開き砲弾の如き勢いで、少年のような『何か』が壁に激突した。
「『・・・・・』」
くじらと俺は顔を歪めて無言になる。
「ウ、フフ、フフフフフフ。抱きついただけで正拳突きなんて手厳しいねめだかちゃん。けど大丈夫、お兄ちゃんには本心がちゃーんと伝わっているよ? 照れ隠しなんだねそうなんだね? 本当は嬉しいけどお友達の前だから恥ずかしかったんだね? ああもうそんな照れ屋さんなめだかちゃんも可愛いなぁ」
クネクネガクガクと痙攣しながら、呪言めいたことを口走る少年っぽい『何か』。
「・・・・兄貴、部屋に入って扉閉めて鍵をかけるんだ」
『奇遇だなくじら俺もお前と同じことを考えていた』
めだかの部屋に入って扉を閉めて鍵をかける。
「わー、お帰り鯱くん!」
「お姉様……?」
『めだか俺がいない間に何があったんだ? 二人でオセロしてたんだろ?』
俺ははめだかに説明を求める。とりあえず、部屋の外のいるあのバカがめだかに抱きついて
殴り飛ばされたことまではわかっている。その前が知りたい。
「うむ。実は兄様が出て行った後、勝負は思いの他あっけなく着いてな。兄様が帰ってくるまで将棋
やチェスもしていたのだ。そうしたらあの変態兄貴が全速力で突っ込んできたのだ」
『まったくあのバカは・・・』
俺はため息をついた。
「フフフ、めだかちゃんは愛情表現が少し過激だね」
背後から声が聞こえてきたので俺は後ろを向いた。そこに立っていたのは、黒神真黒。めだかとくじらの
兄で俺の義弟でもある。そして真黒は重度のシスコンである!
「お兄様、鍵がかかっていたはずなのにどうやって……」
「それはねめだかちゃん。愛さえあれば妹の部屋のカギなんか無に等しいからさ!」
いや、意味分かんねえから。
「ところで、鯱くんは今日もくじらちゃんの部屋に行ったのかな?鯱くんにくじらちゃんを部屋から
出すことはできない!くじらちゃんを部屋から出すのはこの僕――――ってくじらちゃん!?」
真黒が俺がくじらをおんぶしていることにきずいて驚いている。
「どうしたんだいくじらちゃん!? 僕があれだけ説得しても書庫から一歩も出なかったのにめだかちゃんの部屋にいて、しかも鯱くんにおんぶされているなんて、羨ましいぞ鯱くん!僕に代わってくれ!」
俺は無言で真黒に近づいて・・・・
「おお!鯱くん僕にくじらちゃんをおんぶさせてくれるんだね!さあ早く代わってくれ!待っててね
くじらちゃん、お兄ちゃんが最高のおんぶをしてあげるからねグハァ!!」
真黒の腹を殴って黙られた。
『うるさい真黒』
「……ところでお姉さま。いい加減、兄様の背中から下りてくれませんか?」
「どうして? 別にいいじゃないか、誰にも迷惑をかけたりしてないだろ?」
「兄様が困った顔をしています。それになんだか私も不愉快です」
「何だ、嫉妬か? んん?」
「是が非でも下りていただきます!」
「はっ、やれるもんならやってみろ!」
『お前ら俺を挟んで喧嘩してんじゃねぇええ!!真黒頼む助けてくれ!』
「何で鯱くんはあんにめだかちゃんとくじらちゃんに好かれてるんだい・・・ブツブツ」
何か真黒ブツブツ何か喋っていて俺の声が聞こえていない!
「わーい、僕も混ざるー!」
『善吉はもう少し空気を読んでくれ頼むから!』
何時間か経ってこの騒ぎも終わってくじらは善吉と友達になり、そのあとはみんなで楽しく人生ゲームを
楽しんだ。まったくとてつもなく疲れた一日だったぜ。
説明 | ||
駄文ですので余り期待はしないでください。感想やアドバイスや誤字報告などは受けつけてますが、罵詈雑言の感想は受け付けません。それでは、お楽しみください! |
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