二百年後

「勝ったあぁぁぁぁぁあ」

「おめでとう、フラン」

「ありがとうございました。でもさあ、」

「なんだ？」

「最初は真面目にアルカタやってたけどさ、最後の方は能力のみの対戦だったよね！？」

「まあ、練習になったしいいじゃん。」

「いいけどさあ、アルカタでは勝ってないんだよね？これっていいの？」

「イイに決まってるだろ？俺は勝てとしか言ってないし、方法は決めてない」

「それでいいのかなぁ………」

　俺がウンウン唸っていると、一人の女性が 前からやって来た。

「ゼウス様、ご子息の訓練は終わったのですか？」

「おお、アテネじゃないか、久しぶりだな！元気にやっていたか？」

「神や天使に元気もなにも無いじゃないですか」

「それもそうだな。そうだ、転生の準備は整っているのか？」

「はい。いつでも始められます。」

　何この人たち？アテネってあの？ゼウスって全知全能の神様の？ご子息ってどういう事だ！？

「あ…あの？」

「なに？」

「"ご子息"って誰がですか?」

「なに言っているんですか？あなたに決まっているでしょう？」

「………………えぇえええええっ！？」

「…まさかゼウス様、まだ教えていらっしゃらなかったんですか？」

　やばい、アテネの周りに黒いオーラが…

「あれ程念を押して言っといたのに、知らないってどういうことですか！？」

「いや…その…教える機会がなかったというか…」

「散々そばにいて、機会がないわけないでしょう！？」

「いや….その…..あの……」

「いいから今！サッサと言え！」

「はいぃ！」

　すごい…ゼウスなのに、怖がって顔が青ざめているよ…

「あー、えっとだな、お前、フランは俺の息子だったんだ」

「…本当に？」

「ああ」

「ドッキリじゃなく？」

「ああ」

「じゃあ私は…」

「神様だな」

「ウソオオォォォォォオオオオ！？」

「本当だ！」

「いやいや、そりゃないでしょう？」

「有るから！第一、普通の人間にあんなチートをつけた上に体も変えるなんて不可能だからね？」

「そうなの！？」

「そう。だからフランは正真正銘神様なんだよ」

「…何かごめんなさい」

「何が？」

「その…女の子の姿になっちゃって」

「いいんですよ。ゼウス様は女の子が欲しかったんですから。ねぇ？ゼウス様？」

「な、何故それを！？」

「神様の部下ですから。心を読むくらい簡単ですよ」

「そ…そうか。…まあ、とにかくいいんだよ。可愛いし。小っちゃいし。」

「そういえば、私の身長って何cmなんですか?」

「だいたい…148,684cmくらいかな？」

「ちっさいなあ！？それに細かい！百分の一cmまで目検討で測るとかわけわかんないですよ！」

「じゃあ俺の身長は？」

「えっと…159,648cmくらいデスかね？」

「な？分かるだろ？神だもんね？」

「…分かりましたよ。」

「あの…そろそろ転生を…」

「おお、済まないな。では、行ってらっしゃい。がんばれよ？」

「行ってきます。今までありがとうございました。お父様。」

　…お父様…か…。

　本当に俺は神なのかな…

「大丈夫。心配しなくてもいい。俺がついているからな。」と胸をはって言うゼウス

「ふふっ」とアテネが笑った。

「なにがおかしい？アテネ？」

「いや、そんなに優しいゼウス様を見るのはとても久しぶりだなぁと思ったんですよ」

「は、早く転生をしろ…。」

　照れ隠しか？若干顔が赤いような…ゼウスに限ってそんなことあるはずないな。

「分かりましたよ。じゃあ、いきましょうか？」

「はい。今までありがとうございました。」

　やっとアリアの世界に行くのか…長かったな。

　もしかして、こっちにいる方が結局長くなるんじゃあ？

　まあ、いっか。

「では、いくぞ。そうそう、ただ転生しただけじゃつまらないだろうから、面白くしといたから」

　…なんか嫌な予感しかしない。

　その声と共に、俺の足元に黒い穴があいて…

「結局最後は、テンプレかよおおおおぉぉぉおぉおぉおおおおおっ！？」

「口がわるいぞおおおおおおおっ！」

　そんな声を聞きながら、俺の意識は途切れていった